2021年10月02日

メインストリーム(原題:Mainstream)

main.jpg

監督:ジア・コッポラ
脚本:ジア・コッポラ、トム・スチュアート
撮影:オータム・デュラルド
音楽:デヴ・ハインズ
出演:アンドリュー・ガーフィールド(リンク) 、マヤ・ホーク(フランキー)、ナット・ウルフ(ジェイク)、 ジェイソン・シュワルツマン(マーク・シュワルツマン)、ジョニー・ノックスヴィル(テッド・ウィック)、アレクサ・デミー(イザベル・ロバーツ)

20 代のフランキーは映像作品を YouTube にアップしながら、さびれたコメディバーで生計を立てる日々に嫌気がさしていた。ある日、天才的な話術の持ち主・リンクと出会い、そのカリスマぶりに魅了される。作家志望のジェイクを巻き込んで、本格的に動画制作をスタートする。
自らを「ノーワン・スペシャル(ただの一般人)」と名乗り、破天荒でシニカルなリンクの言動を追った動画は、かつてない再生数と「いいね」を記録。リンクは瞬く間に人気 YouTuber となり、3人は SNS 界のスターダムを駆け上がってゆく。
刺激的な日々と、誰もが羨む名声を得た喜びも束の間、いつしか「いいね!」の媚薬は、リンクの人格を蝕んでいた。ノーワン・スペシャル自身が猛毒と化し、やがて世界中のネットユーザーからの強烈な批判を浴びるとき、野心は狂気となって暴走し、決して起きてはならない衝撃の展開をむかえる―。

「いいね」の承認欲求が止まらない人はこれ観て頭冷やしてくださいね。暴走の果てに何が起こるのか?子どもたちがなりたいものに「 YouTuber 」が上がってるというのはほんとなんでしょうか?SNSのメインストリーム(主流)の裏側はこんなにたいへんなんですよ~。ユーザーはわがままで移り気。お金を儲けたい大人はもっともっとと煽って、その責任は取りません。
ユーザーが反応する画面にあふれる色彩と音、疾走するドラマ。これが長編2作目のジア・コッポラ監督はフランシス・F・コッポラの孫+ソフィア・コッポラの姪。才能が受け継がれているのは、主演女優のマヤ・ホークもでした。ユマ・サーマンとイーサン・ホークの娘ですが、七光りとは言えないほどの活躍。今後もチェックしたい女優さんです。製作にも参加している、アンドリュー・ガーフィールドの振り切りっぷりが凄まじいです。(白)


2021年/アメリカ/カラー/シネスコ/94分
配給:ハピネットファントム・スタジオ
(c)2020 Eat Art, LLC All rights reserved.
公式サイト:https://happinet-phantom.com/mainstream/
公式 twitter:https://twitter.com/mainstream_jp
公式 instagram:https://www.instagram.com/mainstream_jp
★2021年10月8日(金)新宿ピカデリーほかにて全国公開
posted by shiraishi at 21:05| Comment(0) | アメリカ | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

ONODA 一万夜を越えて(原題:Onoda, 10 000 nuits dans la jungle)

onoda.jpg

監督:アルチュール・アラリ
脚本:アルチュール・アラリ
撮影監督:トム・アラリ
出演:遠藤雄弥(小野田寛郎・青年期)、津田寛治(小野田寛郎・成年期)、仲野太賀、松浦祐也、千葉哲也、カトウシンスケ、井之脇海、足立智充、吉岡睦雄、伊島空、森岡龍、諏訪敦彦、嶋田久作、イッセー尾形

太平洋戦争終結後も任務解除の命令を受けられず、フィリピン・ルバング島で孤独な日々を過ごし、約30年後の1974年に51歳で日本に帰還した小野田寛郎旧陸軍少尉の物語を、フランスの新鋭アルチュール・アラリ監督が映画化。終戦間近の1944年、陸軍中野学校二俣分校で秘密戦の特殊訓練を受けていた小野田寛郎は、劣勢のフィリピン・ルバング島で援軍部隊が戻るまでゲリラ戦を指揮するよう命じられる。出発前、教官からは「君たちには、死ぬ権利はない」と言い渡され、玉砕の許されない小野田たちは、何が起きても必ず生き延びなくてはならなかった。ルバング島の過酷なジャングルの中で食糧も不足し、仲間たちは飢えや病気で次々と倒れていく。それでも小野田は、いつか必ず救援がくると信じて仲間を鼓舞し続けた。

小野田寛郎さんは1945年の終戦後も命令に従い続け、当時の上官の作戦任務解除令を受けて初めて30年ぶりに日本に帰還しました。その2年前にはグアムで生き残っていた横井庄一さんが帰還していたので、本当にこれが最後の日本兵だろうかと思ったものです。当時のニュース映像は今も覚えていますが、津田寛治さんが小野田さんにとてもよく似ています。顔よりもストイックな雰囲気でしょうか。
戦争で多くの人が亡くなりましたが、しみこんだ軍人教育に何十年もの間縛られていた方々もまた気の毒です。教育は怖い。横井さんは現地の人に発見され、小野田さんは日本から小野田さん探しにやってきた日本人青年に発見されます。「この人は信じられる」と思って姿を現したのでしょう。小野田さんが信頼した青年を、仲野太賀さんが演じてぴったりです。第74回カンヌ国際映画祭2021「ある視点」部門 オープニング作品。(白)


横井庄一さんがグアム島から帰還したのが1972年。小野田寛郎さんがフィリピン・ルバング島から帰還したのは1974年。横井さんが日本に戻ってきた時、私は高校2年生。終戦が1945年ですから二人とも30年近くジャングルに潜伏していたわけです。戦後30年近くも終戦を知らずに、ジャングルで暮らしている人がいたというのに驚きました。特に小野田さんが日本に帰って来た時には、この映画でも描かれたように、すぐには終戦を納得せず、鈴木さんという青年が何度もルバング島を訪れ、やっと日本に帰ってきて、その経過が連日マスコミのニュースになり、大騒ぎになりました。こうして小野田さんは日本に帰ってきましたが、その後、小野田さんは次兄がいるブラジルに移住してしまいました。やはり日本の高度成長の中で暮らすのに堅苦しさを感じてしまったのだろうかとも思いました。マスコミに追い回される生活に嫌気がさしてしまったのかもしれません。日本に帰国したばかりの頃の小野田さんの険しい顔と、晩年の優しい顔になった顔の変化が忘れられません(暁)。

1972年にグアムから帰国した横井庄一さん。「恥ずかしながら生きて帰ってまいりました。」という言葉が流行語になるほど、帰ってきたことを恥じていたのが印象的でした。
その2年後、ルソン島から帰還した小野田寛郎さんは、いかにも軍人らしい険しい顔つきでした。
二人が帰還したのは、私が10代半ばの頃で、よく覚えていますが、二人から受ける印象は正反対でした。それは、腰の低い印象の横井庄一さんが招集されて戦地に行った方で、小野田寛郎さんは陸軍中野学校で特殊訓練を受けた「軍人」だという違いだったのでしょうか・・・ いすれにしても二人に共通するのは、生きて戦地から帰ることは恥という思いでした。
今年8月に公開された『カウラは忘れない』では、オーストラリアのカウラにあった捕虜収容所で、「捕虜は恥」と集団で死ぬことを選んだ日本兵の悲劇を知りました。
戦地から捕虜となって生きて帰ることを「恥」と教え込んだ国家の犠牲になった人は数多くいるはず。こんな時代に逆戻りしませんように。(咲)


2021年製作/174分/G/フランス・ドイツ・ベルギー・イタリア・日本合作
原題:Onoda, 10 000 nuits dans la jungle
配給:エレファントハウス
(C)bathysphere‐ To Be Continued ‐ Ascent film ‐ Chipangu ‐ Frakas Productions ‐ Pandora Film Produktion ‐ Arte France Cinéma
https://onoda-movie.com/
★2021年10月8日(金)TOHOシネマズ 日比谷ほか全国公開
posted by shiraishi at 04:41| Comment(0) | フランス | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

神在月のこども

kamiari pos.jpg

監督:四戸俊成 白井孝奈
原作:四戸俊成
脚本:三宅隆太 瀧田哲郎 四戸俊成
キャラクターデザイン:佐川遥
撮影監督:高津純平
声の出演:蒔田彩珠(カンナ)、坂本真綾(シロ)、入野自由(夜叉)、柴咲コウ、井浦新、新津ちせ、永瀬莉子、高木渉、茶風林、神山明

母を亡くした12歳の少女カンナは、大好きだった“走ること”と向き合えなくなった。鬱々とした毎日を過ごしていたある日、母の形見に触れたカンナの前に、神使の兎・シロが現れる。驚くカンナを人々と神々の境界をまたぐ壮大な旅へと誘う。目指すのは、全国から神々が姿を消す神無月(10月)に神々を迎えてまつる“神在月”の出雲。鬼の少年・夜叉に行く手を阻まれながらも、自分を信じて走り続けるカンナだったが……。

日本各地で10月を「神無月(かんなづき)」と呼ぶのは、八百万の神々がみな出雲に集うから。出雲地方では神が集まる「神在月(かみありづき)」と呼ばれます。ご縁があればと条件つき?ながら母に会えると信じてカンナは走り続けます。声をあてる蒔田彩珠(まきたあじゅ)はしっかりした演技で出演作が続く若手のホープ。
各地で出会う神々は、「これが見えたら驚きだけれど、やっぱり楽しいだろう」と思わせる造形です。妖怪でなく神ですから。
案内役のシロに「不思議の国のアリス」のウサギを思い浮かべましたが、「因幡の白兎」のお話はもっと古くからあるのでした(古事記)。その子孫なんだそうです。様々な苦難に遭いながら、出雲を目指すカンナは母に会えるのでしょうか?(白)


私の祖父が出雲の頓原の神社の家の生まれで神職についていたこともあるので、神在月の出雲に向かう物語となれば、興味津々。冒頭に出てきたのは、墨田川の畔にある牛島神社。都内の別宅の近くで馴染み深いところ。まずは、狛牛が重要な役どころで、大きな姿となって少女カンナの前に現れます。牛島神社の脇の鳥居の向こうに見えるスカイツリーもちゃんと描かれています。
次に出てきたのが、都営浅草線本所吾妻橋駅のある交差点。まさに別宅最寄り駅! 角のみすほ銀行のATMや、和食の福井にドトールと、きっちり描かれてます。
カンナが白い兎に導かれて各地の神様から「馳走」(ご馳走の語源)を預かりながら、出雲に届ける道筋が、これまた風景がリアルに描かれていて楽しいです。
愛宕神社、荏原天神、鸛神社、神流川、諏訪湖、諏訪大社、須賀神社、宍道湖・・・ 出雲にやっと着くと大黒様が出雲弁で迎えてくれます。
いろいろなことに阻まれながら目的を達するカンナの成長物語。満開の桜のもと、墨田川の堤を走るカンナの姿が清々しいです。(咲)


2021年/日本/カラー/シネスコ/99分
配給:イオンエンターテイメント
(C)2021 映画「神在月のこども」製作御縁会
http://kamiari-kodomo.jp/
★2021年10月8日(金)より全国公開
posted by shiraishi at 04:34| Comment(0) | 日本 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする