2022年11月01日

窓辺にて    英題:by the window

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(C)2022「窓辺にて」製作委員会


監督:今泉力哉
出演:稲垣吾郎、中村ゆり、玉城ティナ、若葉竜也、志田未来、倉悠貴、穂志もえか、佐々木詩音 / 斉藤陽一郎、松金よね子

小説を1冊出したきり、フリーライターをしている市川茂巳(稲垣吾郎)。編集者である妻・紗衣(中村ゆり)が、担当している売れっ子作家・荒川円(佐々木詩音)と不倫していることを知る。だが、ショックだったのは、妻が浮気しているのに、何の感情も沸かないことだった。そんなある日、文学賞の授賞式で出会った高校生作家・久保留亜(玉城ティナ)の受賞作「ラ・フランス」の内容に深く惹かれる。手に入れたものをすぐ手放す主人公に、モデルがいるなら会わせてほしいと、留亜に願いでる・・・

高校生の留亜からラブホテルに呼び出された市川。知り合いの経営するラブホテルに籠って執筆しているのですが、そんな場所に呼び出されても、吾郎ちゃんだと何も起こらない安心感があります。(いや、何かあってほしい?!) 愛している妻に浮気されても、何も感じないというキャラクターにも、納得です。鈍感というワケではなくて、吾郎ちゃんは、ふんわりとした包容力があるようだと思わせてくれるからでしょうか・・・
本作には、もう一組、不倫カップルが出てきて、そちらはちょっとギラギラした感じ。
『愛がなんだ』の今泉力哉監督が、吾郎ちゃんをイメージして描いたオリジナル脚本。
中年の域に足を踏み入れた稲垣吾郎が素敵です。(咲)


最初の1冊が売れたまま、書けずにいる小説家が主人公。妻は夫の担当編集者だが、若い売れっ子作家と不倫中。妻の秘密を知っても動じない自分にショックを受けて…という話だが、自分の心は意外に自分ではわからないものなのかもしれない。
妻は不倫をしつつも、夫を愛しているし、若い売れっ子作家もそれを十分理解している。むしろ彼は冷静で、主人公の妻の不満の根本にあるのは、夫が唯一書いた小説が元カノとのことがベースになっているからで、夫が本を書けないのは夫婦の愛が足りないからと思っているのだと分析する。ところが売れっ子作家が本気で主人公の妻を愛することで本当の理由が見えてくる。主人公は妻を心から愛していたのだ。互いに愛しているのにすれ違ってしまった夫婦の愛が切ない。(堀)


◆東京国際映画祭コンペティション部門 観客賞受賞!

舞台挨拶報告(東京国際映画祭公式サイト)
稲垣吾郎、『窓辺にて』の役柄は素の自分 今泉力哉監督に「心の中を見透かされているよう」
https://2022.tiff-jp.net/news/ja/?p=60045

2022年/143分/カラー
配給:東京テアトル
公式サイト:https://madobenite.com/
★2022年11月4日(金)全国ロードショー



posted by sakiko at 17:44| Comment(0) | 日本 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

パラレル・マザーズ    原題:MADRES PARALELAS

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(C)Remotamente Films AIE & El Deseo DASLU

監督・脚本:ペドロ・アルモドバル(『ペイン・アンド・グローリー』『ボルベール〈帰郷〉』)
出演:ペネロペ・クルス、ミレナ・スミット、イスラエル・エレハルデ、アイタナ・サンチェス=ギヨン、ロッシ・デ・パルマ、フリエタ・セラーノ

2016年、マドリード。フォトグラファーのジャニス(ぺネロペ・クルス)は、法人類学者アルトゥロ(イスラエル・エレハルデ)のポートレート撮影を引き受けた。ジャニスの曽祖父は、スペイン内戦時にフランコ政権に連行され殺されたが、遺骨が見つかっていない。ジャニスは、「歴史記憶を回復する会」のメンバーでもあるアルトゥロに、曽祖父たち行方不明の同郷の人たちの遺骨の発掘を依頼したいという思惑があった。アルトゥロは快く引き受ける。会った時から惹かれ合った二人は、たちまち恋に落ちる。だが、アルトゥロには病弱の妻がいた。
時が経ち、ジャニスは出産を控えて病院にいた。同室の17歳のアナ(ミレナ・スミット)と同じ日に女の子を出産する。共にシングルマザーとなった二人は、連絡先を交換する。
その後、アルトゥロがセシリアと名付けた我が子に会いたいとやってくる。一目見て、自分の子と思えないと言われ、ジャニスはDNA鑑定をする。驚くべきことに、自分が生物的母親である確率は、100%ないと出る。同じ日に生まれたアナの娘と取り間違えられたに違いないと推察する・・・

病院で取り違えられ、血の繋がっていない子を育てていたという話は現実にもあるし、映画にもしばしば取り上げられてきました。本作では、ジャニスが真実を知った時の苦悩、アナと再会し、さらに悩まされる様が丁寧に描かれていました。
それよりも、私の心に響いたのは、内戦時代に行方不明になった人たちの遺骨を、孫や曾孫の世代が探し出そうとしていることでした。劇中、内戦を経験したお年寄りたちが語る言葉は本物。祖母や曽祖母の、いつまでも晴らせない思いを、なんとか叶えてあげたいという若い世代。フランコ政権時代の悲劇を忘れてはいけないという、監督も含めスペインの人たちの思いをずっしり感じた一作でした。(咲)


第78回ヴェネチア国際映画祭 最優秀女優賞受賞(ペネロペ・クルス)

☆ペドロ・アルモドバル監督初の英語劇 『ヒューマン・ボイス』 同時公開


2021年/スペイン・フランス/スペイン語/123分/カラー/5.1ch/ドルビーデジタル/アメリカンビスタ/R15+
字幕翻訳:松浦美奈
配給キノフィルムズ
公式サイト:https://pm-movie.jp/
★2022年11月3日(木・祝)ヒューマントラストシネマ有楽町、Bunkamuraル・シネマ、新宿シネマカリテ他全国公開
posted by sakiko at 02:11| Comment(0) | スペイン | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

ヒューマン・ボイス   原題:THE HUMAN VOICE

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© El Deseo D.A.

監督・脚本:ペドロ・アルモドバル
原作:ジャン・コクトー「人間の声」
出演:ティルダ・スウィントン アグスティン・アルモドバル ダッシュ(犬)

1人の女が元恋人のスーツケースの横で、ただ時が過ぎるのを待っている。スーツケースを取りに来るはずの恋人は、結局姿を現さない。そばには、主人に捨てられたことをまだ知らない犬がいる。3日間待ち続けた女は、その間にたった1度外出し、斧と缶入りガソリンを買ってくる。女は無力感に苛まれ、絶望を味わい、理性を失う。様々な感情を体験したところで、やっと元恋人からの電話がかかってくるが……

ジャン・コクトーの戯曲「人間の声」をアルモドバルが自由に翻案した、英語での一人芝居。
捨てられた女性と犬の、なんとも不思議な時間でした。(咲)


『パラレル・マザーズ』と同時公開になる30分の短編

2020年/スペイン/英語/30分/カラー/5.1ch/ドルビーデジタル/アメリカンビスタ
字幕翻訳:松浦美奈
配給・宣伝:キノフィルムズ 提供:木下グループ
公式サイト:https://pm-movie.jp/
★2022年11月3日(木・祝)ヒューマントラストシネマ有楽町、Bunkamuraル・シネマ、新宿シネマカリテ他全国公開



posted by sakiko at 02:07| Comment(0) | スペイン | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする