2021年07月01日
シンプルな情熱 原題:Passion simple
監督:ダニエル・アービッド
原作:アニー・エルノー「シンプルな情熱」(ハヤカワ文庫/訳:堀茂樹)
出演:レティシア・ドッシュ、セルゲイ・ポルーニン、ルー=テモー・シオン、キャロリーヌ・デュセイ、グレゴワール・コラン
シンプルな情熱 原題:Passion simple
監督:ダニエル・アービッド
原作:アニー・エルノー「シンプルな情熱」(ハヤカワ文庫/訳:堀茂樹)
出演:レティシア・ドッシュ、セルゲイ・ポルーニン、ルー=テモー・シオン、キャロリーヌ・デュセイ、グレゴワール・コラン、スリマン・ダジ
パリの大学で文学を教えるエレーヌ(レティシア・ドッシュ)は、友人宅のパーティーでロシア大使館に勤める年下のアレクサンドル(セルゲイ・ポルーニン)と出会い、恋に落ち、自宅やホテルで逢瀬を重ねる。授業中も、友人と映画を観ている時も、何をしていても心は彼に奪われている。研究対象のイギリスの女性作家アフラ・ベーンの資料について図書館から連絡が入っても、気もそぞろ。友人のアニタ(キャロリーヌ・デュセイ)から「彼は既婚者だし、いつかはロシアに帰ってしまうのよ。恋に恋しているだけ」と言われても無我夢中。夫と別れ息子のポール(ルー=テモー・シオン)と暮らしているエレーヌだが、夜、自宅に来ると電話が入ると、息子を友人宅に泊まりにいかせる始末。やがて彼からの連絡が途絶える。居ても立っても居られずロシア大使館に電話し、翌日、会う約束を取り付けるが彼は現れなかった。気力をなくし何も手につかなくなってしまう。息子から話を聞いた元夫(グレゴワール・コラン)が呆れて様子を見に来るが、ベッドから出られない。エレーヌは精神科医(スリマン・ダジ)のもとを訪れ、昨年9月に彼に出会って以来、彼を待つことしか出来なかった胸の内を語る・・・
原作は、今やノーベル文学賞の候補に名を連ねるフランスのアニー・エルノーが、1991年に自身の年下男性との愛と性の体験を元に綴った「シンプルな情熱」。
ダニエル・アービッド監督がお守りのように愛読してきた原作のエッセンスをそのままに、舞台を現代に置き換えて映画化。脚本段階からアニー・エルノーに相談し、お墨付きをもらったもの。
気まぐれに突然会いたいと連絡をしてくる男のために、友達からの誘いにも曖昧に答え、片時も携帯を手元から離しません。携帯のなかった時代なら、家からも出ない、仕事場でも机を離れないという経験は誰しもあるのでは?
会えない日々が続くと、グーグルマップで彼の住むモスクワの通りを見てみたり、実際にモスクワに飛んで街を彷徨うということにも共感します。
恋に落ちた当初は、まさに恋に酔いしれて我を忘れてしまっても、やがて、相手とは趣味も考え方も違うことを客観的に見えるようになっていく姿も描かれていて、恋という病が人を成長させてくれることも感じさせてくれます。
ダニエル・アービッド監督は、1970年4月26日レバノン、ベイルート生まれ。1987年レバノン内戦の頃、17歳でパリへ。文学やジャーナリズムを学ぶ。 初の長編映画『戦争の中で』(2004年)は、内戦下のレバノンで複雑な家庭の中で12歳の少女が大人になっていく様を描いた自伝的作品。
2004年第5回東京フィルメックスで『戦争の中で』が上映され、その折に来日した監督にお会いしています。(写真:下段左端 撮影:梅木直子)エレガントな雰囲気の方でした。フランス国籍を取っていますが、レバノン映画界の活性化を担う活動もされています。
今後また、レバノンを舞台に描いた映画を期待したいところです。(咲)
2020 年カンヌ国際映画祭 公式選出作品
2020 年サン・セバスティアン国際映画祭 コンペティション部門出品
2020年/フランス・ベルギー/フランス語・英語/99分/R18
日本語字幕:古田由紀子
配給・宣伝:セテラ・インターナショナル/宣伝協力:テレザ
公式サイト:http://www.cetera.co.jp/passion/
★2021年7月2日(金)よりBunkamuraル・シネマほか全国ロードショー