2022年07月31日

掘る女 縄文人の落とし物

8月6日(土)よりシアター・イメージフォーラムほか全国順次公開 劇場情報

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©︎2022 ぴけプロダクション

発掘に魅せられた女たち 

監督:松本貴子(『氷の花火 山口小夜子』『≒草間彌生 わたし大好き』) 
ナレーション:池田昌子 撮影:門脇妙子、金沢裕司 音楽:川口義之(栗コーダーカルテット) 音楽プロデュース:井田栄司 編集:前嶌健治 タイトル文字・イラストレーション:スソアキコ アニメーション:在家真希子、岸本萌 考古学監修:堤隆 オンライン編集:石原史香 音響効果・整音:髙木創
出演:大竹幸恵、八木勝枝、伊沢加奈子ほか

夢中になれることが人生をこんなに豊かにする
土臭くてラヴリーな発掘ドキュメンタリー


 2021年7月に「北海道・北東北の縄文遺跡群」が世界文化遺産に登録され、注目される縄文文化。約1万6000年〜3000年前に作られた奇抜な模様やデザインの土器や、可愛い造形の土偶たちは多くの現代人を惹きつける。この作品はその縄文時代に思いを馳せ、「発掘」に魅せられた女性たちを日本各地に訪ね歩く。『氷の花火 山口小夜子』『≒草間彌生 わたし大好き』が話題になった松本貴子監督は、縄文遺跡の発掘調査に携わる女性たちを3年間にわたって記録した。男仕事と思われがちな遺跡発掘だが、女性も結構参加している。汗だく、泥だらけになりながらブラシやスコップを駆使して、貴重な文化遺産を見つけ出す彼女たち。発見の喜びが原動力。そんな女性たちが、あなたを縄文時代へと誘う。ナレーションは「銀河鉄道999」のメーテル役で知られる池田昌子。

 ラジオ体操で始まる発掘現場。大勢の作業者たちが広大な遺跡発掘現場に散らばり、それぞれ発掘作業を始める。そこで発掘されたものは「落し物」として警察に届けられるという。そんな古代人の落し物を探し続ける人たちの中に「縄文時代からの贈りもの」にハマった女性たちがいた。
 八ヶ岳の西、長野県立科町にある星糞(ホシクソ)峠の遺跡発掘現場。大昔、そこは矢じりや石器に使われた黒曜石の発掘現場だった。この地方では黒曜石のことを方言で星糞と呼ぶ。調査員として働く大竹幸恵さんは、その発掘現場で30年働き、今では10名の作業員を率いて、毎日、泥まみれになって遺跡を発掘し、定年を迎える。小学6年生の時に土器をみつけて以来、明治大学で考古学を学び、考古学一筋の人生を続けてきた。
 発掘が始まったばかりの岩手県洋野町にある北玉川遺跡。調査員の八木勝枝さんは作業員を指揮している。この作業現場は女性が多く笑いが絶えない。八木さんは土偶が大好き。これまで発掘してきた数々の土偶を愛おしそうに紹介する。遺跡はその土地の思い出の品と語る。八木さんも明治大学で考古学を学んだ。
 神奈川県秦野市にある稲荷木遺跡は、調査員8名、作業員200名という巨大な現場。縄文時代中期から後期にかけての大規模な集落跡で、次々と土器や土偶が出てくる。そこで作業員として働く池田由美子さんは、珍しい釣手土器を発掘中。20年以上のベテラン。ポストに入っていた求人チラシで応募し、働いてすぐに珍しい土器を発見し発掘作業にはまる。青森県八戸市の風張1遺跡の作業員、山内良子さんと林崎恵子さんは、働き始めた1989年に、のちに国宝になった合掌土偶を発掘。山内さんは身体を、林崎さんは左足を発見。その時の思い出を熱く語る。こうして、思わぬ発見が考古学に縁がなかった女性たちの人生を変えることもある。
 栃木県中根八幡遺跡では大学生たちが発掘を行なっている。その中で働いていたのが
國學院大学大学院生の伊沢加奈子さん。そこで出会った考古学に夢中になって短期大学から國學院大学文学部史学科考古専攻に編入し、卒業後、地元の栃木県壬生町立歴史民俗資料館学芸員になった。
 星糞峠の発掘は終了し現場は埋められ、そこに去年(2021)建立された「黒耀石体験ミュージアム」に発掘現場から削り取った地層が展示されている。北玉川遺跡も稲荷木遺跡も埋められて道路が作られる。考古学は掘っては埋めての繰り返し。そして新しい現場で、今日も汗水流している「掘る女」の姿が。

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大竹幸恵さん ©︎2022 ぴけプロダクション

小学生の時ツタンカーメンに興味を持ち、1965年、中学2年の時、上野の国立博物館で開催された「ツタンカーメン展」に行き、いっそう考古学に傾倒。エジプトのピラミッドや発掘現場を見に行きたいと思った。高校生になるとシュリーマンのトロイア発掘の本を夢中になって読んだ。どこか忘れたけど、東京三多摩の遺跡発掘現場へ見学に行ったこともあった。でも、考古学の分野に進むという考えは思いつかなかった。
この映画を観て、私も自分の興味がある考古学の分野に進めばよかった、その手があったかと思ったけど、50年以上前は、女性が考古学の分野で活動するということは考えられなかった。ここに出てきた女性たちは、子供のころに興味を持った考古学の分野に突き進んだ人もいれば、パートで始めた発掘の仕事で、土器や土偶を発見し、発掘にハマってしまった人もいる。でも、みんな、泥や汗にまみれて発掘をすることを苦には思っていない。夢中になれるものがあるというのは人生を豊かにする(暁)。

『掘る女 縄文人の落とし物』公式HP  
2022年/日本/111分/カラー/DCP
助成:文化庁文化芸術振興費補助金(映画創造活動支援事業)独立行政法人日本芸術文化振興会
製作・配給:ぴけプロダクション 配給協力・宣伝:プレイタイム
posted by akemi at 20:49| Comment(0) | 日本 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

プアン/友だちと呼ばせて(原題:One For The Road) 

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監督:バズ・プーンピリヤ
脚本:バズ・プーンピリヤ、ノタポン・ブンプラコープ、ブァンソイ・アックソーンサワーン
出演:トー・タナポップ アイス・ナッタラット プローイ・ホーワン ヌン・シラパン ヴィオーレット・ウォーティア AND オークベープ・チュティモン

ニューヨークでバーを経営するボスのもとに、タイで暮らすウードから数年ぶりに電話が入る。 白血病で余命宣告を受けたので、最期の頼みを聞いてほしいというのだ。バンコクに駆けつけたボスが頼まれたのは、 元カノたちを訪ねる旅の運転手。カーステレオのカセットテープから流れる思い出の曲が、二人がまだ親友だった頃の記憶を呼びさます。 かつて輝いていた恋への心残りに決着をつけ、ボスのオリジナルカクテルで、この旅を仕上げるはずだった。 だが、ウードがボスの過去も未来も書き換える〈ある秘密〉を打ち明ける──。

死期が迫った男性が別れた元カノに返したいものを渡すために会いに行く。男性とのことはすでに過去で、自分の人生を生きている女性側からすればいい迷惑だろうなと思っていたら、案の定。男性は夢見がちで、女性は現実的といわれるが、その違いが明確に表現されていて、さすがにちょっと男性がかわいそうに思えてきたとき、この旅の本当の意味が見えてくる。過去の恋愛のお詫び行脚は彼の本当の思いを隠す言い訳に過ぎなかったとは!
人は死を目の前にすると人生で後悔していることをいろいろ思い出すものなのかもしれない。さて、私はどうなんだろう。何を後悔し、それをどうやり直したくなるのか。そして、それをすることは相手を傷つける自己満足に過ぎなかったりしないだろうか。
登場人物たちの倍くらい生きているから、人生でやり残したままのことをどう決着つけるのか、そろそろ考えておいたほうがいいかもとこの作品を見ていたら思えてきた。
ところで、この作品、いろいろなカクテルが登場する。どれも色合いが素敵で、アルコールが飲めない私でさえ、ちょっと飲んでみたくなる。ノスタルジックな風景とこのカクテルを見ているとタイに行きたくなってしまうかもしれません。(堀)


2021年/タイ/2021年/カラー/シネスコ/5.1chデジタル/129分
配給:ギャガ
(c)2021 Jet Tone Contents Inc. All Rights Reserved.
公式サイト:https://gaga.ne.jp/puan/
★2022年8月5日(金)新宿武蔵野館、シネスイッチ銀座、渋谷シネクイントほか全国順次公開

posted by ほりきみき at 19:25| Comment(0) | タイ | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

きっと地上には満天の星(原題:Topside)

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監督・脚本:セリーヌ・ヘルド&ローガン・ジョージ
出演:ザイラ・ファーマー、セリーヌ・ヘルド、ファットリップ、ジャレッド・アブラハムソンほか

NYの地下鉄のさらに下に広がる暗い迷宮のような空間で、ギリギリの生活を送っているコミュニティがあった。5歳のリトルは、“地上”から帰ってきた母に今日も尋ねる「ねえ、翼は生えた?」リトルの背中を見てニッキーは「もう少しね。翼が生えるまではここが安全。」と答える。リトルは、翼が生えたら地上を飛び回り、絵本で見た“星”を探すのが夢だ。
ある日、不法住居者を排除しようと市の職員たちがやってくる。隠れてやり過ごすことができないと判断したニッキーは、隣人のジョンにも促されリトルを連れて地上へと逃げ出すことを決意する。初めて外の世界を体験するリトル。明るすぎる地下鉄のホーム、階段でひしめき合うたくさんの人、けたたましく鳴るクラクション…。夢に見た地上は、リトルにとって刺激が強すぎる世界だ。しかし役所の人間が立ち去るまで“家”に戻ることはできない。せめて明日の朝までこの地上を逃げ続けなければいけない。
ニッキーは彼女に“商売”をさせてくれるギャングのレスの部屋を訪ねる。ジャンキーたちがうつろな目で場違いな母娘を見つめるその部屋は、やはり二人が安全に過ごせる場所ではなかった。冬の夜のNYへ飛び出すニッキーとリトル。この街に彼らが休める場所などどこにもない。疲れ果てたニッキーが仕方なく“家”へ向かおうと地下鉄に乗ったその時、リトルはホームを飛び回る小鳥の姿に気を取られ、ひとり乗り遅れてしまう。発車してしまった列車の車内でパニックになるニッキー。すぐに引き返すがどこにもリトルの姿はない…。
NYの街で追い詰められていく母娘に、希望の光は降り注ぐのだろうか―。

本作は監督のひとりで脚本を書き、リトルの母親ニッキーを演じたセリーヌ・ヘルドが、子守の仕事をした非営利団体で恒久的な住居を持たない母子と出会ったこと、同時期にジェニファー・トスの著書「モグラびと ニューヨーク地下生活者たち」を読んだことが製作のきっかけとなったという。
シングルマザーのニッキーは住むところがなく、地下鉄の廃トンネルで暮らしている。厳しい生活ながらも育児放棄せず、慈しんで育てていることがリトルの満ち足りた表情から伝わってきた。セリーヌがリトルを演じたザイラ・ファーマーと撮影前に信頼関係を築いていたからできたことだが、ザイラが元々親からしっかり愛されて育ったに違いない。純粋無垢なリトルを見ていると世の中の嫌なことを忘れられる気がしてくる。ニッキーも同じ気持ちだったのだろう。
しかし、親は愛を与えればいいというものではない。リトルが簡単な計算もできないことが明らかになる。本来、子どもが育つべき環境にいれば、足し算、引き算、割り算などは友だちとの遊びを通じて、感覚として身についていくものなのだ。自分にとって不本意でも、子どもの健やかな成長のために家族や公的機関を頼ることは必要。
ニッキーは自力で何とかしようと奮闘するものの、リトルを見失うというトラブルを経験して、自分が本当は何をすべきかに気付いていく。その決断はニッキーにとって今は辛いかもしれない。しかし、リトルの将来を考えたら、「間違っていなかった」と思える日がくるだろう。(堀)


2020年製作/90分/G/アメリカ
配給:フルモテルモ、オープンセサミ
© 2020 Topside Productions, LLC.All Rights Reserved.
公式サイト:https://littles-wings.com/
★2022年8月5日(金)からシネマカリテ、ヒューマントラストシネマ渋谷ほか全国順次公開
posted by ほりきみき at 19:15| Comment(0) | アメリカ | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

長崎の郵便配達

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監督・撮影:川瀬美香 
構成・編集:大重裕二 
音楽:明星/Akeboshi
出演:イザベル・タウンゼンド、谷口稜曄、ピーター・タウンゼンド

英国マーガレット王女との世紀の悲恋で知られ、『ローマの休日』のモチーフになったと言われる元英空軍大佐で作家のピーター・タウンゼンド氏。後に、世界を回ってジャーナリストとなり、16歳のときに長崎で郵便配達中に被爆し、生涯をかけて核廃絶を世界に訴えた谷口稜曄(スミテル)さんに出会い、1984年に1冊のノンフィクション小説を出版する。本作は、娘のイザベルさんが、父の著書とボイスメモを頼りに2018年の長崎をめぐり、2人の想いを紐解く珠玉のドキュメンタリー。

日本人ならば原爆のことはある程度知っている。それが思い込みであることにこの作品を見れば気づくだろう。日本にいれば、原爆ドームや原爆で真っ黒な焦土と化した広島の写真を見る機会は何度もある。途轍もなく悲しい、酷いことが起こったのだと思う。しかし、それはあくまでも知らない人が受けた悲劇で、自分の身に置き換えては考えにくい。
本作では谷口さんがその瞬間に見た風景や熱風が体をどう変化させていったのかを語る。そこには真実の重みがあり、知らない人のことと見過ごすことができない。
時間が流れ、第二次世界大戦が遠い昔のことになりつつある。本作のもとになったピーター・タウンゼンド氏の著作「ナガサキの郵便配達」は日本では絶版になっているが、谷口さんは復刊を望んでいたという。監督から谷口さんの思いを聞いた方が再出版のために活動されている。谷口さんの思いが引き継がれていることがうれしい。また本だけでなく、娘のイザベルさんが父の思いを引き継ぎ、フランスで次世代に繋げていく活動を始めた。私たちも戦争がもたらす悲劇を伝えていかなくてはと思う。(堀)


忘れ去られていく原爆の記憶が、こうした形で映像に残ったことに、まず深い感動を覚えました。背中全面に真っ赤な火傷を負った少年の写真ははっきりと記憶にありました。その少年が郵便配達員で、その後、ずっと核廃絶を訴えてきた谷口稜曄さんだということ、そして、英国マーガレット王女との恋に破れたピーター・タウンゼンドさんが、傷心の旅の途中で谷口さんに出会い、ノンフィクション小説「THE POSTMAN OF NAGASAKI」を書かれたことは、この映画を通じて初めて知りました。谷口さんも、ピーター・タウンゼンドさんも亡くなり、ピーターさんの娘であるイザベルさんが小説と、父のボイスメモを頼りに、谷口さんの足跡を辿る旅・・・  語り継ぐことの大切さを思いました。
ピーターさんのボイスメモには、「戦争に行って人を殺した」という告白が残っていたそうです。戦争とは、まさに人と人が殺しあうこと。勝っても負けても、どちらの側にも心の傷はあとあとまでのこるものだと実感します。
ところで、長崎は、大好きな町で、何度か訪れたことがあります。風光明媚な町をグラバー邸のある丘の上から眺めるたびに、この美しい町に原爆が落とされたことに思いを馳せたものです。爆心地のあたりは、一度だけ歩いたことがあります。そこかしこに痕跡が残されていて、一瞬の原爆の威力におののいたものです。
被爆国として、日本はもっともっと強く核廃絶を訴え続ける必要があると思います。
残念ながら、今も各地で戦火は絶えません。お互いを思いやり、共存する世界はいつ実現するのでしょう・・・ (咲)



2021年/日本/日本語・英語・仏語/97分/4K/カラー/2.0ch/日本語字幕:小川政弘 フランス語翻訳:松本卓也
配給:ロングライド
©️The Postman from Nagasaki Film Partners
公式サイト:https://longride.jp/nagasaki-postman/
★2022年8月5日(金)シネスイッチ銀座ほか全国公開

posted by ほりきみき at 19:04| Comment(0) | 日本 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

ファイナル アカウント 第三帝国 最後の証言  原題:Final Account

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(C)2021 Focus Features LLC.

監督・撮影:ルーク・ホランド
製作:ジョン・バトセック、ルーク・ホランド、リーテ・オード
製作総指揮:ジェフ・スコール、ダイアン・ワイアーマン、アンドリュー・ラーマン、クレア・アギラール
アソシエイト・プロデューサー:サム・ポープ
編集:ステファン・ロノヴィッチ/追加編集:サム・ポープ、バーバラ・ゾーセル
音楽監修:リズ・ギャラチャー

イギリスのドキュメンタリー監督ルーク・ホランドは、10代になって初めて、母がウィーンから逃れてきたユダヤ難民で、祖父母はホロコーストで殺害されたというルーツを知った。2000年代になり、祖父母を殺した人間を探す目的で、ドイツやオーストリアで暮らす戦争体験者たちをインタビューし、カメラに収めた。その数は約250件にも及んだ。
ホロコーストを直接目撃した、生存する最後の世代である彼らは、ナチス政権下に幼少期を過ごし、そのイデオロギーを神話とするナチスの精神を植え付けられて育った。戦後長い間沈黙を守ってきた彼らが語ったのは、ナチスへの加担や、受容してしまったことを悔いる言葉だけでなく、「手は下していない」という自己弁護や、「虐殺を知らなかった」という言い逃れ、果てはヒトラーを支持するという赤裸々な本音まで、驚くべき証言の数々だった・・・

ナチスが犯したユダヤ人などの大量殺人は、今でこそ歴史的事実として皆が知っていることですが、当時は、渦中にいて目撃していた人にとっても、全体像は見えてなかったこと。ましてや、自分が大量殺戮に加担したとは思いたくないのが世の常でしょう。取材を受けた人たちの答える姿からは、様々な思いを感じ取ることができて、興味深いものでした。時代の動きの中で、そのような行動を取らざるをえないというのも、人間の悲しい性。
今、まさに戦闘の続くロシアとウクライナ。どちらの兵士も、本来なら戦うより平和に暮らしたいはず。それなのに、人を殺すことに加担させられているのです。権力者の欲のために・・・ 人類はいつまで無駄な戦いを繰り返すのでしょう。(咲)

2020年/アメリカ=イギリス/ドイツ語/94分/カラー(一部モノクロ)/ビスタ
字幕翻訳:吉川美奈子 字幕監修:渋谷哲也 ナチス用語監修:小野寺拓也  
配給:パルコ ユニバーサル映画
公式サイト:https://www.universalpictures.jp/micro/finalaccount
★2022年8月5日(金)よりTOHOシネマズ シャンテ、渋谷シネクイントほか全国ロードショー





posted by sakiko at 19:01| Comment(0) | アメリカ | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

ウクライナから平和を叫ぶ~Peace to you All~(原題:Mir Vam)

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監督・脚本・撮影:ユライ・ムラヴェツJr
出演:ユライ・ムラヴェツJr

15年4月、スロバキアの写真家ユライ・ムラヴェツJrは、ユーロマイダンの中心地だったウクライナ・キーフを出発、分離主義勢力が支配する東部のドネツクに向かう。分離主義勢力が支配する村を取材する彼に、戦争の悲しみと平和への望みを語る住民たち。クリフリク村最後の住民となった老婆は「プーチンに助けてほしい」と訴える。16年2月、ドネツクの情報省により入国禁止ジャーナリストとして登録された監督は、ドネツクには入国できなくなった。以後ウクライナ支配下の村やウクライナ-ドネツク紛争の最前線マリウポリでウクライナ側の人々を取材を開始する。

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(C)All4films, s.r.o, Punkchart films, s.r.o., RTVS Rozhlas a televizia Slovenska

ユライ・ムラヴェツJr監督は、ドネツク側とウクライナ側の両方の住民に平等に話を聞いて記録してきました。ロシアと西欧にはさまれたウクライナは、親ロシア派と親欧米派に分断されて行きます。どちらにも組するわけではなく、ただただ平和であってほしいと願う住民もいます。国が荒れ、支えるべき住民が死んでしまうのに、なぜ戦争が繰り返されるのでしょうか? 
両陣営に住む多くの人々の姿が紹介されています。前線に一人残された老女、離れて暮らす子どもを案じる母、スパイと疑われて逮捕された息子と理不尽な仕打ちに怒る母…手足を失った軍人や壊れかけた家を補修する人、ホームレスで飲酒がやめられない男性など。本作は6年前に完成したものですが、今年始まってしまったロシアのウクライナ軍事侵攻で都市部はさらに破壊され、映像にあった村のいくつかは消えてしまいました。
コロナ禍が終息せず、感染者数は増えるばかりの不安定な日常です。戦争の報道に胸が痛むと同時に、何が真実か、日本にいて何ができるのか頭がぐるぐるしてしまいますね。遠い国の話と思わずに、この貴重な映像をご覧ください。
ユライ・ムラヴェツJr監督にリモート取材ができました。(白)


インタビューはこちらです。

2016年/スロバキア /カラー/67分
配給:NEGA/配給協力:ポニーキャニオン
(C)All4films, s.r.o, Punkchart films, s.r.o., RTVS Rozhlas a televizia Slovenska
https://peacetoyouall.com/
★2022年8月6日(土)より渋谷ユーロスペースにてほか全国順次公開
posted by shiraishi at 11:00| Comment(0) | スロバキア | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

コンビニエンス・ストーリー

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監督・脚本:三木聡
企画:マーク・シリング
撮影:高田陽幸
出演:成田凌(加藤)、前田敦子(惠子)、六角精児(南雲)、片山友希(ジグザグ)、岩松了(榊)、渋川清彦(沼津)、ふせえり(国木田)

スランプ中の売れない脚本家、加藤は、脚本執筆中にちょっとパソコンから離れた。その隙に恋人ジグザグの飼い犬“ケルベロス”に消されてしまった。保存もしていない。加藤は怒り心頭、ケルベロスをレンタルしたトラックに乗せて山奥に捨ててしまう。ジグザグに弁解のしようもない。思わず探しに戻るが、車が突然故障して立ち往生してしまった。あたりは霧に包まれコンビニ「リソーマート」があるきり。夜も更けたのに、泊まるところもない。オーナーの妻の惠子に助けられ家に泊めてもらうことになった。オーナーの南雲は歓待し、妻の惠子は加藤を誘惑してくる。

どこかに異世界があるとして、その入り口はどこだったらしっくり来ますか?この作品ではコンビニでした。ドリンクの棚に手を伸ばしたとき、向こう側で補充している店員さんと目があったことのある人は、うなずけるんじゃないでしょうか?あ、向こう側は異世界かもしんない・・・。
三木監督のこれまでの作品はほとんど観ています。いつも予想からはみ出したところで展開していって、気づけばそこは三木ワールドという異世界でした。本作はそこに囚われてしまった加藤が、妖艶な人妻(もうあっちゃんとは呼べないほど大人)の誘惑にのってしまいます。こ、これは、竜宮城の浦島太郎じゃありませんかっ!三木ワールドにハマりたい俳優さんたちが、そこでふわふわと嬉し気に漂っています。さあ、あなたも存分にお楽しみください。(白)


2022年/日本/カラー/シネスコ/97分
配給:東映ビデオ
(C)2022「コンビニエンス・ストーリー」製作委員会
https://conveniencestory-movie.jp/
三木聡監督インタビュー映像はこちら
★2022年8月5日(金)ロードショー
posted by shiraishi at 09:59| Comment(0) | 日本 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

劇場版 ねこ物件

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監督・脚本:綾部真弥
撮影:小島悠介
出演:古川雄輝(二星優斗)、細田佳央太(立花修)、上村海成(島袋毅)、本田剛文(矢澤丈)、松大航也(ファン)、金子隼也(加納直人)、山谷花純(畑山)、長井短(広瀬有美)、竜雷太(二星幸三)

2匹の猫、クロとチャーと暮らす二星優斗30歳。唯一の肉親である祖父・幸三が亡くなったことから始めた“猫付きシェアハウス・二星ハイツ”には、それぞれの夢を持つ4人の同居人が住んでいたが、みな次のステージへと巣立っていった。不動産会社の有美から、かつての入居者たちの活躍を聞かされ、二星ハイツの再開を促されるが気乗りがしない。しかし、祖父が遺した手紙に書かれていた、幼い頃に離ればなれになった「弟」の存在を想い出して、探し出すことを決意する。その方法とは、“猫付きシェアハウス”と自分の存在を全国に知らしめて、再び住人を募ることだった。そんな優斗をサポートしようと入居者だった、修、毅、丈、ファンの4人が二星ハイツへと帰ってきた。そんなある日、加納直人と名乗る人物が入居希望者として現れたのだが―。

今年の春のドラマが劇場版で公開です。祖父が亡くなってから外の世界に出ず、猫と暮らしていた浮世離れした優斗。古川雄輝さんがほんわかとして似合います。しぶしぶ入居者たちと関わることで、少しずつ世界を拡げていくまったりストーリーでした。四つ葉不動産の広瀬は、祖父に世話になったからと親身に心配してくれます。優斗が決めたここの住民が守るべき条文はとにかく猫第一、入居者を決める面接も猫の意向次第。本作では、猫付きシェアハウスを始めた本当の理由が明らかになります。それは?
毎回優斗が作って入居者と「いただきます!」と囲む食卓にはいつも美味しそうな食事が並びます。身体に良さそうなものばかり。こんなご飯つきのシェアハウスあったら入りたい。だれか猫つき・犬つきでシニア用格安物件作ってくれませんかね?応募殺到しそうだ・・・(白)


2022年/日本/カラー/93分
配給:AMGエンタテインメント
(C)2022「ねこ物件」製作委員会
https://neko-bukken-movie.com/
★2022年8月5日(金)ロードショー
posted by shiraishi at 09:46| Comment(0) | 日本 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする