2022年10月23日

カメの甲羅はあばら骨

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監督:モリ・マサ(「貝社員」シリーズ)
原作:川崎悟司「カメの甲羅はあばら骨」(SBクリエイティブ刊)
脚本:田中眞一 モリ・マサ
音響監督:長崎行男
音楽:齋藤真也、照井順政
アニメーション制作:タイプゼロ
出演:清水尋也(カメ田カメ郎)、磯村勇斗(カエル川エル隆)、江口拓也(ライオン寺ライ王)、上國料萌衣(フラミンゴ塚フラ美)、野津山幸宏(キリン沢リン太郎)、天月(サメ津サメ成)、栗田航兵(ワニ渕ワニ平)、四谷真佑(ワシ崎ワシ也)、森本晋太郎(ウマ渡ウマ龍馬)、でんでん(ウサギ林ウサ蔵)

カメ田カメ郎は、冴えない学園生活を送るごく普通の高校2年生。本音はあばら骨の中に隠して過ごしている。ある日、親友のカエル川エル隆が人助けをしたニュースが瞬く間に拡散し、生徒会長を目指す学園のスーパースター、ライオン寺ライ王たち上位グループの目に留まる。
突然彼らの仲間入りをしたカエル川、嫉妬と劣等感に苛まれるカメ田。2人の友情の行方は?そして生徒会選挙当日、“骨と骨がぶつかる”セッションが始まる―!?

原作を知らずに試写を拝見。あまりにインパクトのある絵にうわー!でした。タイトルの「カメの甲羅はあばら骨」に、え、そうだったの?という無知さかげんです。骨格は甲羅の内側にあるのだと考えていましたが、骨格の一部だったんですね。
原作は動物の身体を人間にあてはめてみた動物図鑑です。外から見たのではわからない毛皮や羽や甲羅につつまれた動物たちの身体を、人間の身体で表しているので、どこが発達しているのか人間との違いが一目でわかります。
映画は動物それぞれの特性を備えたキャラたちが高校生となった学園ドラマ。校内ヒエラルキーも描いて、現実的な苦い部分も忘れません。友情のエピソードは骨身に沁みます。(白)


2022年/日本/カラー/68分
配給:イオンエンターテイメント、アスミック・エース
(C)カメの甲羅はあばら骨製作委員会 
(C)川崎悟司/SBクリエイティブ

【公式サイト】 kame-abara.com 
【公式Twitter】 https://twitter.com/kame_abara
【公式TikTok】 https://www.tiktok.com/@abaramovie
★2022年10月28日(金)全国ロードショー
posted by shiraishi at 15:41| Comment(0) | 日本 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

ウンチク うんこが地球を救う  原題:Shit Saves the World

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(C)TRICKY HALE FILMS


監督:トロイ・ヘイル
日本語吹き替えナレーション:鈴木達央

一生付き合う「うんこ様」のことを楽しく真剣に考えるドキュメンタリー = “ウンコメンタリー”

人間はもちろん、地球上のすべての生き物は、生まれてから死ぬまで、うんこをしなければ生きていけません。それなのに、うんこは汚い物として嫌われ、避けられてきました。
本作は、全米各地を始め、オーストラリア、イギリス、インド、メキシコ、スリランカ、タンザニアなど、全世界を巡って、うんこの歴史や、うんこが現在抱えている様々な問題をあぶりだし、地球の環境を救う解決策をも模索するドキュメンタリー。

冒頭、映し出される大自然。
アフリカ像は、なんと、1日135キロものうんこをするのだそうです。
動物にとっては地球がトイレ。
一方、古代ローマに下水の女神がいたように、人はかなり昔からトイレのことを考えてきました。
ベルサイユ宮殿には、700の部屋があるのにトイレはなし。部屋の隅の目立たないところで壺にしていたのは有名な話。フランス人の香水好きは、トイレがなかったことに関係が。
宇宙船や戦地での排泄は?と、気になる話題も出てきます。
今、安全なトイレを利用できない人が45億人も!
一方で、堆肥として利用してきたことや、糞から浄水を作る試みなど、うんこを有効利用することにも目を向けています。

思えば、くやしい時などに、つい出てしまう「クソ~!」という言葉。英語でも「Shit!」と、人間の考えることは同じですね。何気なく使っていますが、大切な「うんこ様」に申し訳なくなりました。
若い頃は、お腹の中に大切に温存していた私も、今は、朝起きるとスッキリおさらばです。どんな状態かも、健康のバロメーター。もっともっと、うんこ様のことを大事に考えなければと思わせてくれた、楽しい1作です。(咲)


2022年/アメリカ/71分
配給:エクストリーム
公式サイト: https://unko-unchiku.com/
★2022年10月28日よりヒューマントラストシネマ渋谷、池袋シネマ・ロサ、新宿シネマカリテほか全国にて公開



posted by sakiko at 15:01| Comment(0) | アメリカ | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

天間荘の三姉妹

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監督:北村龍平
原作:髙橋ツトム「天間荘の三姉妹ースカイハイー」
脚本:嶋田うれ葉
撮影:柳島克己
主題歌:玉置浩二 絢香
出演:のん(小川たまえ)、門脇麦(天間かなえ)、大島優子(天間のぞみ)、高良健吾(魚堂一馬)、山谷花純(芹崎優那)、萩原利久(早乙女海斗)、平山浩行、柳葉敏郎(魚堂源一)、中村雅俊(宝来武)、三田佳子(財前玲子)、永瀬正敏(小川清)、寺島しのぶ(天間恵子)、柴咲コウ(イズコ)

天界と地上の間にある街、三ツ瀬。老舗旅館「天間荘」は海を見下ろす山の上にある。天間のぞみが若女将、妹のかなえは水族館でイルカのトレーナー、大女将の母親恵子は別れた夫を恨んでいる。天間荘のお客はイズコがタクシーで連れてくる。今日は小川たまえという若い女性がやってきた。たまえは天涯孤独だと思っていたが、のぞみとかなえの腹違いの妹だった。交通事故に遭い、たまえの身体は病院で臨死状態に陥っている。イズコはたまえに「ここで魂の疲れを癒して、肉体に戻るか天界へ旅立つか決めなさい」と言うが、自分が死にかけていることも家族が急に現れたことにも驚いているたまえは、大女将の提案で、天間荘で働くことにした。三ツ瀬の街はなんなのか?天間荘はどんな役割を持っているのか?

三人姉妹の名前が「のぞみ、かなえ、たまえ」です。楳図かずおさんの漫画「まことちゃん」のお姉さんたちは「ねたみ、そねみ、ひがみ」だったのを思い出します。原作は未見ですが、「スカイハイ」のスピンオフが北村龍平監督のメガホンで映画化ということで期待していました。のんさんが『さかなのこ』に続いての主演。一人ぼっちだと思っていたらお姉さんがいて喜んだのに、別れも待っているという上がったり下がったりの役。難しい宿泊客(三田佳子さん!)にも無邪気に接して好かれるところ、「あまちゃん」のアキを彷彿とさせます。キャストが豪華で、あの方もこの方もいらっしゃいます。
大島優子さんの着物姿が素敵、大女将の寺島しのぶさん、のんだくれ母を脱して着物姿の登場シーンは、「〇〇屋!」と声をかけたいくらい颯爽としていました。イズコの柴崎コウさん、ミステリアスなこういう役お似合い。
天間荘の建物は見上げたことしかない小樽の”鰊御殿”でしょうか。天界と地上の間に街があって、心が決まるまで一休みできるというのはちょっといいですよね。街の人たちから伝言を預かる場面が切ないですが、あったらいいな。(白)


2022年/日本/カラー/シネスコ/150分
配給:東映
(C)2022 高橋ツトム/集英社/天間荘製作委員会
https://tenmasou.com/
★2022年10月28日(金)全国ロードショー
posted by shiraishi at 14:21| Comment(0) | 日本 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

アフター・ヤン(原題:After Yang)

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監督・脚本・編集:コゴナダ
原作:アレクサンダー・ウインスタイン
撮影:ベンジャミン・ローブ
音楽:アスカ・マツミヤ
オリジナルテーマ:坂本龍一
出演:コリン・ファレル(ジェイク)、ジョディ・ターナー=スミス(カイラ)、ジャスティン・H・ミン(ヤン)、マレア・エマ・チャンドラウィジャヤ(ミカ)、ヘイリー・ルー・リチャードソン(エイダ)

テクノと呼ばれる人型ロボットが一般家庭にまで普及している未来。茶葉店を営むジェイクの家族は、妻のカイラ、養女ミカとテクノのヤン。中国系のミカのために、その文化を伝えられるヤンをベビーシッターとして迎えたのだ。そのヤンが突然故障して動かなくなった。幼いころから一緒に暮らし、兄とも親友とも思っているミカのために、ジェイクは修理をしてくれるところを探し回る。何軒目かで、ヤンの体内に特別なメモリーが組み込まれていることがわかった。一日に数秒ずつ保存されていたのは、ジェイクの家族との暖かな交流や、ジェイクの知らない若い女性の映像だった。

コゴナダというお名前にどこの国の方か想像もつきませんでしたが、韓国ソウル生まれで、小津監督の大ファンなのだそうです。本名ではなく、小津作品の脚本家野田高梧(のだ・こうご)さん由来とのこと。アナグラムのように作られたのでしょうか。
映画全体の空気が静かで落ち着いていて、家のしつらえや衣裳も和風テイスト。冒頭の4人家族のダンス部分はちょっと雰囲気違います。ここに後からの登場人物が家族でダンスに挑戦していますのでよく観ていてください。
コゴナダ監督は『スタートレック』ファンなんでしょうか。AIロボットのヤンがバルカン星人みたいな髪型です。ヤンの中にしまわれていた映像に登場する若い女性とヤンの関わりもわかっていきます。ミカを演じるマレア・エマ・チャンドラウィジャヤは2011年生まれのインドネシア系アメリカ人。作中で歌う場面がありますが、堂々とした歌いっぷりの歌手でもあります。#maleaemmaで検索するとたくさんの動画がヒットしました。”アメリカンアイドル”に招待されてゴールデンチケットを贈られています。
キャストの好演に加えて優しい照明や音楽の効果もあり、ひたひたと胸のすきまが満たされる感覚になりました。(白)


コゴナダ監督の長編デビュー作『コロンバス』は、米国インディアナ州のモダニズム建築の町コロンバスを舞台にした物語。病に倒れた父親との確執が、ちょっと無機質なモダニズム建築の町で静かに描かれ、近未来を思わせられる点で『アフター・ヤン』と通じるものがあると感じました。
AIロボットのヤンは、見た目は人間と同じで、感情もあると思って接してしまいますが、あくまでロボットなのですね。近い将来、それぞれの人に合わせたメモリーが埋め込まれたAIロボットが話し相手になったり、介護してくれたりする世界になるのでしょうか・・・ (咲)


2021年/アメリカ/カラー/ビスタ/96分
配給:ミモザフィルムズ
(C)2021 Future Autumn LLC. All rights reserved.
https://www.after-yang.jp/
★2022年10月21日(金)ロードショー
posted by shiraishi at 13:04| Comment(0) | アメリカ | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする