2021年04月18日

るろうに剣心 最終章 The Final

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監督・脚本:大友啓史
原作:和月伸宏
撮影:石坂拓郎
アクション監督:谷垣健治
音楽:佐藤直紀
主題歌:ONE OK ROCK
出演:佐藤健(緋村剣心)、新田真剣佑(雪代縁)、武井咲(神谷薫)、江口洋介(藤田五郎/斎藤一)、青木崇高(相楽左之助)、蒼井優(高荷恵)、伊勢谷友介(四乃森蒼紫)、土屋太鳳(巻町操)、三浦涼介(沢下条張)、音尾琢真(呉黒星)、鶴見辰吾(浦村署長)、中原丈雄(前川宮内)、大西利空(明神弥彦)、阿部進之介(鯨波兵庫)、柳俊太郎(乙和瓢湖)、丞威(乾天門)、成田瑛基(八ツ目無名異)

かつて人斬抜刀斎(ひときりばっとうさい)として恐れられ、激動の幕末を刀一本で戦い抜いた男、緋村剣心。新時代を迎え、二度と人を殺さないと誓う。斬れない逆刃刀(さかばとう)に持ち替え、日本転覆を狙った志々雄真実をはじめ数々の敵との戦いを乗り越えてきた。仲間たちと平穏な日々を送っていたある日、東京が何者かに攻撃され、次々と大切な人々が襲われる。
次第に追い詰められ憔悴しきった剣心の前に現れたのは、あの志々雄に武器や軍艦を送り込んでいた上海マフィアの頭目・雪代 縁(ゆきしろえにし)。剣心の”十字傷の謎”を知る彼こそが、剣心自らが生み出してしまった最恐最悪の敵だった。剣心に強烈な恨みを持ち、剣心だけではなく、剣心が作った新時代をも破壊するため”人誅(じんちゅう)”を仕掛けてくる!

”るろ剣”オールスター集合の最終章です。2012年公開の『るろうに剣心』から1本も外さずに観ていますが、期待を裏切られることはありませんでした。この度も期待満々で出かけました。いつもしょっぱなから渾身のアクション、今からこれでクライマックスはどうなるんだ?!と心配してしまいます。
燃え上がる町にハラハラと落ちてくる”人誅”と書かれた紙片。原作の和月伸宏氏が”天誅”に対してつくった「天が裁かないなら己が裁きを下す」という意味の造語。これが剣心が満身創痍になる始まり。雪代 縁は新田真剣佑。ビジュアル系バンドもかくやという華々しさで登場です。復讐に燃える目も鍛え上げた身体も美しい。6月4日に公開予定の『るろうに剣心 最終章 The Beginning』に繋がる彼のエピソードをしかとご覧ください。
この10年間、大友啓史監督と走り続けてきたキャスト・スタッフの絆の確かさがわかる本作。俳優さんはもちろん、谷垣健治アクション監督ひきいるチーム、支える美術や衣裳、照明や音声、編集さんの汗と努力の結果は、できるだけ大きな画面&良い音響のもとで観ることをお勧めします。(白)


2012年に『るろうに剣心』を見たとき、新しい感覚の時代劇に衝撃を受けました。以降、緋村剣心は佐藤健の代名詞ともいえる役になり、その後、いろいろな作品に出演していますが、きっと心の奥には剣心が内包していたのでしょう。本作で剣心の十字傷の理由が明らかになり、剣心が頬の傷に触れるシーンがありましたが、1作目にあった同じようなシーンと比べて演技に深みを感じました。
そして、新たなヒーローとして、新田真剣佑が登場。父親のDNAをしっかり受け継ぎ、冒頭から見事なアクションシーンを繰り広げます。クライマックスは単なるアクションに留まらず、心の葛藤もしっかり表現し、今後が楽しみになりました。
そして、ラスト。剣心の何気ない行動に思いっきり泣けます。実はその演出、脚本にはなく、現場で佐藤健が思いついたそう。剣心として10年近く生きてきた佐藤健だからこそだと改めてきゅんとなりました。(堀)


2021年/日本/カラー/シネスコ/138分
配給:ワーナー・ブラザース
(C)和月伸宏/集英社 (C)2020映画「るろうに剣心 最終章 The Final/The Beginning」製作委員会
https://wwws.warnerbros.co.jp/rurouni-kenshin2020/
公式 Twitter/公式 Instagram @ruroken_movie #るろうに剣心最終章
★2021年4月23日(金)ロードショー

posted by shiraishi at 14:21| Comment(0) | 日本 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

グランパ・ウォーズ おじいちゃんと僕の宣戦布告  原題:The War with Grandpa

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監督:ティム・ヒル
脚本:トム・J・アッスル、マット・エンバー
原作:The War with Grandpa (ロバート・キンメル・スミス著)
制作:フィリップ・グラッサー、マーヴィン・ビアート、ローザ・モリス・ビアート
出演:ロバート・デ・ニーロ、オークス・フェグリー、クリストファー・ウォーケン、ユマ・サーマン、ロブ・リグル、ジェーン・シーモア

エド(ロバート・デニーロ)は妻を亡くして一人暮らしに。転んで怪我をしたエドを心配した娘サリー(ユマ・サーマン)に一緒に暮らそうと言われ、思い出のある家から引っ越すことになる。孫のピーター(オークス・フェグリー)は、おじいちゃんと暮らせることを喜んだものの、自分の部屋を明け渡して、鼠のいる屋根裏部屋に移ることになり激怒。ピーターは、おじいちゃんを追い出すために手紙を書き、宣戦布告。あの手この手で攻撃をしかけてくる。あまりにも度を越したイタズラにエドも激怒。悪友ジェリー(クリストファー・ウォーケン)の悪知恵を借り、ピーターに報復を始める。二人の部屋をかけた小さな戦争は、やがて隣人を巻き込み大騒動へ。果たして勝つのはエドか、ピーターか!?

これでもかとイタズラを仕掛けてくる孫のピーターが、こまっしゃくれていて、ほんとに憎たらしいのです。オークス・フェグリー、上手い!
立ち向かうおじいちゃんは、ロバート・デニーロが演じてるワケですから、一筋縄ではいきません。抱腹絶倒の部屋を巡る戦争! これぞアメリカ映画!
それにしても、ロバート・デニーロもいいおじいちゃんになりました。(咲)


親を引き取りたくても部屋が足りない。息子を屋根裏部屋に追いやって、親の部屋を確保する。アメリカでもそんな悩みがあるんだと何だかとっても身近に感じられました。
子ども相手に本気で立ち向かう祖父を演じたロバート・デニーロも何だかとっても楽しそう。そんなことまでできないだろうというイタズラもあるけれど、その盛り具合が作品を極上のエンタメとして昇華させています。それでいて、戦争は負けた人だけでなく勝った人をも傷つけると孫に諭す脚本のバランス感覚は見事。(堀)


2020年/アメリカ/カラー/スコープサイズ/英語/94分
配給:パルコ
公式サイト:https://grandpa-wars.jp/
★2021年4月23日(金)よりTOHOシネマズシャンテほか全国公開



posted by sakiko at 11:35| Comment(0) | アメリカ | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

ブックセラーズ  原題:The Booksellers

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監督・編集 : D ・W・ヤング
製作総指揮&ナレーション : パーカー・ポージー

世界最大規模のニューヨークブックフェアの裏側から“本を探し、本を売り、本を愛する”ブックセラーの世界を紐解く映画

社会の多様化やデジタル化で本をめぐる世界が大きく変わってゆく中で、それでも本を愛し続ける人たち。
映画の要所要所に登場するのはNY派の作家、フラン・レボウィッツ。Netflixで配信が始まったマーティン・スコセッシ作の新作ドキュメンタリーシリーズ『都市を歩くように -フラン・レボウィッツの視点-』の主人公でもある。
また、ビル・ゲイツによって史上最高額の2800万ドル(約28億円超え)で競り落とされた本「レオナルド・ダ・ヴィンチのレスター手稿」や、あの「若草物語」のオルコットが偽名で書いたパルプ小説、宝石が施された本、人間の皮膚で作られた本など、映画には、コレクターしか見ることのできないような希少本が多数紹介される。
本を愛するすべての人が好きにならずにいられない一級品のドキュメンタリー。

★コロナ禍で多くの国で劇場公開できなかった本作の、日本劇場公開を喜ぶ監督&プロデューサー&NYのブックセラーの皆さんからメッセージ動画が届いています。
https://youtu.be/owKTGmCLXpM
D ・W・ヤング監督は、「皆さんに映画館で見てもらえて嬉しい」と喜びのコメント。
人気テレビ番組「アメリカお宝鑑定団ポーンスターズ」に出演し注目を浴びた若手ブックセラーのレベッカ・ロムニーは、日本への留学経験があり、メッセージ動画では流暢な日本語も披露。
映画でマンモスの標本付きの探検記や化石の研究書を披露しているブックセラーのデイヴ・バーグマンは映画に登場し日本版ポスターにも使われている飼い猫”ムツヘタ”と共にメッセージを寄せています。その他、ブックセラーのヘザー・オドネルや、本作のプロデューサーで自身も”ブックセラー”であるダン・ウェクスラーなどからのメッセージも。ぜひご覧ください。

先日、久しぶりに神保町に行ったので、語学書や辞書を置いている山田書店は健在かしらと寄ってみました。ここは美術書や浮世絵がメインのようですが、世界各国の語学書や旅本もあるので、かつてよく利用していました。
語学書や旅本がすっかり少なくなっていたので、伺ってみたら、今や、どちらもネットの時代になって売れないとのこと。夏頃には在庫セールをして、取り扱い品目を変更されるそうです。なんとも寂しくなりました。それでも、本を愛する人がいる限り、本はなくならないと、『ブックセラーズ』を観て確信しました。
我が家にも、中をろくに読んでいないけれど、飾ってあるだけで嬉しいという本が多々あります。もちろん、いつかちゃんと読むつもりなのですが、装丁の素晴らしい本は、それだけで価値があると感じます。(咲)


本好き、本屋さん好き、図書館好きゆえ、劇場で観てきました。ふだん見る機会もない貴重な本をアップで紹介してもらえて眼福。美術品とはまた違ったこだわりのコレクターがたくさんいました。
町の本屋さんが1軒また1軒と閉じていきます。デジタル化に押されて、紙の本はだんだん少なくなるのかもしれませんが、レコードの人気が再燃しているように、本は細く長く愛されると信じたいです。1冊の本との出会いがどれだけ世界を拡げ、深くしてくれることか。あなたの「1冊」はなんですか?(白)


◆公開記念オンライントークイベント
「かげろう文庫」店主・佐藤龍さん&「Flying Books」店主・山路和広さん
アーカイブでご覧ください。
https://youtu.be/oxqmCIgAd2E


2019年/アメリカ/99分
字幕翻訳 : 斎藤敦子
配給:ムヴィオラ、ミモザフィルムズ
公式サイト:http://moviola.jp/booksellers/
★2021年4月23日(金)ヒューマントラストシネマ有楽町、新宿シネマカリテ、UPLINK吉祥寺ほか全国順次公開



posted by sakiko at 11:07| Comment(0) | アメリカ | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

SNS 少女たちの10日間  原題:V siti

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監督:バーラ・ハルポヴァー、ヴィート・クルサーク
原案: ヴィート・クルサーク
出演:テレザ・チェジュカー、アネジュカ・ピタルトヴァー、サビナ・ドロウハー

偽のSNSアカウントで暴き出す少女たちの性被害の実態

巨大な撮影スタジオに作られた3つの子ども部屋。幼い顔立ちをした18歳以上の3人の女優たちが、10日間、その部屋でパソコンに向かって12歳の少女を演じる。
ルールは、7つ。
1.自分からは連絡しない
2.12歳であることをハッキリ告げる
3.誘惑や挑発はしない
4.露骨な性的指示は断る
5.何度も頼まれた時のみ裸の写真を送る *偽の合成写真
6.こちらから会う約束を持ちかけない
7.撮影中は現場にいる精神科医や弁護士などに相談する

SNSに写真と共に偽アカウントで登録すると、またたく間に大勢の男たちが群がってくる・・・

あどけない少女たちに、露骨にビデオセックスを要求したり、自身の性器を見せつけたりする男たち。
チェコでドキュメンタリーとしては異例の大ヒット。警察からも犯罪の証拠として、映像を要求されたそうです。

パソコンに映し出される部屋には、少女を演じた女優たちの子ども時代の私物も持ち込まれて、窓の外も3つの部屋それぞれ違うので、まさか同じ撮影スタジオだとは誰も思わないでしょう。
やらせといえば、やらせ。手法はどうかと思う面もありますが、未成年が危険な世界に誘われていく実態を暴き出しています。今やインターネットで簡単に見知らぬ人と繋がりのできる時代。情報もたやすく手に入れることができます。こんな時代に、どうすれば親は我が子を守ることができるのか・・・ 映画は警鐘を鳴らしてはいますが、答えは教えてくれません。子どもだけでなく、大人もまた、ネット社会で危険と隣り合わせだということを心しないといけないと思わせてくれました。(咲)


10代の少女に群がってくる成人男性たち。おぞましくて固まりました。この人たちも母親から産まれています。姉や妹や娘がいたりしないのでしょうか?自分の行為で相手の女性が傷つくなど1ミリも想像できないのでしょう。
ほかのスタッフもいて後のケアもあるとはいえ、この女の子役の女性たちのトラウマにならないとは言えません。いったん出した映像はいくらでも広まっていってしまいます。つきとめた男性の家にスタッフだけ行くならまだしも、女性も一緒なのに驚きました。実際は大人でも、彼女たちがその後どうなったのかが心配です。あのひどい男たちは処罰されたんでしょうか?
この映画で自分の認識も新たにしました。なんにでも手軽にアクセスできてしまうこの頃、被害者になることもあります。利用者が知らなかったでは済まされません。周知と厳しい規制を望みます。(白)


この問題はチェコだけのことではなく、日本でも同じなのでしょう。子どもたちが通った学校では学校では警察庁サイバー犯罪対策課から専門家を講師に招き、SNS を通じた出会いの危険性、スマートフォンやタブレットなどの使いすぎなどを子どもたちに伝える情報モラル教育が行われていました。社会人の長女は高校生のとき、7歳離れた次女は中学生のときに受けたと記憶していますから、それを必要としている子たちがどんどん低年齢化して、今は小学生が受ける時代なんですね。
一方で自分の子どもがいけないことをしている場合もあります。知り合いの娘さんの母校(女子校)に若い男性の先生が赴任したとき、在校生がそれをTwitterでつぶやき、繋がっている先輩へと伝播し、その中の誰かがその先生のアカウントを特定して、そこからその先生の写真が流出したそう。若い男性に興味がある気持ちはわからなくもないですが、やっぱりそれはいけないこと。SNSは諸刃の剣。好奇心で軽はずみな行動を取ることがないよう伝えることも大事だと思いました。(堀)


2020年/チェコ/チェコ語/5.1ch/ビスタサイズ/104分/R-15
字幕翻訳:小山 美穂
字幕監修:牧野ズザナ
配給:ハーク
配給協力:EACH TIME
公式サイト:http://www.hark3.com/sns-10days/
★2021年4月23日(金)よりヒューマントラストシネマ渋谷、 新宿武蔵野館、池袋シネマ・ロサほか全国順次公開
posted by sakiko at 05:10| Comment(0) | チェコ | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

風が踊る [デジタルリマスター版](原題:風兒踢踏踩)

thumbnail_「台湾巨匠傑作選2021_侯孝賢監督デビュー40周年記念<ホウ・シャオシェン大特集>.jpg

監督・脚本:ホウ・シャオシェン
出演:フォン・フェイフェイ、ケニー・ビー、アンソニー・チャン、メイ・ファン

CMの撮影で澎湖島を訪れた女性カメラマン・シンホエ(フォン・フェイフェイ)は、事故で視力を失った青年チンタイ(ケニー・ビー)と知り合う。その後ふたりは台北で偶然再会を果たし、シンホエはなにかとチンタイの世話を焼いてしまう。チンタイは角膜移植が決まり、成功すれば目が見えるようになる。シンホエはCM監督のローザイ(アンソニー・チャン)と結婚する予定だったが、チンタイの人柄に惹かれていき、どちらにもはっきり伝えることができない。

「台湾巨匠傑作選2021_侯孝賢監督デビュー40周年記念<ホウ・シャオシェン大特集>」のうちの1本。公開当時はまだ香港のエンタメ作品を観ていて、台湾モノは後回し。このたび初めて観た作品です。香港映画でお馴染みのケニー・ビー、アンソニー・チャンが出演していて、あらまあと懐かしくなりました。当時アイドルだったというフォン・フェイフェイが、ちゃっかりして明るいシンホエに扮して可愛らしいです。服装や笑いをとるところが時代を感じさせますが、澎湖島や台北、シンホエの故郷の鹿谷の暮らしが垣間見られます。親と娘、男性と女性の結婚観など、今も昔も変わらないエピソードが織り込まれています。(白)

『風が踊る』(1981年)は、ホウ・シャオシェン監督のデビュー作『ステキな彼女』(1980年)と同時期に観た記憶がありました。調べてみたら、日本初公開は『風が踊る』1998年2月14日、『ステキな彼女』1998年2月7日でした。
どちらの作品にも、フォン・フェイフェイ、ケニー・ビー、アンソニー・チャンの3人が出ていて、観た当時、話がなんだかごちゃまぜに記憶されたように思います。
はっきり覚えているのは、阿B(ケニー・ビー)が爽やかだったということだけ。

ケニー・ビーも、アンソニー・チャンも、ウィナーズ(温拿)という1970年代に「香港のビートルズ」とも言われて人気だった5人組のメンバー。私がレスリー・チャンに落ちる前にファンだったアラン・タムがウィナーズのボーカルなので、映画を観たときに二人を知っていた次第。
『ステキな彼女』『風が踊る』の2本を1998年に観て、それからしばらくして香港に行った時に、たまたまウィナーズの再結成コンサートを香港コロシアムでやってました。空いていた席が、ステージの真後ろ。彼らの背中を見る位置だったのですが、ちゃんと時々振り返って顔を見せてくれました。

今回、23年ぶりに『風が踊る』を観たわけですが、最初はほんとに観たのかしらと思う位、記憶が蘇りませんでした。絶対観た!と、確信を持てたのが、ケニー・ビー演じるチンタイが、目の見えない人たちの為に読み聞かせを頼んでいる人の都合が悪くて、急遽、シンホエを連れていって、本(カラマーゾフの兄弟!)を読んでもらった場面。目の見えない人たちが一生懸命点字タイプを打ちながら聞いている姿をはっきりと覚えていました。
今回の<ホウ・シャオシェン大特集>の中に、『ステキな彼女』はありませんが、こちらもいつかまた観てみたいです。(咲)


中華圏の監督としては侯孝賢監督の作品が一番好きな時期もありました。特に初期の頃の抒情性のあるノスタルジックな作品が好きでした。なので、日本で観ることができた作品はほとんど観ていたので、この作品も観ていたつもりだったのですが、試写で確認したら観たことがなく、今回のリマスター版で初めて観ました。
この作品は侯孝賢監督の2作目の作品。1981年の作品で、服装や髪形、風俗、村や町の雰囲気、乗り物、建物などに時代を感じますが、侯孝賢の作品に流れる映画の雰囲気、ほっこりさせるものがありました。侯孝賢監督の作品といえば、海辺や山間部の田舎町、いたずら好きな子供たち、その子供たちの失敗、あるいはずっこけ風景、学校、授業風景、緑が多いところを走るローカル線、古い列車、単線の線路、バイクの疾走、そんなシーンを思い浮かべますが、その後の作品につながる片りんもたくさん出てきました。
第一作目の『ステキな彼女』同様、当時人気歌手だった鳳飛飛(フォン・フェイフェイ)と鐘鎭濤(ケニー・ビー)、それに陳友(アンソニー・チェン)が出演していたけど、まだそんなに名を知られていない侯孝賢監督の作品に、そういう人たちが出ていたということが今となっては驚き。あるいはそういう人たちが出てくれたことで、監督の名が知られるようになっていった部分もあるのか? 私は『悲情城市』で侯孝賢監督のことを初めて知ったので、あの頃の台湾や香港の芸能界事情にはうとかったから、そのへんのいきさつとかはわからない。
でも侯孝賢監督には先見の明というか、撮影地を後に有名にさせる何かがあるのかも。撮影クルーがCM 撮影のために訪れた澎湖(ポンフー)島。この島はのちの『風櫃(フンクイ)の少年』の撮影地にもなりました。映画に写っていたのはひなびた島だったけど、今やこの島は観光地として賑わっているらしい。『悲情城市』に出てきた九份も、金山の賑わいが去って、寂れた街だったけど、この映画以降ここも観光地になり、今や観光客がたくさん訪れ、土日は人込みがすごくて歩くのも思うようにいかない状態になっている。『恋恋風塵』に出てきた十分駅や駅のそばの列車が人家すれすれに走っていた十分老街も、今やお土産屋が並ぶ一大観光地になっている。侯孝賢監督作品が好きで、撮影地である九份と十分は、これらの映画以降5回も訪れた私です(笑)。大好きな侯孝賢監督の映画でしたが、残念ながら『好男好女』あたりからあまり好きではなくなりました(暁)。


1981 年/台湾/シネスコ/92 分
原題:風兒踢踏踩
英題:Cheerful Wind ©1982 Kam Sai (H.K.) Company /
© 2018 Taiwan Film Institute. All rights reserved.
配給:オリオフィルムズ
提供:竹書房/オリオフィルムズ
https://taiwan-kyosho2021.com/
★2021年4月17日(土)より~6 月 11 日(金) 新宿 K’s cinema 他順次上映
posted by shiraishi at 01:30| Comment(0) | 台湾 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

きみが死んだあとで

劇場公開 2021年4月17日 ユーロスペースほか
劇場情報 
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(C)きみが死んだあとで製作委員会

製作・監督・編集:代島治彦
撮影:加藤孝信
整音・音響効果:滝澤 修
音楽:大友良英
写真:金山敏昭、北井一夫、渡辺 眸
登場人物はこちら

すべては「第一次羽田闘争=きみの死」からはじまった
「あの時代」を語り継ぐ

1967年10月8日。佐藤栄作内閣総理大臣(当時)の南ベトナム訪問阻止のため、ヘルメットやゲバ棒で武装した学生は羽田空港に通ずる弁天橋で機動隊と激突。その「三派全学連」を主体とする第一次羽田闘争は、その後、過激化してゆく学生運動のきっかけとなる事件だった。そのなかで一人の若者が殺された。山﨑博昭、18歳だった。死因は諸説あるが、機動隊に頭部を乱打されたためか、装甲車に轢かれたためか、彼の死は同世代の若者に大きな衝撃を与えた。山﨑博昭の死から半世紀が過ぎた。亡くなった山﨑博昭の兄や、高校の同級生・同窓生たち、当時の運動の中心だった人たち14人が登場し、彼のこと、事件のこと、あの時代のこと、その後の運動のことを語る。それぞれの記憶の中から語られるそれぞれの青春と悔恨。あの時代の若者たちの熱い思いと行動の意味が浮かびあがる。
「きみの死」はまだ終わっていない。半世紀を経てもなお、その宿題は続いているのだ。
上・下巻合わせて3時間20分の大長編にまとめたのは、『三里塚に生きる』『三里塚のイカロス』代島治彦監督。音楽は大友良英。フリージャズをベースにしたアナーキーな主題曲は、混乱と若者たちの息吹を感じさせる。最後にかかる「インターナショナル」もこの方法で演奏されよけいやりきれない思いが押し寄せる。権力と闘い、革命を叫んだ「全共闘世代」の思いを記録した重厚なドキュメンタリー。

このドキュメンタリーを作ったきっかけ HPより 代島治彦監督
「10・8山﨑博昭プロジェクト」は、山﨑博昭の兄・建夫さんが弟の死を追悼したいと呼びかけ、集まった大手前高校の同期生や先輩、第一次羽田闘争を一緒に闘った同志が中心となって立ち上げたプロジェクト。設立は2014年10月だったと思います。プロジェクトの大きな目標は3つ。羽田・弁天橋の近くに山﨑博昭を永遠に追悼するモニュメントを建立すること、山﨑博昭が残した日記や手記を一冊の本として出版すること、山﨑博昭が生命をかけて闘った「日本のベトナム反戦運動」の歴史を後世に伝える展覧会を開催すること。このなかで、ぼくに映画を作らせる入り口となったのが二冊の本でした。当初は一冊の本として出版する予定だったのが、集まった原稿量が多くて、それから当時の資料をすべて収集網羅しようとしたために総頁数1200を超える二冊の大著になったのです。本の題名は『かつて10・8羽田闘争があった』。「寄稿編」と「記録資料編」の二冊に分かれています。ぼくが特に心奪われたのは、山﨑博昭の大手前高校同期生や先輩、羽田・弁天橋で一緒に闘った同志、そして「あの時代」を共に生き抜いた同時代者たちが寄せた原稿でした。そこには第一次羽田闘争を出発点とした61人の長い人生がありました。61人それぞれの個人の記憶が交錯し、時代の記憶が紡がれていました。

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(C)きみが死んだあとで製作委員会

私は代島監督より少し上で、かろうじて学生運動に間に合った最後の世代。羽田闘争があった1967年に高校に入学。通っていた工業高校でも1968年頃から学生運動の波が届き、学内集会なども行われた。
この羽田闘争くらいから学生運動が高揚し、ヘルメットにゲバ棒というスタイル、大学にはスローガンを掲げた立て看板が立ち並ぶようになっていった。ベトナム戦争はますます激しくなり、沖縄からベトナムに出撃する飛行機が増え、アメリカ兵も増えていった時期でもあった。新宿駅西口でで反戦フォークを歌う集会などもおこなわれるようになり、1968年10月21日の国際反戦デーには新宿騒乱事件もあった。これらの運動の原点が、この第一次羽田闘争だったのだとこのドキュメンタリーで改めて認識した。
1969年には私もベトナム戦争に反対する反戦集会やデモに出かけるようになっていた。高校3年だった。友人から誘われて学校帰りに学生服のままベ平連(ベトナムに平和を!市民連合)のデモに参加した。結局、高校を卒業し就職するまでデモに20回くらい参加したと思う。その頃、あちこちの地域でベ平連のデモはあったけど、私が行ったのは四谷の清水谷公園が多かったので、たぶん中央会場だったのだろう。ニュースなどで名を知っていた小田実さんや吉川勇一さんなどがいた。ベトナム戦争当時、アメリカ軍の飛行機は沖縄の基地からも飛び立っていたから、「ベトナムに平和を。日本はこの戦争に加担すべきでない」というのが、これらの運動、行動をする人たちの共通認識だった。その会場にヘルメットにゲバ棒をもち、ジグザグ行進する学生運動の人たちもいたが、私には「平和を」と言っているのに暴力を肯定するような行動と言動には違和感があったが、そういう人たちも含んでの、あの頃の「ベトナム反戦運動」だった。
そんな市民運動や学生運動は終わってしまったという人もいるけど、私は終わっていないと思う。それらに参加した人たちは、あの頃の行動とは違った形で自分の思いを表現し、行動し、生きている。あれから40年以上たって、あの頃のことが検証されるのはとても意義のあること。彼らがまだ生きているうちに記録し、あの頃の行動の意味、息吹を後の世代に伝えていかなければ、彼らの思いは伝わらず、ただ「暴動」のような言い方をされてしまう。私自身、「羽田闘争」などの行動の時に参加していた人たちの思いとかその後の生き方などを知らなかったので、このドキュメンタリーを観て、改めて彼らの思いを知ることができた。
そして意外な繋がりを感じた。山﨑博昭さんの先輩で、京大中核派のリーダーだった赤松さんが、その後ワイン醸造会社に就職して葡萄を育てているというので調べてみたら、赤松さんは、私がずっと気になっていたワイン会社の農場の農場長だったということがわかった。すでに退職しているけれども、私は今もこの農場に行ってみたいと思っている。また、この事件で「羽田10.8救援会」を組織し、この後「救援連絡センター」を設立。その後、反原発運動にかかわり、日本の反原発の主導的役割を担っていた物理学者の水戸巌さんと一緒に活動していた妻の喜世子さんも出てきたが、長年登山をやっていた私は剣岳で亡くなった水戸巌さん親子の遭難のことを覚えている。いっぺんに夫と双子の息子の家族3人を亡くしてしまった喜世子さんの無念さを思うと涙が出た。ちなみに剣岳は私も2回挑戦したけど、結局登頂できていない。挑戦して登頂できなかった山は剣岳だけなので、喜世子さんだけでなく、亡くなった方たちの無念さもすごくわかる。
最後に流れた「インターナショナル」。これまでに聞いたこともないようなフリージャズ的なノイジーな演奏でとても気になった。大友良英さんが音楽担当だったんだ。私は「インターナショナル」を、このベ平連のデモの中で知った。今も映画を観ていると、いろいろな映画で「インターナショナル」が出てくるが、こういう形の演奏は初めてだった。私は大友良英さんの名前をアジア映画を観る中で知ったけど、本来はこういうフリージャズなどの分野で活躍している人だったのですね。
金山敏昭、北井一夫、渡辺 眸3氏の写真もたくさん出てきて、こんなにもたくさんの写真を撮っていたんだとびっくりした。貴重な記録だと思う。北井一夫さんが学生運動の写真を撮っていたのは知っていたけど、渡辺 眸さんがこんなにも学生運動の写真を撮っていたとは知らなかった。そして私自身は、キャパ、一ノ瀬泰三、石川文洋などのベトナム戦争での写真を見て報道写真を志したことを思いだした。私の人生にとってもベトナム戦争はとても大きな影響を受けた出来事だった(暁)。


大阪の隣り、神戸で生まれ育った私にとって、大阪の公立の進学校といえば、北野か大手前という認識でした。その大手前高校から京大に進学された山﨑博昭さん。生きていらしたら、どんな人生を歩まれたでしょう。同級生の方たちの「その後」を、本作で知って、そんなことをまず思いました。
山﨑博昭さんの兄・山崎建夫さんが検死のための解剖に立ち会われた時に、身体がとても奇麗だったと語っていらして、死亡の原因が諸説ある中で、学生たちが奪った装甲車に轢かれたという説は違うと感じました。機動隊に頭部を乱打されたことを原因としたくなかったのではと勘ぐってしまいます。真実はわかりませんが。
山崎建夫さんが見せてくださったお母様の家計簿に書き留められていた言葉に涙が出ました。短い言葉の中に、お母様の無念な思いが溢れ出ていました。

私は1953年生まれで、安保闘争で1960年6月15日に東大の樺 美智子さんが死亡した事件はよく覚えているのですが、1967年に山﨑博昭さんが亡くなられた羽田闘争については記憶が飛んでいました。ずっと学生運動が続いていて、ニュースを見ても、感覚が麻痺して受け付けていなかったのかもしれません。
私が高校2年生だった1969年には、学生運動が高校にも飛び火してきて、私の高校でも2~3か月授業を一切しないで、毎日討論していました。背中を向けて、後ろで本を読んでいたほど関心がありませんでした。
高校闘争は、ハンストをした学生がいて、文理系の区別をなくしたクラス設定にするなどの結論が出されて終止符が打たれました。授業が再開された中、クラブが一緒で親しくしていたF君が、ベ平連(ベトナムに平和を!市民連合)にのめり込んでいき、何を思い詰めたのか自殺してしまいました。
1960年代という時代、大きな歴史のうねりの中で、真剣に社会や政治に立ち向かった若い人たちが大勢いたのに、今の若い人たち(もちろん、元若い人も含めて)には、そんな覇気のある人が少ないと感じます。あの60年代のエネルギーはどこから湧いてきたのかと、ノンポリの私がいうのもおこがましいですが・・・ いろんな思いがよぎった『きみが死んだあとで』、ぜひ若い方たちに観てほしい映画です。(咲)


『きみが死んだあとで』公式HP
(日本/2021年/200分(上巻:96分/下巻:104分)/DCP/5.1ch)
制作:スコブル工房/配給:ノンデライコ/
宣伝:テレザ/企画・製作:きみが死んだあとで製作委員会

大友良英
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台湾巨匠傑作選2021 侯孝賢監督40周年記念 ホウ・シャオシェン大特集

2021年 4月17日(土)〜 6月11日(金)
新宿K's cinema他順次上映 上映スケジュール

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今年の「台湾巨匠傑作選2021」は、2020年に映画監督生活40周年を迎えた侯孝賢監督(ホウ・シャオシェン)の特集上映が行われる。侯孝賢の、監督、主演、プロデュース作品、オリビエ・アサイヤス監督による貴重なドキュメンタリーを含む全22作品が上映される。今回の特集は、同年11月に中華圏映画のアカデミー賞と称される金馬奨の名誉賞(終身成就賞)を受賞したことを記念したもの。また、ホウ・シャオシェン特集のほか、「隠れた名作台湾映画発掘!貴重な未公開映画上映&解説」も開催される。

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侯孝賢が主演した「台北ストーリー」(監督エドワード・ヤン)の劇中衣装を洋服店で物色中のヤンと侯孝賢_写真提供:朱天文

上映されるのは、台湾ニューシネマの誕生と表される『坊やの人形』から、世界の映画人から評価された『風櫃(フンクイ)の少年』『冬冬(トントン)の夏休み』『童年往事 時の流れ』といった初期傑作群。89年にベネチア国際映画祭金獅子賞受賞し、中華圏映画初の世界三大映画祭グランプリ受賞の快挙を成し遂げた大作『悲情城市』は、35ミリフィルムでの上映。

監督デビュー2作目『風が踊る』はデジタルリマスター版での披露となり、『フラワーズ・オブ・シャンハイ』は4Kデジタルリマスター版で劇場初上映。プロデュース作からは、『One Day いつか』(監督:ホウ・チーラン)を日本初上映、今夏劇場公開予定の『日常対話』(監督:ホアン・フイチェン)を特別上映。

『風が踊る』
『風が踊る[デジタルリマスター版]』メイン_R_R.jpg
(C)1982 Kam Sai (H.K.) Company c 2018 Taiwan Film Institute. All rights reserved.

『HHH:侯孝賢』
「HHH:侯孝賢」メイン_R_R.jpg
(C)AMIP-La Sept ARTE-INA-France 1997

「隠れた名作台湾映画発掘!貴重な未公開映画上映&解説」は、台湾映画コーディネーター・江口洋子さんが選んだ5作品を披露。『大仏+』(監督:ホアン・シンヤオ)、『狂徒』(監督:ホン・ズーシュアン)、『よい子の殺人犯』(監督:ジャン・ジンシェン)、『High Flash 引火点』(監督:ジャン・ジンシェン)、『アリフ・ザ・プリン(セ)ス』(監督:ワン・ユーリン)がラインナップされ、各回上映終了後、江口さんの解説映像を上映する。

『よい子の殺人犯』(最乖巧的殺人犯)
よい子の殺人犯_R.jpg
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『High Flash 引火点』(引爆點)
『High Flash〜引火点』.jpeg
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台湾巨匠傑作選2021 侯孝賢監督40周年記念 ホウ・シャオシェン大特集
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「騒豆花 新宿ミロード店」タイアップ
配給:オリオフィルムズ 提供:竹書房/オリオフィルムズ
配給・宣伝協力:トラヴィス 
協力:竹書房|松竹|ぴあ|熱帯美術館ENGAWA|山形 国際ドキュメンタリー映画祭|アクセスエー|A PEOPLE CINEMA|太秦|ディメンション|華文創股份有限公司|
貴金影業傳媒股份有限公司|時光草莓電影有限公司| 安澤映畫有限公司|闊世電影股份有限公司|蔓菲聯爾創 意製作有限公司|東京国際映画祭|アジアンパラダイス| 台湾映画同好会(順不同)
協賛:騒豆花 新宿ミロード店
後援:台北駐日経済文化代表処台湾文化センター

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