2022年10月09日

MONDAYS このタイムループ、上司に気づかせないと終わらない

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監督:竹林亮
脚本:夏生さえり・竹林亮
撮影:幸前達之
音楽:大木嵩雄
主題歌:lyrical school「WORLD'S END」(BOOTROCK Inc.)
出演:円井わん(吉川朱海)、マキタスポーツ(永久茂)、長村航希(遠藤拓人)、三河悠冴(村田賢 )、八木光太郎(森山宗太郎)、髙野春樹(平一郎)、島田桃依(神田川聖子)、池田良(崎野雄大)、しゅはまはるみ(木本貴子)

吉川朱海は小さな広告代理店に勤めている。ブラック企業といいたいくらい仕事は山積み、徹夜で仕事を消化し会社で寝起きしている社員がいるほどだ。朱海は「今に憧れの大手代理店に転職してやる!」と燃える野心を抱いているが、目下の仕事をこなすだけで精一杯。
憂鬱な月曜の朝、後輩の男子二人組から声がかかる。「僕たち、同じ1週間を繰り返しています!」「はあ??」。詳しい説明を聞くがにわかに信じることができない。遠藤・村田は「忘れないために”意識”を変える合図を覚えてください。”鳩”です」と念を押す。
バンッ!!
鳩が窓にぶつかった大きな音、朱海はハッと気づいた。遠藤・村田と目が合う。二人は何日も経験して対策を研究していた。このタイムループから抜け出すには、カギを握る部長に気づかせなくてはいけない。3人はほかの社員にも”鳩の合図”でループに気づかせていく。

タイムループものは数あれど、会社でという設定、そしてこんなに笑えるのも初。完全オリジナルの脚本がよくできていて、何度もくりかえされる試行錯誤も飽きさせません。自分のことだけでいっぱいだった吉川朱海が少しずつ変わり、部全体のチームワークも強まります。難航していたプレゼンも、相手に気づかれることなくチャレンジし続ければ、より良い結果が出せるようになっていきます。かといって、ループが終わらなくていいわけではありません。部長が気づくまでの奮闘ぶりを見るうちに、いつしかこちらもルーティンに組み込まれて、応援団と化していました。
毎週月曜日がくるのが憂鬱な方、社畜になっていないか怖い方、この映画で諦めない勇気とパワーをもらいましょう!笑い飛ばして元気満タンで新しい日を迎えましょう!そして大事なものに気づきましょう!
朱海役の円井わんさん、部長役のマキタスポーツさん、社員のみなさま適役でした。面白かった~!!(白)


2021年/日本/カラー/82分
配給:PARCO
© CHOCOLATE Inc.
公式サイト:https://mondays-cinema.com 
Twitter:https://twitter.com/mondays_cinema
★2022年10月14日(金)東京・渋谷シネクイント、名古屋・センチュリーシネマ、大阪・TOHOシネマズ梅田にて先行公開
10月28日(金)全国順次公開ロードショー



posted by shiraishi at 15:25| Comment(0) | 日本 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

木樵

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監督・撮影・編集:宮﨑政記
プロデューサー:益田祐美子
語り:近藤正臣
出演:面家一男、澤和宏、瀧根清司

岐阜県下呂市生まれの宮﨑政記監督は、木樵(きこり)の父の背中を見て育った。林業不況の中、木樵になる夢を断念して映画の道に進んだ。30年後、故郷の山に戻った監督は、今も木樵を続ける面家(おもや)一男さん瀧根(たきね)清司さんの兄弟、その家族やお弟子さんたちに出逢う。彼らは昔ながらの方法で山を守り続けていた。木を伐り出した後も、林道を作らず山が荒れないように細心の注意をはらって下へ送っている。監督は一年間彼らの日常に寄り添い、日々地道な仕事を続けている男たちを撮影した。

山仕事の映画ですぐ思い出したのは、矢口史靖監督の『WOOD JOB!(ウッジョブ)~神去なあなあ日常~』(2014)。進路を決められない18歳男子(染谷将太)が軽い気持ちで飛び込んだ山仕事、過酷さに音をあげつつも楽しみを見出す作品でした。これで、ちょっとだけ林業の一面を見せてもらいましたっけ。
こちらのドキュメンタリーにも、多くを語らず黙々と働き山を護る木樵さんたちが登場します。
自然に任せたままの山ではなく、植林などで人の手が入った山は、その後の世話が必要です。樹木は植えてから長い時間世話し続けないと売れるだけの木材になりません。この間に価格が大きく下落してしまったら、骨折り損になってしまいます。途中で手入れをやめれば病虫害も発生するでしょうし、山が雨を支えきれず土砂災害が起こってしまうこともあります。
今切り出している木は、何十年か前から先輩が面倒を見て来たもの、今世話している山の木が立派な木材になるのは何十年先。自分の目で結果が見られないかもしれない作業を丁寧に続けるというのは尊いです。過去に感謝し未来を思って働いているわけですよね。実際の暮らしは金銭収入がないと成り立ちませんが、それだけではないとても豊かな恵みをこの作品の中に見た気がしました。(白)


2022年/日本/カラー/81分
配給:平成プロジェクト
(C)2022「木樵」製作委員会
http://kikori-movie.com/
★2022年10月14日(金)ヒューマントラストシネマ有楽町ほか全国順次公開

posted by shiraishi at 14:47| Comment(0) | 日本 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

スペンサー ダイアナの決意   原題:Spencer

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© 2021 KOMPLIZEN SPENCER GmbH & SPENCER PRODUCTIONS LIMITED


監督:パプロ・ラライン(『ジャッキー/ファーストレディ 最後の使命』)
出演:クリステン・スチュワート(『トワイライト』シリーズ、『チャーリーズ・エンジェル』)、ジャック・ファーシング(「風の勇士 ポルダーク」)、ティモシー・スポール (『英国王のスピーチ』)、サリー・ホーキンス(『シェイプ・オブ・ウォーター』、ショーン・ハリス『ミッション:インポッシブル/フォールアウト』)

1991 年12月24日。英国ロイヤルファミリーの人々は、いつものようにクリスマスを祝うため、エリザベス女王の私邸サンドリンガム・ハウスに集まった。ダイアナ妃は、生家の近くにもかかわらず道に迷い、エリザベス女王よりも遅れて到着する。玄関で待ち構えていたグレゴリー少佐から、さっそく王室のしきたりである体重を測ることを強要される。
夫チャールズ皇太子との仲は既に冷え切っていたが、集まった王族の人々は平静を装っていた。息詰まる思いに、ダイアナは邸を抜け出し、自分が育ったスペンサー家の邸宅に向かうが、老朽化で立ち入り禁止になっていた。仕方なく邸に戻り、息子たちの寝室に忍び込み、やっと安らぎを覚える。
そしてクリスマス、一族での記念撮影、教会での礼拝と決められた行事が続くが、チャールズ皇太子と口論となり、ついにディナーを無視して、息子たちを車に乗せ再び生家へと向かう。幸せな少女時代を過ごした地で、ダイアナは人生を変える一大決心をする・・・

チリ人であるパプロ・ラライン監督が、将来の王妃の座を捨ててでも、自分のアイデンティティを確立しようとしたダイアナを描いた作品。脚本は、イギリス人のスティーヴン・ナイトに依頼。ダイアナを演じたクリステン・スチュワートを始め、メインの俳優はイギリス人。ただ、不必要なメディアの注目を避けるため、撮影はイギリスではなく、ドイツで行っています。
ダイアナの36年という短い人生の中の、さらに3日間という限られた時間を想像力たくましく描いた映画ですが、不実な夫に悩まされる中、思い切った決断をしたダイアナの心情はしっかり伝わってきました。
原題『Spencer』に託した監督の思いも、ずっしりと感じました。(咲)


★ダイアナ元皇太子妃、非業の死から25年。
 彼女に迫る映画2作品が連続公開されます。


『プリンセス・ダイアナ』(9/30公開) 
http://cinejour2019ikoufilm.seesaa.net/article/491794369.html
駆け抜けた激動の人生をアーカイブ映像で振り返ったドキュメンタリー
ぜひ、こちらを先にご覧になってから、『スペンサー ダイアナの決意』を!


2021年/イギリス・ドイツ/117分/英語/カラー/4K ヨーロピアンビスタ/5.1ch・7.1ch
日本語字幕:川嶋加奈子
配給:STAR CHANNEL MOVIES
後援:ブリティッシュ・カウンシル 読売新聞社
公式サイト:https://spencer-movie.com/
★2022年10月14日(金)、TOHO シネマズ 日比谷 ほか全国ロードショー



posted by sakiko at 01:46| Comment(0) | イギリス | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする