2022年12月24日

近江商人、走る!

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©2022 KCI LLP

監督:三野龍一 
脚本:望月 辰 
製作:新谷ゆっちー タケモトナオヒロ
出演:上村 侑 森永悠希
真飛 聖 黒木ひかり 前野朋哉 田野優花 村田秀亮(とろサーモン)
鳥居功太郎 たむらけんじ 大橋彰(アキラ100%) 高梨瑞樹 徳江かな 落合亜美 半田周平 コウメ太夫 
矢柴俊博 堀部圭亮 渡辺裕之(特別出演) 藤岡弘、(特別出演)/筧 利夫

百姓の父が亡くなり、銀次が一人で収穫した大根を神社の境内で売っていると、薬売りの喜平から納得のいく説明をしたら全部買うと言われる。侍にぶつかり斬られそうなった銀次を喜平が助ける。身代わりでしょっぴかれていく時に、喜平は「大津の米問屋大善屋を訪ねるといい」と言い残す。大善屋を訪ねた銀次は、丁稚奉公することになる。 5年後、銀次は商才を発揮し、顧客の取引実績もそらんじるほどになっていた。また、怪我をした職人のために互助組合を作ったり、客足の落ちている茶屋を看板娘お仙を売り出すことで助けたりする。
そんな折、悪徳な大津奉行の罠によって、大善屋が千両もの借金を背負うことになってしまう。丁稚奉公の先輩である蔵之介の父・柏屋の主人平蔵も、実はこの悪だくみに係わっていた。
銀次は、なんとか大善屋を救おうと、大津と15里=60km離れた堂島の米の価格差を利用した裁定取引を思いつく。大善屋の娘である楓をはじめ、眼鏡職人の有益や大工の佐助など仲間の力を借りて奔走する・・・

商いの基本は、出来るだけ安く仕入れて、高く売ること。堂島米会所では世界初の近代的な商品先物取引が行われていたのだそうです。その堂島の米の価格を、銀次たちがどうやっていち早く知ることができたのかが、本作の見どころです。電話すらなかった時代です。
私は、かつて、近江商人ゆかりの商社に25年近く勤めていたことがあるので、どんな物語なのか興味津々でした。 
一番、心に残ったのは、薬売りの喜平が銀次に語った「金にならへんでも、世の為、人の為、働くんや。いつか必ず返ってくる」という言葉です。 損得勘定なしに動くことが大切ということですね。
思えば、私の勤めていた会社、以前は東京駅からほど近いところにあって、地方からほかの仕事で上京した取引先の方が、帰りの電車に乗る前に、特に用事はないけれどと寄ってくださって、それがその後の取引に繋がるということが多々あったそうです。駅から遠い不便なところに移転して、ちょっと寄ってくださる方もいなくなり、業績も落ちました。なにごとも人と人との繋がりが大事ですね。(咲)


目力の強い上村侑(うえむらゆう)さんは2020年の『許された子供たち』で注目、2022年は『さよなら、バンドアパート』で主人公の中学生時代を、『空のない世界から』ではベトナム人のチャンを演じて印象に残っています。こちらでは初の時代劇、役と違って数字に強くなく、算盤はじくのにも苦労したようですが、ちゃんとそれらしく見えています。
まっすぐでわき目もふらない銀次と違って、親の圧力と雇い主との間で懊悩する蔵之介は森永悠希さん。早くから子役としてテレビに出ていたそうですが、わー!と注目したのは2007年の『しゃべれども しゃべれども』の落語小学生から。以来どんな役でもきちんと存在している彼を見つけるのが楽しみでした。
近江商人の「三方よし」は髙田郁(たかだかおる)さんの時代小説にも幾度も描かれています。「買い手よし、売り手よし、世間よし」の精神を、現代の社会でも持ち続けてほしいものです。自分だけ儲ければいい人々に天誅を!>冷静に、自分。(白)


2022年/日本/カラー/114分/シネマスコープ/5.1ch
配給:ラビットハウス 
公式サイト: https://oumishounin.com/ Twitter:@OumishouninFilm
★2022年12月30日(金)新宿ピカデリー他、お正月ロードショー.

posted by sakiko at 21:12| Comment(0) | 日本 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

フラッグ・デイ 父を想う日(原題:Flag Day)

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監督:ショーン・ペン
原作:ジェニファー・ボーゲル
脚本:ジェズ・バターワース、ジョン=ヘンリー・バターワース
撮影:ダニー・モダー
音楽:ジョセフ・ヴィタレッリ
出演:ディラン・ペン(ジェニファー・ヴォーゲル)、ショーン・ペン(ジョン・ヴォーゲル)、ジョシュ・ブローリン(ベック)、ホッパー・ジャック・ペン(ニック・ヴォーゲル)、

1992年、アメリカ最大級の贋札事件の犯人ジョン・ヴォーゲルが裁判を前に逃亡した。事件を聞いた娘のジェニファーは、それでも「父が大好き」とつぶやく。ジョンの妻は早くからジョンの素顔を知り、家庭は崩壊していたが、娘のジェニファーにとって父は特別だった。思い出すのは父との楽しい思い出ばかり。

ジャーナリストのジェニファー・ヴォーゲルが書いた原作を映画化。大好きだった父が「犯罪者」だったという事実を知りますが、それでも父を想う気持ちは変わらなかったというストーリー。この父と娘、息子を演じるのが、こういう役がものすごく似合うショーン・ペンと、その実の娘ディラン・ペン、息子ホッパー・ジャック・ペン。ディランは母のロビン・ライト似、ホッパーは父似です。
外では犯罪者だけれども、家では優しいパパだったというのは今も昔もありそうです。また、その逆も。フラッグ・デイに生まれて、自分が特別に祝福されていると思い込んだ父、そうとしか生きられなかった父、大人になった娘は父の罪も含めて愛し、思い出を書き留めました。人を傷つけたり、殺めたりではないことが救いです。
第74回カンヌ国際映画祭コンペティション部門出品。(白)


父が刷った偽札が精巧な印刷と聞かされ、触ってみて「pretty」とつぶやくジェニファーの表情がなんともいいです。犯罪者であっても、娘にとっては大事な父。血のつながってない母にとっては、とんでもない悪党だとしても、娘の思いは違うでしょう。
それにしても、服役中に身に着けた印刷技術で偽札を作ってしまうとは! 
フラッグ・デイに生まれて、誕生日は毎年、国中の皆からお祝いされている気持ちだった父。私の母の誕生日は1月15日。かつては成人の日で、まさに皆がお祝いしてくれている気分と嬉しそうにしていたのを思い出します。誕生日が旗日(祝日)の人たちは、きっと皆、同じ思いで誕生日を過ごしているのではないでしょうか。 映画の中で、ここぞという場面でショパンのノクターンが流れてきたのも、なんとも切なかったです。(咲)


2021年/アメリカ/カラー/112分
配給:ショウゲート
(C)2021 VOCO Products, LLC
https://flagday.jp/
★2022年12月23日(金)より公開中

posted by shiraishi at 19:14| Comment(0) | アメリカ | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする