2021年04月05日

BLUE/ブルー

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監督・脚本・殺陣指導:吉田恵輔
撮影:志田貴之
音楽:かみむら周平
主題歌:竹原ピストル「きーぷ、うぉーきんぐ!!」(ビクターエンタテインメント)
出演:松山ケンイチ(瓜田信人)、木村文乃(天野千佳)、柄本時生(楢崎剛)、東出昌大(小川一樹)、守谷周徒、松浦慎一郎、松木大輔

誰よりも何よりもボクシングを愛している瓜田。しかし熱情とその努力とは裏腹に負け続き。瓜田が誘った後輩の小川は、卓抜した才能とセンスで瓜田を追い越して駆け上がった。チャンピオンに手が届くところにまで来て、瓜田の幼なじみの千佳ともうじき結婚する。瓜田は千佳への想いを語らず、胸に秘めたままやってきた。手の中には何も残っていないけれど、努力することだけはやめられない。

タイトルのブルーはリングの「青コーナー」のこと。挑戦者の場所です。受けて立つ方は赤コーナー。中学生の頃からボクシングを続けてきた吉田監督には、瓜田のモデルとなった忘れられない先輩がいました。絵にかいたようないい人だったけれども、ボクシングで開花することはなく、今どうしているだろうと脚本を書き始めたのだとか。トレーナーで俳優の松浦慎一郎さんが、俳優にボクシング指導をしていますが、試合のアクションは監督がビデオコンテを作り指導にあたっています。結果、経験者が見てもウソのない、リアルなシーンが完成。リアルを目指していくほど地味になったそうです。
松山さんは努力家のイメージがありますが、今回も役を受けてから2年もジムに通い、身体や感覚を瓜田に寄せていったそうです。片思いの瓜田が、なんだかとても色っぽいです。天才肌の小川、モテたくてボクシングを始めた楢崎は意外にセンスがありました。そんな後輩を笑顔で見ながら、瓜田は忸怩たる思いを抱えていたはず。3人は『聖の青春』(2016)以来5年ぶり、演技での「競演」もじっくりご覧ください。(白)


切ない物語でした。
松山ケンイチさん、柄本時生さん、東出昌大さん、それぞれが演じた役柄の思いが、身体全体から醸し出されています。
格闘技は嫌いなのに、格闘技に賭ける人たちの思いを描いた映画には惹かれます。
古くは『ロッキー』(1976)や『ミリオンダラー・ベイビー』(2004)、比較的最近では『ジョーのあした -辰吉丈一郎との20年-』(2015)、『オリ・マキの人生で最も幸せな日』(2016年)『あゝ、荒野』(2017)が今でも心に残っています。
この映画もそんな映画の一つになりそうです。(咲)



2021年/日本/カラー/シネスコ/107分
配給:ファントム・フィルム
©2021『BLUE/ブルー』製作委員会
https://phantom-film.com/blue/
★2021年4月9日(金)より新宿バルト9ほか全国ロードショー

posted by shiraishi at 00:59| Comment(0) | 日本 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

砕け散るところを見せてあげる

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監督・脚本:SABU
原作:竹宮ゆゆこ
出演:中川大志(濱田清澄)、石井杏奈(蔵本玻璃)、井之脇海(田丸玄悟)、清原果耶(尾崎・妹)、松井愛莉(尾崎・姉)、北村匠海(真っ赤な嵐)、矢田亜希子(清澄の母)、木野花(おばちゃん)、原田知世、堤真一(玻璃の父)

普通の高校3年生・濱田清澄は朝礼に遅刻して、目立たないように1年生の列に紛れ込んだ。そこで一人の女子生徒がいじめの標的になっていることに気づく。正義感が人一倍強い清澄は見過ごすことができず、その子を助けていた。学年一の嫌われ者の蔵本玻璃と知るが、なぜなのか理由はわからない。玻璃をいじめからかばっているうちに、清澄は彼女が普通の女の子でむしろ可愛いと思うようになる。次第に玻璃も清澄に心を開き、2人の心の距離も縮まっていくのだったが…。

原作は竹宮ゆゆこの同名小説。ターゲットは高校生前後あたりか?あまりに隔たっていて初めて聞くお名前で、1冊も読んだことがありませんでした。『坂道のアポロン』の中川大志と『ガールズ・ステップ』の石井杏奈のW主演で映画化。
始まりは高校を舞台に、ヒーローが女子を助け出し、二人が仲良くなって明るく爽やかな青春ストーリー、にと思いきや、そんなことにはならず。こ、これは?な展開になだれ込みます。いやはや。詳しくは書けませんが、玻璃の秘密が明らかになっていくのがミソです。SABU監督と玻璃の父親役の堤真一さん、大いに楽しんだに違いない。SABU監督の『jam』(2018)の筒井真理子さん凄かったけれど、こちらもなかなか。(白)


2021年/日本/カラー/127分/PG12
配給:イオンエンターテイメント
(C)2020 映画「砕け散るところを見せてあげる」製作委員会
https://kudakechiru.jp/
★2021年4月9日(金)より

posted by shiraishi at 00:43| Comment(0) | 日本 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

ゾッキ

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監督:竹中直人・山田孝之・齊藤 工
原作:大橋裕之
脚本:倉持裕
音楽:Chara
出演:吉岡里穂(前島りょうこ)、鈴木福(伊藤)、満島真之介(旅人)、柳ゆり菜(若い女)、南沙良(松原京子)、安藤政信(道場の師範代)、ピエール瀧(定男)、森優作(牧田)、九条ジョー(伴くん)、木竜麻生(本田)、倖田來未(足立の女房)、竹原ピストル(父)、渡辺佑太朗/潤浩(マサル)、松井玲奈(幽霊のような女)松田龍平(藤村)、石坂浩二(祖父)、國村隼(ヤスさん)

りょうこは縁側で日がな寝ている祖父から「生き物は秘密がなくなったら死ぬんじゃないだろうか」と言われて秘密が気になってくる。あてのない人生を続けてきた藤村は、ママチャリで南へ向かって旅に出ることにした。荷物は寝袋と道端で拾ったエロ本一冊。牧田は美人の姉がいるという誤解をとけないまま、妄想に走る伴くんと友達になった。マサルはいなくなった父と、子どものころに遭遇した出来事を思い出す。ビデオやのバイト店員伊藤は海の向こうの国での事件を知った。

孤高の天才漫画家大橋裕之の幻の初期作集「ゾッキA」「ゾッキB」にほれ込んだ竹中直人企画・監督、山田孝之が製作・監督、齊藤工も監督で加わりました。短いエピソードをオムニバスにせず、脚本の倉持裕がそれぞれが少しずつ重なるよう、ゆるやかにつなげています。自分のシーンだけしか知らない出演者たちが、完成した作品を観て「わー!」とか「へー!?」とか驚いたはず。
描かれているのはありふれた日常、ちょっと妙なことが散りばめられています。一番インパクトがあったのは友達のお姉さんに妄想をたぎらせる伴くんと、初めてできた友達のために奔走する牧田くんのストーリー。のめり込む九条ジョーくんと貧乏くじをひく森優作くんインプットしました。着ぶくれた石坂さんと、パーティ帽の國村さんにも、こんな姿見たことない!と思わずニンマリしてしまいました。
勝手に金言「人生は秘密でより楽しくなる」。
※「ゾッキ」とは、“寄せ集め”という古本市場で使われる特殊用語だそうです。(白)


2020年/日本/カラー/シネスコ/113分
配給:イオンエンターテイメント
(C)2021「ゾッキ」製作委員会
★2021年4月2日(金)より全国公開中!
posted by shiraishi at 00:00| Comment(0) | 日本 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする