2022年01月22日

きみは愛せ

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監督・脚本:葉名恒星
撮影:島大和
出演:海上学彦(慎一)、細川岳(岩田朋希)、兎丸愛美(岩田凛)、高野春樹(上野弘志)、田中爽一郎(竹内良太)、白子(麻美)

とある地方の小さな町。リサイクルショップで働く慎一は、毎日を生きるだけで自分にも将来にも欲がない。ルームメイトの朋希は雀荘で働き「愛だよ、愛」が口癖で同居の慎一に遠慮することもなく、女を家に連れてくる。慎一は朋希の妹 凛に片想いしているが積極的に出るわけでもない。凛は「結婚するなら慎さんみたいに優しい人がいい」と言いながら不倫中で、男に都合のいい女になっている。

”期待の新人監督スカラシップ”第1回作品。『愛うつつ』(2021) の葉名恒星(はなこうせい)監督が細川岳と続けてタッグ。『佐々木、イン、マイマイン』で強烈な印象を残した細川岳さんが、笑いながら「愛だよ、愛」と、手あたり次第に女に手を出しています。しかしそれは忘れられない人がいる裏返しの渇望。三者三様の不毛な愛はどこに行きつくんでしょう?同世代の、愛を求めてあがく人たちは共感するはず。恋する痛みも儚さも遥か遠くに感じる年頃になると、そんな感覚もまぶしいような気がします。若いっていいねぇ。一瞬ですよ、悩め若者たちよ。(白)


2021年/日本/カラー/シネスコ/103分
配給:映画の会
(C)2020「きみは愛せ」製作委員会
https://www.eiganokai.com/kimiaise/
★2022年1月28日(金)ロードショー
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殺すな

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監督:井上昭
原作:藤沢周平「橋ものがたり」
脚本:中村努
撮影:南野保彦
音楽:遠藤浩二
出演:中村梅雀(小谷善左エ門)、柄本佑(吉蔵)、安藤サクラ(お峯)、中村珠緒(おはな)、本田博太郎(利兵衛)

長屋で筆作りをしている浪人の小谷善左エ門は、船頭の吉蔵から一緒に暮らしているお峯の様子を見ていてくれと頼まれる。2人は元船宿の女将と抱え船頭だったが、密通した挙句駆け落ちしてきたのだった。初めの熱も冷めてきたお峯は、隠れ住むのに飽いてきて毎日のように橋のたもとに佇んでいる。橋を渡って向こうで気晴らしをしたいのだ。吉蔵はお峯が元の亭主のところに戻ってしまうのでは、と心配で仕方がない。
小谷善左エ門はお峯に筆作りを手伝わせながら、昔、自分が妻を手にかけたことを悔いていると打ち明ける。

長屋住まいの人々の人情話は多いですが、こちらは物悲しい空気が漂います。過去を悔いて生きる浪人を中村梅雀さん。妻が残したおさえ帯を大切にそばに置いています。現代ものにもよく出演されますが、やはり時代劇では姿勢と立居ふるまいの美しさが際立ちます。柄本佑さんと安藤サクラさんは駆け落ちしてきた二人ですが、実際にご夫婦です。この設定にどう臨んだのでしょう。お峯さんがたいへんに色っぽくて、これは片時も目が離せなくなるね、と吉蔵に同情してしまいます。

藤沢周平原作の「橋ものがたり」のうちの一篇。時代劇専門チャンネルでは藤沢周平の原作を多数映像化しています。2022年2月1日に初放送するのに先駆けて1月28日から劇場上映します。大きな画面で井上昭監督の最後の時代劇をご覧ください。井上監督は1月9日93歳で亡くなられました。(白)


2021年/日本/カラー/シネスコ/52分
配給:イオンエンターテインメント
(C)「殺すな」時代劇パートナーズ
https://www.jidaigeki.com/korosuna/
★2022年1月28日(金)イオンシネマにてロードショー

posted by shiraishi at 23:22| Comment(0) | 日本 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

アダムス・ファミリー2 アメリカ横断旅行!(原題:The Addams Family 2)

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監督:グレッグ・ティアナン、コンラッド・ヴァーノン
声の出演:生瀬勝久(ゴメズ)、杏(モーティシア)、二階堂ふみ(ウェンズデー)、堀江瞬(パグズリー)、京田尚子(バァバ)、秋山竜次(フェスター)、大塚明夫(ラーチ)、森川智之(サイラス・ストレンジ)

ウェンズデーは夏休み恒例の自由研究発表会で当然優勝を狙っている。フェスターおじさんにペットのタコ”ソクラテス”の特性を移植する実験を披露したが、順位をつけず全員入賞という結果になってがっかり。主催者のサイラス・ストレンジに共同研究を提案されるが「家族の秘密だから」と断った。
思春期を迎えたからか、家族との食卓にも姿を見せないウェンズデー。娘を心配したパパのゴメズは家族旅行に出かけることにした。火葬炉つき特製キャンピングカーでアメリカ横断の旅が始まった!ナイアガラの滝、マイアミビーチ、グランドキャニオンと騒動を巻き起こしながらアダムス一家は進む。家族の絆は期待通り深まるのか?

2020年9月に公開された『アダムスファミリー』の第2弾。今回は娘のウェンズデーを中心に、どこの家庭でも起こりうる(?)成長過程の子どものストーリーが展開します。自分の存在に疑問を抱くウェンズデー、爆発実験が大好きな息子のパグズリーも恋する年頃になりました。助言するのが今もって独身のフェスターおじさんというのが、頼りないところです。家族が出かけた留守を守るバァバがほくそ笑んでいるのがなんとも怪しい。キャンピングカーを付け狙う車はもっと怪しい。何が起こるのかお楽しみに。
それにしてもお姉ちゃんは弟にもう少し優しくしてあげてほしいです。
キャラ立ちまくりの一家に声をあてているスターたちにもぜひ注目を。試写は日本語吹き替え版でした。
ゴメズの従兄のエンタテイナー、カズン・イット役にスヌープ・ドッグが出演。(白)


2021年/アメリカ/カラー/93分
配給:パルコ ユニバーサル映画
(C)2021 Metro-Goldwyn-Mayer Pictures Inc. All rights reserved.
https://www.universalpictures.jp/micro/addams-family-2
★2022年1月28日(金)ロードショー

posted by shiraishi at 23:20| Comment(0) | アメリカ | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

前科者

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監督・脚本:岸善幸
原作:香川まさひと(原作)、月島冬二(作画)
撮影:夏海光造
音楽:岩代太郎
出演:有村架純(阿川佳代)、森田剛(工藤誠)、磯村勇斗(滝本真司)、若葉竜也(実)、マキタスポーツ(鈴木充)、石橋静河(斉藤みどり)、北村有起哉(高松直治)、宇野祥平(店長)、リリー・フランキー(遠山史雄)、木村多江(宮口エマ)

阿川佳代28歳。いたって平凡なコンビニ店員で生計を立てるほか、もう一つの仕事を掛け持ちしている。元受刑者の更生を助ける”保護司”という仕事で、非常勤の国家公務員だが報酬は一切ないボランティア。保護司3年目となった佳代は、次々と問題を起こす前科者たちをあるときは厳しく叱り、あるときは優しく励まして寄り添い続けている。新しく担当になったのは殺人を犯して服役していた工藤誠。佳代は全力で支え、工藤も真面目に勤めていた修理工場に正社員として登用されることも決まって楽しみにしていた。しかし、保護観察の終了直前に工藤は忽然と姿を消してしまう。連続殺人事件の容疑者として、マークされていたのだった。

保護司という仕事の詳細をこの映画で初めて知りました。人生経験を積んだある程度の年齢の方が担うのかと思っていたら、佳代は28歳です。なぜ保護司になったのかは後で明らかになりますが、諦めない強い意志が必要な仕事のようです。罪を犯してしまった「前科者」が刑期を終えて社会復帰を目指すには、いろいろな困難が待ち構えています。保護司はその相談にのり、彼らを支える役割です。研修もあるとはいえ誰でも気軽にはできないですね。有村架純さんの明るさとひたむきさがよく似合っています。
原作は同名の人気漫画。WOWOWで2021年11月に全6話の連続ドラマが放映されました(Amazonプライムで視聴できます)。ドラマ版では佳代が出逢う何人かの詳細がわかります。映画版はオリジナルストーリーで、森田剛演じる自動車修理工の工藤とその周囲の人々にフォーカスしています。森田さんと言えば『ヒメアノ~ル』(2016)での好演を今も思い出します。若葉竜也さん、石橋静河さんのこれまでと全く違う表情にも感嘆。
この映画では加害者と被害者、それぞれの抱える過去の傷や、あってほしい未来、他者を許すということ、などなど多くのものが観た後に残りました。佳代さんのその後が観たいです。(白)


*保護司とは*
保護司法、更生保護法に基づき、法務大臣から委嘱を受けた非常勤の国家公務員。犯罪や非行に陥った人の更生を任務とする、活動内容に応じて実務弁償金が支給されるが、給与は支給されず、民間のボランティアによって成り立っている。
保護司法の第1条には、保護司の使命が次のように掲げられている。
「保護司は、社会奉仕の精神を持って、犯罪をした者の改善及び更生を助けるとともに、犯罪の予防のため世論の啓発に努め、もって地域社会の浄化をはかり、個人及び公共の福祉に寄与することをその使命とする」(HPより)


2022年/日本/カラー/シネスコ/133分
配給:日活、WOWOW
(C)2021 香川まさひと・月島冬二・小学館/映画「前科者」製作委員会
http://zenkamono-movie.jp/
★2022年1月28日(金)ロードショー

posted by shiraishi at 23:00| Comment(0) | 日本 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

バイオハザード ウェルカム・トゥ・ラクーンシティ(原題:Resident Evil: Welcome to Raccoon City)

 
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監督・脚本:ヨハネス・ロバーツ
出演:カヤ・スコデラリオ、ハナ・ジョン=カーメン、ロビー・アメル、トム・ホッパー、アヴァン・ジョーギア、ドナル・ローグ、ニール・マクドノー

製薬会社アンブレラ社の拠点があるラクーンシティ。
この街の養護施設で育った主人公クレア・レッドフィールド(カヤ・スコデラーリオ)は、アンブレラ社がある事故を起こしたことで、街に異変が起きていると警告する不可解なメッセージを受け取り、ラクーンシティへと戻ってきた。
R.P.D.(ラクーン市警)の兄クリス・レッドフィールド(ロビー・アメル)はクレアの言うことをありえない陰謀論とあしらうが、やがて二人は街中を彷徨う住民たちの変わり果てた姿を目の当たりにする。次々と襲い掛かってくる住民たち。
そんな中、アンブレラ社が秘密裏に人体実験を行ってきたことが徐々に明らかになっていく…。

『バイオハザード』といえば、2002年にミラ・ジョヴォヴィッチ主演で製作され、その後人気シリーズになった一連の作品を思い浮かべる方が多いかと思いでしょう。CAPCOMという日本のゲームメーカーが作ったゲームを原作としたアクションホラー映画シリーズで、アクションの側面が強く作られていました。
一方、本作はゲームの原点であるホラーに回帰した作品に仕上げられています。ゲームをやったことがある人の話ではゲームシリーズの1・2作目のストーリーに忠実であるとのこと。しかし、ゲームを全く知らなくても問題ありません。物語性が強く、クレアやクリス、ジル、レオンそれぞれの内面がしっかり描かれ、群像劇の様相を呈しているのです。
しかも、ホラーの要素がかなり強く、夜の孤児院シーンはハラハラドキドキが止まりません。ミラ・ジョヴォヴィッチ版バイオハザードのことはいったん忘れて、新しい作品として楽しんでください。(堀)


2021年/107分/PG12/アメリカ
配給:ソニー・ピクチャーズエンタテインメント
公式サイト:https://bd-dvd.sonypictures.jp/residentevilraccooncity/
★2022年1月28日(金)ロードショー
posted by ほりきみき at 00:00| Comment(0) | アメリカ | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする