2021年08月29日

『MINAMATA-ミナマター』公開記念 土本典昭監督作品特別上映 『水俣─患者さんとその世界─〈完全版〉』『水俣一揆─一生を問う人びと─』

9.11(土) ─ 9.23(木) ユーロスペースにて2週間限定公開

★『水俣-患者さんとその世界-<完全版>』

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(c)塩田武史

★『水俣一揆ー一生を問う人びとー』


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●ユーロスペース上映時間割

9月11日(土)~9月17日(金)
11:00『水俣─患者さんとその世界─〈完全版〉』
14:15『水俣一揆─一生を問う人びと─』

9月18日(土)~9月23日(木)
11:00『水俣一揆─一生を問う人びと─』
13:15『水俣─患者さんとその世界─〈完全版〉』

●記録映画作家土本典昭がみつめた水俣病患者たちの闘いの記録

水俣病が公式に確認されてから65年目を迎える今年(2021年)、ジョニー・デップ製作・主演の映画『MINAMATA─ミナマタ─』が9月23日より公開される。この映画の公開を記念し、社会的な弱者に目を向けたドキュメンタリー映画を多数発表し、水俣病を長期にわたり記録した土本典昭監督の水俣を描いた代表作、水俣病を世界に知らしめた『水俣 ─患者さんとその世界─<完全版>』 、チッソ本社と水俣病患者の直接交渉を記録した『水俣一揆 ─一生を問う人びと─』の2本が特別上映される。「記録なくして事実なし」と語る土本監督がみつめた水俣病患者たちの人間としての尊厳をかけた闘いの記録。ぜひ、こちらを観てから『MINAMATA─ミナマタ─』を観てほしい。これらの記録に残された印象的なシーンが『MINAMATA─ミナマタ─』の中で甦る。(暁)

土本典昭(つちもと・のりあき)
1928年岐阜県生まれ。記録映画作家。
岩波映画製作所を経て、1963年『ある機関助士』でデビュー。『ドキュメント 路上』、『パルチザン前史』などを発表ののち、1970年代以降「水俣」シリーズ17本を連作。1965年、テレビドキュメンタリー「水俣の子は生きている」で初めて水俣を取材し、それ以来40年に渡って水俣病に関する問題を記録し続けた。
『よみがえれカレーズ』などアフガニスタン関連作も3本を数える。
2008年6月24日逝去。

以下公式HPより

『水俣-患者さんとその世界-<完全版>』

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© ︎塩田武史

監督:土本典昭
1971年/167分/16mm /モノクロ/東プロダクション
1973年モントリオール世界環境映画祭グランプリ/1972年ベルン映画祭銀賞/1972年マンハイム・ハイデルベルク国際映画祭フィルムデュキャット賞
「水俣病」を世界に知らしめた記録映画の記念碑的作品。1969年、チッソを相手に裁判を起こした29世帯を中心に、潜在患者の発掘の過程を描き、肉親の記憶にのみ残された事実から水俣病患者の実態が明らかにされる。
※Blu-ray上映

『水俣一揆 ─一生を問う人びと─』

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*編集部:「チッソ水俣病患者連盟」の川本輝夫委員長がチッソとの交渉中、机の上に乗って会社側に迫っているこの有名な場面、映画『MINAMATA─ミナマタ─』の中でも出てきます

監督:土本典昭
1973年/108分/16mm /モノクロ/青林舎
水俣第2作。水俣病裁判判決の後、チッソ本社を舞台に生涯の医療と生活の補償を求め、チッソ本社と水俣病患者との直接交渉を同時録音を駆使し生々しく記録した長編ドキュメンタリー。交渉にあたる患者の行動を追う中で語られる、水俣病患者達の闘いの記録。
※Blu-ray上映
posted by akemi at 21:33| Comment(0) | 日本 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

テーラー 人生の仕立て屋   英題:Tailor 原題:Raftis

発想の転換が未来を開いてくれる!

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監督・脚本:ソニア・リザ・ケンターマン
出演:ディミトリス・イメロス、タミラ・クリエヴァ

アテネ中心部にある高級スーツの仕立て屋。50歳になるニコスは、父のもとで36年間、黙々とスーツを仕立ててきた。既製品が安価で手に入るようなり、数年前にギリシャを襲った経済危機も相まって、お得意様の型紙の出番もほとんどない。そんなある日、銀行から突然店の差し押さえの通知が届く。ショックで倒れる父。ニコスは病院で見たキャスター付きの台を見て、ミシンを乗せた屋台を思いつき、移動式の仕立て屋を始める。だが、高値のオーダースーツは露店では全く売れない。そんな彼に、結婚式を控えた娘のためにウェディングドレスを仕立ててほしいと声がかかる。バイクを走らせ、郊外のカミニアの町に赴くニコス。採寸するもののウェディングドレスを作るのは初めて。隣家の夫人オルガと娘のヴィクトリアに手伝ってもらってウェディングドレス作りに挑戦する・・・

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© 2020 Argonauts S.A. Elemag Pictures Made in Germany Iota Production ERT S.A.

胸元がちょっと寂しいと言われ、レースのテーブルクロスを切って、さっとあしらうニコス。頑なに高級紳士服にこだわってきた父も、息子の作った斬新なウェディングドレスに、「悪くないね」とまんざらでもない様子。内気で黙々と足踏みミシンで作業していたニコスに、こんな才能があったなんてと、観ている私たちも驚かされます。
50歳にして危機に面し、お陰で父親の呪縛からも解かれて、自分らしい生き方を見つけるニコスがとても素敵です。コロナ禍の今、発想の転換が未来を切り開いてくれることを教えてくれる本作を観て元気を貰っていただければと願ってやみません。

ところで隣家のオルガが娘のヴィクトリアにロシア語で話しかけていて、娘から「ギリシャ語で話して」と言われています。オルガを演じたタミラ・クリエヴァはアゼルバイジャン出身ですが、ギリシャでは東欧などからの移民の女性をギリシャ男性が娶ることも多いとか。この映画の中でオルガの夫は暴力的なのですが、実はギリシャ女性は強いので、外国人妻のほうが夫は威張れるらしいです。
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© 2020 Argonauts S.A. Elemag Pictures Made in Germany Iota Production ERT S.A.
経済危機や移民のことなどをさりげなく背景にいれながら、独特の哀愁漂うコメディタッチで描いた作品。丸い缶から小粒のドロップをつまんで、ひょいと口に入れ仕事を始めるニコスの姿が忘れられません。抜けるような青空やピレウス港から眺めたエーゲ海、陽気な人たちの集う市場や結婚式・・・と、ギリシャの魅力もたっぷり描いたソニア・リザ・ケンターマン監督は、ちょうど今日8月29日に39歳となりました。次回作も期待したいです。(咲)


監督・脚本
ソニア・リザ・ケンターマン
SONIA LIZA KENTERMAN
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1982年8月29日生まれ。ギリシャ出身。ドイツ人の父とギリシャ人の母を持つ。アテネで社会学の学士号を取得した後、ギリシャのスタヴラコス映画学校と、イギリスで最も古い映画学校であるロンドン・フィルム・スクールで映画製作を学ぶ。彼女の卒業制作である短編映画“Nicoleta”(12・原題)はギリシャ映画アカデミー賞で最優秀短編映画賞にノミネートされた。41の国際映画祭に出品し、合計15の賞に輝く快挙を成し遂げた。今までに8本の短編映画を手掛けており、長編映画は本作が初めてとなる。ギリシャを拠点に、2本目の長編映画を製作中。(公式サイトより)

2020年/ギリシャ・ドイツ・ベルギー/ギリシャ語・ロシア語/101分/スコープ/カラー/5.1ch
日本語字幕:星加久実 字幕監修:柳田富美子
後援:駐日ギリシャ大使館 
配給:松竹
© 2020 Argonauts S.A. Elemag Pictures Made in Germany Iota Production ERT S.A.
公式サイト:https://movies.shochiku.co.jp/tailor/
★2021年9月3日(金) 新宿ピカデリー、角川シネマ有楽町、ヒューマントラストシネマ渋谷ほか全国公開





posted by sakiko at 18:57| Comment(0) | ギリシャ | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

ミス・マルクス(原題:Miss Marx)

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監督・脚本:スザンナ・ニッキャレッリ
撮影:クリステル・フルニエ
衣装デザイン:マッシモ・カンティーニ・パリーニ
音楽:ガット・チリエージャ・コントロ・イル・グランデ・フレッド
   ダウンタウン・ボーイズ
出演:ロモーラ・ガライ(エリノア・マルクス)、パトリック・ケネディ(エドワード・エイヴリング)、フィリップ・グレーニング(カール・マルクス)、ジョン・ゴードン・シンクレア(フリードリヒ・エンゲルス)、フェリシティ・モンタギュー(ヘレーネ・デムート)、カリーナ・フェルナンデス(オリーヴ・シュライナー)、オリバー・クリス(フレディ)

1883年、イギリス。最愛の父カールを失ったエリノア・マルクスは、劇作家で社会主義者のエドワード・エイヴリングと出会い恋に落ちた。ところがエイヴリングは金銭感覚が普通でなく、浪費家で誰彼問わず借金をしては放置する。中でもエリノアを苦しめたのは、エイヴリングの女性関係だった。不実な男と知りながら、助けずにいられない。エリノアを心配し何かと話相手になっていた親友が国を出て、心のうちを話す相手がいなくなってしまった。父親から受け継いだ社会主義とフェミニズムを結びつけた草分けの一人として時代を先駆けながら、自分の信念と彼への愛情に引き裂かれていく。

カール・マルクスの伝説の3姉妹の末娘であり、女性や子供たち、労働者の権利向上のため生涯を捧げ、43歳の若さでこの世を去った女性活動家エリノアの、知られざる激動の半生を初めて映画化したのが本作。監督・脚本を手掛けたスザンナ・ニッキャレッリは、イタリア出身。前作『Nico, 1988』(17)でヴェネツィア国際映画祭オリゾンティ部門作品賞を受賞しています(未見)。
新しい思想、社会の改革を進めてきた聡明な女性が、なぜこんなに甲斐性のない浪費家でうそつきな浮気男を愛してしまったんでしょうか?「可哀想たぁ惚れたってことよ」という芝居の台詞が浮かんできます(寅さんだったかも)。しっかり者の女にはダメ男が寄ってくる、ということ?
支えようと頑張るあまり、いっぱいいっぱいになってしまったエリノア。誰かに愚痴をこぼして肩の荷を降ろすことができたならと思わずにいられません。ロックに合わせて激しく踊るエリノアの姿は、スザンナ・ニッキャレッリ監督からエリノアへのプレゼントでしょう。こんなにたぎる想いがありながら、十分に発揮できず。こんな風に自分を解放できたら違う結末になったはず。
エリノアという保護者を失ったエイヴリンはどうしたかと思えば、4ヶ月後に亡くなっています。それまでの浪費癖からくる大小の負債、多くの女性との不貞などで嫌われていたそうなので、それなりの最期であったようです。

2020年ヴェネツィア国際映画祭コンペティション部門でFEDIC賞、ベストサウンドトラックSTARS賞の2冠に輝き、2021年ダヴィッド・ディ・ドナテッロ賞11部門ノミネート、3冠受賞を果たしました。公式サイトのTOPで印象的なサウンドトラックのさわりが聞けます。(白)


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Photo by Emanuela Scarpa


マルクスの末娘で、父譲りの政治活動家として労働者や女性の権利向上のために貢献し、「資本論」の英語版の刊行を手掛け、イプセンなどの戯曲を翻訳した演劇人としても知られたエリノア・マルクス。本作では、浪費家で女たらしのエイヴリングに翻弄された負の部分が強調されて、脆い面ばかりが印象に残ってしまいました。エイヴリングは既婚者でしたが、エリノアは「結婚は時代遅れの制度」と公言し、事実上の妻として同棲していました。(それ自体は、私は賛成!) ところが、それをいいことに、エイヴリングは妻とこっそり離婚し、若い女性と再婚! どこまで不実な男なのでしょう。
ところで、父カール・マルクスもまた不実な男だったことが明かされます。冒頭、父カールの埋葬式で、エリノアは父が17歳の時に出会った母イェニーと翌年結婚し、いかに仲睦まじかったかを熱く語ります。その後、父の盟友エンゲルスが亡くなる直前にエリノアに、エンゲルスとマルクス家の使用人ヘレーネとの間に生まれた息子フレディが、実はカール・マルクスとヘレーネの息子だと明かします。父の不実を知った時のエリノアは、どんな思いだったでしょう。ま、世の中、男も女もお互いに騙しあって生きているのだと考えると、スザンナ・ニッキャレッリ監督は、一人の女性の生涯を描きながら、現代にも通じる人間の本質を暴き出しているのだと感じます。(咲)


マルクスとエンゲルス、名前は知っていても、資本論などにどんなことが書かれているのかは知らない。それでも、労働者や搾取されている人たちを擁護する本や活動をしていた思想家ということくらいは知っている。でも、マルクスに3人の娘がいたことや、エンゲルスがマルクス家を援助していたということはこの作品で知った。また、マルクスの3女エリノア・マルクスのことも、彼女の活動のこともこの作品で知った。1970年代から婦人運動やウーマンリブなどの運動に興味を持ち、この運動で知り合った人もたくさんいて、今も励ましあいながら生きている私なのに、あの時代に男性に交じって労働運動、政治活動、女性の地位向上のために戦っていた彼女のことを、これまで全然知らなかったのはなぜだろう。そして、この作品を観ながら、あまり共感できないという思いもあった。せっかく、エリノア・マルクスのことを知らしめる作品なのに、彼女の思いや描き方になんか納得がいかなかった。事実をもとに語っているのだろうけど、正しいこと、目標としていることは良くても、なんだか違うなという思いがあった。それはきっと、上記で(咲)さんが書いていることにつながることかもしれない。いくらりっぱなことを言っている人でも、最低な夫を突き放さず擁護しているところが、私が彼女の生き方に共感できなかった原因かも。それにしても、せっかくエリノア・マルクスのことを知らしめる良い機会なのに残念(暁)

2020年/イタリア・ベルギー/カラー/ビスタ/107分/英語・ドイツ語
配給:ミモザフィルムズ
(c)2020 Vivo film/Tarantula  
https://missmarx-movie.com/
★2021年9月4日(土)よりシアター・イメージフォーラム、新宿シネマカリテほか全国順次公開

posted by shiraishi at 01:15| Comment(0) | イタリア | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

その日、カレーライスができるまで

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監督・脚本・編集:清水康彦
原案・脚本:金沢知樹
脚本:いちかわニャー
撮影:川上智之
主題歌:安部勇磨「テレビジョン」(Thaian Records)
出演:リリー・フランキー(健一)、神野三鈴(美津子/声)、中村羽叶(映吉)

土砂降りの中、くたびれた様子の男がアパートに帰ってきた。独り住まいの健一。今日はカレーを作る日だ。薄暗い台所で材料を取り出し、丁寧に調理する。いつも聴いているラジオ番組では、リスナーの「マル秘テクニック」を募集している。ガラケーに文字を打ち込んでみる。「妻の誕生日にカレーを作っています。3日後が、誕生日です…」
心臓病で亡くなった幼い息子・映吉の写真が父を見守っている。

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ほぼワンシチュエーションで、リリー・フランキーの一人芝居。部屋の壁は薄くて、ラジオの音が少し大きいと「うるさい!」と隣人に壁を叩かれます。わびしい住まいの中で、笑顔の息子の写真を眺めながら思い出を反芻しています。子に先立たれた親は後悔に苛まれます。健一は同じ心臓病で苦しんでいる子どもたちのために街頭募金をしているようです。
3日がかりでカレーを作るのは、妻が3日目のカレーが好きだったから。息子が亡くなった後、妻は出て行ってしまいましたが、例年通りにカレーを煮込んでいます。
リリー・フランキーの細やかな表情の変化に目が吸い寄せられます。息子の写真を見ながらだんだん鼻の頭が赤くなり、目がうるんでくるのに釘付けになりました。もらい泣きしたのは言うまでもありません。寂しいばかりでなく、愛聴しているラジオ番組が一役買う嬉しいできごとも起こります。観終わるとカレーが食べたくなること請け合い。
『37セカンズ』(18)の神野三鈴が健一の妻役で声の出演。齊藤工が企画・プロデュース。

併映作品に『HOME FIGHT』。伊藤沙莉、大水洋介(ラバーガール)が兄妹に扮してリモートで会話する短編。軽妙な二人の会話に笑えます。どこまで脚本で、どこからアドリブなんでしょうか?(白)


2021年/日本/カラー/52分  *併映作品あり
配給:イオンエンターテイメント
(C)2021「その日、カレーライスができるまで」製作委員会
https://sonocurry.com/
★2021年9月3日(金)全国公開
posted by shiraishi at 00:54| Comment(0) | 日本 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

科捜研の女 劇場版

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監督:兼崎涼介
脚本:櫻井武晴
撮影:朝倉義人
音楽:川井憲次
出演:沢口靖子(榊マリコ)、内藤剛志(土門薫)、佐々木蔵之介(加賀野亘)、若村麻由美(風丘早月)、風間トオル(宇佐見裕也)、金田明夫(藤倉甚一)、渡辺いっけい(倉橋拓也)、小野武彦(榊伊知郎)、戸田菜穂(芝美紀江)、斎藤暁(日野和正)、西田健(佐伯志信)、田中健(佐久間誠)、佐津川愛実(秦美穂子)、野村宏伸(佐沢真)、山崎一(宮前守)、長田成哉(相馬涼)、奥田恵梨華(吉崎泰乃)、崎本大海(木島修平)、渡部秀(橋口呂太)、山本ひかる(涌田亜美)、石井一彰(神原勇樹)ほか

京都・洛北医科大学で女性教授が転落した.落下していくのを見てしまった法医学教室の風丘教授が発見者となった。殺人事件を疑うが、証拠もないまま初めは自殺として処理されそうになった。しかし、京都から始まった不審死は、日をおかずロンドン、トロントなど世界各国で同時に発生した。それも科学者ばかりが亡くなっている。悪意を持つ誰かが企んだものなのか?何のために?死者たちに共通するものは何か?科捜研のメンバーは一丸となってこの難事件に立ち向かう。浮上してきたのは帝政大学の微生物学教授の加賀野亘。通称「ダイエット菌」と呼ばれる腸内細菌を発見し、最初の被害者である教授とも会っていた。

1999年から20年以上に渡って放映された人気ドラマ初の映画化。マリコの京都府警科学捜査研究所(略称:科捜研)の新旧メンバーが勢ぞろいして書ききれません。
背景となる京都の秋の風情も美しく、緊迫した事件の間に、ちょっとした遊び心もはさんであります。伊東四朗がカフェでマリコをナンパする老紳士役を粋に演じているほか、現場から実況するアナウンサーに人気声優の福山潤が扮しています。
映画『校庭に東風吹いて』(2016)で小学校の先生を演じた沢口さんを取材させていただきました。若く溌剌とした「藍より青く」(1972年の連ドラ)から拝見していますが、成熟した女性になられてますます美しいのに驚きました。
本作は映画ならではの多くのキャスト、美しいロケ地を舞台に沢口さんも「ある初体験」に挑戦しています。複雑な難事件、縦横に張り巡らせたトリックをマリコたちはどう見抜いていくのか?お見逃しなく。

9月3日の劇場版公開を記念して8月16日~9月10日、テレビ朝日にて番組がリピート放送されています。始まりの第1話からシーズン20までの中からスタッフや各界のファンが選んだベストエピソードまで。番組表を確認してお楽しみください。(白)


子供のころからミステリー小説や探偵小説、SF小説などが好きで文庫本をよく読んでいた。でも、20代~50代くらいまで、そういうのを読んだり、見たりする余裕やチャンスもなく過ごした。しかし、2011年、TVがデジタル方式に移行した時に録画が容易になり、その頃から、この「科捜研の女」や「相棒」を録画しては見るという生活様式(笑)が日課になり、かつて好きだった「事件解決もの」の番組を見るようになった。
工業化学出身ということもあり、その中でも<科学の力で事件を解決する>「科捜研の女」は、私のお気に入り。それにマリコさんの諸突猛進型の事件解決はあっぱれと思い大好き。と言っても、いつもパソコン作業をしながらの「ながら見」なので、画面をしっかり見ることはあまりないし(食事をしながら見ている時だけ)、集中して見ることもほとんどない。それでも、ほとんど毎日録画して見ている。今も数日前に録画した「科捜研の女」を観ながら、この文章を書いている(笑)。そんな私だけど、高校時代、工業化学科だったこともあり、聞いたことのある化学薬品の名前や、化学現象などの名前などが出て来たり、植物にとても興味がある私にとって、事件があった場所の植物の名前や分布などがわかる方法があるんだとか、そんなにいろいろなことが科学でわかるということに驚きの連続。しかし、防犯カメラや科学を使っての事件解決から感じるのは、なんでもかんでも、すぐに事情が見えてしまうんだなと思い、いかに私たちは管理されているかを思う。
それにしても、この番組は20年も続いていると知り驚いた。私が見ているのは、この10年くらい。科捜研のメンバーも、沢口靖子さん以外も変わらないのだろうか。多少の移動や新規参加などは見てきたけど、大きな変更もあったのでしょう。
映画化は初めてのことらしいが、科捜研や警察側のメンバー以外の、いろいろな回でのゲスト出演者も出てきて、その時のキャラクターのまま出ていて、その回のことを思いだしたりした。映画化を記念して、初期の頃の回とか、この映画を観るのに参考になるような作品の上映が何回かあった。そして何より驚いたのはマリコさんはかつて結婚していたということだった。ずっと独身できたのかと思っていたけど、そうではなかった。それも、8月16日くらいの回の放映で出てきて、そうだったんだと思っていたら、この映画でも元夫が出てきて「なるほど!」と思った。映画を観るための下準備の古い作品のTV再放映、結構参考になりました(暁)。


2021年/日本/カラー/ビスタ/108分
配給:東映
(C)2021「科捜研の女 -劇場版-」製作委員会
https://kasouken-movie.com/
★2021年9月3日(金)ロードショー

posted by shiraishi at 00:49| Comment(0) | 日本 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

くじらびと

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監督・プロデューサー:石川梵
エクゼクティブ・プロデューサー:広井王⼦
撮影:石川梵、⼭本直洋、宮本麗
編集:熱海鋼⼀、簑輪広⼆
録⾳:Jun Amanto
⾳響:帆苅幸雄
⾳楽:⽥⼤致 *はなおと* 歌:森⿇季

インドネシアの東の島にラマレラ村がある。ガスも水道もない素朴な村に1500人が暮らす。火山岩に覆われた土地は作物が育たず、太古さながらのクジラ漁が村の生活を支えていた。年間10頭獲れれば村人全員が生きていけるという。「ラマファ」と呼ばれるクジラの銛打ち漁師たちは最も尊敬される存在だ。彼らは手造りの小さな舟と銛1本で、命を懸けて巨大なマッコウクジラに挑む。
2018年、ラマファのひとりであるベンジャミンが捕鯨中に命を落とした。人々が深い悲しみに暮れる中、舟造りの名人である父イグナシウスは家族の結束の象徴として、伝統の舟を作り直すことを決意。1年後、彼らの舟はまだ見ぬクジラを目指して大海へと漕ぎ出す。

写真家であり映画監督の石川梵監督の2作目のドキュメンタリー。1991年からこの村を取材、過去の貴重な記録とともに2017年から2019年までの3年間に撮影された映像が本作として結実しています。30年の間に世界も村の生活も変わり、伝統的な漁だけでは暮らしがたちいかなくなっています。石川監督はいつ来るかわからないクジラを待ち、最初のクジラ漁を撮影するまでに4年かかっています。海の上での人間とクジラの闘いは写し取ったものの、何かが足りない。それがクジラの心だと、今度は水中撮影を試みます。よく無事に戻ったこと!また3年。成功した日は大漁でしたが、一人が大怪我をします。漁は命がけなのです。そこまでは2011年発行の新書「鯨人」に書かれています。当時の貴重な映像に、その後のラマレラ村の人々の映像を加えて丁寧に見せているのが本作。新しく作り直された船はクジラに逢えるのでしょうか?
潮風に焼かれたラマファたちの精悍な表情、男たちを支えて働く女たち。屈託ない子供たちの笑顔にラプラック村のアシュバドルやプナムを思い出します。ドキュメンタリーには珍しく、シネコンでの上映です。大きな画面で雄大な海とクジラ漁に出会ってください。

ネパール地震後のラプラック村を撮影した前作『世界でいちばん美しい村』(2017)石川梵監督のインタビュー記事はこちら。(白)


石川梵監督は、映画を撮る前から写真家として素晴らしい写真を撮ってきた。じっくり被写体と向き合い、長い年月をかけて撮ってきた。このラマレラ村のクジラ漁にしても30年近い取材を行うことで村人にとけ込み、彼らの自然な姿を捉えている。
精霊とともに生きる村人たちは「雨ごい」のように、クジラがこの島にやってくるようにと「クジラごい」をする。そして20人くらいしか乗れないような小舟で海に漕ぎ出す。もちろん島人たちはクジラばかりでなく、マンタやサメ、トビウオなども捕る。でも村人たちが生きていくためにはクジラを年に10頭くらいは捕らないと生活していけないらしい。そして島人たちはクジラ漁に出る。そこには漁師を目指す10歳くらいの少年も。村の男たち総出の漁へのデビュー。でも船酔いしてしまったのがなんだか気の毒でもあり可愛かった。
30年の間にカメラの技術は進歩しドローンも出現。この作品ではドローンを結構使っていたけど、海の綺麗さ、クジラたちの動き、島人たちの舟団の姿、配置。動きなども撮影されている。それが作品に躍動感を与えている。舟も手ごきではなく、エンジンで動くものがほとんどに。それでも銛を打ち込む時の躍動感や危険性は変わらない。そういう緊迫感ある漁の光景がたくさん出て来る。
そしてカメラはじっくりと人々の生活を捉える。捕らえた魚たちを捌くシーンは何回も出てきた。クジラを捌くシーンは、対象が大きいだけに圧倒的。取れたクジラの肉や油は、村人で分け合うし、あますところなく全部使うという。
週に1回の市で山の幸と海の幸が交換されたり、教会に通う人々の姿も。90%以上がキリスト教徒だという。こんな離島にまでキリスト教布教に行った人がいたということに驚いた。そして人々は漁を始める前に舟の上で、命をもらう魚たちのために十字を切る。
新しい舟を作るシーンや伝統的な舟の作り方を学ぶ姿も映している。
ベンジャミンが亡くなって1年。あかりを灯したたくさんの紙の舟たち。それはまるで灯篭流しのようだった(暁)。


石川梵監督著作
☆「鯨人 」(集英社新書) 2011/2/17発行
☆「くじらの子」(少年写真新聞社 写真絵本) 2021/5/28発行

2021年/日本/カラー/ビスタ/113分
配給:アンプラグド 配給協力:アスミック・エース
(C)Bon Ishikawa
https://lastwhaler.com/
https://www.instagram.com/kujirabito1/
★2021年9月3日(金)より新宿ピカデリーほか全国公開
posted by shiraishi at 00:12| Comment(0) | 日本 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする