2022年02月26日

あしやのきゅうしょく

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監督:白羽弥仁
脚本:白羽弥仁、岡本博文
撮影:吉沢和晃
音楽:妹尾武
主題歌:「ドラセナ」大塚愛
出演:松田るか(野々村菜々)、石田卓也(今村達也)、仁科貴、宮地真緒、藤本泉、栗田倫太郎、小笠原拓己、 芹沢 凜
堀内正美/桂文珍/赤井英和(高杉公一)、秋野暢子(立山蓮子)

野々村菜々は新任の栄養士として芦屋の小学校に赴任した。退任するベテラン栄養士の立山蓮子は、これまで給食の全てを込めたファイルを菜々に贈り、困ったことがあったら相談してと電話番号を渡す。引き継いだ菜々は張り切るが、給食の味が変わった、味が落ちたという子どもの声を聞いて落ち込んでしまう。調理のベテランたちは「栄養士が変わったと知ったからそんな気がするだけ。よくあること」と、慰める。予算内で、美味しく子どもが喜び、どの子も食べることができるものと、菜々はメニューに頭を悩ませる。

芦屋市制施行80周年記念映画として、学校給食にフォーカスを当てて制作された作品。「温かいものは温かく、冷たいものは冷たく」食べられる自校式給食に加え、各校に1名専属で配置された栄養士がオリジナルの独立メニューを展開しています。映画には仕入れから調理まで、給食に携わるいろいろな人たちが登場し、給食が作られる過程も見られます。何百人分の給食を作るための大きなお釜や鍋、煮物の味は出来立ては薄く感じても、配膳までにだんだん浸みてちょうど良くなる、というのも発見でした。アレルギーや宗教上の理由で食べられないものがある子どもへの配慮も欠かせません。ハラルフードを研究する菜々と調理員の達也、動物の肉の代わりに何を使うのか?卵アレルギーの子どもにオムライスを食べさせてあげるには?そんな工夫が随所に見られて、ママたちにも参考になるはず。
離婚を考える母親と芦屋の実家に移り、転校してきた祐樹がクラスに馴染んでいく様子も描かれます。子どもたちが楽しみにしている「My給食」をどう実現していくのかお楽しみに。阪神大震災の体験を語る人にもぐっときます。自分が子どもだった頃の給食を思い出しながら、作ってくれる人にも思いをはせられる作品です。(白)


2022年/日本/カラー/96分
配給:アークエンタテイメント
(C)2022「あしやのきゅうしょく」製作委員会
http://ashiyanokyushoku.com/
★2022年2月 4 日(金)より関西先行公開、3月4日(金)より新宿武蔵野館ほかロードショー

公開記念舞台挨拶 3月5日
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秋野暢子、松田るか、白羽弥仁監督

―それぞれの給食
松田(沖縄出身)「当時は気付かなかったんですが、沖縄ナイズされていた給食だったなと。イナムドゥチ(汁物)や、クーブイリチー(昆布の炒め煮)が出ていました」
秋野(大阪出身)「私たちの時代は戦後12年後で、黒歴史だと思います。脱脂粉乳だったんです。豚の肥料となっていた昔の牛乳です。あのおかげで未だに牛乳が飲めません。あと、関西ではくじらの竜田揚げが出てました。それに揚げパンに脱脂粉乳。今の子は良いものを食べてるなと思います」
白羽監督(芦屋市出身)「くじらのノルウェー煮がありました。今でもくじらは芦屋市の人気ベスト3には入りますね。私は昭和39年生まれですが、脱脂粉乳はなく瓶の牛乳でした」
―栄養士の仕事
松田「食べさせたいものと子供たちが食べたいものが違うので栄養士さんの永遠の課題だと思います」
秋野「食べることは生きること。この作品のテーマです。みんな食に対してないがしろにしている所はあると思います。栄養士はいっぱい考えてます。子供たちが健やかに育つ手助けになるためにも、子供の口に入れるのは何がいいのか、この作品がご家庭でも考え直すきっかけになって頂ければ」
―ひとこと
松田「食べることは体をつくることだけではなく、メンタルを作る栄養にも関わってきます。当たり前だけど大切なことを芦屋市は取り入れているのだと思います。この作品を日本のみならず世界に届けたいと思います」
白羽監督「タイトルに“あしや”とついていますが、食育は全世界の問題です。子供たちの未来のために、真っすぐ作った作品です。是非SNSで拡散してください」



posted by shiraishi at 23:57| Comment(0) | 日本 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

ブルーサーマル

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監督・脚本:橘正紀
脚本:橘正紀、高橋ナツコ
原作:小沢かな「ブルーサーマル ―青凪大学体育会航空部―」(新潮社バンチコミックス)
キャラクターデザイン:谷野美穂
主題歌:「Blue Thermal」SHE’S(ユニバーサル ミュージック)
挿入歌:「Beautiful Bird」SHE'S(ユニバーサル ミュージック)
アニメーション制作:テレコム・アニメーションフィルム
声の出演:堀田真由、島崎信長、榎木淳弥、小松未可子、小野大輔
白石晴香、大地葉、村瀬歩、古川慎、高橋李依、八代拓、河西健吾、寺田農

バレーボール一筋の高校生活を送ってきた都留たまきは、憧れの東京の大学に合格した。これからはキラキラのキャンパスライフだ!と期待一杯で長崎から上京。サークルの勧誘を見て回っているうち、ひょんなことで高額なグライダーを傷つけてしまう。弁償のため"体育会航空部”の雑用係をするはめになった。思ってもみなかった展開に「こんなはずじゃなかった」と不満なたまきだったが、主将の倉持潤に誘われ、初めて”空”を飛び、その美しさに感動する。

”サークル活動で空を飛ぶ”というと、「鳥人間コンテスト」に挑む『トリガール』(2017/英勉)を思い出します。土屋太鳳さん主演の実写版で、人力飛行機で琵琶湖の上を滑空してその距離や滞空時間を競うものでした。コンテストのテレビ番組を見ていたので、裏側が見られてとても面白かったのでした。
さて、こちらはアニメーション。グライダーで飛ぶ大学生たちを描いています。今まで知らなかったことが次々と目の前に現れるので、たまきと同じように魅了されました。倉持先輩はたまきの意外な素質に気づいて、バックアップします。ここで、贔屓するなとか邪魔が入りそうですが、天真爛漫なたまきの性格と開花していく才能でチームの一員になっていきます。
グライダーはエンジンがなく、上昇気流(サーマル)を捕まえてそれに持ち上げてもらい、上がることができます。その日の風、雲など周りの状況を観察して機体を操縦し、長い距離を飛んで着陸するまで安全に行われないといけません。ピーカンの青空だと強いサーマルが生まれますが、それは体感で捕まえるのだそうです。
新入部員になった気分で、青空に飛び出すのは閉塞感いっぱいのこの時期余計に心地よいです。アニメーションが作り出した浮遊感、ヴォイスキャストの元気な声をぜひ劇場でお楽しみください。(白)


東京で大学生になったら、サークルに入って、素敵な恋をして…。そんな思いで地方から上京した主人公に自分を重ねてしまう人も多いかもしれません。何かと文句をつけてくる1つ上の先輩、失敗も受け入れてくれる幹部学年の先輩、一緒に雑用をしながら絆を結んでいく同期。たまきの奮闘に共感しつつ、懐かしい大学生活を思い出し、当時は黒歴史だったことも、今となってはいい思い出になっていることに気がつくのではないでしょうか。(堀)

2022年/日本/カラー/103分
配給:東映
(C)2022「ブルーサーマル」製作委員会
https://blue-thermal.jp/
★2022年3月4日(金)公開
posted by shiraishi at 23:18| Comment(0) | 日本 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする