2021年08月20日

鳩の撃退法

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監督:タカハタ秀太
原作:佐藤正午「鳩の撃退法」(小学館刊)
脚本:藤井清美 タカハタ秀太
撮影:板倉陽子
音楽:堀込高樹
主題歌:KIRINJI feat. Awitch (ユニバーサル ミュージック)
出演:藤原竜也(津田伸一)、土屋太鳳(鳥飼なほみ)、風間俊介(幸地秀吉)、 西野七瀬(沼本)、佐津川愛美(幸地奈々美)、 桜井ユキ(加賀まりこ)、 柿澤勇人(晴山次郎)、駿河太郎(多々良)、浜野謙太(大河内)、岩松了(川島社長)、 / 村上淳(山下)、 坂井真紀(加奈子)、濱田岳(堀之内)、ミッキー・カーチス(房州老人)、リリー・フランキー(まえだ)、豊川悦司(倉田健次郎)

この男が書いた小説(ウソ)は、現実(ホント)になる。
その結末を決めるのは、あなたー。

かつては直木賞を受賞した作家の津田伸一、天才ともてはやされたのは過去の話。今は富山で送迎ドライバーとして働いている。ある夜、いきつけのコーヒーショップで、文庫本を読んでいる男・幸地秀吉に目が止まった。話がはずみ、今度会ったら「ピーターパンの本を貸そう」と別れた。しかしその夜から幸地秀吉は妻と子と共に姿を消してしまう。
そして旧知の古本屋の房州老人が亡くなり、津田のもとに遺品のスーツケースがやってくる。数字を合わせる鍵がついていたので、こつこつと組み合わせの数字を一つずつ入れてみた。何日か目についに鍵が開き、中に入っていたのは3千万と数万円の現金。思いがけない収入に津田は喜ぶが、使った1万円札が偽札だとわかる。

編集者の鳥飼は津田の小説を出版したいとなだめすかし褒めちぎり…そんな彼女に新作を読ませてやるからと現金をねだる津田。これがむさいおじさんなら、ふん!ですが藤原竜也さんだもんね。クズ男だと思いつつ、財布を開いてしまいそうです。コーヒーショップの店員・沼本もなんだかんだ言いながら津田に巻き込まれてしまいます。
小説は虚々実々入り混じり、鳥飼も観客も事実なのか小説なのかわからなくなってきます。この小説を映画にしようと、脚本を書き始めた監督エライ!タイトルの「鳩」は津田が手にしてしまった偽札のこと。これが間違いの元で、回りまわってスーツケースに入っていたことから、津田をはじめ周りの人間が右往左往してしまうのです。ここぞというときに名前があがり、ついに姿を現す倉田健次郎。裏社会の大物の風格を豊川悦司さんが表わしています。ほんのちょっとだけ出てきてその場をさらっていく、演技巧者も多数。これは現実なのか?小説の中なのか?あなたも劇場で翻弄されてきましょう。(白)


2020年/日本/カラー/シネスコ/119分
配給:松竹
(c)2021「鳩の撃退法」製作委員会 c佐藤正午/小学館
https://movies.shochiku.co.jp/hatogeki-eiga/
https://twitter.com/hatogeki_eiga
https://www.instagram.com/hatogeki_eiga/
★2021年8月27日(金)全国ロードショー
posted by shiraishi at 18:17| Comment(0) | 日本 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

岬のマヨイガ

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監督:川面真也
原作:柏葉幸子「岬のマヨイガ」(講談社刊)
脚本:吉田玲子
撮影:渡辺有正
音楽:宮内優里
主題歌:羊文学
出演:芦田愛菜(ユイ)、粟野咲莉(ひより)、伊達みきお/サンドウィッチマン、富澤たけし/サンドウィッチマン、宇野祥平、達増拓也(岩手県知事)、天城サリー、大竹しのぶ(キワさん)

避難所の体育館でユイはキワさんとひよりに出逢った。事故で両親をなくして以来声の出ないひよりは、預けられた親戚もいなくなって身寄りがなかった。居場所のない17歳のユイと8歳のひよりを引き受けてくれたキワさんは、岬にぽつんとある古民家「マヨイガ」に連れていく。誰かいそうな気がする古い家で、温かいごはんを食べ、何も心配せずに眠れた2人は、ふしぎなおばあちゃんキワさんと、ふしぎなこのマヨイガになじんでいく。
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「マヨイガ(迷い家)」をこのアニメーションで知りました。岩手県に伝わっている森の中を動き回る家のことで、迷い込んだ人をもてなし、その人に富貴をもたらすとか。「遠野物語」に無欲な女が訪れて何も食べず何も持たずに帰り、後にその女の家が栄えたとあります。映画の中でもキワさんがユイとひよりに語って聞かせる話のひとつです。話し上手だった祖父を思い出しました。
大竹しのぶさんが声をあてているキワさんは、元気で物知りで、いったい何者なんでしょう?マヨイガに連れていくのをはじめ、”ふしぎっと”と呼ばれる妖怪たちと仲良し、その後も次々と信じられないことが起こります。ファンタジー好きは必見!
マヨイガに恐る恐るやってきたユイは、見えない傷を抱えています。それまで自分のことだけでいっぱいだったユイが幼いひよりをかばい、キワさんやマヨイガやこの町を守りたい!とたくましくなります。ジュブナイル好きも必見!

原作の「岬のマヨイガ」(2015)は岩手日報に連載後に出版され、野間児童文芸賞を受賞しています。試写の後にすぐ原作を読み、ほかの柏葉作品も次々に読みました。著者の柏葉幸子さんは岩手県出身・在住。大学生のときに最初の童話を書き、これまでにたくさんの作品を発表しています。ファンタジーが多く、伝承の不思議な生き物や妖怪やお年寄りが登場。主人公が好き嫌いしたりすぐにぷっとふくれたり、お転婆だったりするところに親近感がわきます。ちょっと不思議で、読み終わった後ぽっと胸が温かくなるお話ばかりです。子どもも大人もどうぞ。(白)


◎映画版ノベライズも発刊されました。こちらです。

2020年/日本/カラー/105分
配給:アニプレックス
(C)柏葉幸子・講談社/2021「岬のマヨイガ」製作委員会
https://misakinomayoiga.com/
★2021年8月27日(金)ロードショー

posted by shiraishi at 17:57| Comment(0) | 日本 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

白頭山大噴火(原題:Ashfall)

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監督・脚本:イ・ヘジュン、キム・ビョンソ
出演:イ・ビョンホン(リ・ジュンピョン)、ハ・ジョンウ(チョ・インチャン)、マ・ドンソク(カン・ボンネ)、チョン・ヘジュン(チョン・ユギョン)、ペ・スジ(チェ・ジヨン)

北朝鮮と中国の国境付近に位置する火山 白頭山(ペクトゥサン)観測史上最大の噴火が発生した。マグマ溜りがあるために2次3次と噴火が続くと予想された。爆発物処理班(EOD)の大尉チョ・インチャンは、除隊直前に足止めされてしまった。白頭山噴火を予見した地質学のカン・ボンネ教授のアイデァで人工的な爆発を起こして、続く噴火を食い止めることになったからだ。大統領府の民政主席のチョン・ユギョンは教授を支持し、爆発物処理班に期待を寄せる。ただしその遂行には北朝鮮に入り、情報を持つリ・ジュンピョンを確保することが必須だった。
インチャンはソウルの崩壊を目の当たりにするが、特別任務に向かう。帰りを待っている出産間近の愛妻ジヨンには、本当のことを告げるわけにはいかない。ジヨンは夫のインチャンが北朝鮮に向かったと知らないまま、ソウルを襲った災害を生き抜こうとする。北に向かった一行はいくつもの国の思惑に行く手を阻まれ、その間にもタイムリミットは刻々と近づいている。

韓国を代表するふたりの俳優イ・ビョンホンとハ・ジョンウの初共演が実現しました。共同監督として『神と共に』シリーズ(17/18)『PMC:ザ・バンカー』(18)でのダイナミックな世界観を作り上げたキム・ビョンソ。『彼とわたしの漂流日記』と『22年目の記憶』(14)ではイ・ヘジュンは監督として、キム・ビョンソは撮影監督として参加。本作では3度目のタッグです。2人で脚本を練り上げ、白頭山大噴火により朝鮮半島は壊滅かという大災害を、敵対する2人の男を中心に描いています。百戦錬磨のリ・ジュンピョンに翻弄されながら持ち前の正義感と責任感で進んでいくチョ・インチャン。家庭を捨ててスパイ活動をしてきた男と愛妻家の男が次第に近づいていくところにぐっときます。
噴火による大地震でビルが倒壊し、津波で橋が流され、町や村が灰に埋もれていきます。大迫力かつリアルで鳥肌がたちます。これが日本だったらどうなることでしょう。
肉体派のマ・ドンソクが教授役で専門用語を連発、意外にも似合っています。イ・ビョンホンとハ・ジョンウたちが、噴火を食い止めようと命がけで奮闘するのをハラハラしながら見守りました。韓国では820万人を動員したという大ヒット作品を大きな画面・音響の良い劇場でご覧ください。(白)


白頭山といえば、朝鮮民族発祥の地として崇められ、特に北朝鮮にとっては金日成主席が根拠地として戦い、そこで金正日が生まれた地としても特別な場所。
朝鮮半島の最高峰ですが、標高は2744メートルで富士山より低いことを今さらながら今回知りました。
1000年に一度、大噴火、100年に一度、小噴火が起こると言われていて、直近では1925年に小噴火がありました。もうすぐ、次の噴火?
そう思うと、この映画で描かれていることも有り得ない話ではないと、ぞくっとさせられます。人工的な爆発を起こせば、4次爆発はくいとめられると奮闘するのですが、科学の進歩は自然にほんとに打ち勝つことができるの?と思ってしまいます。
北と南の二人が任務にあたる中で、“「チェオクの剣」の最後を教えてくれたら、機密情報を教えてあげる”なんて言葉が出てきて和ませてくれます。イ・ビョンホンとハ・ジョンウの共演、そして学者役という意外なマ・ドンソクという名優たちが繰り広げるダイナミックな映画、ぜひ劇場でご覧ください。(咲)



2019年/韓国/カラー/シネスコ/128分
配給:ツイン
(C)2019 CJ ENM CORPORATION, DEXTER STUDIOS & DEXTER PICTURES ALL RIGHTS RESERVED
https://paektusan-movie.com/
★2021年8月27日(金)TOHOシネマズ日比谷ほか全国ロードショー
posted by shiraishi at 13:55| Comment(0) | 韓国 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

クリーン、シェーブン(原題:Clean, Shaven)

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監督・脚本:ロッジ・ケリガン
撮影:テオドロ・マニアチ
編集:ジェイ・ラビノウィッツ
音楽:ハーン・ロウ
出演:ピーター・グリーン、ロバート・アルバート、ミーガン・オーウェン、ジェニファー・マクドナルド

ピーターは自分の頭に受信機、指に送信機が埋め込まれていると信じている。頭の中には常にノイズが流れ込んで休まるときがない。施設を出た彼は母がいる実家に向かうが、会いたかった一人娘はそこにいなかった。里子に出されたという娘を、幼児の頃の写真を手に捜し歩くピーター。その跡を追う刑事がいた。同じころ、幼児が続いて殺される事件が起きて、容疑者として目をつけられていたのだった。

ロッジ・ケリガン監督の長編デビュー作。撮影監督としてフレデリック・ワイズマンに師事し、ミュージックビデオなどを手掛けてきた1993年に製作され、日本では1996年9月に劇場公開。今回25年ぶりにリバイバル公開となりました。主演は『ユージュアル・サスペクツ』『テスラ エジソンが恐れた天才』のピーター・グリーン。『マスク』(1994)で、ジム・キャリーの敵役で出演しています(これが映画初出演だったキャメロン・ディアスが可愛い)。
本作では幻聴にさいなまれる男の役です。今でいう統合失調症でしょうか。病気の原因は今もはっきりしないようですが、溜まったストレス、強いストレスが引き金になりそうです。本人が苦しんでいても、ほかの人間にはその辛さがわかりません。『閉鎖病棟 それぞれの朝』(2019)で綾野剛さんが演じたチュウさんもそうでした。薬とリハビリで快癒し、社会生活が可能になっていましたが、1993年ではまだまだだったはずです。
ピーターの頭の中では四六時中不快な音が鳴り響き、いつも誰かに監視されているという緊張と不安の中にいます。幻聴と幻視なのですが、これは拷問と同じですね。映画では誰にも受け入れられず、母親は厳しく実家も安らげる場所ではありません。そんな中で娘に逢うことだけを楽しみにしていたピーターの心が切ないです。ラストに少しだけ救われます。
ググってみますと統合失調症は100人に1人と言われているようです。軽重の差こそあれ、誰でもかかりうる病気です。今コロナ禍の中で、緊張と不安の中で暮らしています。疑心暗鬼に陥ったり、監視しあうのでなく互いの理解が進みますように。(白)


1993年製作/アメリカ/79分/PG12
配給:アンプラグド
(C)1993 DSM III Films, Inc. (C) 2006 Lodge Kerrigan. All Rights Reserved.
http://clean-shaven.com/
★2021年8月27日(金)よりシネマート新宿ほか全国順次公開


posted by shiraishi at 13:39| Comment(0) | アメリカ | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする