2023年01月14日

野獣の血  原題:뜨거운 피 英題:Hot Blooded

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© 2022 KidariStudio, Inc. & WHALE PICTURES. All Rights Reserved.

監督:チョン・ミョングァン
原作:キム・オンス
出演:チョン・ウ(「模範家族」『偽りの隣人 ある諜報員の告白』)、キム・ガプス(『箪笥』)、チェ・ムソン(『悪魔を見た』)、チ・スンヒョン(『偽りの隣人 ある諜報員の告白』)、イ・ホンネ(「悪霊狩猟団:カウンターズ」)

1993年春、釜山。町はずれの小さな入り江クアム。養護施設で育ったヒス(チョン・ウ)は、クアムを牛耳るソン(キム・ガプス)に拾われ、その手足として仕事をしてきた。小さな海水浴場に観光ホテル、屋台に風俗店があるだけの町だが、利権を狙ったヨンド派が、ヒスの施設時代からの親友チョルジン(チ・スンヒョン)を使い、ヒスを懐柔しようとする。しかし、ヤクザ稼業に嫌気がさしていたヒスの望みは、施設時代からの恋人インスク(ユン・ジヘ)と一緒に、巨済島でペンションを営みながら暮らすこと。ヒスはソンの元を訪れ組織を抜けたいと告げるが・・・

ベストセラー作家チョン・ミョングァンの監督デビュー作。原作は、著書「設計者」「キャビネット」翻訳版が日本でも出版されている作家キム・オンスの傑作ノワール小説。

釜山郊外のクアムは、日本統治時代、海水浴場として賑わっていたところだとか。
今はひっそりした町なのですが、ヨンド派がここを手にしたいと狙ったのにはワケがありました。足を洗いたいと育ての親でもあるソンに申し出たとき、ソンからいずれすべて譲るつもりだと言われるのですが、40歳になったヒスにとっては、好きな人とのんびり暮らすことの方が大事だったのです。それなのにヤクザどうしの抗争に巻き込まれてしまいます。そのやるせない思いを、チョン・ウがみごとに体現しています。血で血を争う場面が多いのですが、チョン・ウさんの穏やかな顔に救われました。

ドラマ「最高だ、イ・スンシン」(2013年)で、刑務所を出てパン屋で働く青年を好演しているのをちょうど観ていた時に、東京国際映画祭で出演作『レッド・ファミリー』が上映され来日。記者会見の取材に行って、そばを通った時に、思わず「イ・スンシン!」と声をかけたら、にっこり笑ってくださいました。

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第26回東京国際映画祭(2013年)での『レッド・ファミリー』上映後 
左から女優パク・ソヨン、男優チョン・ウ、女優キム・ユミ、キム・ギドク(脚本・製作)、イ・ジュヒョン監督。この時共演したキム・ユミと2016年にご結婚。
http://www.cinemajournal.net/special/2013/tiff26pics/index.html
すっかり主演をはれる役者になったチョン・ウ。主演作の NETFLIX ドラマ「模範家族」も世界配信中。ますますのご活躍を期待したいです。(咲)


2022 年/韓国映画/韓国語/120 分/シネスコ/5.1ch
字幕:安河内真純
配給:アルバトロス・フィルム
提供:ニューセレクト
公式サイト:https://yajunochi.com/
★2023年1月20日(金)より、全国ロードショー




posted by sakiko at 19:29| Comment(0) | 韓国 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

パーフェクト・ドライバー 成功確率100%の女  原題:특송(特送) 英題:Special Delivery

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(C)2022 NEXT ENTERTAINMENT WORLD & M PICTURES. All Rights Reserved.

監督・脚本:パク・デミン
出演:パク・ソダム、ソン・セビョク、キム・ウィソン、チョン・ヒョンジュン、ヨン・ウジン、ヨム・ヘラン、ハン・ヒョンミン

釜山。天才的なドライビング・テクニックを持つウナ(パク・ソダム)が勤めるペッカン産業は、表向きは廃車処理業だが、裏ではどんな荷物も配達する“特送”の仕事を請け負っている。ある日、ペク社長(キム・ウィソン)からウナが指令されたのは、海外逃亡を図る元プロ野球選手で賭博ブローカーのキム・ドゥシク(ヨン・ウジン)とその息子ソウォン(チョン・ヒョンジュン)を港まで運ぶこと。ところが、違法賭博の元締めであり警官のチョ・ギョンピル(ソン・セビョク)が現れ、ドゥシクは息子をウナに預けたまま逃亡してしまう。ウナは幼いソウォンと300億ウォンが入った貸金庫の鍵を抱えて追われる羽目に。貸金庫の鍵を狙う悪徳警官ヤクザ、冷酷非情サイコパスな殺し屋、さらには「脱北」の過去を持つウナを秘密裏に調査する国家情報院までをも巻き込み、カーチェイスが繰り広げられる・・・

『パラサイト 半地下の家族』で半地下に住み、金持ちの家で美術の家庭教師をするクールな娘を演じたパク・ソダムが、本作で一躍主役を演じています。今回の女運び屋も、実にクール。国際的に知名度のあがったパク・ソダムにふさわしい役柄です。そして、ウナが預かる特送の荷物である少年・ソウォンを演じているのは、『パラサイト 半地下の家族』で金持ちの家の息子を演じたチョン・ヒョンジュン。家庭教師と教え子を演じた二人の共演です。
ペッカン産業には、アシフというアフリカ出身らしい腕利き修理工も働いていて、ペク社長は危ない仕事を引き受けるだけでなく、脱北者や移民を雇うという太っ腹な人物のよう。
なお、アシフを演じているハン・ヒョンミンは、父がナイジェリア人、母が韓国人。ソウル生まれで、トップモデルとして活躍し、本作で映画デビュー。
ユ・スンホが友情出演しているのも、お見逃しなく!
釜山港大橋はじめ、車が駆け巡る釜山の街の風情をたっぷり楽しめる一作です。(咲)


パク・ソダムを観るたび、BTS(防弾少年団)のユンギに似ている~と思ってしまいます。
『プリースト 悪魔を葬る者』(2015)では悪魔に取りつかれた女子高生役で、新人賞を受賞していました。血まみれになるわ、丸坊主になるわで大変でしたが、今回のウナ役は長い髪をなびかせてのアクション。ウナの決断の速さ、身体のキレの良さ、クールな役もぴったりでした。これからアクションのオファーも来そうです。街中でのカーアクションはひところの香港映画を思い出します。路地に入ったり、すれすれの方向転換など真似してはいけませんが、車好きな方もおおいに楽しめるはずです。(白)


2022年/韓国/111分/カラー/ビスタ/5.1ch
字幕:小西朋子
配給:カルチュア・パブリッシャーズ
公式サイト:https://perfectdriver-movie.com/
★2023年1月20日(金)TOHOシネマズ日比谷ほか全国ロードショー




posted by sakiko at 14:51| Comment(0) | 韓国 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

若者は山里をめざす

2023年1月14日(土)より、新宿K's cinemaにて公開

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(C)2022映画「若者は山里をめざす」製作委員会

豊かな暮らしは山里にあった

監督・撮影・編集:原村政樹
プロデューサー:鈴木敏夫
映像技術:大目象一 李恩求
整音:丸山晃
音楽:鈴木光男
語り:小林綾子
出演:西沙耶香、高野晃一、市村太樹、足立桜、東秩父村のみなさん、鬼太鼓座

自然を慈しみ、助け合いながら生きる、
東秩父村に暮らす若者たちの3年を追ったドキュメンタリー


都心から60km、バスと電車で80分、標高600メートルの山々が連なる山間に東秩父村がある。「埼玉県の消滅可能性都市No.1」に指定されたこの村に移り住む若者たちが増え始めた。
村出身の西沙耶香さんはコンビニもないこの村から出たいと高校卒業後上京したが、故郷を消滅させたくないと思い、仕事をやめ村に戻ってきた。東京出身の高野晃一さんは元銀行員だったが、地域起こし協力隊に応募して採用された。村にあるノゴンボウに着目、開発を進め、村の特産品として広げた。さらに、地域にの方たちと溶け込み移住を決意した。和紙職人を目指す、隣の寄居町出身の市村太樹さんや足立桜さんや鬼太鼓座の若者たちも、村に住む戦前・戦後を生きた先輩たちと交流しながら生きる知恵を身につけていく。
若者たちは、村のお年寄りたちと力を合わせ、山里の伝統的な暮らしを未来に残し、村の魅力を伝えようと活動している。

長い年月をかけて育んできた山里の伝統的な仕事や暮らしは急速に姿を消し、今は昔とは比べものにならないほど便利で、沢山の物に溢れた「豊かな暮らし」を手に入れましたが、押し寄せる急激な変化の中、経済効率重視で人間らしさを奪われ、息苦しさを感じている人もいます。
効率重視の都会生活に疑問を抱く若者たちは、山里の穏やかな暮らしに未来への希望を発見し、伝承していこうとしています。

自然を慈しみ、人と人の結びつきが強く、お互いにが助け合いながら生きる山里の暮らしを、山里に生きることを選んだ若者たちを通して伝えたいとこの作品を作ったのは、『無音の叫び声』をはじめ『武蔵野 ~ 江戸の循環農業が息づく』『お百姓さんになりたい』など農業をテーマに撮り続けてきた原村政樹(監督・撮影・編集)。自然を慈しみ助け合いながら生きる山里の暮らしの素晴らしさを描き出す。
ナレーションは、NHK連続テレビ小説「おしん」の小林綾子が担当。

2022年製作/115分/日本
配給:ムービー・アクト・プロジェクト
posted by akemi at 09:12| Comment(0) | 日本 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする