2021年02月21日

ターコイズの空の下で

takoizu.jpg

監督:KENTARO
脚本:KENTARO、アムラ・バルジンヤム
撮影:アイヴァン・コヴァック
出演:柳楽優弥(タケシ)、アムラ・バルジンヤム(アムラ)、麿赤兒(三郎)、ツェツゲ・ビャンバ(遊牧民女性)

タケシは裕福な家庭で甘やかされて育ち、成人しても遊興三昧の生活を送っていた。実業家の祖父三郎は、そんなタケシを外モンゴルの草原へと送り出す。三郎は第2次大戦下モンゴルで捕虜として暮らしたことがあり、終戦後地元の娘との間に子どもが産まれていた。帰国したまま会えずにいたという。その行方を探すためモンゴル人の馬泥棒・アムラをガイドに、ターコイズ色の空の下、旅することになった。日本では想像もしなかった日々を体験する中アムラが逮捕されてしまい、タケシは着の身着のまま荒野に一人取り残される。

広い広い大地で、遊牧民を探し当てるなんてできるのだろうか?半信半疑で見始めました。それも遊び人で苦労知らずの坊ちゃまです。意外に不平たらたらでもなく、泣き言も言わずアムラのポンコツトラックに揺られています。お互いに自国の言葉なので通じないのですが。あの空の下にいたなら小さなことなど、どうでもよくなるのかもしれません。
日本から持ち込んだものが少しずつなくなっていき、アムラもいなくて独りぼっちになってしまったタケシがどうするのか?どうなるのか?
演じた柳楽優弥さん、人生観が変わったんじゃないでしょうか。圧倒的な大自然の中では自分がひどく小さな存在に思えるし、人生で何が大事なのか、絶対に考えてしまうはず。こちらも大きな画面で観たい映画です。麿赤兒さん、画面の中での存在感といったら…モンゴルの草原に立っていただきたかったです。(白)


yagira.jpg

※柳楽優弥、海外合作映画初主演!
※第68回マンハイム・ハイデルベルク国際映画祭
FIPRESCI賞(国際映画批評家連盟賞)&才能賞(観客賞)ダブル受賞

2020年/日本・モンゴル・フランス合作/カラー/シネスコ/95分/日本語、モンゴル語
配給宣伝:マジックアワー、マグネタイズ
(C)TURQUOISE SKY FILM PARTNERS / IFI PRODUCTION / KTRFILMS
http://undertheturquoisesky.com/
<★2021年2月26日(金)新宿ピカデリーほか全国順次ロードショー


posted by shiraishi at 20:20| Comment(0) | 日本 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

ミアとホワイトライオン(原題:Mia et le lion blanc)

mia.jpg

監督:ジル・ド・メストル
脚本:プルーン・ド・メストル 、ウィリアム・デイヴィス
協力(ライオン・アドバイザー):ケビン・リチャードソン
出演:ダニア・デ・ヴィラーズ(ミア)、メラニー・ロラン(母・アリス)、ラングレー・カークウッド(父・ジョン)、ライアン・マック・レナン(兄・ミック)

父親がライオンファームを経営するため、友達と別れて南アフリカにしぶしぶ移住してきた11歳のミア。動物好きの兄ミックと違って、大自然にも動物にも少しも興味を惹かれない。母は繊細なミックの世話ばかり焼き、ミアは都会に戻りたくてたまらない。クリスマスの夜、ファームに白いライオンの子が生まれた。チャーリーと名付けられた小さなライオンはミアに懐き、大の親友となる。
それから3年。チャーリーはたくましく育ち、ファームでは集客に欠かせない人気ものになった。そんな時ミアは尊敬していた父の知らなかった一面を見てしまう。囲い込んだ動物を標的にする「トロフィー・ハンティング」にライオンを売っていたのだ。

ライオンと子どもの成長、家族の立て直しのストーリーが大自然を背景に語られます。登場するライオンはCGではありません。赤ちゃんライオンから堂々とした風格が出たラストまで本物です。これは”動物研究家で保護活動家のケビン・リチャードソン”が撮影に参加して、俳優とライオンを繋ぐ役割をしたので可能になったこと。野生動物保護区を所有・運営している彼は、ライオンと一緒のシーンで危険がないよう、子どもたちにライオンとの接し方をトレーニングしたそうです。
実際に3年を超える年月をかけて撮影されて、ダニア・デ・ヴィラーズとライアン・マック・レナンは、ホワイトライオンと一緒に成長しています。この二人はそれまでに演技経験はあるものの、映画出演は初めて。オーディションでこの役を勝ち取り得難い経験をしました。ダニアは今も定期的にチャーリー役だったホワイトライオンのトールに会いに行っているとか。

*作中にある「トロフィー・ハンティング」は観光客が趣味や娯楽のために野生動物を狩ること。頭部や毛皮を記念品とする人もいます。囲い込んだ土地に放たれた動物を狩ることから「缶詰ハンティング」とも呼ばれています。2018年に公開されたドキュメンタリー『サファリ』の衝撃を忘れることができません。ビジネスとして成立し、野生動物の保護にもお金が回っていくとは皮肉の限り。(白)


2018年/フランス/カラー/シネスコ/98分
配給:シネメディア
(C)2018 Galatee Films - Outside Films - Film Afrika D - Pandora Film - Studiocanal - M6 Films
https://miaandthewhitelion.jp/
★2021年2月26日(金)ヒューマントラストシネマ渋谷ほか全国順次公開
posted by shiraishi at 19:47| Comment(0) | フランス | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

ナタ 転生(原題:新神榜:哪吒重生 英題:New Gods: Nezha Reborn)

naja.jpg

監督:ZHAO Ji(趙霽)
脚本:MU Chuan(沐川)
プロデューサー:LU Xi(路晞)
出演:YANG Tianxiang(楊天翔)、ZHANG He(張赫)、XUAN Xiaoming(宣暁鳴)、LI Shimeng(李詩萌)

3000年以上前。7歳の《ナタ》は幼いながら強い魔力を持っている少年神。世界で絶大な権力を持つ一族・東海龍王の息子・三太子に歯向かい、死闘を繰り広げた末に勝利した。息子を殺され激怒した東海龍王は、町民たちの命を盾にナタに脅しをかける。ナタは罪のない彼らを死なせまいと自ら命を絶ったのだった。
そして現代。ナタはバイク好きな青年、李雲祥(リ・ウンショウ)として生まれ変わっていた。東海龍王は町の水を一手に握る徳興グループの会長として、三太子も同じく息子の三公子として生まれ変わっていた。長い間転生を繰り返し同じ運命を背負っていたが、李雲祥だけは自分が何者かまだ気づいていなかった。

これまでの中国アニメーション興行成績1位は『西遊記 ヒーロー・イズ・バック』でした。2016年の東京アニメアワードで観て、田暁鵬監督の取材もできました(本誌記事)。こんなにクオリティの高いアニメができるようになっていたんだ!と驚いたのですが、さらに進化していました。
最近の中国映画のCGには目を見張っていますが、このフルCGアニメーションもすごいです。登場人物は顔こそアニメキャラですが、台詞に合った唇の動き、表情や衣裳の質感、髭や髪の毛の1本1本、動きにつれて揺れる様の繊細なこと。緻密に描き分けられた背景、そこで繰り広げられるダイナミックかつスピーディなアクションなどなど、あげればきりがありません。この舞台になる町は水不足ですが、水を統べる龍が登場して水がふんだんに出てきます。水の表現が難しいと聞いていましたが、どれだけの資金と手間暇をつぎ込んだのでしょう。大ヒット中なのも納得で、すぐ回収できそうです。
土台は多分中国人なら知らない人はいない、古典の「封神演義」です。文庫2巻組が出ています。スケールの大きなストーリーは、これ1本では到底終わりそうもありません。続編も楽しみです。大きなスクリーンで主人公のつもりになって観たい作品。気になったのが過去も現在も父と息子だけで、母はどこに?(白)


『ナタ転生』場面写真①.jpg


2020年/中国/カラー/117分
配給:チームジョイ
(C)Light Chaser Animation Studios
https://www.nezha.jp/
★2021年2月26日(土)TOHOシネマズ池袋、TOHOシネマズ上野 ほか順次追加予定
posted by shiraishi at 17:19| Comment(0) | 中国 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

めぐみへの誓い

megumi.jpg

監督・原作・脚本:野伏翔
撮影:神野誉晃
音楽:許平和、許真弓
出演:原田大二郎(横田滋)、石村とも子(横田早紀江)、菜月(横田めぐみ)、坂上梨々愛(めぐみ少女時代)、大鶴義丹(辛光春)、安座間 美優(田口八重子)、小林 麗菜(金 賢姫)、仁支川 峰子(夏仙)、小松 政夫(金本印刷社長)

1977年11月15日、新潟市。中学1年生の横田めぐみは学校帰りに数人の男たちに連れ去られ、気がつくと海上の船の中にいた。男たちは北朝鮮の工作員で、めぐみが連れていかれた建物には先に拉致された日本人が何人も住んでいた。責任者らしい男に、必死で家に帰してと訴えると、北朝鮮のために働けばいつか帰国させると言いくるめられる。一方めぐみの両親は失踪届を出し、街頭に立って行方不明になった娘の手がかりを求め、諦めることなく探し続けていた。

2010年、野伏翔(劇団夜想会)の脚本及び演出により舞台劇「めぐみへの誓いー奪還―」が上演されました。2014年からは内閣府拉致対策本部の主催公演となり入場無料で全国各地36か所公演を行なわれたそうです。これを映画化することで、もっとたくさんの人に伝えようと、クラウドファンディングで制作資金が集められました。帰国できた人たちから丹念に集めた手がかりなどを元に、組み立てられた物語は真に迫っています。拉致された方々がどんな思いでおられたのか、胸を痛めながら見入りました。横田夫妻がご本人と重なり、心のうちを思うと泣けてきます。映像の力は大きいですね。
2020年6月めぐみさんのお父さん、横田滋さんがめぐみさんに再会できないまま亡くなられました。どんなに心残りであったでしょう。ご冥福をお祈りいたします。
これまで拉致被害者として認定されたのは17人ですが、拉致の可能性を排除できないとされている行方不明者は875人にものぼるそうです(警察庁)。拉致被害者の方々が早く帰国できるよう、わずかでも支援できたらと思います。(白)


平成20年11月21日から11月26日に有楽町マリオン11階のギャラリーで開催された「めぐみちゃんと家族のメッセージ-横田滋写真展」を、ちょうど東京フィルメックス開催中だったので拝見したのを思い出しました。横田めぐみさんが拉致されるまでの13年間にお父様である横田滋さんが撮った写真を中心としたパネル展示でした。それは、ごく普通の家族の日常やハレの日の写真。めぐみさんが拉致されてからの横田さんご夫妻の人生は、めぐみさんを取り戻す為の日々になってしまいました。会えないままにお亡くなりになられたお父様のお気持ちを思うと涙が出ます。
また、大韓航空機爆破事件の元工作員、金賢姫の手記「いま、女として 金賢姫全告白」では、日本人教育係・李恩恵さんのことが書かれていたことも、田口八重子さんの場面を観て思い出しました。
拉致された方たちが、北朝鮮でどんな暮らしをされていらっしゃるのか、そして、拉致された方の帰りを待つご家族のやるせない思いに胸が痛みます。生きている間に再会できるよう、国家レベルで解決してほしいと願うばかりです。(咲)


2019年/日本/カラー/シネスコ/102分
配給:アティカス
(C)映画「めぐみへの誓い」製作委員会
https://www.megumi-movie.net/(音が出ます)
★2021年2月19日(金)池袋シネマ・ロサ、秋田市アルヴェシアターほか全国順次公開!
★ご支援参加方法はこちらをご覧ください。
posted by shiraishi at 17:16| Comment(0) | 日本 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

ステージ・マザー(原題:Stage Mother)

stage mother.jpg

監督:トム・フィッツジェラルド
脚本:ブラッド・ヘンニク
出演:ジャッキー・ウィーバー(メイベリン)、ルーシー・リュー(シエナ)、エイドリアン・グレニアー(ネイサン)、マイア・テイラー(チェリー)

サンフランシスコのカストロ・ストリート。ゲイバーの”パンドラ・ボックス”のショータイムで、ドラァグクイーンのリッキーが倒れて息を引き取った。薬物の過剰摂取だった。突然の訃報は、テキサスの田舎で夫と二人暮らしのメイベリンに届いた。一人息子のリッキーはゲイをカミングアウトして受け入れられず、家を出ていったきり疎遠のままだった。メイベリンは夫の反対に耳を貸さず、サンフランシスコの葬儀に参列する。
リッキーのパートナーのネイサンに門前払いにあうが、リッキーの親友のシエナがネイサンとの間を取り持ってくれた。ネイサンはバーの共同経営者だったが、リッキーが急死したためメイベリンが経営権を相続することになっていたと知る。しかもバーは借金で破綻寸前だった。思いがけずゲイバーを引き継ぐことになったメイベリンは、テキサスで聖歌隊にいたことを強みにステージの改変に着手する。

この目力の強いメイベリン役のジャッキー・ウィーバーは『アニマル・キングダム』(2012)のママでした。最近では『チア・アップ!』(2019)にも出演。どこででも行動力のあるパワフルな女性を演じています。
本作では息子と和解しないまま先立たれてしまった悔恨を胸に、息子の遺したバーの立て直しに頑張ります。バーで働くドラァグクイーンたちにもそれぞれの事情があり、メイベリンはリッキーと重ねて彼らを理解し支えます。俺様な夫の期待通りに従う人生でなく、自分で道を選びとるメイベリンが輝いていく過程を見てください。いつでもやり直すのに遅すぎることはありません。
売れっ子のチェリー役のマイア・テイラーは、本人もトランスジェンダー。スマホで撮影された『タンジェリン』(2015)がデビュー作でした。クイーンたちの歌とダンスも楽しい、元気がもらえる映画。(白)


いろいろな生き方があっていいとわかっていても、それが我が子となると、なかなか受け入れられないもの。私の友人にも、長女が長男になってしまった人がいて、最初は戸惑っていたけれど、今では「息子がね・・・」としっかり受け入れています。メイベリンは息子が生きている間に認められなかったことを悔いますが、父親は亡くなってもなお頑として認めません。すんなり受け入れば楽になるのにと思ってしまいますが、当事者の思いは複雑ですね。
本作は、メイベリンの挑戦にも元気づけられますが。サンフランシスコの風情がとても素敵で、いつかカストロ・ストリートにも行ってみたくなりました。(咲)


2020年/カナダ/カラー/93分
配給:REGENTS
(C)2019 Stage Mother, LLC All Rights Reserved.
https://stage-mother.jp/
★2021年2月26日(金)TOHOシネマズシャンテほか全国公開
posted by shiraishi at 14:13| Comment(0) | カナダ | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする