2021年02月27日

特集上映<映画で見る現代チベット> 『ラモとガベ(原題)』日本初上映

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この度、ムヴィオラ主催でチベット映画の特集上映「映画で見る現代チベット」が岩波ホールで開催されます。
『草原の河』『巡礼の約束』のソンタルジャ監督最新作でサンセバスチャン映画祭で上映された『ラモとガベ(原題)』が、今回特別に日本プレミア上映。また、ソンタルジャ監督とともにチベット映画人を代表する存在であり、昨年の第20回東京フィルメックスで3度目のグランプリを受賞した最新作『羊飼いと風船』が1月22日より初の劇場公開となったペマ・ツェテン監督の劇場未公開の傑作『オールド・ドッグ』『タルロ』も上映されます。

日本初上映の『ラモとガベ(原題)』以外の6作品は、かつて映画祭や劇場公開時に観ていますが、どれもチベットの雄大な景色を背景にした素晴らしい作品です。この機会に、ぜひご覧ください。(景山咲子)

◆日程:2021年3月13日(土)~4月2日(金)

◆会場:岩波ホール 
〒101-0051 東京都千代田区神田神保町2-1 岩波神保町ビル10F
◆上映作品(7作品)
ソンタルジャ監督作を見る:
『ラモとガベ(原題)』『巡礼の約束』『草原の河』『陽に灼けた道』
ペマ・ツェテン監督作を見る:
『タルロ』『オールド・ドッグ』
チャン・ヤン監督の “外の目”:
『ラサへの歩き方~祈りの2400km』

◆タイムテーブル:特集上映公式サイトに掲載 http://moviola.jp/tibet2021/

◆トークイベント(各回30分程度)
3/13(土)10:00~『ラモとガベ(原題)』上映後 ソンタルジャ監督ティーチイン
3/13(土)16:00~『オールド・ドッグ』上映後 星泉さん(チベット語研究者)トークショー
3/20(土)13:00~『草原の河』上映後 松尾みゆきさん(字幕翻訳者、映画プロデューサー)トークショー

☆チベット文学と映画制作の現在
http://tibetanliterature.blogspot.com/


◆上映作品 詳細

ソンタルジャ監督作を見る:

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中国映画祭「電影2019」でのソンタルジャ 監督 (撮影:宮崎暁美)

『ラモとガベ(原題)』 ★日本プレミア上映
原題:拉姆与嘎贝 英語題:Lhamo and Skalbe
監督:ソンタルジャ
出演: ソナム・ニマ(ガベ)、デキ(ラモ)、スィチョクジャ(ジャシ)
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ラモとガベは婚姻届を出しに行ったところ、ガベが以前結婚しており、まだ離婚が成立していないことを知る。元妻とは4年前に結婚の約束をしたものの、間際で破談となり、ガベは自分が結婚していたことを知らなかったのだ。ガベは離婚するために元妻を探し始め、元妻が世俗を捨て、出家していたことを知る。尼僧となった元妻を寺院に訪ねるが、会うことさえままならず、ガベの離婚話は一向に進まない。一方ラモは、正月に行われる歌舞劇「ケサル王物語」で、罪のために地獄に落ちた女性の役で稽古に取り組んでいたが、その役にわだかまりを感じ、次第に結婚への恐れを感じ始める。ラモは、人に言えない秘密を抱えていた…。
2019年/110分/カラー
2019年サンセバスチャン映画祭公式出品
詳細:https://note.com/moviola/n/ne5414579373d


『巡礼の約束』  原題 阿拉姜色 英語題:Ala Changso
監督:ソンタルジャ
出演:ロルジェ:ヨンジョンジャ、ウォマ:ニマソンソン、ノルウ:スィチョクジャ、ダンダル:ジンパ
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ラサへの巡礼の旅に出た妻を追って、血のつながらぬ父と息子が一頭の仔ロバとともに歩き続ける・・・
2015年、第28回東京国際映画祭ワールド・フォーカス部門で『河』のタイトルで上映
日本公開:2020年2月8日(土)
公式サイト:http://moviola.jp/junrei_yakusoku/
シネジャ作品紹介 http://cinejour2019ikoufilm.seesaa.net/article/473232151.html


『草原の河』 原題:河  英題:River
監督・脚本:ソンタルジャ
出演:ヤンチェン・ラモ、ルンゼン・ドルマ、グル・ツェテン
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広大なチベット高原で暮らす6歳の少女ヤンチェン・ラモ。春のはじめ、父グルのバイクの後ろに乗って、祖父に会いに行く・・・
2015年/中国/チベット語/98分/DCP/ヴィスタサイズ
日本公開:2017年4月29日(土)
*チベット人監督作品として、日本で初めて劇場公開された映画。
公式サイト:http://moviola.jp/kawa/
シネジャ作品紹介http://cinemajournal-review.seesaa.net/article/449065980.html


『陽に灼けた道』原題:太陽総在左辺 英語題:The Sun Beaten Path
監督:ソンタルジャ 
出演:イシェ・ルンドゥプ、ロチ、カルザン・リンチェン
ソンタルジャ監督の長編デビュー作
2011年アジア・フォーカス福岡国際映画祭で上映
★劇場未公開 
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結婚式を控えた青年ニマと彼の兄は、母を迎えに四つ辻でバスを待っていた。母親は街にいる娘を訪ねた帰りだった。兄はバイクの後部座席に母親を乗せて、その後からニマがトラクターで走っていた。だが、母の帯がバイクの車輪に絡まって母親は落ちてしまう。後ろから来たニマは、バイクから落ちた母親をトラクターで轢いて死なせてしまう。このことで、ニマは悲しみと自責の念にとらわれ、母親の血の混じった一握りの土とともに故郷と恋人を残し、ラサに巡礼の旅に出るのだった。(2011年9月第4週 シネジャ スタッフ日記 白井美紀子記) 
私もアジアフォーカスで拝見。バイクから落ちた母親を轢いてしまった場面が、不謹慎なのですが、なんとも可笑しかったのを思い出します。(咲)

2011年/89分/カラー
詳細:https://note.com/moviola/n/nfb850b89e4d9


ペマ・ツェテン監督作を見る:
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ペマツェテン監督2015年東京フィルメックス 『タルロ』上映時(撮影 宮崎暁美)


『タルロ』  原題:塔洛 英語題:Tharlo
監督・脚本:ペマ・ツェテン
出演:シデ・ニマ、ヤンシクツォ
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幼い時に親を亡くし、羊飼いとして暮らしてきたタルロ。役所で、身分証明書を作るために長髪を切れと言われ理髪店に行く。そこで出会う理髪店の若い女性。今まで女性に縁のなかったタルロ。やがて、彼女とカラオケに行くことになる・・・
ユーモアたっぷりにチベット族のタルロの人生、そして恋の顛末を語った物語。

2015年/123分/モノクロ
★劇場未公開 

詳細:https://note.com/moviola/n/n2b2c24fdfddf
2015年 東京フィルメックス チベット族の孤独な男をユーモアたっぷりに描いた『タルロ』 (咲)
http://cinemajournal.seesaa.net/article/430268035.html


『オールド・ドッグ』 原題:老狗  英語題:Old Dog
監督・脚本:ペマ・ツェテン
出演:ロチ、ドルマキャプ、タムディンツォ  
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老マスチフ犬を飼っている牧畜民の老人。中国の富裕層のマスチフ犬ブームで、犬泥棒や、しつこい仲買人が現れる。老人の息子も犬を高値で売り飛ばそうとするが、老人は「犬は民族の誇り」と手放すことを頑なに拒む…
2011年/88分/カラー
★劇場未公開
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2011年の東京フィルメックスで最優秀作品賞受賞の喜びを語るペマツェテン監督(撮影:景山咲子) 
詳細:https://note.com/moviola/n/n95c0d61f96ab


チャン・ヤン監督の “外の目”:
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張楊監督  2007年東京国際映画祭『帰郷』上映時(撮影 宮崎暁美)

『ラサへの歩き方~祈りの2400km』
監督・脚本:張楊(チャン・ヤン)(『こころの湯』『胡同のひまわり』『グォさんの仮装大賞』) 
出演:チベット巡礼の旅をする11人の村人たち
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ドキュメンタリーのようなのに、本作は張楊監督が細部まで書き込んだフィクション。監督が思い描いていた登場人物を、老人から若者、さらに妊婦まで、奇跡的に一つの村の3家族で構成。五体投地でラサ、さらにカイラスをめざして巡礼する人々の姿を描いた物語。

日本公開:2016年7月23日
公式サイト:http://www.moviola.jp/lhasa/#pagetop
シネジャ作品紹介http://cinemajournal-review.seesaa.net/article/440326183.html


posted by sakiko at 19:50| Comment(0) | 中国 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

DAU.ナターシャ(原題:DAU.Natasha)

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監督・脚本:イリヤ・フルジャノスキー、エカテリーナ・エルテリ
撮影:ユルゲン・ユルゲス
出演:ナターリヤ・ベレジナヤ(ナターシャ)、オリガ・シカバルニャ(オーリャ)、ラジーミル・アジッポ(MGB/KGB調査官、研究所長)、リュック・ビジェ(生化学研究所の科学者)

1952年。ソヴィエト連邦の秘密研究所内のカフェは、秘密実験について話す科学者たちで賑わっている。40代のナターシャと若いオーリャがウェイトレスとして働いている。閉店後二人は片付けをしながらシャンパンを飲んで愛について語りあう。ナターシャは以前恋した既婚男性に未練がある。オーリャはまだ恋愛経験がない。オーリャが自宅で開いたパーティで、ナターシャはフランス人の科学者と親密になる。言葉も通じず、監視下にあるのも知らずに幸せに浸っていた。ソヴィエト国家保安委員会のウラジーミル・アジッポはナターシャを連行し、外国人と寝たことを責めたてる。きつい尋問を受け続けたナターシャは打ちのめされていく。

元は物理学者レフ・ランダウの伝記映画としてスタートしたのが、膨大な予算をかけた例のないプロジェクトに発展。ソビエト連邦時代の記憶を呼び起こすため、当時の社会を完全に再現し40ヶ月に渡って映画撮影を行っています。オーディション人数延べ39万2千人。主要キャスト400人、エキストラ1万人。衣装4万着。欧州市場最大の12000平米のセットで、主要キャストはそこで2年間生活したそうです。ストーリーラインがあって、撮影の前に監督や共演者との話合いもなされたけれども、そのときの感情は本物でその流れの即興演技も生まれているのだとか。施設のいたるところで撮影が行われ、35ミリフィルムで700時間のフッテージから何本もの作品が完成し、これからも増えていくそうです。スタッフもいつ映りこんでもいいように、そのシーンに合った衣裳を着て現場にいたそうです。
ナターシャを始め、キャストの99%はプロの俳優ではなく、実際の彼らを元に1950年代に沿わせて人物を作りました。科学者やKGBも実生活でもそうだということです。
映画を観る際、そういった背景を知らずに作品そのものを観ます。モノクロの映像が美しいですが、秘密研究所で行われているのは非常に不穏な実験であり、どこにでもKGBの監視の目が光っています。この人工的な空間の中で、ナターシャとオーリャが働くカフェだけが温かい空気を醸し出して、二人の喧嘩でさえ血の通った人間らしさを感じます。ナターシャが束の間味わったロマンスや、生きていくために発揮する強さは劇場を出た後も残るでしょう。これが例を見ない撮り方で制作されたということに驚くのはその後。(白)


2020年・第70回ベルリン国際映画祭で銀熊賞(芸術貢献賞)を受賞。
2019年/ドイツ、ウクライナ、イギリス、ロシア合作/カラー/ロシア語/ビスタ/139分
配給:トランスフォーマー
(C)PHENOMEN FILMS
http://www.transformer.co.jp/m/dau/
★2021年2月27日(土)シアターイメージフォーラム、アップリンク吉祥寺ほか全国公開
posted by shiraishi at 17:32| Comment(0) | ドイツ | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする