2022年12月30日

非常宣言(原題:EMERGENCY DECLARATION)

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監督・脚本:ハン・ジェリム
撮影:イ・モゲ、パク・ジョンチョル
出演:ソン・ガンホ(ク・イノ刑事)、イ・ビョンホン(パク・ジェヒョク)、チョン・ドヨン(キム・スッキ国土交通省大臣)、キム・ナムギル(ヒョンス副操縦士)、イム・シワン(リュ・ジンソク)

娘とハワイに向かうジェヒョクは、空港で不審な行動の若い男につきまとわれる。同じ便に搭乗したのを知っていやな予感がした。飛行機が飛び立って間もなく、トイレに入った乗客が急死した。原因がわからないまま、なすすべもなく次々と乗客が死亡し、機内はパニックに陥っていく。
一方地上では、飛行機がバイオテロの犯行予告動画がSNSにアップされ、警察は捜査を開始する。ク・イノ刑事は、その飛行機は妻が搭乗した便だと気づく。テロの報告を受けたキム・スッキ国土交通省大臣は、緊急着陸できるように国内外の空港へ交渉を始めた。

高度28,000フィート上空で見えないウィルスと墜落の恐怖におびえる乗客たち。ウイルスに感染した乗客に触れた乗務員も発病していきます。このコロナ禍中になんとまた怖い作品が登場したこと!あまりにタイムリーで驚きです。機内の詳細な描写に私は胃が痛くなりそうでした。
けれども、ソン・ガンホとイ・ビョンホン、それにチョン・ドヨンの共演です。なんとかしてくれるはず、と妙な安心感。そんな映画の見方はよくない気もするのですが、期待してしまうではありませんか。この機内と地上をかわるがわる見せるストーリーと、カメラワークがまた緊張をいやがうえにも高めてくれます。心臓とメンタルが弱いというお方はご注意ください。(白)


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「非常宣言」
飛行機が危機に直面し、
通常の飛行が困難になったとき、
パイロットが不時着を要請すること

“これ”が布告された航空機には優先権が与えられ
他のどの航空機より先に着陸でき、
いかなる命令を排除できるため、
航空運行における戒厳令の布告に値する



旅立つ人々で賑わう空港。パイロットの制服姿が素敵なキム・ナムギル。チケットカウンターで乗客の多いフライトを尋ねる挙動不審なイム・シワン君。娘を連れてハワイに行こうとするも、どこか不安げなイ・ビョンホン。そして、旅立つ妻から「作り置きのコムタンがなくなる頃には帰ってくる」と言い渡される刑事のソン・ガンホ。豪華な俳優陣に期待が高まります。さらに、チョン・ドヨンは航空機上のバイオテロの解決に臨む国土交通大臣という重要な役どころで登場。
バイオテロに襲われ、「非常宣言」を発して成田に降りようとするのですが、日本は拒否。韓国でも着陸させるなと反対運動が起こります。非常宣言を無視していいの? そんな中で、ソウルでは、ウィルスに対処する薬が超特急で開発されます。コロナにも、ぜひお願い!  さて、どうなる?と、ハラハラさせられながら、ソン・ガンホはじめ、俳優陣の確かな演技に唸った141分でした。(咲) 


2022年/韓国/カラー/シネスコ/141分
配給:クロックワークス
(C)2022 showbox and MAGNUM9 ALL RIGHTS RESERVED.
https://klockworx-asia.com/hijyosengen/
★2023年1月6日(金)ロードショー

posted by shiraishi at 22:06| Comment(0) | 韓国 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

ドリーム・ホース(原題:Dream Horse)

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監督:ユーロス・リン
脚本:ニール・マッケイ
撮影:エリック・アレクサンダー・ウィルソン
音楽:ベンジャミン・ウッドゲイツ
出演:トニ・コレット(ジャン・ヴォークス)、ダミアン・ルイス(ハワード・ディヴィス)、オーウェン・ティール(ブライアン・ヴォークス)

ウェールズの小さな村に住んでいる主婦のジャンは、パート仕事のかたわら年取った両親の世話もしている。夫は無気力でジャンはこんな毎日に飽き飽きしていた。たまたまクラブで共同で馬主になれるという話を聞いて興味津々。競走馬を育てたいと村の人々に話を持ち掛ける。詳しいハワードを指南役に、馬主組合を結成した。血統の良い牝馬を購入、生まれた仔馬に「ドリームアライアンス(夢の同盟)」と名付けた。

生きがいを見つけたジャンは、表情も明るくなり充実した日々を過ごします。ひがな一日ソファで寝転んでいた夫も馬の世話を手伝うようになりました。自分の育てた馬がレースに出るようになったら、それはそれは楽しみで我が子のことのように嬉しいはず。ジャンと馬主組合を作った村人たちは、馬と一緒に夢も手にしました。投資したからには、配当もあってほしいですよね。ポスターのみんなの顔が物語っていますが、まあこれから先は劇場でご覧ください。山あり谷ありが常ですよ。
馬主になって競走馬を育てるというのは、よほどのお金持ちかと思っていました。この映画を観て資金を出し合い共同馬主となることもできるんだと初めて知りました。日本でも一口馬主(詳細はこちら)という制度があるそうです。(白)


決して儲けようと思わず、「胸の高鳴り(ウェールズ語でホウィル)」を求めて馬主になったジャンたち。馬主になれば、レースの日、馬主専用のバーで、お酒片手にオードブルをつまみながら観戦できるという特権があって、皆で着飾って競馬場に赴くのも楽しみです。 ウェールズ最高のレースである「ウェルシュ・ナショナル」では、ウェールズ国歌を歌って盛り上がります。
英国ではマイノリティーで、控えめで、おとなしいといわれるウェールズの人たちが、自分の馬が走るのを熱く見守る姿にじ~んとさせられました。映画の最後に、本作のモデルになった本物のジャンたちが出てきますので、お見逃しなく! (咲)


2020年/イギリス/カラー/シネスコ/113分
配給:ショウゲート
(C)2020 DREAM HORSE FILMS LIMITED AND CHANNEL FOUR TELEVISION CORPORATION
https://cinerack.jp/dream/
★2023年1月6日(金)ロードショー

posted by shiraishi at 21:57| Comment(0) | イギリス | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

恋のいばら

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監督:城定秀夫
脚本:澤井香織 城定秀夫
撮影:渡邊雅紀
音楽:ゲイリー芦屋
主題歌・挿入歌:chilldspot
出演:松本穂香(桃)、玉城ティナ(莉子)、渡邊圭祐(健太朗)、白川和子(おばあちゃん)

図書館に勤める桃、24歳。彼氏の健太朗に振られたばかりだ。あきらめきれない桃は健太朗のインスタを見続けて、新しい恋人ができたらしいと知る。さらに辿ってその今カノのインスタを発見した。地味な自分と違ってイマドキのクールなダンサーだった。桃はインスタを頼りに今カノの莉子を訪ねて行き、戸惑う莉子に一つの提案をする。二人はある目的のために共犯関係になった。

「恋人同士では絶対に観ないでください」とテロップが出るこの作品。奇妙な三角関係ですが、カレやカノジョのセリフや行動にいろいろ共感するからでしょうか。
健太朗はイケメンのカメラマン、女性にもてそうです。しかも認知症気味のおばあちゃんと同居していて、優しいところもちゃんとあるのです。渡邊圭祐さんが演じていますが、悪い男というよりカメラマンだから写真を撮って残したかっただけに見えます。来るもの拒まず、ただの女にだらしない男のようです。ストーリーは意外な方向に進むのでお楽しみに。観終わるとタイトルが腑に落ちます。

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これは香港のパン・ホーチョン監督の『ビヨンド・アワ・ケン』(2004)のリメイクで、その年のTIFF(本誌63号に記事)と2011年の『ドリーム・ホーム』公開に合わせたパン・ホーチョン監督特集で上映されています。ケンをダニエル・ウー(呉彦祖)が演じているのですが、全然記憶にないので見なかったのかも。2022年の公開作が6本もあった城定秀夫監督、初のリメイク作品。(白)


元カノが今カノと結託?? なんとも不思議な展開でした。
観終わってから、『ビヨンド・アワ・ケン』のリメイクと知りました。内容はほとんど覚えていないのですが、ハチャメチャでワケわからなくて、パン・ホーチョンらしいと思ったことだけは記憶に蘇りました。健太朗が自分の部屋を見て唖然とするところも、そうそうと思い出しました。
白川和子さん演じるおばあちゃんが、あちこちで物を拾い集めていて、浮浪者のように見えてしまったのですが、実はモノづくりの名人でした。とてもチャーミングで印象に残りました。(咲)



2023年/日本/カラー/シネスコ/98分
配給:パルコ
(C)2023「恋のいばら」製作委員会
https://koinoibara.com/
★2023年1月6日(金)ロードショー
posted by shiraishi at 21:38| Comment(0) | 日本 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

ファミリア

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(C)2022「ファミリア」製作委員会

監督:成島出
出演:役所広司、吉沢亮、サガエルカス、ワケドファジレ、中原丈雄、室井滋、アリまらい果、シマダアラン、スミダグスタボ、松重豊、MIYAVI、佐藤浩市

陶器職人の神谷誠治(役所広司)は妻を早くに亡くし、山里の窯で焼き物を作りながら一人で暮らしている。唯一の家族である息子の学(吉沢亮)は、一流企業のプラントエンジニアとしてアルジェリアに赴任している。その学が、勤務先で知り合い結婚したナディア(アリまらい果)を連れて一時帰国した。学は、今のプラントが完成したら会社を辞め、ここで一緒に焼き物をやるという。「焼き物じゃ食えん」と反対する誠治。
一方、隣町の団地に住むブラジル人青年マルコス(サガエルカス)を、半グレに追われているときに助けた縁で、誠治たち一家は団地でのブラジル人たちのパーティに招かれる。初めて親しく接した彼らは、生活は厳しくても陽気で家族思いだった。
学とナディアがアルジェリアに戻ってしばらくしたある日、プラントの現場がテロ組織に襲われたという衝撃的なニュースが届く・・・

アルジェリアのテロ組織が人質に取ったのは金目的だと聞いて、土地を担保に1千万円借りて、首相官邸に届けようとする誠。外務省に案内されますが、9.11以降、日本政府はテロ犯に金は渡さないと聞かされます。なんとか息子たちを助けたいという父親の気持ちはわかりますが、1千万では、解放してくれないでしょう。2013年1月にアルジェリアの天然ガス精製プラント建設現場がテロ組織に襲われ、日本の日揮の10人の方を含む8か国37人の方が亡くなられたことを思い出します。
本作のもう一つの柱になっているのが、在日ブラジル人はじめ日本で暮らす外国人を巡る問題。どちらかというと、こちらがメインかも。実際にブラジル人が多く暮らす団地で撮影されています。
ちょっとあれこれ詰め込み過ぎの感はありますが、役所広司さんと吉沢亮さんの父子や、刑事役の佐藤浩市さん、ヤクザのボス役で、派手なスーツがお似合いの松重豊さんなどの手堅い演技に救われた思いでした。なにより、マルコス役のサガエルカスさん、彼の恋人エリカ役のワケドファジレさんなどオーディションで選ばれた、日本で暮らすブラジル人の若い人たちが、生き辛さを感じながらも頑張る姿を伝えてくれました。(咲)



2022年/日本/121分
配給:キノフィルムズ
公式サイト:https://familiar-movie.jp/
★2023年1月6日(金)新宿ピカデリーほか全国公開



posted by sakiko at 00:41| Comment(0) | 日本 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする