2021年04月15日
AVA/エヴァ 原題:Ava
監督:テイト・テイラー(『ヘルプ ~心がつなぐストーリー~』)
出演:ジェシカ・チャステイン、コモン、ジョン・マルコヴィッチ、コリン・ファレル
ジェシカ・チャステイン(『ゼロ・ダーク・サーティ』)、コモン(『ハンターキラー 潜航せよ』)、ジョン・マルコヴィッチ(『RED/レッド』)、コリン・ファレル(『ファンタスティック・ビーストと魔法使いの旅』)
エヴァ(ジェシカ・チャステイン)は組織に属する暗殺者として、その美貌で男を油断させ、軍隊仕込みの腕で完璧に仕事をこなしている。今日もパリの空港で出迎えた男を森に連れ込んで消し去った。8年ぶりにボストンの実家に帰ると、妹はエヴァの元彼マイケル(コモン)と暮らしていた。母は心筋梗塞で入院中。ほどなく次なる指令を受け、サウディアラビアの首都リヤドに向かう。外国人の集うパーティーで、標的の男を色香で別室に誘い込む。いつものように殺しの跡を残さず始末しようとしている最中、男たちが乗り込んできて激しい銃撃戦となる。かろうじて逃げ延びたエヴァは、師として仰ぐデューク(ジョン・マルコヴィッチ)に会いにいく。デュークが育て、今や組織最強の実力者となったサイモン(コリン・ファレル)が、エヴァを消そうとして偽指令を出したらしいと判明する・・・
指令を受けて、暗殺理由を問うのはご法度。エヴァは自分の仕事の意義を知りたくなります。とどめをさす間際に、「どんな悪いことをしたの?」と尋ねたのを監視者に盗聴されてしまいます。サイモンはエヴァを組織にとって危険人物と判断して敵対視するのです。
デュークは、組織の内輪もめと知られてはまずいと、シリアの友人に偽の中東のテロ組織の犯行声明を出してもらうと言います。西側の政府や組織が実際にやりそうな手口!
本作では、エヴァがなぜ暗殺者になったかも、家族との関係を丁寧に描きながら紐解いていきます。
私にとって、何といっても興味深かったのがサウディアラビアの場面。パーティーで、エヴァは胸元もみせる艶やかな真っ赤なドレス姿。ほかの女性たちも肌を見せています。厳格なイスラームの国ですが、壁で囲まれた外国人居住区の中では、髪の毛や肌を見せることは問題ないと聞いていました。なるほどと! エヴァが銃撃戦から逃げ出して、外に出る時、赤いドレスの裾から、さっと赤い布を出して頭に巻いて出ていきます。鮮やかな演出でした。(咲)
ジェシカ・チャステインをはっきり認識したのは本作のテイラー監督の『ヘルプ ~心がつなぐストーリー~』(2012年公開)。マリリン・モンローを思わせる金髪美人の人妻役でした。自分がどう思われているかよく知っていて、可愛くて悲哀も抱えている女性を好演していました。同年夏に公開された『ツリー・オブ・ライフ』の奥さん役よりこちらが断然良かったです。
女性の権利を守る活動にも熱心で頼もしい限り。2017年のカンヌ映画祭で審査員を務めたときは、作品の中の女性の描かれかたに違和感があったと語っていました。もっと女性の作り手が出てくれればという彼女の希望は、4年後の今少しは叶えられているでしょうか。
今回の映画では暗殺者役ですが「カッコいい!」です。(白)
2020年/アメリカ/英語/97分/シネマスコープ/カラー/PG12
日本語字幕:平井かおり
配給:クロックワークス
©2020 Eve Nevada, LLC.
公式サイト:https://klockworx-v.com/ava/
★2021年4月16日(金) 新宿バルト9ほか 全国ロードショー