2022年10月16日

RRR   原題:RRR(読み方:アールアールアール)

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監督・脚本:S.S.ラージャマウリ
原案:V.ヴィジャエーンドラ・プラサード 
音楽:M.M.キーラヴァ―二
出演:NTR Jr.、ラーム・チャラン、アジャイ・デーヴガン、アーリアー・バット

1920年、英国領インド。南部アーディラバード地方の森に、ゴーンド族の少女マッリの歌声が響く。スコット総督が狩猟中、マッリから手に絵を施してもらってご満悦の総督夫人キャサリン。周りで見守るマッリの両親や村人たち。マッリの母親に銀貨2枚を投げつけ、総督一行はマッリを連れ去る。
一方、デリー郊外の警察署の周囲には、反英活動家逮捕に抗議する人々が押しかけていた。警官ラーマ(ラーム・チャラン)は群がる民衆の中に飛び込み、首謀者を抑え込む。昇進を期待したラーマだが、昇格式で名前は呼ばれなかった。ラーマにはどうしても昇格したい事情があった。
ゴーンド族からマッリ奪還を依頼されたビーム(NTR Jr.)は、アクタルというイスラーム教徒の男を装って、デリーで奪還の機会を狙っていた。
総督夫人から、マッリの追手を生け捕りすれば特別捜査官に昇進させると言われ、ラーマはなんとしてでも捕まえようとする・・・

英国に支配されていた時代のインドの人々の気持ちがずっしり胸にささった179分でした。
ビームとラーマは、実在の反英活動家をモデルにしているそうですが、その二人は実際には会ったことはなく、ラージャマウリ監督が想像を膨らませて作り上げた物語。

★<BANGER!!!>に掲載されている南インド映画に詳しい安宅直子さんによるラージャマウリ監督ロングインタビューに、本作製作にあたっての経緯や監督の思いが掲載されていますので、ぜひ、お読みください。

S.S.ラージャマウリ監督『RRR』超濃厚インタビュー!「NTR Jr.とラーム・チャランありきで始まった」【前編】
https://www.banger.jp/movie/85133/
『RRR』ラージャマウリ監督が“現代インド映画&テルグ語映画”をガチ語り!「巧みな物語は言語の壁を超えます」【後編】
https://www.banger.jp/movie/85137/

★ビームとラーマのモデルとなった実在の反英活動家については、
松岡環さんのアジア映画巡礼のブログをご参照ください。
https://blog.goo.ne.jp/cinemaasia/e/83637060d40c6ce0b04c19961c265b3b


妹を連れ去られ、身分を隠して取り戻す機会を狙うビームと、ワケあって警官になったラーマが出会って親しくなるのですが、お互いの本心は知らないまま、あることがあって仲違いしてしまいます。
あの『バーフバリ』シリーズを放った監督ですから、度肝を抜かれるスペクタル溢れる場面がスピーディに続きます。
ラーマの恋人の名前はシーターで、古代インドの叙事詩「ラーマーヤナ」を思い起こさせられます。シーターを演じたアーリアー・バット、可憐です。
ビームが一目惚れする白人女性ジェニーを演じたオリビア・モリスも素敵です。ジェニーは、インドの文化に関心があって、インドの人たちにも偏見なく、邸宅やパーディーに招くのです。
それにひきかえ、総督はじめ、総督夫人や、英国軍人たちは、インドの人たちを虫けらのように扱います。 
マッリを取り戻そうと追いかけた母親に銃を向けた部下に対し、総督、「銃弾はイギリスから金をかけて運んだもの。無駄に使うな」と命じ、部下は木の枝で母親を殴ります。銃弾はインド人制圧には使うなと、事あるごとに言う総督に呆れました。

映画の最後に、NTR Jr.、ラーム・チャラン、アーリアー・バットの3人が踊る後ろに、次々と実在の反英活動家の人たちの大きな肖像画が掲げられます。
カルカッタの情熱の雄牛
グジャラートのしたたかな雄牛
キットゥールの鋭敏な雄牛
ティルネルヴェリの雄牛にかなうものなし
パンジャーブの決意の雄牛
タングトゥーリの頑強な雄牛
パッラーシーの気高き雄牛
勝利をもたらす勇猛なマラーターの雄牛・・・
実に多くの人たちが、インド各地でインドの自由のために闘ったことを思い起こさせてくれます。忘れてはいけない歴史です。(咲)


オンライン試写で拝見しましたが、これはぜひぜひ大きな画面で、音と光と震動に包まれて観るのがおススメです!英国の圧政の元、理不尽にも娘をとり上げられてしまうという始まり。誰かどうにかして、と胸を詰まらせているとヒーローが登場します。髭の男性は苦手ですが、インド男性には必須なのでそんなこと言ってられません。
ビームとラーマが出逢う場面、思わず力が入ってしまいます。その後も続きますので気を確かに。日本映画でこれはできないよねぇ、とただただ見とれました。ラストまでもう苦労の連続、インド映画の過剰さが少しも違和感なく、ドラマを盛り上げます。本国の観客はどんな風にこの映画を観たのだろうと、一度インドの劇場で体感したくなります。テルグ語映画のスーパースターの競演です。インド映画ファンの方、見逃し厳禁。
インド映画に詳しい(咲)さんに絶対観て、紹介書いてと激推ししたのでした。(白)


2021年/インド/テルグ語、英語ほか/シネスコ/5.1ch
日本語字幕:藤井美佳  字幕監修:山田桂子
応援:インド大使館 
配給:ツイン 
公式サイト:https://rrr-movie.jp/
★2022年10月21日(金)全国公開



posted by sakiko at 16:24| Comment(0) | インド | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

クリエイション・ストーリーズ~世界の音楽シーンを塗り替えた男~  原題:Creation Stories

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製作総指揮:ダニー・ボイル
監督:ニック・モラン
脚本:アーヴィン・ウェルシュ&ディーン・キャヴァナー
出演:ユエン・ブレムナー、スーキー・ウォーターハウス、ジェイソン・フレミング、トーマス・ターグーズ、マイケル・ソーチャ、メル・レイド、レオ・フラナガン、ジェイソン・アイザックス

クリエイション・レコーズ創設者 アラン・マッギーの波乱に満ちた人生

1960年、スコットランド、グラスゴー生まれのアラン。ロックスターを夢見て粋がってみるが、保守的な父親は理解を示さない。ロンドンに出るしかない!と、バンド仲間たちとロンドンへ。サッチャー首相の起業支援一人40ポンドを貰って、クリエイション・レコーズを設立。トラブル続きのレーベル運営だったが、アランは宣伝の才能を開花させていく。次第に人気バンドを輩出する人気レーベルとなるが、その一方、レーベル運営のプレッシャーや家庭問題によって精神的に追い詰められていく・・・

クリエイション・レコーズが排出したオアシス、プライマル・スクリーム、ティーンエイジ・ファンクラブ、マイ・ブラッディ・ヴァレンタインなどのことは、まったく知らなかったのですが、グラスゴー出身の赤毛の小男アランのハチャメチャ人生をしっかり楽しみました。父親との確執、逆に、「お父さんを見返してね」と旅立ちにあたりお小遣いをくれたお母さん。家族の関係を描いた映画でもあります。電車に乗り遅れたことがもたらす運命も描かれています。くすっと笑ったり、ほろっとしたり・・・ こんな人物がそばにいたら、なんだか大変だろうなぁ~。(咲)

2021年/イギリス/110分/PG12
配給:ポニーキャニオン
公式サイト:https://creation-stories.jp/
★2022年10月21日(金)より新宿シネマカリテほかにて全国ロードショー

posted by sakiko at 02:42| Comment(0) | イギリス | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする