2021年07月04日

走れロム  原題:Rom

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監督:チャン・タン・フイ
プロデューサー:トラン・アン・ユン
出演:チャン・アン・コア、アン・トゥー・ウィルソン

14歳の孤児ロム。今日もサイゴンの路地裏を駆け回って、一攫千金を狙う住民たちから”闇くじ(デー)”の掛け金を集めている。毎日16:30に抽選開始される30分前までに、胴元に掛ける番号とお金を届けるのをフックと競い合っている。ロムにとって、闇くじの手間賃は生き別れた両親を捜すための資金稼ぎ。路地裏の古い集合住宅の住民たちにとっても、地上げ屋から立ち退きを迫られていて、ロムの予想を頼りにしている。住民たちは、いつか大金を手にすることができるのか? そして、ロムは両親と会うことができるのか?

闇くじの締め切りが迫る中、ロムとフックが混沌としたサイゴンの路地裏を疾走する姿が、スタイリッシュに描かれていて、時間に間に合うのかとハラハラしながら、ロムたちの姿を追いました。船で渡っていく川か湾の中州で暮らす胴元の姿は見えません。ベトナム政府公認の”正当な”くじの当選番号の末尾2桁を予想する、ハイリスク/ハイリターンな違法くじ。
サイゴン(ホーチミン市)育ちの監督が、「サイゴンやベトナムの特産品は何か?」と聞かれたら、「間違いなく、宝くじで賭け事をすること=デー(Số đề)と答えるでしょう」というほど、サイゴンの人たちになくてはならない闇くじ。そうはいっても違法。釜山国際映画祭でニューカレンツ部門(新人監督コンペティション部門)最優秀作品賞を受賞しましたが、出品する前に当局の検閲を通してなかったことからお叱りを受けました。当局の要求を受け入れ、一部のシーンをカットして新しいシーンを追加し、釜山でのワールドプレミアと同じ上映時間79分に再編集。これが初長編作と思えない秀作です。(咲)


ベトナムを舞台にした映画をいろいろ観てきました。50作くらいは観ていると思います。でもこの映画に出てくる「くじ」が出てくるものは観たことがありません。なので質素に暮らしてきたこの国には「くじ」があるなんて思ってもみませんでした。この映画を観て、やっぱりベトナムにも「くじ」はあったのだと思いました。やはり一攫千金を夢見る人たちは世界中どこにでもいるいるんだなという思いと、そのせいで生活が破綻してしまう人たちもいる。ベトナムでもそうなんだと思いました。そして、その当たりはずれを左右するために予想屋がいて、しかも孤児の少年たちが、生きるためにそれを仕事にしている。イチかバチかの世界に人々は未了されているのでしょうか。私も「宝くじに当たったらいいのになあ」と思ったことはあるけど、くじ運が悪いので1回しかやったことがない。日本でも宝くじかけている人がいて、毎回けっこう高い金額をかけている人がいる。この映画を通して、「くじ」に賭けるベトナム庶民の生活を垣間見ることができた(暁)。

第24回釜山国際映画祭ニューカレンツ部門(新人監督コンペティション部門)最優秀作品賞
第24回ファンタジア国際映画祭 最優秀新人作品賞

2019年/ベトナム/ベトナム語/カラー/DCP/2.39:1/79分
日本語字幕:秋葉亜子
提供:キングレコード
配給・宣伝:マジックアワー
公式サイト:https://www.rom-movie.jp/
★2021年7月9日(金)、ヒューマントラストシネマ渋谷ほか全国順次ロードショー

posted by sakiko at 19:29| Comment(0) | ベトナム | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

東京自転車節

2021年7月10日 ポレポレ東中野ほか全国順次公開
劇場情報
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(C)2021水口屋フィルム、ノンデライコ

監督・撮影:青柳 拓
撮影:辻井潔、大澤一生
編集:辻井潔
構成・プロデューサー:大澤一生
出演:青柳 拓、渡井秀彦、丹澤梅野、丹澤晴仁、高野悟志、加納 土、飯室和希、齊藤佑紀、林 幸穂、加藤健一郎、わん(犬)
音楽主題歌「東京自転車節」 作詞・作曲:秋山 周

チャリを漕ぎます運びます
コロナ禍を生き抜くリアル・ロードドキュメンタリー


『ひいくんのあるく町』(2017)の青柳拓監督が、自ら働く自転車配達員としての活動を記録したドキュメンタリー。
2020年3月。山梨県で暮らしていた青柳監督はコロナ禍で代行運転の仕事が遂になくなってしまった。その頃、話題になっていた「Uber Eats」の自転車配達員の仕事を知り、家族の反対を押し切り、新型コロナウイルス感染者数が増加していた東京に借りた自転車で向かう。緊急事態宣言下の東京で、自転車配達員として働きながら、スマートフォンとGoProで、自らと東京の今を撮影し始めた。
奨学金を返すため、生活するため、新コロナ禍を生き抜くため始めた自転車配達員。その仕事を通して、「働くということ」、「“あたらしい日常”を生きることとは?」、「新コロナ禍の東京はどんな感じ?」を自転車配達員の視点で表現した疾走する路上労働ドキュメンタリー。
『ひいくんのあるく町』の主人公・渡井秀彦君が出てきたり、『沈没家族 劇場版』の加納土監督ら、監督の周囲の友人たちも登場。

コロナ禍によって生まれた「新しい日常」。生きるために始めた自転車配達員の仕事を自ら映し映画にする。スマートフォンとGoProという小型の道具の登場によって可能になった映画製作方法。観客にとっては、今、話題の「Uber Eats」の働き方とはどういうことなのかを知ることになる。新コロナ禍の東京の町の状態が自転車配達員の視点から見えてくる。そして今の日本の姿が見えてくる。
奨学金の返済、これまでの糧であった仕事の新型コロナによる廃業など、生きるのに精いっぱいの事情。描かれている現実は、ギリギリで切迫感があるにも関わらず、監督自身がもつほんわかさとユーモア感のおかげで、少し希望も感じられる。そうは言っても問題は山積み状態。状況は一向に良くなってはいない状況。コロナ禍は1年以上たっても収まりそうもない。でもこの作品から転んでもただは起きぬ力強さも感じられる。がんばれ青柳拓監督(暁)。


『東京自転車節』公式HP 
映画『東京自転車節』 YouTubeちゃんねる
予告編

2021/日本/93分/日本語/カラー/DCP/ドキュメンタリー
宣伝::contrail
製作・配給:ノンデライコ、水口屋フィルム


posted by akemi at 19:27| Comment(0) | 日本 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

東京クルド

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監督:日向史有
撮影:松村敏行/金沢裕司/鈴木克彦
編集:秦岳志
カラーグレーディング:織山臨太郎
サウンドデザイン:増子彰
MA:富永憲一
プロデューサー:牧哲雄/植山英美/本木敦子
製作:ドキュメンタリージャパン

クルド人のオザン(18歳)とラマザン(19歳)。二人は小学生の頃に、トルコ南東部の故郷から迫害を逃れて家族とともに日本にやってきた。難民申請をし続けているが認められず、入管の収容を一旦解除される「仮放免許可書」で日本に滞在している。非正規滞在者で、住民票もなく、 自由に移動することも、働くこともできない。いつ入管に収容されるかもしれないという不安も抱えている。
二人とも、小学校から日本で教育を受けてきたので、流ちょうな日本語を話す。
つらい解体の仕事で日銭を稼いでいるオザンの夢はタレントとしてテレビに出ること。外国人タレントの芸能事務所で、トルコ文化も紹介できることを売りに出演も決まるが、仮放免中であることを伝えると、入管の許可をもらうように言われ、結局、出演を果たせない。
トルコ語クルド語の通訳が夢のラマザンは英語力を磨きたいと語学学校への入学を打診するが、仮放免中ではどこも受け入れてくれない。ようやく、埼玉自動車大学校に入学が認められる。第二の夢だった自動車整備士を目指してスーツ姿で入学式に臨むラマザンを、両親が嬉しそうに見守る。だが、資格を取得しても、仮放免の身分で仕事に就くことができるかどうかはわからない。
この入学式を前にした春分の日、クルドの人たちが新年を祝う「ネウロズ祭」が公園で開かれた。父とともに集うラマザン。一方、家を出て一人暮らしを始めたオザンの姿はそこになかった・・・

日向史有監督が、難民に目を向けたのは、2015年。シリア紛争を背景に欧州で難民危機といわれる事態が起きた頃のこと。日本にもいる難民に話を聴きたいと取材を始めて出会ったのがクルドの人たち。彼らを追う中で、日本当局の難民に対するあまりに排他的な態度が見えてきます。
2019年3月、東京入管に長期収容されていたラマザンの叔父メメット(38歳)が極度の体調不良を訴え家族が救急車を呼びますが、入管は2度にわたり救急車を追い返してしまいます。メメットさんは30時間後にようやく病院に運ばれ、体調を取り戻しましたが、今年、収容中のスリランカ人女性ウィシュマ・サンダマリさんが手遅れで亡くなられるという痛ましい事件がありました。入管法「改正」でさらに対応が悪化する動きもあります。

もう20年位前のことになりますが、与野にあった中東ミニ博物館の今は亡き大野正雄館長と共に、蕨のクルドの人たちのコミュニティを訪ねたことがあります。美味しいクルド料理を振舞ってくださり、食後には手をつないでクルドの音楽にあわせて踊りました。暖かくもてなしてくださったクルドの人たちでしたが、国に帰れば身に危険があると訴えても、難民申請が通らないと悲しそうに語っていたのが今でも思い出されます。
トルコが友好国であるが故に、日本政府はトルコでクルドの人たちに迫害がおよぶことを認めたくないというのが、難民として受け入れない大きな理由のようです。
私の知人のイラン人で、ビザなしで入国できた時代に来日し、滞在期限が切れた後も帰国せず不法滞在の身だった時に、日本女性と結婚。在留資格を得たもののその後離婚し、またまた不法滞在者に。入管に相談にいったら、「またいい子見つけて結婚すれば」と言われ、悔しいので会社を立ち上げ、事業主として在留資格を得た人がいます。
本作に出てくるクルドの人たちは、難民申請しているが故に、事情主にもなれないのです。

蕨の公園での新年を祝う「ネウロズ祭」にも、2度参加したことがあります。皆で手をつないで踊るクルドの人たち。この踊りのスタイルは、トルコ、イラン、シリア、イラクの4つの国にまたがって暮らしているクルドの人たちに共通するもの。国のない民族といわれるクルドの人たちですが、全世界に3000万~4000万人もいるのです。クルド人の映画監督バフマン・ゴバディが、「私たちは国が欲しいのではない。国境のない世界がほしい」と語っていたのを思い出します。そう、皆が安心安全に暮らせる世界。日本で暮らしたいという人たちを拒否せず受け入れてほしいものだと思います。(咲)


「クルド民族」の名前を知ったのは2001年頃。サミラ・マフマルバフ監督の『ブラックボード 背負う人』(製作2000年、日本公開2001年)や、バフマン・ゴバディ監督の『酔っぱらった馬の時間(製作2000年、日本公開2002年)、イェシム・ウスタオウル監督の『遥かなるクルディスタン』(製作1999年、日本公開2002年)などの映画が続けて公開されたのがきっかけでした。国を持たない「クルド民族」のこと、「クルディスタン」という4つの国にまたがる場所に暮らしていることなどをその時に知りました。バフマン・ゴバディ監督インタビューにも参加することができ、クルド民族の方への興味が広がりました。
「クルド難民」が日本に来るようになったのもその頃のことでした。この映画に出てきた二人が日本に来たのも、「2015年に小学生の低学年で日本に来た」というので、きっと2002年頃だったのでは。そして野本大監督の『バックドロップ クルディスタン』が公開されたのが2007年でした。この作品は、今回の『東京クルド』と同じく、トルコでのクルド人に対する迫害を逃れるため「難民」として日本にやってきたカザンキラン一家を追ったドキュメンタリーでした。難民申請をしても難民認定されず、強制送還の危険性が高まっていました。そして仮放免申請に向った父アーメット、長男ラマザンが突然強制送還されてしまいました。そんな彼らを追った作品でした。
今回の『東京クルド』を観て、その時となんら変わっていない日本政府の施政に日本人としてできることを考えさせられました。今年、入管法「改正」に対して、SNSで「反対」の声をあげた人の多さに、「改正」が見送られたとニュースで読みました。こういうことは可能なのか、他にも方法がないのか考えました。日本政府の方針は変わっていない状況にあるのなら、繰り返しこういう映画が作られ、日本人の「難民」に対する認識を新たにしていく必要があると、この作品を観て思いました。日本には「難民」がたくさんいるという状況を忘れてはならないのです(暁)。



2021年/日本/103分
配給:東風
協力:日本クルド文化協会
映像提供:#FREEUSHIKU
技術協力:104 co Ltd
クルド語翻訳:チョラク・ワッカス
助成:文化庁文化庁文化芸術振興費補助金(映画創造活動支援事業) 独立行政法人日本芸術文化振興会
© 2021 DOCUMENTARY JAPAN INC.
公式サイト:https://tokyokurds.jp/
★2021年7月10日(土)より[東京]シアター・イメージフォーラム、[大阪]第七藝術劇場にて緊急公開、ほか全国順次
posted by sakiko at 18:51| Comment(0) | 日本 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

ロボット修理人のAi(愛)

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監督:田中じゅうこう
脚本:大隅充
撮影:本吉修
出演:土師野隆之介(倫太郎)、緒川佳波(すずめ)、大村崑(老人)、大空眞由美(和子)、金谷ヒデユキ(村上所長)ほか

16歳の倫太郎は孤児として育ち、人一倍自立心が強い。高校を中退していくつものアルバイトを掛け持ち、大人たちに頼られている。特に家電やロボットまで、なんでも修理する工房で天才的なその腕を磨いている。さらに独学でロボットの勉強を続ける倫太郎に、東京に住む老婦人からAIBOの修理依頼が届く。息子の形見だというAIBOは音声装置とメモリーが壊れていた。同じころ、清掃のアルバイトをしていた病院で、発声障害のある少女すずめと出会った。

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AIBOは90年代末から愛され続けている犬型のエンターテインメントロボット。かつてメーカーに在籍して現在はロボット修理人の乗松伸幸さんをモチーフにしたフィクションです。
美しい榛名湖を背景に、孤児の倫太郎が、AIBOが結んだ縁で過去と向き合い、新しい絆を結んでいきます。子どもの頃に辛い体験をした倫太郎を癒すかのように、ファンタジー要素をからめてあります。現実とファンタジー、そして時間も前後するので、観ていてちょっと戸惑いますが、倫太郎にとっては全て繋がっていることです。
榛名湖は蘇りの女神がいるという設定で、大村崑さんが「謎の老人役」で登場。私が子どもの頃の大人気スターでしたから、思いがけなくお元気な姿を拝見して驚いたり喜んだり。映画は完成まで3年かかり、倫太郎を演じた土師野隆之介さん(中学2年から高校2年まで)が、榛名湖の四季の中で成長していく姿が映されています。コロナ禍で上映が延期になってしまい、今は高校3年生の土師野さんにお話を伺いました。
こちらです。(白)

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2020年/日本/カラー/108分
配給:トラヴィス
夕焼け劇場 presents (C)2021 GENYA PRODUCTION ROBOT REPAIRBOY
http://roboshu.com/
★2021年7月10日(土)より新宿K's cinemaにて2週間限定上映
7/10(土)~7/23(金)
AM10:00~上映後、舞台挨拶&トークショー
posted by shiraishi at 17:46| Comment(0) | 日本 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

ベルヴィル・ランデブー(原題:Les triplettes de Belleville)

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監督・脚本:シルヴァン・ショメ
音楽:ブノワ・シャレスト
美術:エフゲニ・トモフ
プロデューサー:ディディエ・ブリュネール

マダム・スーザは孫のシャンピオンと暮らしている。両親を事故でなくした彼があまりに寂し像なので、子犬を飼うことにした。ブルーノと名付けられた子犬はシャンピオンの親友となって一緒に育ち、二人とも、ベッドからはみ出るほど大きくなった。シャンピオンは自転車レースの選手を目指して、坂道を上り下りする過酷なトレーニングをしている。
ついに目標だった「ツール・ド・フランス」の日がやってきた。ゴールのマルセイユを目指して走っていたシャンピオンが黒服の男に連れて行かれ、おばあちゃんはブルーノの臭覚を頼りに後を追う。大都市ベルヴィルに到着したおばあちゃんとブルーノは、一文無しになるが三つ子の老婦人と知り合った。一方、シャンピオンは他の自転車選手と一緒にマフィアに拉致され、賭博のために自転車を漕がされていた。おばあちゃんはシャンピオンと再会できるのか?

登場人物は何人もいますが、台詞がありません。それでもデフォルメされた人物たちの感情表現が豊かで、ちゃんとわかるのです。台詞がない代わりにそこかしこに音楽があり、三つ子のおばあちゃんのコーラスも素敵でした。そこの食事はちょっと嫌だけど。ブルーノと無謀とも思われる追跡をするおばあちゃんですが、決してあきらめません。様々な経験をして、徐々にシャンピオンへと近づいていきます。
懐かしい作品です。制作20周年記念の特別興行のために戻ってきたのだそうです。日本初公開は2004年12月18日。
私は今はないテアトルタイムズスクエア(新宿高島屋の12階/2002~2009)の大きなスクリーンで感嘆しつつ観た記憶があります。映画1シーンを切り取ったポストカードが綺麗で、大事にとっておきましたが…どこだっけ?(白)


「21世紀フランス・アニメーション伝説の傑作
製作20周年を目前にリバイバル上映が決定!」
このうたい文句以外、何の予備知識なく観たのですが、台詞がほとんどないのに、ぐいぐい引き込まれ、ちゃんと話もわかりました。
孫を思うおばあちゃんが、ほんと、タフですごいのです。ツール・ド・フランスのゴール目前にして誘拐され、マルセイユの港で大きな船に乗せられた孫を追うのに、20分 1フランの小船を借りるのです。嵐にあいながら、大都市ベルヴィルに到着します。無理でしょう!? (小船を貸した海辺の男が、エンドロールの終わったあとに出てきますので、お見逃しなく!)
行き場のないおばあちゃんとブルーノを家に招いてくれた三つ子の老婦人は、「ベルヴィルのトリプレット」の名で舞台に立つエンターテイナー。空っぽの冷蔵庫、掃除機、新聞が楽器に! おばあちゃんも自転車の車輪を奏でます。
思い切り楽しくて、哀愁に溢れた物語でした♪(咲)


2002年/フランス、カナダ、ベルギー/カラー/ヨーロピアン・ビスタ/80分
配給:チャイルド・フィルム
(C)Les Armateurs / Production Champion Vivi Film / France 3 Cinema / RGP France / Sylvian Chomet
https://eiga.com/movie/1287/gallery/#:~:text=Hatena-,
https://child-film.com/Belleville/
★2021年7月9日(金)5864日ぶりに映画館のスクリーンへ
ヒューマントラストシネマ渋谷、UPLINK吉祥寺ほか全国順次公開


posted by shiraishi at 17:36| Comment(0) | フランス | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

シャイニー・シュリンプス!愉快で愛しい仲間たち(原題︓Les Crevettes Pailletees)

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監督・脚本:セドリック・ル・ギャロ、マキシム・ゴヴァール
出演︓ニコラ・ゴブ(マチアス)、アルバン・ルノワール(ジャン)、ミカエル・アビブル(セドリック)、デイヴィット・バイオット(アレックス)、ロマン・ランクリー(ダミアン)、ローランド・メノウ(ジョエル)、ジェフリー・クエット(グザヴィエ)、ロマン・ブロー(フレッド)、フェリックス・マルティネス(ヴァンサン)

50m自由形の銀メダリストのマチアス、同性愛差別発言が問題になり、世界水泳大会の出場資格を失った。もう一度資格を得るのに、条件が出された。ゲイの水球チームのコーチになること!マチアスは同性愛差別意識を持ったまま、渋々出かけて「シャイニー・シュリンプス」のメンバーに出会う。ゲイゲームズに出場するにはへなちょこすぎる彼らにげんなりするが、3ヶ月は付き合わなければならない。
一人娘のヴィクトワールがチームを応援するので、娘の歓心をかいたいマチアスは問題だらけのメンバーと真剣に向き合うことにした。

セドリック・ル・ギャロ監督は2012年に「シャイニー・シュリンプス」に加入。以来、人生観が変わるほどの経験をしてきたそうです。現実が辛くとも、ユーモアで乗り切る彼らの強さを知ってほしいと映画が生まれました。チームのメンバーが一人一人個性的で、それぞれに過去があり辛い今を生き、未来を想っています。マチアスはそんな彼らから、これまでにない気づきをもらって、少しずつ変っていきます。
ゲイゲームズの存在を初めて知りましたが、世界最大のLGBTのためのスポーツ・文化イベントで4年に1度開催されていました。第1回は1982年にアメリカ、ロサンゼルス。以来世界各都市で開かれていますが日本では開催されたことがありません。いろいろググってみましたら、参加資格もLGBT、またはアライ(味方・支援者)であればいいそうで、男女、障害者も同じフィールドで競技するのだとか。2018年はパリで、2022年のゲイゲームズは「香港」だそうで、これはアジアで初の開催です。コロナ禍はどうなっているやら。
問題を起こした人がコーチになる、と言えば『だれもが愛しいチャンピオン』(2018)を思い出します。こちらも勝ち負けにこだわらず、楽しむことが第一でした。(白)

※実際のシャイニー・シュリンプス
勝ち負けにはこだわらず、⼀緒にいることに楽しみを⾒出す、ゲイの⽔球同好会。ここ数年、試合には勝っていないが、練習とコスチューム制作は⽋かさない。試合に出場して狙うは、“最優秀雰囲気”賞。

2019年/フランス/カラー/ビスタ/103分【PG-12】
配給:ポニーキャニオン、フラッグ
© LES IMPRODUCTIBLES, KALY PRODUCTIONS et CHARADES PRODUCTIONS
公式サイト︓shinyshrimps.jp
公式 Twitter︓@shinyshrimps
★2021年7月9日(金)、ヒューマントラストシネマ有楽町、新宿武蔵野館、Bunkamura ル・シネマ ほか 全国公開︕︕

posted by shiraishi at 17:21| Comment(0) | フランス | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

サムジンカンパニー1995(英語題:Samjin Company English Class) 

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監督:イ・ジョンピル
出演:コ・アソン(イ・ジャヨン)、イ・ソム(チョン・ユナ)、パク・ヘス (シム・ボラム)、キム・ジョンス(ポン部⻑)、ペク・ヒョンジン(常務)、デヴィッド・マクイニス(社⻑)

1995年ソウル。大手メーカーのサムジン電⼦⽣産管理3部イ・ジャヨン、商業⾼校出⾝8年⽬。マーケティング部 チョン・ユナ、アイデアにも優れている推理⼩説マニア。会計部 シム・ボラム数学⼤会で優勝の経歴を持つ数字の天才。3人は高卒で入社した同期。今年で勤めて8年になる。上司の男性や大卒女子も負けないほどの実務能力がありながら、いつもお茶くみや書類整理・補佐役に甘んじている。そこへ会社の方針でTOEIC600点を超えたら「代理」に昇進できるチャンスが到来!? 高卒女子たちはステップアップを夢見て邁進する。
ジャヨンが偶然出先で、自社工場が有害物質を川に排出していることに気づいた。さっそく上司の男性を通じて報告するが、会社側は問題ないと言うばかり。ジャヨンは親友のユナとボラムに相談し、ボラムの計算で基準値を大きく超える量だと知った。住民には明らかに健康被害が出ている。3人は愛社精神と正義感から、真相解明に向けて奔走する。

ロードムービーならぬ労働ムービー。1991年に起きた、斗山電子のフェノール流出による水質汚染事件がモデルになっているそうです。学歴が重視され、高卒女子が不遇をかこっていた時代のエピソードも盛り込まれています。
背景となる会社の内部も綿密な時代考証がなされて、デスクトップ型のパソコンの並ぶフロア。32ビットのロゴやレイアウトに、ああそうだった(エンドロールも見てね)。肩パッドの入ったスーツ、カーラーで巻いた前髪、カモメのような眉、ファッションやメイクも懐かしい。
主人公となるジャヨン、ユナ、ボラムの3人の性格付けとキャストの好演により、観客は自分のことのように共感して行動を見守ることになります。何度も壁にぶちあたりながらも諦めず、少しずつ協力者を得ていきます。なかなか黒幕にたどり着かないのにハラハラし、ラストに向けて盛り上がっていくのに快哉。仕事に誇りを持ちたいジャヨン役のコ・アソンは『グエムル 漢江の怪物』(2006)で、ソン・ガンホの中学生の娘でしたね。怪物に襲われる寸前のポスターを思い出します。姉御肌のユナ、可愛いだけでないボラムの3人をまた見てみたいです。
働く女子にも生きづらさを感じる人にも、贈り物になるような台詞がたくさんありますので、どうぞ聞き逃しのないように。(白)


物語の舞台になっている1995年といえば、1月に阪神淡路大震災の起こった年。思い返せば、インターネットが急速に普及し始めた頃ですが、この映画の中でポケベルが出てきて、携帯電話はまだそれほど普及していなかったことに思い当たりました。公衆電話から国際電話をかけるのに、小銭をたくさん用意している姿にも、そんな時代だったと懐かしく思い出しました。
そして、日本の会社と文化が似ているなと思ったのが、体操の時間。サムジンカンパニーでは、始業前の朝の時間に体操をしています。もっとも、私が勤めていた会社では、1975年に入社して数年は一斉に3時に体操をしていましたが、いつしか誰もしなくなって、音楽だけが空しく轟いていました。
また、女子社員が一斉にコーヒーを入れている姿には、お茶汲みが女子社員の仕事だった頃を思い出して、当時のちょっと悔しかった気持ちが蘇りました。私の勤務していた会社では、1991年に移転したのを機に、給茶機が設置されて、社員へのお茶汲みは廃止になりました。
サムジンカンパニーの女子社員たちは、責任ある仕事を任されない悔しさをバネに、英語の勉強に励み、あげくは自社の工場が有害物質を垂れ流していることを追求します。あっぱれな姿に、スカッとしました。男たちよ、女性を甘く見ちゃいけないですよ! (咲)



2020年/韓国/カラー/シネスコ/110分
配給:ツイン
(C)2020 LOTTE ENTERTAINMENT & THE LAMP All Rights Reserved.
https://samjincompany1995.com/
★2021年7月9日(金)シネマート新宿、シネマート⼼斎橋ほか全国ロードショー
posted by shiraishi at 17:01| Comment(0) | 韓国 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

83歳のやさしいスパイ 原題『El agente topo』

7月9日(金)よりシネスイッチ銀座ほか全国順次公開
劇場情報

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© 2021 Dogwoof Ltd - All Rights Reserved


監督・脚本:マイテ・アルベルディ 
日本語字幕:渡邉一治
出演:セルヒオ・チャミー ロムロ・エイトケン

人生初スパイの仕事は、老人ホームへの潜入!

舞台はチリ。80歳以上の高齢男性を募集する新聞の求人広告が探偵事務所から出され、それに応募したのは妻を亡くし新たな生きがいを模索していた83歳のセルヒオ。依頼内容は老人介護施設の内偵。依頼人の母が、この施設で盗難や職員からの虐待にあっているのではないかという疑念を持ち、母の様子を誰にも気づかれずに探ってほしいという依頼。セルヒオは素性を隠し施設に入居する。今までスマホを使ったこともなく、潜入捜査の前に訓練したものの、メールや写真撮影などの電子機器の使い方や、暗号を忘れてしまったりで悪戦苦闘。
入居者と交流し状況を探りやっとターゲットの女性をみつけたが、なかなか手がかりを掴めない。スパイとして入居したが誰からも好かれる心優しいセルヒオは、調査を行う中でいつしか悩み多き入居者たちの良き相談相手となる。この施設や入居者の撮影をするという名目で、別のカメラクルーも参加したドキュメンタリー。

私はてっきりドラマかと思ったらドキュメンタリーだった! でも、よくできたドラマのよう。舞台になった老人ホームの許可を得、スパイとは明かさず3カ月間撮影されたという。
施設には、妄想癖、痴呆症、寝たきりなど様々な人がいる。セルヒオの調査活動を撮影する中で、彼の姿を追ううちに入居者の気持ちが浮かび上がる。親を施設に入れたあと面会に来ない子供たち。家族から捨てられたと感じている人も少なくない。「一生懸命育てたのに、子どもは私を老人ホームに入れて面会にすら来ない」と、孤独感を募らせるおばあちゃんたち。「老人ホームをスパイする」という形をとりながら、ここで暮らす高齢者たちの置かれた状況と思いを撮りたかった。それこそが監督がこの映画に込めたメッセージだったのでは(暁)。


英題『THE MOLE AGENT』
2020年/ドキュメンタリー/チリ・アメリカ・ドイツ・オランダ・スペイン/89分/カラー/ビスタ/5.1ch
『83歳のやさしいスパイ』 公式サイト
配給・宣伝:アンプラグド 
posted by akemi at 09:34| Comment(0) | 日本 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする