2021年07月07日

ねばぎば 新世界

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監督・脚本:上西雄大
出演:赤井英和(村上勝太郎=勝吉)、上西雄大(神木雄司=コオロギ)、坂田聡、徳竹未夏、古川藍、金子昇、神戸浩、田中要次、菅田俊、有森也実(琴音)、西岡徳馬(須賀田元)ほか

大阪新世界。勝吉こと村上勝太郎、血の気の多い若いころは子分のコオロギこと神木雄司とヤクザの組をつぶして回っていた。今は経営していたボクシングジムを閉鎖し、幼なじみの串かつ屋で働いている。インチキ宗教団体「ラメク」から逃げ出してきた少年・武と出会い、父親探しを手伝うことになった。クスリで収監されていたコオロギも新世界に戻ってきた。暴力団と繋がっているというラメクには、勝吉にボクシングと”Never giveup(ねばぎば)精神を叩き込んでくれた恩師の娘・琴音がいた。武とその母もラメクから助け出したい。

ポスターからして昭和の香り。浪花のロッキー・赤井英和さん、情に厚い×熱い男、勝吉を演じています。”アラ還”だそうですが、冒頭でサンドバッグに拳を打ちこむところが見られます。コオロギ役の上西雄大さんは『ひとくず』でご覧になった方も多いでしょう。私は未見だったので滑舌良く達者な方だなぁと思っていたら…なんと監督&脚本、劇団と芸能プロダクション代表でした。「はいな!」がいいです。
とっても濃~い面々がにぎにぎしく集まって、勝吉&コオロギのコンビが縦横無尽に暴れます。喧嘩ばかりでなく、マインドコントロールされた武や、失読症のコオロギに手を貸す人もちゃんと登場して観客をホッとさせます。「串かつだるま」は赤井さんゆかりの実在のお店です。いつか新世界に行きたいなぁ。(白)


☆2020年ニース国際映画祭で外国語部門最優秀作品賞(グランプリ)と最優秀脚本賞(上西雄大)。
 2021年 主演の赤井英和と上西雄大が、WICA(ワールド・インデペンデント・シネマ・アワード)で外国映画部門最優秀主演男優賞(Best Lead Actor in a Foreign Language Film)を受賞。

2020年/日本/カラー/DCP/118分
配給:10ANTS、渋谷プロダクション
https://nebagiba-shinsekai.com/
★2021年7月10日(土)ロードショー
posted by shiraishi at 21:31| Comment(0) | 日本 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

ライトハウス(原題:The Lighthouse)

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監督:ロバート・エガース『ウィッチ』
脚本:ロバート・エガース、マックス・エガース
撮影:ジェアリン・ブラシュケ
音楽:マーク・コーベン
出演:ウィレム・デフォー(トーマス・ウェイク)、ロバート・パティンソン(イーフレイム・ウィンズロー)

1890年代、ニューイングランドの孤島。4週間にわたり灯台と島の管理のため、2人の灯台守が島にやってきた。ベテランのトーマス・ウェイクと未経験の若者イーフレイム・ウィンズローは、そりが合わずに初日から衝突を繰り返す。トーマスは自分のテリトリーに他者を寄せ付けず、若いイーフレムも何やらわけあり。 険悪な雰囲気の中、やってきた嵐のせいで2人は島に孤立状態になってしまう。

ほぼ2人だけの登場人物が、狭い灯台の中、4週間も生活を共にしなければなりません。それなのに、老人は頑固で決して譲りません。若者も遠慮は最初だけ。穏やかな場面はほんの少しで、えんえんと諍いが続きます。2人のファンであるか、こだわりの映画ファンでないと見続けるのが大変かもしれません。
昔のテレビのように狭い画面にモノクロの映像。全編フィルム撮影だそうです。シンメトリーの構図に2人の人物、閉塞した状況がにじみ出るシーン、不穏な効果音、吹きすさぶ嵐が加わって観客も次第に追い詰められた気分になります。
ウィレム・デフォーはもう何をやっても驚きません。おっと思ったのは、「トワイライト」シリーズ(2008~2012)で主人公のバンパイア・エドワードを演じて世界中の女子を虜にしたロバート・パティンソン。役柄でこんなに人相悪くなれるんだ!『TENET テネット』(2020)で重要な役を果たし、次期「バットマン」にも決定しています。
灯台守が主人公のミステリーはほかにも。1900年に灯台守が消えた事件の詳細は今も不明のまま様々に脚色されて映画化されています。ジェラルド・バトラー主演の『バニシング』(2018)は3人。金塊を発見したり、それを狙う人間が登場したりで、まだアソビの部分がありました。この『ライトハウス』は一切なしの人間劇場。(白)


孤島の灯台という、逃げ場のない場所での二人の関係は極限状態に達しますが、既得権として仕事を譲らない先輩と、仕事をしたいのに教えてもらえない後輩という関係は、どこにでもありそうです。そうはいっても、孤島で二人きりは何かあった場合、問題でしょう。3人にすべきでは?と思ったら、本作のベースになった1801年にイギリス・ウェールズで実際に起きた事件「Smalls Lighthouse tragedy(スモールズ゙灯台の悲劇)」の顛末を知って納得しました。トーマス・ハウエルとトーマス・グリフィスという二人の灯台守が赴任。グリフィスが体調不良と訴え、ハウエルが通過する船に向けて遭難信号を送りますが、悪天のため助けは来ず、とうとうグリフィスは亡くなります。二人の不仲が周知のことだった為、遺体を海に投げれば殺人の疑いがかかると、ハウエルは遺体と過ごしながら、救援を求めます。悪天が続き、やっと救出された時には、ハウエルは容貌も変わり発狂状態でした。この事件があってから、灯台守のガイドラインが変更されて、のちに灯台が自動化されるまで灯台には常に3人が配置されることになったそうです。
それにしても、この痛ましい事件をもとに、ロバート・エガース監督は凄まじい映画を作ってしまったものです。息苦しくて、観ている側も狂ってしまいそうでした。(咲)



2019年/アメリカ・ブラジル合作/モノクロ/1:1.19/109分
配給:トランスフォーマー
(C)2019 A24 Films LLC. All Rights Reserved.
https://transformer.co.jp/m/thelighthouse/
★2021年7月9日(金)TOHOシネマズ シャンテほか全国ロードショー
posted by shiraishi at 00:47| Comment(0) | アメリカ | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする