2022年10月14日

ぼくらのよあけ

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監督:黒川智之
原作:今井哲也 「ぼくらのよあけ」(講談社「月刊アフタヌーン」刊)
脚本:佐藤大
アニメーションキャラクター原案・コンセプトデザイン:pomodorosa
アニメーションキャラクターデザイン・総作画監督:吉田隆彦  
虹の根デザイン:みっちぇ
アニメーション制作:ゼロジー 
音楽:横山克
声の出演:杉咲花(沢渡悠真)、悠木碧(ナナコ)、藤原夏海(岸真悟)、岡本信彦(田所銀之介)、水瀬いのり(河合花香)、戸松遥(岸わこ)、朴ろ美〔"ろ"は王編に路〕(二月の黎明号)、花澤香菜(沢渡はるか)、細谷佳正(沢渡遼)、津田健次郎(河合義達)、横澤夏子(岸真悟、わこの母・岸みふゆ)

西暦2049年夏。阿佐ヶ谷団地に住んでいる小学4年生の沢渡悠真は、宇宙や星が大好き。地球に大接近するという“SHlll・アールヴィル彗星”に夢中になっていた。沢渡家の人工知能搭載型家庭用オートボット・ナナコも母にねだって買ってもらったのだったが、宇宙の話ができるわけでもなくおおいにがっかりした。以来、口うるさく言われても知らん顔をしている。
そんなとき、ナナコが突然未知の存在にハッキングされてしまった。
「二月の黎明号」と名乗る宇宙から来たその存在は「頼みがある。私が宇宙に帰るのを手伝ってもらえないだろうか?」と悠真に語りかける。
2022年に地球に降下した際、大気圏突入時のトラブルで故障、悠真たちが住む団地の1棟に擬態して休眠していたという。宇宙に帰るためにはどうしても必要なものがある。その夏、子どもたちだけの極秘ミッションが始まったーーー

雨を告げる漂流団地』を先月ご紹介したところですが、こちらも団地を舞台にしたジュブナイルストーリー。それに悠真が大好きな宇宙とロボットがからんできます。ただ、生命体ではなくAIなので、オートボットのナナコのボディを借りて言葉を発信します。初めにコンタクトできた悠真たちは、大人に知られるとどこかへ連れ去られてしまうだろう、と小学生だけでなんとかしようとします。こりゃ大変。
2022年に地球に来た目的や、どうしたら戻れるかなどはおいおい明らかになりますが、ラストまでの悠真たちの奮闘ぶりが見どころ。「二月の黎明号」が彼らに見せてくれる壮大な景色を大きな画面でお楽しみください。わー!と思わず声が出ます。
漂流はしませんが、本作は水が不可欠なんです。ケチなおばちゃんの私は「その水道代は!」と変な心配をしてしまいました。なんのことかは、ぜひ劇場でご覧くださいまし。(白)


2021年/日本/カラー/120分
配給:ギャガ/エイベックス・ピクチャーズ
(c) 今井哲也・講談社/2022「ぼくらのよあけ」製作委員会
https://bokuranoyoake.com/
Twitter:@bokura_no_yoake
★2022年10月21日(金)全国劇場公開

posted by shiraishi at 17:06| Comment(0) | 日本 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

空のない世界から

【ポスター】空のない世界から.jpg

監督:小澤和義
脚本:梶原阿貴
音楽:吉川清之
出演:兒玉遥(藤井麻衣香)、つむぎ(さくら)、佐藤江梨子(アゲハ)、窪塚俊介(北岡さん)、上村侑(チャン君)、根岸季衣(柏原郁恵)、本宮泰風(警察官)、小沢仁志(オーナー)

身重の麻衣香は暗い中、身体をかばいながら必死でDV夫から逃げている。郊外のや灯りのついたラブホテルにたどり着き、傷だらけの彼女に驚いた従業員の北岡に中に入れてもらえた。住み込みの従業員として働き、娘のさくらと息をひそめるように暮らしてきた。さくらには外に出ないように言い聞かせてきたが、6歳になったので学校に行けると楽しみにしている。夫に見つかるのを恐れてさくらの出生を届けていないので、健康保険にも入れず、予防接種や就学通知も来ることはない。ラブホテルのオーナーから、老朽化し儲からないホテルを来月には閉めると告げられ、北岡や麻衣香、バイトのベトナム人のチャンたちは困惑する。

【メイン】空のない世界から.jpg


麻衣香は高卒後折り合いの悪い親から逃げるように家を出て結婚、その相手がDV男でした。夫に見つからないことが最重要で、世の中の色んなことを知らないまま子育てをして時間がたってしまったようです。責任者の北川も訳ありで、優しいですが力も頼りがいもありません。そこへいくと逞しいのが佐藤江梨子さん演じる立ちんぼうのアゲハ、さくらの入学や戸籍の問題の相談にのります。
もう少し描いてほしかったなと思ったのは、夫との対峙や、近所に不審者扱いされるベトナム人のチャン君への誤解の場面。ほんとは気のいいおばちゃんにちょっと口添えしてあげてほしかったです。時間が短いので、あれもこれもは盛り込めなかったんでしょうね。
日本中に1万人もいるという「無戸籍」の人に光が当たったことで、周知に繋がりますように。お役所関係のことは積極的に問い合わせたり、調べたりしないと、知らないままのことがあります。麻衣香のように知識がないばかりに、当然の恩恵も受けられずじまいではもったいないです。”空のない世界”で身を潜めている人が「助けて」と言えるように、そんな声を聞き逃さない世の中であってほしいものです。
小澤和義監督のことを知らずに観ましたが、なんと俳優さんでした。実兄の小沢仁志さん(本作ではオーナー役)も、ほかの作品でやはりこわもての役を見たことがありました。二人揃って睨まれたらビビりそうですが、実際は見た目と違った優しい方ではないかと想像しています。こういう映画を作られるんですから。(白)


2022年/日本/カラー/67分
配給:ライツキューブ
(C)2921ライツキューブ
https://soranonaisekai.com/
★2022年10月21日(金)シネリーブル池袋ほか全国順次ロードショー

posted by shiraishi at 17:05| Comment(0) | 日本 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

もっと超越した所へ。

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監督:山岸聖太
原作・脚本:根本宗子
撮影:ナカムラユーキ
音楽:王舟
主題歌:aiko
出演:前田敦子(岡崎真知子)、菊池風磨(朝井怜人)、伊藤万理華(安西美和)、オカモトレイジ(万城目泰造)、黒川芽以(北川七瀬)、三浦貴大(飯島慎太郎)、趣里(櫻井鈴)、千葉雄大(星川富)

2020年、4組のカップルがいた。デザイナーの真知子はバンドマン志望の怜人と、元子役でバラエティタレントの鈴はあざとかわいい男子の富(トム)と、金髪ギャルの美和はハイテンションなフリーターの泰造と、風俗嬢の七瀬は今は落ち目だけれどもプライドの高い俳優の慎太郎と付き合っていた。それぞれ彼氏に不満を抱きながらも、それなりに幸せな日々を過ごす彼女たちだったが、男たちはそれをいいことに甘えて増長し、ついに別れの時がやって来る。

そろいもそろって”う~む”な彼氏たち。少しはいいところも可愛気もあるので、女性のほうも余裕があるならば、笑って許せます。が、甘えも過ぎれば可愛さ余って憎さに転じ、100倍にもなるのです。それは男女立場を違えても同じでしょう。4組のカップルの誰かに親近感があったならその相手も見てみて。「あるある」とギクッとするはず。キレるまで溜めてはいけません、心せよ(お互いに)。
テンポよく、キレよく進むドラマは元は根本宗子さんのユニットが上演した2015年の舞台だったとのこと。映画版でも脚本を担当、小説版は9月に徳間文庫から発刊されています。公式HPに動画がたくさんありますが、「もっ超座談会」と称したキャストの男女別トークが面白いので、ぜひそちらもご覧ください。(白)


2022年/日本/カラー/119分
配給:ハピネットファントム・スタジオ
(C)2022「もっと超越した所へ。」製作委員会
https://happinet-phantom.com/mottochouetsu/
★2022年10月14日(金)ロードショー
posted by shiraishi at 17:03| Comment(0) | 日本 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする