2022年02月20日

若手作家育成プロジェクト

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文化庁が主催する「短編映画製作等を通じた若手映画作家人材育成」(「ndjc:若手映画作家育成プロジェクト」)は、次代を担う若手映画作家の発掘と育成を目的に、映像産業振興機構(VIPO)が文化庁から委託を受けて2006年度より運営する人材育成事業です。具体的には、若手映画作家を対象として、ワークショップや製作実地研修をとおして作家性を磨くために必要な知識や本格的な映像製作技術を継承することに加え、上映活動等の作品発表の場を設けることで、今後の活動の助力となるよう支援します。

HP http://www.vipo-ndjc.jp/
pdfダウンロードはこちら

◆東京 
上映日時:2022年2月 25日(金)~3月3日(木)連日18:30〜
上映劇場:角川シネマ有楽町(map
入場料金(4本まとめて)
一般¥1,300円、学生・シニア¥1,100円(すべて税込)
※全席指定
※チケットは劇場HPまたは劇場窓口にてお求めください。

上映順
『遠くへいきたいわ』団塚唯我監督
『なっちゃんの家族』道本咲希監督
『LONG-TERM COFFEE BREAK』藤田直哉監督
『少年と戦車』竹中貞人監督

◆大阪
上映日時:2022年3月4日(金)~10日(木)連日18:00〜
上映劇場:シネ・リーブル梅田(map
入場料金ほかは東京と同様

◆名古屋
上映日時:2022年3月18日(金)~24日(木)連日18:00~
上映劇場:ミッドランドスクエア シネマ(map
入場料金ほかは東京と同様

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テアトルクラシックス第1弾「愛しのミュージカル映画たち」

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誰もが知る不朽の名作、密に人気を博す隠れた傑作を、東京テアトルのセレクションで贈るスペシャル・プRグラムが誕生。
往年の映画ファンには古き良き時代の思い出の作品を二谷スクリーンで堪能する喜びを、これまでN旧作に馴染みのなかった若い世代にはクラシック映画の素晴らしさをお届けします。

第1弾「愛しのミュージカル映画たち」

★2022年2月25日(金)より6作品を一挙上映!
公開劇場はこちら
詳細はHPでどうぞ
https://www.theatres-classics.com/

『若草の頃』(原題:Meet Me in St. Louis)
第17回 アカデミー賞(1945年)
脚色賞/撮影賞/作曲賞/歌曲賞 ノミネート
1944年|113分|アメリカ|カラー|スタンダード
監督: ヴィンセント・ミネリ
原作: サリー・ベンソン
脚色: アービング・ブレッチャー フレッド・F・フィンクルホフ
製作: アーサー・フリード
撮影: ジョージ・J・フォルシー
音楽: ジョージー・ストール
出演:ジュディ・ガーランド マーガレット・オブライエン メアリー・アスター ルシル・ブレマー トム・ドレイク

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セントルイスで万博が開催された20世紀初めの物語。裕福な銀行家の暮らしぶりや姉妹の衣裳が可愛い。『若草物語』のベス役で観客を泣かせたマーガレット・オブライエンがここではやんちゃな妹役で名子役ぶりを見せています。

『イースター・パレード』(原題:Easter Parade)
第21回 アカデミー賞(1949年)作曲賞受賞
1948年|103分|アメリカ|カラー|スタンダード
監督: チャールズ・ウォルターズ
原作: フランセス・グッドリッチ アルバート・ハケット
脚色: シドニー・シェルダン フランセス・グッドリッチ アルバート・ハケット
製作: アーサー・フリード 
撮影: ハリー・ストラドリング
作詞・作曲: アーヴィング・バーリン 
振付: ロバート・アルトン
出演:ジュディ・ガーランド フレッド・アステア ピーター・ローフォード アン・ミラー

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長年のパートナーに去られたダンサーのドンは、酒場で出会ったハンナを特訓する。ハンナは魅力を開花させ大人気のコンビとなった。ジュディ・ガーランドとフレッド・アステアの歌と踊りが楽しい作品。

『巴里のアメリカ人』(原題:An American in Paris)
第24回 アカデミー賞(1952年)
作品賞/脚本賞/撮影賞/作曲賞/美術賞/衣裳デザイン賞 受賞
1951年|113分|アメリカ|カラー|スタンダード
監督: ヴィンセント・ミネリ
脚本・原作: アラン・ジェイ・ラーナー
製作: アーサー・フリード 
撮影: アルフレッド・ギルクス
音楽: ジョージ・ガーシュウィン 
振付: ジーン・ケリー
出演:ジーン・ケリー レスリー・キャロン オスカー・レヴァント ジョルジュ・ゲタリー

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先日リメイクが公開された軽快で王道のミュージカル映画。可愛いパリ娘リズ役のレスリー・キャロンはバレリーナだったのが、ジーン・ケリーに見出されてこの作品でデビュー。この傑作ミュージカルの監督ヴィンセント・ミネリは、1945年にジュディ・ガーランドと結婚してライザ・ミネリを授かりましたが、5年後に離婚しています。

『紳士は金髪がお好き』(原題:Gentleman Prefer Blondes)
1953年|91分|アメリカ|カラー|スタンダード
監督: ハワード・ホークス
製作: ソル・C・シーゲル 
原作: ジョゼフ・フィルズ、アニタ・ルース 
撮影: ハリー・J・ワイルド
音楽: ライオネル・ニューマン、ジュール・スタイン
出演:ジェーン・ラッセル マリリン・モンロー チャールズ・コバーン

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姉御肌なジェーン・ラッセルが素敵、妹分のマリリン・モンローがとっても可愛くて目を奪われます。男性は頭のいい女よりおバカでセクシーな女が好き、と認識していた実は頭のいい女性。バックダンサーの中にまだ無名のジョージ・チャキリスがいます。右端。

『上流社会』(原題:High Society)
第29回 アカデミー賞(1957年)
作曲賞/歌曲賞 ノミネート
1956年|111分|アメリカ|カラー|アメリカンビスタ
監督: チャールズ・ウォルターズ
原作:フィリップ・バリー
脚色:ジョン・パトリック
製作:ソル・C・シーゲル 撮影:ポール・C・ボーゲル
音楽:コール・ポーター ジョニー・グリーン ソウル・チャップリン チャールズ・ウォルターズ
出演:ビング・クロスビー グレース・ケリー フランク・シナトラ ルイ・アームストロング

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離婚した若い妻(グレース・ケリー)に未練たっぷりな男(ビング・クロスビー)は、再婚する元妻を取り返したい。再婚相手はやきもき。上流階級の取材にやってくる記者をフランク。シナトラ、パーティのゲストにルイ・アームストロングとなんとも豪華。グレース・ケリーがモナコ王妃になる前に出演した最後の作品。どこから見ても美しい。

『ビクター/ビクトリア』
第55回 アカデミー賞(1983年)
歌曲・編曲賞 受賞 主演女優賞/助演男優賞/助演女優賞/脚色賞/衣裳デザイン賞 ノミネート
[1982年製作|133分|アメリカ|カラー|シネマスコープ|原題:VICTOR VICTORIA] 
監督・脚本:ブレイク・エドワーズ
製作:ブレイク・エドワーズ トニー・アダムス 美術: ロジャー・マウス 撮影: ディック・ブッシュ
音楽: ヘンリー・マンシーニ 振付: パディー・ストーン
出演:ジュリー・アンドリュース ジェームズ・ガーナー ロバート・プレストン レスリー・アン・ウォーレン

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ジュリー・アンドリュースが売れないオペラ歌手役。相棒になった芸人からのアイディアが大当たり。ゲイの「女装する男」として人気を博す。ところが愛する男性ができて、とややこしいコメディ。ジュリー・アンドリュースの歌やダンスがたっぷり。

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ゴヤの名画と優しい泥棒(原題:The Duke)

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監督:ロジャー・ミッシェル(『ノッティングヒルの恋人』『ウィークエンドはパリで』)
脚本:リチャード・ビーン、クライヴ・コールマン
撮影:マイク・エリー
出演:ジム・ブロードベント(ケンプトン・バントン)、ヘレン・ミレン(ドロシー・バントン)、フィオン・ホワイトヘッド(ジャッキー・バントン)、アンナ・マックスウェル・マーティン(グロウリング夫人)、マシュー・グード(ジェレミー・ハッチンソン)

197年の歴史を誇る美術館・ロンドン・ナショナル・ギャラリーで1961年、スペイン最大の画家と謳われるフランシスコ・デ・ゴヤの「ウェリントン公爵」盗難事件が起こった。この美術館の長い歴史の中で唯一にして最大の事件の犯人は、60歳のタクシー運転手ケンプトン・バントン。彼はゴヤの絵画を“人質”に取り、イギリス政府に対して身代金を要求。TVが唯一の娯楽だった時代、孤独な高齢者たちにはイギリスの公共放送であるBBCの受信料が重荷だった。彼らの生活を助けようと身代金で受信料を無料にしようと行動を起こしたと言う。しかし、事件にはもう一つの隠された真相があった。実話に基づく物語。

老夫婦を演じたイギリスの名優お2人の掛け合いが素晴らしい。実話のご本人たちにとても似ていて60年代の庶民になりきっています。小説執筆やモノ申すことに熱心な夫ケンプトンを支え、家政婦の仕事で暮らしを担う妻ドロシー。彼女に同情しつつ、当時のイギリスの庶民の暮らしぶりを興味深く観ました。頑なに見えるドロシーが抱えている悲しみも明らかになっていきます。
ほかの人が胸にしまっていることをケンプトンははっきりと口にして抗議します。おかげでパン工場を首になりますが。映画の山場である法廷場面での受け答えには大笑いでした。当時の裁判記録に基づいた台詞だそうなので、この楽天的なケンプトンのユーモアあふれる姿勢が評決に繋がったのではないかしらん。
60年前に彼が訴えた英国のBBCの受信料制度、今年の1月18日「見直しの時期にきている」と文化相(正確にはもっと長い名称)が表明しました。各国に影響がありそうですが日本のNHK受信料はどうなる??(白)


「事実は小説より奇なり」の諺を地でいくようなストーリーである。主人公のバントンは正しいと思ったことをすぐ口にする性格のせいで、妻ドロシーとも口論が絶えない。やることなすこと妻の機嫌を損ねて叱責される夫は、なかなかに痛ましい。盗んだ名画で身代金を得られれば人々を助けられると小躍りしたのも束の間、ひょんなことから計画が発覚して逮捕されてしまう。バントンの“正義”は報われないのか。観る側にフラストレーションが溜まりに溜まったところで、本作の見せ場である裁判シーンを迎える。ユーモアあふれるバントンの語りに法廷は笑いに包まれ、やがてその笑いによって、法廷が小さき者の存在に共感し、生きづらさを共有し、その勇気を称賛しようとする空気に変わっていく。裁判に集う人々の気持ちが一つに収斂していくさまは、感動的でさえある。
バントンは孤独な高齢者がテレビに社会とのつながりを求めていたと考えていた。現代のテレビ放送はそうした役割を果たせているか。テレビやNHKのあり方にも思いを巡らせる映画である。(堀)


実話に基づく物語で、記録に残っていた裁判記録からケンプトンの日常の人物像も描いたのでしょう。喋りが過ぎ、呆れられたり、仕事をクビになったりのケンプトンですが、本人はおおまじめに正義の味方。パキスタン人の若い同僚が休憩時間のことで差別された時には、「誰にも私の心を土足で踏みにじらせない」と、マハトマ・ガンディの言葉を語ります。
ワーテルローの戦いで勇敢に戦ったウェリントン公爵の絵を英国が取り戻したというニュースを見て、「彼は普通選挙に反対した人物」とつぶやくケンプトン。しかも、「あの絵の代金を払ったのは我々納税者。上流のやつらはやりたい放題」と不服なのです。
同じような事例は、日本にもたくさんありそうです。血税を、まるで自分のお金のように、無駄遣いするお上。例えば、アベノマスク。最初の発想にも驚きましたが、その後の保管料に廃棄料、さらには引き取ってくれる人への発送料! ケンプトン見習って、声をあげなくちゃ! (咲)



2020年/イギリス/カラー/シネスコ/95分
配給・宣伝:ハピネットファントム・スタジオ
(c)PATHE PRODUCTIONS LIMITED 2020
公式サイト:happinet-phantom.com/goya-movie/
公式Twitter:@goya_movie #ゴヤの名画と優しい泥棒
★2022年2月25日(金)TOHOシネマズシャンテほかロードショー
posted by shiraishi at 16:16| Comment(0) | イギリス | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

選ばなかったみち(原題:The Roads Not Taken)

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監督・脚本:サリー・ポッター
撮影:ロビー・ライアン
音楽:サリー・ポッター
出演:ハビエル・バルデム(レオ)、エル・ファニング(モリー)、ローラ・リニー(リタ)、サルマ・ハエック(ドロレス)

メキシコ人移民の作家のレオは若年性認知症を患い、誰かの助けなしには生活できなくなっていた。通いのヘルパーと離婚した元妻との娘モリーが訪ねてくれるが、徐々に意思疎通も困難になっている。モリーは職場に遠慮しながら、父親に付き添って病院へと急ぐ。娘と同じ時間を過ごしながら、レオの脳裏をめぐるのは現実世界ではない。かっての初恋の相手、ドロレスの面影と故郷の風景ばかり。あのとき別れなければ、どうなっていたのか、自分は妻と娘を犠牲にしていたのか、と幻想は止まらない。

サリー・ポッター監督が自身の弟を介護した経験をもとに脚本を執筆、映画化されました。父親レオの脳内での幻想風景と、現実を生きる娘モリーの24時間のストーリーです。選ばなかった道、は混乱するレオが過去の幻想の中で逡巡する道です。ああしていたら、こうしていたらというのは、現実世界の中でも思うことですが、日々の暮らしの中でしょっちゅう浮かぶわけではありません。
現実世界から浮遊しているレオはずっとその中にいて、そんな父親を理解し支えようとするモリーの負担はとても大きいのです。ことにその日は、モリーにはとても大切な仕事がありました。何度も職場に電話をかけるモリーが痛々しく、愛情はわかったからもう少し他人の手を借りたらいいのにと思ってしまいました。
若年性認知症はその字のとおり、年齢に関わらず若い人にも起こります。動脈硬化を起こさないように、ストレスや疲労を貯めないようにするくらいしか予防を思いつきません。難しい主題を初共演で演じたハビエル・バルデムとエル・ファニングに泣かされました。(白)


第70回ベルリン国際映画祭(コンペティション部門 出品)

2020年/イギリス・アメリカ合作/カラー/シネスコ/86分
配給:ショウゲート
(c) BRITISH BROADCASTING CORPORATION AND THE BRITISH FILM INSTITUTE AND AP (MOLLY) LTD. 2020
https://cinerack.jp/michi/
https://www.facebook.com/showgate.youga/
★2022年2月25日(金)ロードショー

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ドリームプラン(原題:King Richard)

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監督:レイナルド・マーカス・グリーン
脚本:ザック・ベイリン
撮影:レイナルド・マーカス・グリーン
出演:ウィル・スミス(リチャード)、アーンジャニュー・エリス(オラシーン)、サナイヤ・シドニー(ビーナス)、デミ・シングルトン(セリーナ)、トニー・ゴールドウィン(ポール・コーエン)、ジョン・バーンサル(リック・メイシー)

リチャード・ウィリアムズはプロテニスプレイヤーが多額の賞金を手にしたのを見て、自分の子どもを世界最強のプレイヤーに育てようと夢みる。看護師の妻オラシーンとの間に4人の娘たちに恵まれた。テニス未経験のリチャードだったが、娘たちが生まれる前に世界チャンピオンにするための78ページもの企画書=ドリームプランを書き上げ、愛妻と共に娘たちを特訓する。ビーナスとセリーナの才能を信じたリチャードは、その無謀なプランを胸に、すでに自分たちの指導では物足りなくなった2人のためにコーチを探し回る。

ウィル・スミスが映画化を熱望した”実話”から生まれた物語です。本当にこういうパパがいたんだ、と驚きますが、世界最強のテニスプレイヤー、ビーナス&セリーナ姉妹がその証拠。周りからの非難や顰蹙を買いながらも、娘たちの可能性を信じてひるむことがありません。何人もの名コーチと呼ばれる人を訪ね歩きますが、コーチ料も払えないのがわかるとけんもほろろに追い返されます。
ビーナスとセリーナの才能を見抜いたコーチによって、2人は困難を乗り越えながら、成功の階段を上がっています。
家族映画としてもスポ根ものとしても、面白く観られます。製作・主演のウィル・スミスは、アクションもコメディにおいてもトップスターですが、こういうヒューマンドラマに一番はまります。癖の強いお父さんを見てくださいな。(白)


2021年/アメリカ/カラー/シネスコ/144分
配給:ワーナー・ブラザース映画
(C)2021 Warner Bros. Entertainment Inc. All Rights Reserved
https://wwws.warnerbros.co.jp/dreamplan/
★2022年2月23日(水・祝)ロードショー
posted by shiraishi at 15:10| Comment(0) | アメリカ | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

金の糸  原題:OKROS DZAPI 英語題: GOLDEN THREAD

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©️ 3003 film production, 2019

監督・脚本:ラナ・ゴゴベリゼ
撮影:ゴガ・デヴダリアニ
音楽:ギヤ・カンチェリ
出演:ナナ・ジョルジャゼ、グランダ・ガブニア、ズラ・キプシゼ

トビリシ旧市街の古い家。石畳の道を見下ろす部屋。
“失われた時を求めて・・・”
作家のエレネはパソコンに向かい、人生を振り返る。
今日は彼女の79歳の誕生日。だが、一緒に暮らしている娘夫婦は忘れている。それどころか、娘ナトから姑のミランダにアルツハイマーの症状が出始め、一人住まいは心配なので、この家に連れてくると告げられる。
エレネはミランダが来るなら自分が彼女に家に移ると言い張る。ソ連時代に政府高官だったミランダには苦い思い出があるのだ。
そんな折、60年前の恋人アルチルから誕生日を祝う電話がかかってくる。かつてのように野の花を届けたいと。石畳の通りで朝までタンゴを踊った若き日を思い出す二人。
「妻を亡くし、君しか話し相手がいない」と、その日以来、折に触れて電話してくるアルチル。
一方、引っ越してきたミランダとの暮らしは、エレネの心をかき乱す。
テレビ出演したアルチルを見て、「昔、私に思いを寄せていた青年」というから、エレネはさらに面白くない。
自分と同じ名前の曾孫のエレネに、「金継ぎ」アート作品を壁に飾りながら、陶磁器の破損部分を金色に仕上げる日本の伝統的な修復技法を説明し、自分の過去の確執も修復したいと語る・・・

大粛清もあったソ連時代を経て、独立したジョージア。エレネはソ連政府の高官だったミランダから著書の出版禁止を言い渡され、その後、書けないでいたことをミランダにぶちまけます。小さな人形を作りながら、曾孫に、「私のお母さんが流刑中に作っていたのよ」と語るエレネ。
本作を91歳で紡いだラナ・ゴゴベリゼ監督。母ヌツァ・ゴゴベリゼは1934年に『ウジュムリ』を製作したジョージア最初の女性監督。父レヴァンは1937年の大粛清で処刑され、母も10年もの間、流刑されています。残されたラナは孤児院を経て、おばに引き取られ、成長後、強制収容所から帰還した母と再会。そんな過去も本作に反映されています。
トビリシの趣のある旧市街の家で、ゆるやかに語られる本作。2019年に亡くなった世界的作曲家ギヤ・カンチェリによる音楽が、静かに奏でられ、過去へのさまざまな思いにいざなわれました。
ジョージア映画祭2022で、ラナ・ゴゴベリゼ監督の『インタビュアー』(1978年)が上映され、観ることができました。妻であり母でありながら新聞記者として、様々な女性たちに取材するソフィコ。夫には家を留守にすることの多い仕事を辞めないからと浮気され、上司からは、出張のないポジションを提示されます。女性が本領を発揮できない家父長社会でもがく姿が鮮やかに描かれていました。
エレネを演じたナナ・ ジョルジャゼは、『インタビュアー』でインタビューを受ける女性の一人を演じていました。女優だけでなく、衣装や美術などで様々な映画に関わり、1979年に『ソポトへの旅(Mogzauroba Sopotshi)』で監督デビューもしているジョージアを代表する女性監督の一人。心に葛藤を抱えたエレネを素敵に演じています。(咲)



☆ラナ・ゴゴベリゼ監督メッセージ☆
公開を前に、93歳のラナ・ゴゴベリゼ監督より、今年で閉館となる岩波ホールと観客に向けたメッセージが届きました。

岩波ホールにはたくさんの思い出があります。80年代に私の映画『インタビュアー』を上映してくださったこと、その後『転回』が東京国際映画祭に選ばれて来日した際(その時の審査委員長はグレゴリー・ペックでした!)、温かく歓迎してくださったこと、私はその時、監督賞をいただいたのですが、当時、岩波ホールの総支配人だった髙野悦子さんが、私以上に喜んで、二人で抱き合って喜んだことが今でも思い出されます。映画への情熱が身体中から溢れ出ているような、忘れられない女性でした。歳をとると、かつての知人たちが次々にいなくなっていくものです。けれど、何歳になっても新しい出会いはあります。『金の糸』が日本で、若い世代の方たちとも出会えることを楽しみにしています。


◆ラナ・ゴゴベリゼ監督オンライン舞台挨拶
日時:2/26(土)13:00の回&15:30の回上映後
会場:岩波ホール

◆『金の糸』上映後トーク
スケジュール:※すべて13:00の回上映後
3/3(木)加藤登紀子さん(歌手)
3/10(木)はらだたけひでさん(画家・ジョージア映画祭主宰)①
3/17(木)ティムラズ・レジャバさん(駐日ジョージア大使)
3/24(木)はらだたけひでさん②
3/31(木)はらだたけひでさん③
4/7(木)五月女颯さん(ジョージア文学・批評理論研究)
4/14(木)廣瀬陽子さん(慶応大学教授・コーカサス地域研究)


2019年/ジョージア=フランス/91分
字幕:児島康宏
配給:ムヴィオラ
©️ 3003 film production, 2019
公式サイト:http://moviola.jp/kinnoito/
★2022年2月26日(土)より東京・岩波ホールほか全国順次公開




posted by sakiko at 11:40| Comment(0) | ジョージア | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする