2022年01月27日
ミラクルシティコザ
監督・脚本:平一紘
撮影:砂川達則
⾳楽プロデューサー:横澤匡広
⾳楽:Chris
主題歌:ORANGE RANGE「エバーグリーン」
特別協⼒:ジョージ紫、”紫(MURASAKI)”
出演:桐⾕健太(ハル/過去)、⼤城優紀(マーミー)、津波⻯⽃(翔太)、⼩池美津弘(ハル/現代)、津波信⼀(比嘉)、 神崎英敏(辺土名)、アカバナー⻘年会(平良)、渡久地雅⽃(比嘉/過去)、⼭内和将(辺土名/過去)、⽟代勢圭司(平良/過去)、⼭城智⼆(たつる)
沖縄市コザ。カフェの息子翔太は怠惰な日々を送り、「家を出て仕事しろ」と父に叱られている。コザはかつて米兵たちで賑わい、翔太の自慢のおじいちゃんハルは当時超人気のロックンローラーだった。バンド”インパクト”はずっと以前に解散して、祖父と父は折り合いが悪い。その祖父が交通事故で亡くなってしまった。祖父のようにモテたかった翔太が悲嘆にくれていると、死んだはずのハルが現れる。驚く翔太にハルは「未練がある。身体を交換してくれ~!」と突進してきた。身体をハルに乗っ取られた翔太の魂は、1970年にタイムスリップして、ライブ中のハルの身体に入ってしまう。誰も話を信じてくれずヤクザに絡まれる。ベトナム戦争特需に沸く50年前のコザは驚くことばかりだった。
おじいちゃんと孫の身体の入れ替わり+タイムスリップという設定で面白さ2倍。いや、それにコザと伝説のロックバンドの歴史が絡んでいますので、ふんだんに流れるロックに酔って+コザの歴史に胸をつまらせるという、いろいろとお得感のある作品です。70年代に沖縄ばかりか、日本中のロックファンを熱くした伝説のバンド”紫”を作ったジョージ紫さんと、現メンバーが全面協力。当時のエピソードを盛り込んだほか、曲を提供し新しく演奏しなおしています。みなさん現役なんです。すごい!
コザで生まれ育った平一紘(たいらかずひろ)監督は、コメディ仕立てでコザの昔と今、その中で生きた人たちを愛情をもって描き出しました。桐⾕健太さんと津波⻯⽃さんは、ハルと将太の本来の自分と、入れ替わった後の2人分を演じるので、その差に爆笑です。脇で支えるのは沖縄で活躍する方々。さまざまなわだかまりがとけてラストに向かうストーリーに胸がいっぱいになります。(白)
●第3回「未完成映画予告編大賞MI-CAN」グランプリ受賞して映画化されました。
受賞した予告編はこちら。
2022年/日本/カラー/シネスコ/119分
配給:ラビットハウス
(C)2021 Office Crescendo
公式サイト:https://miraclecitykoza.com
公式 Twitter・Instagram:@miraclecitykoza
★2022年2月4日(金)ロードショー
355(原題:THE 355)
監督:サイモン・キンバーグ
脚本:テレサ・レベック、サイモン・キンバーグ
出演:ジェシカ・チャステイン(メイス)、ペネロペ・クルス(グラシエラ)、ファン・ビンビン(リン)、ダイアン・クルーガー(マリー)、ルピタ・ニョンゴ(ハディージャ)、エドガー・ラミレス(ルイス)、 セバスチャン・スタン(ニック)
南米で開発されたデジタル・デバイスが盗まれ、闇マーケットに流出しようとしていた。この情報を入手したCIAは最強の女性エージェントのメイスと同僚のニックをただちにパリに向かわせた。取引現場で接触しようとしたとき、邪魔が入って国際テロ組織の殺し屋の手に渡ってしまう。メイスは敵対したドイツの秘密工作員マリー、イギリスのサイバー・インテリジェンスの専門家ハディージャ、コロンビア諜報組織の心理学者グラシエラと手を組むことにした。4人は敵をかわしながらデバイスの行方を追ってパリからモロッコへ、そして闇マーケットが開かれる上海へと飛ぶ。そこには中国人エージェント、リンがいた。
『355』とはアメリカ独立戦争時に、イギリス軍の機密情報をアメリカ将校たちに伝えた実在の女性からきているそうです。そのコードネームが「355」、正体は不明のままですが、彼女の成果はいまだ忘れられていません。現在諜報のプロである女性たちは、互いを「355」と言うことがあるのだとか。本作を立案し、プロデューサー兼主演のジェシカ・チャスティンが「認識されていない女性たちへの敬意と感謝」を表明したというタイトルは、各国を代表する女優陣が終結したこの作品にぴったりです。
5人にはそれぞれ特技があり、よくある男性の助手や守られる女性ではありません。格闘術を得意とするCIAのメイス、ドイツ人のマリーも男性に負けないタフさ、天才的なハッカーのイギリス人ハディージャ。闘いは専門外でも心理戦と度胸のグラシエラには夫と2人の子があり、なんとしても帰りたいのです。最後に登場するリンは中国武術や医術を身に着けています。ここぞというときに発揮される彼女たちの技に、おお~!と感嘆しました。パリのストリート、モロッコ・マラケシュの賑やかな市場など、身体をはったアクションの背景にもご注目を。(白)/span>
明らかに台北の街なのに、上海と言われても・・・と思ったのですが、本物と思ったモロッコのマラケシュの混沌とした広場が、実はロンドンに作った本物そっくりのセット。映画ですねぇ。
本作の発端は、2017年のカンヌ国際映画祭の時に審査員を務めたジェシカ・チャスティンが、リビエラ海岸の街中に貼られていた近日公開のアクション映画のポスターのほとんどが男性だと気づき、女優たちが役作りにも主体的に関わる映画を作りたいと思ったこと。よくぞ、これだけ豪華な個性的な女優たちを集めたものです。底力を見せつけてくれました。(咲)
2022年/イギリス/カラー/スコープ/122分/PG-12/字幕翻訳:チオキ真理
配給:キノフィルムズ
提供:木下グループ
©2020 UNIVERSAL STUDIOS. ©355 Film Rights, LLC 2021 All rights reserved.
https://355-movie.jp/
★2022年2月4日(金)TOHOシネマズ 日比谷ほか全国ロードショー
●プロデューサー・主演のジェシカ・ジャスティンのインタビュー動画はこちらです。
ポスト・モーテム 遺体写真家トーマス(原題:Post Mortem)
監督・脚本:ピーター・ベルゲンディ
撮影:アンドラーシュ・ナギー
出演:ヴィクトル・クレム、 フルジナ・ハイス、 ガブリエラ・ハモリ、 ユディット・シェル
トーマスは第一次世界大戦で爆風で瀕死の重傷を負った兵士。ある老人に助けられ、帰還して”遺体写真家”として生計をたてる。死者を埋葬する前に、生前のように再現して遺族と撮影するもので最後の写真が残ると遺族に喜ばれていた。ある日、怖がることなくその仕事ぶりを見る少女アンナと、彼女の村に向かうことになった。流行りのスペイン風邪で亡くなった多くの村人が、厳しい寒さで土が凍り、埋葬できないまま腐敗もせずに横たわっていた。何人かを望み通りに撮影するが、現像するとそこには不審な影が映っている。村では悪霊のせいだと言われる現象が続いていて、トーマスはその解明に乗り出す。
アカデミー賞国際長編映画部門ハンガリー代表作品。ハンガリーの映画というと、タル・ベーラ監督が浮かびます。ほかに作品では『サウルの息子』『心と体と』でしょうか。国の代表作品にホラー作品?と思いましたが、死体や怨霊は登場するものの、理不尽に命を奪われた死者や遺族の悲しみが迫ってくる物語でした。遺体と一緒に写真を撮るというのも、実際に庶民の間で行われていたことなのだそうです。
第一次世界大戦直後に流行したスペイン風邪は世界中に蔓延し、多くの人々が亡くなりました。アンナに導かれて、トーマスはたくさんの死者と対面します。中に風邪が原因ではない遺体を見つけて、その謎解きが始まります。
陰鬱な画面の中で孤児のアンナが可愛らしく、ほっとします。数少ない協力者の未亡人役の方も凛として、きっと有名な女優さんなのでしょう。モノクロかと思うような沈んだ色彩ですが、ほぼ100年前の寒村の暮らしや風景の映像が美しいです。遺体や怨霊役の俳優さんの演技にご注目を。「このロケ地は観光名所(センテンドレ市の野外博物館)で、別の季節はとても美しいところです」と、ハンガリー大使からのコメントより。(白)
2020年/ハンガリー/カラー/116分
配給:プレシディオ
©SZUPERMODERN STÚDIÓ
「未体験ゾーンの映画たち2022」
https://ttcg.jp/movie/0816900.html
https://twitter.com/htc_shibuya
★2022年2月4日(金)よりヒューマントラスト渋谷にて上映
*スケジュールをHPでお確かめのうえお出かけください。
監督とプロデューサーからのメッセージと予告編はこちら