2021年10月03日

スターダスト(原題:STARDUST)

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監督:ガブリエル・レンジ
脚本:スリスターファー・ベル、ガブリエル・レンジ
出演:ジョニー・フリン(デヴィッド・ボウイ)、ジェナ・マローン(アンジー・ボウイ)、マーク・マロン(ロブ・オバーマン)、デレク・モラン(テリー)、アーロン・プール
“the story of the young David Bowie”
1971年、「世界を売った男」をリリースした24歳のデヴィッドはイギリスからアメリカへ渡り、マーキュリー・レコードのパブリシスト、ロブ・オバーマンと共に初の全米プロモーションツアーに挑む。しかしこの旅で、自分が全く世間に知られていないこと、そして時代がまだ自分に追いついていないことを知る。ヴェルヴェット・アンダーグラウンド、アンディ・ウォーホルとの出会いやファクトリーなど、アメリカは彼を刺激した。兄の病気もデヴィッドを悩ませていたが、やがて彼は世界屈指のカルチャー・アイコンとしての地位を確立する最初の一歩を踏み出す。《デヴィッド・ボウイ》になる前のデヴィッドの姿。

人気が出る前の若き日のデイヴィッド・ボウイ。初めて渡米して入管で荷物を調べられたり、期待していたツアーもなくて落胆したり、自分の期待がことごとく裏切られる始まりはちょっと気の毒。インタビューも自分を作りすぎて失敗、ロブに「自分を出せないならいっそのこと別の人間になれ」と言われてしまいます。このアメリカでの経験が架空のロックスター、”ジギー・スターダスト”を生む素地になったのか。
彼を認識したのは、華やかなパフォーマンスで注目されるようになってからだったので、こんな時代があったのを興味深く観ました。主演のジョニー・フリンは俳優・歌手で、ボウイおたくといっていいほどのファンだそうです。繊細で臆病かと思えば大胆なところもある若き日のデヴィッドを蘇らせました。
何にでも興味を持ち、自分のできることを探したデヴィッドは、映画出演も多数。『地球に落ちて来た男』(1976)『戦場のメリークリスマス』(1982)『ラビリンス 魔王の迷宮』(1986)、『プレステージ』(2007)ほか。だんだん落ち着いた素敵なおじ様になっています。(白)


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●アルバム
『THE RISE AND FALL OF ZIGGY STARDUST AND THE SPIDERS FROM MARS / ジギー・スターダスト』

1972年に発表したアルバム「ジギー・スターダスト」(1972)で架空のロックミュージシャン「ジギー・スターダスト」を名乗り、バックバンドの「スパイダーズ・フロム・マーズ」を従え、1年半もの世界ツアーを組んだ。奇抜な衣装とメイクが耳目を集め、73年の来日公演では山本寛斎のデザインによる衣装が話題を呼んだという。ボウイはなぜ、別人格を装おうことになったのか。一般にはあまり知られていなかった経緯に、本作はスポットを当てた。71年の米国行きはツアーとは名ばかりのドサまわりで、惨憺たるものだった。失意のボウイはオバーマンに「僕には怖れと音楽しかないんだ」と打ち明ける。ボウイの怖れというのは、兄テリーを含む親族の多くが抱えている心の病に、いつか自分も取り込まれるとの強烈な恐怖感だった。ある時、ボウイは兄の治療の現場に立ち会い、「別の人格になるならあなたは何になる」と患者に語りかける場面に遭遇する。自分の人生を立て直すために、ボウイは別人格を装い、勝負に打って出る。米国での道行きはさほど悲惨に描かれることはないが、恐怖感を抱えた売れないアーティストのひりひりする心情は画面から痛いほど伝わってきた。駆け出し時代を経てヒット曲を飛ばし、栄光に上り詰め、やがて挫折するというロックスター映画のお決まりの流れとは全くテイストの異なる、不思議な魅力の映画である。(堀)

2020年/イギリス、カナダ/カラー/シネスコ/109分
配給:REGENTS
©COPYRIGHT 2019 SALON BOWIE LIMITED, WILD WONDERLAND FILMS LLC
http://davidbeforebowie.com/
★2021年10月8日(金)TOHO シネマズ シャンテ ほか全国公開

posted by shiraishi at 17:30| Comment(0) | イギリス | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする