2021年11月20日

COME & GOカム・アンド・ゴー(英題:COME AND GO)

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プロデューサー・監督・脚本・編集 : リム・カーワイ 
エグゼクティブプロデューサー : 毛利英昭 / リム・カーワイ 
撮影:古屋幸一
録音・整音:松野泉 
美術:藤原達昭
音楽:渡邊崇 
衣裳:碓井章訓
出演: リー・カーション、リエン・ ビン・ファット、J・C・チー、モウサム・グルン、ナン・トレイシー、ゴウジー、イ・グァンス、デイヴィッド・シウ、千原せいじ、渡辺真起子、兎丸愛美、桂雀々、尚玄、望月オーソン

大阪キタの古いアパートで独り暮らしの老女の白骨死体が見つかった。孤独死なのか事件なのか警察は事情聴取を行っている。この狭い地域にも近隣国からの観光客、ビジネスマンがやってくる。刑事は妻とむつまじく暮らしているつもりだったが、妻には妻の生活があった。中国と台湾の観光客は言葉は通じても、政治の話で口論になる。将来を夢見て日本に来た難民や留学生、実習生は日々の仕事に追われ、親が病気でも帰国さえ叶わない。今日も一人いなくなった。それぞれが事情を抱えて行ったり来たりの3日間。

キタに暮らしている人、出没する人たちの群像劇。「ドリフター(漂流者)」と自称するリム・カーワイ監督の交流の広さと人脈が見えてくるようなキャストです。それまで監督が観たり聞いたりしたことがたくさん詰まっているんじゃないかしら。作劇は殆ど即興に近く、俳優たちは自分の台詞のところしか知らないので、作品が出来上がって初めて「こういうストーリーだったのか!」とわかったそうです。
2020年の東京国際映画祭で上映されたときのご挨拶で、俳優の一人として登壇された雀々師匠が「今日は自分(がどこに出ているか)探しに来ました」と言われたのがおかしくて忘れられません。またとってもマメなリム監督が、ロケや俳優の宿泊、移動の手配など自らやってしまうので、渡辺真起子さんからは「そういうのは他の人に任せて監督の仕事をやってください(笑)」。↓の写真はその時のものです。(白)


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林家威(リム・カーワイ)監督とは、あちこちの映画祭で出くわす。山形国際ドキュメンタリー映画祭、大阪アジアン映画祭、東京国際映画祭、東京フィルメックスと各映画祭に行くと必ずいる(笑)。拠点は大阪なのかマレーシアなのか知らないけど、日本中あちこちの映画祭に出没する。ということは私もあちこちの映画祭に出没しているのだけど。もちろんリム監督は私のことは知らないだろうけど、いつも映画祭で会う人として会釈くらいは交わす。そんな監督の国際的な漂流者としての生き方をいつもうらやましく思ってもいる。そんな監督のことを“シネマドリフター(漂流者)”というらしい。今回、そういう呼び方を初めて知った。
そして、監督の作品、半分以上は観ていると思うけど、実は私はリム監督の作品、混沌としすぎて、なかなか理解ができていない。今回のこの作品も、リム監督が出会った、アジア各国の俳優を大阪に呼んでの即興に近く、ストーリーがあるのかないのか、こういう作品を好きな人は好きなのでしょうが、私はちゃんとストーリーがある作品が好きなので、イメージ映画みたいのはあんまり好きじゃない。でも、彼の生き方はすごいと思っている。こういう方が、いろいろな文化の中で、いろいろなコラボレーションを作り出していくのでしょう。それにリム監督だからこそできる映画キューレーターとしての役割。年末の「香港映画祭2021」も楽しみにしています(暁)。


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2017年香港インディペンデント映画祭でのリム・カーワイ監督(右端)

2020年/日本・マレーシア合作/カラー/シネスコ/158分
配給: リアリーラィクフィルムズ / Cinema Drifters 
©️ cinemadrifters
https://www.reallylikefilms.com/comeandgo
★2021年 11月19日(金)より、ヒューマントラストシネマ渋谷絶賛公開中、ほか全国順次公開

posted by shiraishi at 00:00| Comment(0) | 日本 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする