2022年11月12日

川のながれに

11月11日(金)よりフォーラム那須塩原にて先行公開、11月25日(金)より池袋シネマ・ロサ、シモキタ-エキマエ-シネマ『K2』にて全国順次公開  上映情報

©Consent / Nasushiobara City
 
美しい自然の那須塩原を舞台に、母を亡くし一人きりになった青年が暖かい人々に囲まれて自分の人生を見つめ直す

出演者
松本享恭 前田亜季
小柴カリン 大原梓 松本健太 安居剣一郎 林田麻里 森下ひさえ 伊藤弘子
青木崇高(友情出演) 音尾琢真(特別出演)

プロデュース:川岡 大次郎
監督・脚本・編集:杉山 嘉一
撮影:鳥居康剛 制作:森田博之 現地制作 :森岡昇夢
美術:田中佑佳 音楽:山下俊輔
ドローン撮影:中村誠 方言指導:安在ますみ
イラストレーター:加藤槙梨子
SUPガイド:西口紀章 君島雅弘 君島つぎみ

那須塩原市内を流れる「箒川(ほうきがわ)」で、SUP(スタンドアップパドル)のアウトドアガイドをしている君島賢司(松本享恭)は、父を子供の頃に亡くし、母と二人で生きてきた。そして母を病気で亡くし、一人きりになってしまった。これからの自分の行く末を模索していた賢司は、最近塩原に移住したイラストレーターの森音葉(前田亜季)と出会いガイドを頼まれる。彼女は心の赴くままに7年かけて世界中を旅し、イラストを描いてきた。彼女の姿を見て、「今まで自分はただ流されて生きていたのかも」と、自分の人生に疑問を抱き始める。
そんな賢司に、Uターンして戻った友達や、職場の同僚、父の旧友、想いを寄せる温泉旅館若女将の幼馴染や東京で働く元彼女など、さまざまな人が意見をいうので、戸惑ってしまう。さらに、幼い頃に死んだと聞かされていた父親が現れ、ますます賢治の心にさざなみが拡がる…。そんな賢司は、塩原を出たいと思わない自分の心と向き合い、自分らしい生き方を見つめなおす。

この作品は、俳優の川岡大次郎が、2016年、某テレビ番組の企画で那須塩原に期間限定で移住し、那須塩原の自然と人の暖かさに魅入られ、その魅力を発信したいと「なすしおばら映画祭」を立ち上げ、その映画祭のために、川岡大次郎がプロデューサーとなり製作された。2021年に映画祭のクロージングで上映された後、劇場公開したいとクラウドファンディングで資金を集め、全国公開されることになった。

「某テレビ番組の企画で那須塩原に期間限定で移住したプロデューサーの俳優・川岡大次郎」と書いてありましたが、私はその番組の大ファンで、いつも楽しみにしていました。この川岡大次郎さんが、移住先の那須塩原でアウトドアガイド(スタンドアップパドル)のバイトをしていた回のことも覚えています。その時の体験が、この映画に生かされています。私はこの番組を見た時にスタンドアップパドルを知りました。そして川岡大次郎さんが、その後もこの場所と関わりを続け、こんな映画まで作ってしまったということに驚きと嬉しさを感じました。那須塩原映画祭まで立ち上げていたなんてすばらしいですね。この番組は終わってしまいましたが、この番組での移住生活がきっかけで、その後も川岡さんのように移住した先の人たちと交流を続けている人が他にもいます。そういうのっていいですね(暁)。

製作 / 制作 株式会社コンセント 栃木県那須塩原市
2021年/日本/ヴィスタ/5.1ch/105分
公式サイト:kawano-nagareni.com
配給協力:SDP
posted by akemi at 23:44| Comment(0) | 日本 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

ザリガニの鳴くところ(原題:Where the Crawdads Sing)

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監督:オリヴィア・ニューマン
脚本:ルーシー・アリバー
原作:ディーリア・オーエンズ、友廣純 訳『ザリガニの鳴くところ』(早川書房)
製作:リース・ウィザースプーン、ローレン・ノイスタッター
出演:デイジー・エドガー=ジョーンズ、テイラー・ジョン・スミス、ハリス・ディキンソン、マイケル・ハイアット、スターリング・メイサー・Jr.、デヴィッド・ストラザーン
音楽:マイケル・ダナ
オリジナル・ソング:テイラー・スウィフト「キャロライナ」

1969年、ノースカロライナ州の湿地帯で、裕福な家庭で育ち将来を期待されていた青年の変死体が発見された。容疑をかけられたのは、‟ザリガニが鳴く”と言われる湿地帯でたったひとり育った、無垢な少女カイア。彼女は6歳の時に両親に見捨てられ、学校にも通わず、花、草木、魚、鳥など、湿地の自然から生きる術を学び、ひとりで生き抜いてきた。そんな彼女の世界に迷い込んだ、心優しきひとりの青年。彼との出会いをきっかけに、すべての歯車が狂い始める…。

原作は動物学者ディーリア・オーエンズによる同名ミステリー小説。2019年、2020年の2年連続、アメリカで最も売れた本とのこと。日本でも2021年に本屋大賞翻訳小説部門第1位に輝きました。
鳴くはずのないザリガニが鳴くってどういうこと?と思われるかもしれません。これは比喩のような表現で、ザリガニの鳴き声が聞こえるような気がするくらい茂みの奥深く、生き物たちが自然のままの姿で生きている場所という意味です。
両親に見捨てられながらもノースカロライナの湿地帯でたった一人、自然に抱かれて逞しく生きる少女がある殺人事件の容疑者として捕まってしまうのですが、その裁判の過程と並行して、彼女の生い立ちが描かれて、やがて2つの時系列が1つになった先に驚きの結末が待っています。
「読み始めたら止まらなかった」と原作に惚れ込んだ女優リース・ウィザースプーンが、自身の製作会社ハロー・サンシャインを通して映像化権を得て自らプロデューサーを担当しました。主人公のカイアを演じるのはデイジー・エドガー=ジョーンズ。イギリス人の彼女がカロライナ訛りや舞台となる湿地帯を移動するためのボートの操縦、絵を描く技術を身につけて役に挑んでいます。さらにシンガーソングライターのテイラー・スウィフトが、原作を愛するあまり、「この魅力的な物語に合うような、心に残る美しい曲を作りたかった」と自ら懇願してオリジナルソング「キャロライナ」を書き下ろして提供しました。(堀)


ミステリーではありますが、舞台となる広大な湿地の美しさが際立ちます。ロケ地としてここが見付かり、原作ファンも満足ではないでしょうか。
冒頭では揃っていた家族が減っていき、最後に一人残された少女カイアは自然によって生かされました。ひとりぼっちのカイアですが、豊かな自然に包まれて孤独ではありません。湿地に生きるたくさんの鳥や魚、植物たち。湿地は生きる術を身につけさせ、店の夫婦と唯一の友人が学校に行かないカイアを何くれとなく気遣ってくれます。
そんな生い立ちが法廷の場で少しずつ明らかになります。この極上の小説はディーリア・オーエンズによって書かれました。動物学者なので、研究書やノンフィクションは発表しても、69才にして初の小説なのだそうです。それも最後まで読者を惹き付けるミステリーとは!
原作者自身が魅せられているにちがいない湿地の美しい四季を愛でるとともに、生きることや命をそれぞれに考えられる作品でした。
カイアの好きなものや、細部まで丁寧に描かれた絵が飾られた家をじっくり見せてもらいたいなあ。(白)


2022年/125分/G/アメリカ
配給:ソニー・ピクチャーズエンタテインメント
公式サイト:https://www.zarigani-movie.jp/
★2022年11月18日(金)ロードショー
posted by ほりきみき at 18:53| Comment(0) | アメリカ | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

ミセス・ハリス、パリへ行く(原題:Mrs Harris Goes to Paris) 

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監督:アンソニー・ファビアン
原作:ポール・ギャリコ
脚本:キャロル・カートライト、アンソニー・ファビアン、キース・トンプソン、オリビア・ヘトリード
撮影:フェリックス・ビーデマン
音楽:ラエル・ジョーンズ
出演:レスリー・マンヴィル、イザベル・ユペール、ランベール・ウィルソン、アルバ・バチスタ

第二次世界大戦後のロンドン。夫を亡くした家政婦ハリスは働き先でクリスチャン ディオールのドレスに出会う。あまりの美しさに完全に魅せられたハリスは、ディオールのドレスを手に入れるためにパリへ行くことを決意する。なんとか集めたお金でパリへと旅立った彼女が向かった先は、ディオールの本店。威圧的なマネージャーのコルベールから追い出されそうになるが、ハリスの夢をあきらめない姿勢は会計士のアンドレやモデルのナターシャ、シャサーニュ侯爵ら出会った人々を魅了していく。果たして彼女はクリスチャン ディオールのドレスを手に入れて、夢を叶えることができるのだろうか......。

掃除婦として堅実に生きてきたミセス・ハリスがある日、突然、ディオールのドレスの魅力に憑りつかれてしまう。「気持ちはわかるけれど、そのドレスを買って、どこに来て行くの?」と思いつつも、彼女の真っすぐな行動力に引き込まれてしまいます。何とかお金を貯めて、いざフランスへ。夜遅くに空港に着き、待合所で一晩を過ごすのですが、ホームレスたちにワインを勧められ、つい…。「ドレスのために貯めたお金を盗まれてしまうのでは」とドキドキしていると、実はとっても親切な人たちでした。疑ってしまった自分が恥ずかしくなります。
その先も一波乱も二波乱もあるのですが、彼女の前向きなパワーがそれを難なく乗り越えさせてしまいます。フランスではちょっとロマンスかしら?なんて展開もあったりして、人生っていくつになっても楽しめるものだと感じさせてくれる作品です。
主人公ミセス・ハリスを演じるのは、『ファントム・スレッド』(2017)でアカデミー賞助演女優賞にノミネートされたイギリスの名女優、レスリー・マンヴィル。ミセス・ハリスにきつく当たるディオールのマネージャー役にイザベル・ユペール。2人の熟女対決はさすがの貫禄です。
そして、作品を彩るディオールのドレスの数々も見どころ。ドレスのデザインは、『クルエラ』をはじめ3度のアカデミー賞に輝いたジェニー・ビーヴァンが手がけています。クリスチャン・ディオールが手がけたデザインを緻密に再現した、メゾンでのファッションショーのシーンは必見です。(堀)


有能な家政婦さんのミセス・ハリスが明るく可愛らしくて、きっとどなたもお気に入りになるはず。とても堅実に暮らしていながら、綺麗なものに魅せられて大枚はたいてしまうその夢見るところも魅力です。原作の次の巻では、ニューヨークに行き、そのまた次は議員になり、と大活躍。それでも自分の身丈に合わないと気づくと、やめる潔さも持ち合わせています。この時代の貨幣価値はどのくらい今と違うのか、あのドレスはいったいおいくらなの?と気になりました。当時は固定相場制で1ポンドは1000円だったようです。450ポンドは450000円!!それでも現代なら既製品のワンピースくらい。贅を尽くしたオートクチュールには手が届きません。
オートクチュールも知らずに行ったミセス・ハリスですが、同じように働く人たちから伯爵まで大勢の応援を得ることができました。原作では為替や関税の問題も起きてきます。映画を観賞後は原作もお楽しみください。(白)


2022年製作/115分/G/ハンガリー・イギリス・カナダ・フランス・アメリカ・ベルギー合作
配給:パルコ
(C)2022 Universal Studios
公式サイト:https://www.universalpictures.jp/micro/mrsharris
★2022年2022年11月18日(金) TOHO シネマズ シャンテほか全国ロードショー
posted by ほりきみき at 18:42| Comment(0) | ハンガリー | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

ザ・メニュー(原題:The Menu)

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監督:マーク・マイロッド
脚本:セス・リース、ウィル・トレイシー
撮影:ピーター・デミング
音楽:コリン・ステットソン
出演:レイフ・ファインズ、アニャ・テイラー=ジョイ、ニコラス・ホルト、ホン・チャウ、ジャネット・マクティア、ジョン・レグイザモ ほか

太平洋岸の孤島をカップルで訪れたマーゴ(アニャ・テイラー=ジョイ)とタイラー(ニコラス・ホルト)。お目当ては、なかなか予約の取れない有名シェフのスローヴィク(レイフ・ファインズ)が振る舞う、極上のメニューの数々。 「ちょっと感動しちゃって」と、目にも舌にも麗しい、料理の数々に涙するタイラーに対し、マーゴが感じたふとした違和感をきっかけにレストランは徐々に不穏な雰囲気に。 一つ一つのメニューには想定外の“サプライズ”が添えられていたのだ 。果たして、レストランには、そして極上のコースメニューにはどんな秘密が隠されているのか?そしてミステリアスな超有名シェフの正体とは…?

これまでにもレストランを舞台にした映画はいくつも作られてきました。それらには大抵、人生に躓いてしまった人が登場し、その人物が料理を作ることやお店を切り盛りすることで立ち直っていくハートウォーミングな結末を迎えるが多いような気がします。
本作はそれらとは一線を画し、スローヴィクとマーゴの心理戦の様相を呈した展開は最後までサスペンスフル。極上の料理が提供されているものの、それどころではなくなってしまいます。そして、恐らく、この作品を見た多くの人がチーズバーガーを食べたくなること必至。その理由はぜひご自身でお確かめください。(堀)


わざわざ孤島に行くというところで、まずひっかかりを感じます。わたしは行きませんよ、ええ。招待されていませんけど。豪華な食事が次々と現れ、ストーリーが進んでいくと、頭が???マークでいっぱいになります。このディナーって??? 目的は何???
レイフ・ファインズといえば「名前の言えないあの人」のイメージがいまだ強くて、それはご本人にも痛し痒しでしょう。この超人気シェフの役も板についているのに、何かあるに違いない、と勘ぐってしまいます。ヒロインの目力と、胆力に天晴れ。じわじわと背中を這い上がってくる疑問と恐怖に負けず、最後まで美食を楽しんでお帰りください。(白)



2022年/107分/R15+/アメリカ
配給:ディズニー
©2022 20th Century Studios. All rights reserved.
公式サイト:https://www.searchlightpictures.jp/movies/themenu
★2022年11月18日(金)TOHOシネマズ日比谷ほか全国ロードショー

posted by ほりきみき at 18:24| Comment(0) | アメリカ | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする