監督:チョン・ミョングァン
原作:キム・オンス
出演:チョン・ウ(「模範家族」『偽りの隣人 ある諜報員の告白』)、キム・ガプス(『箪笥』)、チェ・ムソン(『悪魔を見た』)、チ・スンヒョン(『偽りの隣人 ある諜報員の告白』)、イ・ホンネ(「悪霊狩猟団:カウンターズ」)
1993年春、釜山。町はずれの小さな入り江クアム。養護施設で育ったヒス(チョン・ウ)は、クアムを牛耳るソン(キム・ガプス)に拾われ、その手足として仕事をしてきた。小さな海水浴場に観光ホテル、屋台に風俗店があるだけの町だが、利権を狙ったヨンド派が、ヒスの施設時代からの親友チョルジン(チ・スンヒョン)を使い、ヒスを懐柔しようとする。しかし、ヤクザ稼業に嫌気がさしていたヒスの望みは、施設時代からの恋人インスク(ユン・ジヘ)と一緒に、巨済島でペンションを営みながら暮らすこと。ヒスはソンの元を訪れ組織を抜けたいと告げるが・・・
ベストセラー作家チョン・ミョングァンの監督デビュー作。原作は、著書「設計者」「キャビネット」翻訳版が日本でも出版されている作家キム・オンスの傑作ノワール小説。
釜山郊外のクアムは、日本統治時代、海水浴場として賑わっていたところだとか。
今はひっそりした町なのですが、ヨンド派がここを手にしたいと狙ったのにはワケがありました。足を洗いたいと育ての親でもあるソンに申し出たとき、ソンからいずれすべて譲るつもりだと言われるのですが、40歳になったヒスにとっては、好きな人とのんびり暮らすことの方が大事だったのです。それなのにヤクザどうしの抗争に巻き込まれてしまいます。そのやるせない思いを、チョン・ウがみごとに体現しています。血で血を争う場面が多いのですが、チョン・ウさんの穏やかな顔に救われました。
ドラマ「最高だ、イ・スンシン」(2013年)で、刑務所を出てパン屋で働く青年を好演しているのをちょうど観ていた時に、東京国際映画祭で出演作『レッド・ファミリー』が上映され来日。記者会見の取材に行って、そばを通った時に、思わず「イ・スンシン!」と声をかけたら、にっこり笑ってくださいました。

第26回東京国際映画祭(2013年)での『レッド・ファミリー』上映後
左から女優パク・ソヨン、男優チョン・ウ、女優キム・ユミ、キム・ギドク(脚本・製作)、イ・ジュヒョン監督。この時共演したキム・ユミと2016年にご結婚。
http://www.cinemajournal.net/special/2013/tiff26pics/index.html
すっかり主演をはれる役者になったチョン・ウ。主演作の NETFLIX ドラマ「模範家族」も世界配信中。ますますのご活躍を期待したいです。(咲)
2022 年/韓国映画/韓国語/120 分/シネスコ/5.1ch
字幕:安河内真純
配給:アルバトロス・フィルム
提供:ニューセレクト
公式サイト:https://yajunochi.com/
★2023年1月20日(金)より、全国ロードショー