2022年07月03日
ビリーバーズ
監督・脚本:城定秀夫
原作:山本直樹「ビリーバーズ」(小学館「ビッグスピリッツコミックス」刊)
出演:磯村勇斗、北村優衣、宇野祥平、毎熊克哉、山本直樹
ニコニコ人生センターという宗教団体に所属する3人は、互いをオペレーター、副議長、議長と呼び合いながら、無人島で共同生活を送っていた。瞑想や見た夢の報告、テレパシーの実験といったメールで送られてくる指令を実行しながら、わずかな食料でギリギリの生活を保つ日々。それは俗世の汚れを浄化し、安住の地を目指すための修行とされていた。そんな彼らの日常はほんの些細な問題から綻びを見せ始め、互いの本能と欲望が暴き出されていく。
原作はあるものの、城定秀夫監督×宇野祥平で男子(男ではなく、あくまでも男子)のとどまるしらない妄想を映像化したといった感じ。2人の暴走に北村優衣が寄り添います。とんでもない映画を見てしまった感が炸裂する前半は女性には辛いかもしれませんが、ラストに磯村優斗が下す判断が秀逸。単なるピンク映画の域を超えた作品に仕上がっています。(堀)
2022年/118分/R15+/日本
配給:クロックワークス、SPOTTED PRODUCTIONS
© 山本直樹・小学館/「ビリーバーズ」製作委員会
公式サイト:https://believers-movie2022.com/
★2022年7月8日より全国順次公開
恋愛の抜けたロマンス 原題:연애 빠진 로맨스 英題:NOTHING SERIOUS
監督:チョン・ガヨン
脚本:チョン・ガヨン、ワン・ヘジ
撮影:イ・ソンジェ『82年生まれ、キム・ジヨン』
音楽:サンウジョンア
編集:ナム・ナヨン『エクストリーム・ジョブ』『無垢なる証人』
出演:チョン・ジョンソ(『バーニング 劇場版』)、ソン・ソック、コン・ミンジョン(『82年生まれ、キム・ジヨン』「海街チャチャチャ」)、キム・スルギ(『操作された都市』)、ペ・ユラム(『パイプライン』)、キム・ジェファ『モガディシュ 脱出までの14日間』
29歳のジャヨンは、3年以上付き合った彼から、結婚は別の女性とすると捨てられ、もう恋はしないと決意するが、欲求は満たしたい。“いい人を見つけて幸せな旧正月を”のキャッチコピーに惹かれてデートアプリ「愛のかけ橋」に登録する。関心を示してくれた男たちの中から、「ヒヨドリ」の名で登録している男性と会う約束をする。ヒヨドリの名で登録したのは、雑誌社に勤める33歳のパク・ウリ。編集長からセックス・コラムを担当するよう命じられ強制的に「愛のかけ橋」に加入させられたのだ。お互い、恋愛抜きでホテルでひと時を過ごす。その後も本音や目的を隠して会う二人・・・
ジャヨンの元彼への恨みを晴らそうと、ウリは元彼の結婚式にジャヨンを連れて乗り込みます。そこでの行動があっぱれ!
小説家志望のウリのセックス抜きのセックス・コラムは、思わせぶりでそそられると大ヒット。執筆のために登録したアプリで知り合ったジャヨンを騙したことになってしまったことに気が咎めるウリの誠実さがジャヨンに通じるといいなとハラハラしながら観ました。
ジャヨン役のチョン・ジョンソも、ウリ役のソン・ソックも年齢の割にまだ経験の浅い役者さんですが、それだけに二人の関係が新鮮に見えます。
その二人を支えるように、ジャヨンのおばあさん役で韓国の最高齢女優キム・ヨンオクさん、そしてジャヨンのお父さん役で名脇役としてドラマや映画で大活躍のキム・グァンギュさんが登場して、和ませてくれます。(咲)
ウリは取材目的なのをジャヨンに隠していますが、ジャヨンは率直であけすけに話します。アプリに登録したのも失恋した後に酔っ払った勢いでした。『パリ13区』(2021/ジャック・オディアール監督)でもセックス・パートナーをアプリで探す正直な女子が登場しました。ジャヨンはそこまで奔放ではなくて、会うのはウリとだけのようです。2人の会話がテンポよく、相性が良さそうなのが回を重ねるごとにわかります。ウリはどんどん惹かれていき、その分彼女に申し訳ない気持ちになります。つい漏れてしまったウリの言葉に、顔色を変えるジャヨンは「恋に落ちてる」じゃないですか。もう傷つきたくないので抑えているだけ。でなければあんなに怒らないはず。
煽る編集長の姿に「面白ければいい、ウケ最優先」の業界の本音が見えます。SNSのユーザーも言いたい放題でげんなり。けれども2人の主人公は、笑顔が可愛くて好感度高し。(白)
2021年/韓国/95分/カラー/ビスタ/5.1ch
日本語字幕:朴澤蓉子
配給:クロックワークス
公式サイト:https://klockworx-asia.com/romance/
★2022年7月8日(金) シネマート新宿ほかロードショー