2020年12月06日

レディ・トゥ・レディ

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監督・脚本:藤澤浩和
撮影:伊藤麻樹
ダンス監修:堀口史朗、桜田まゆ
出演:大塚千弘(鈴木真子)、内田慈(城島一華)、木下ほうか(木村克己)ほか

生活に追われる主婦・鈴木真子と、売れない独身女優・城島一華は、高校時代にダンスで脚光を浴びた二人だった。同窓会で再会して、クラスメートの前で切った大見栄がきっかけで社交ダンスカップルを組む事に。初めて家庭のためではない自分のために時間を生きる事になった真子と、傷だらけの女優生命を懸けた一華の壮絶な練習の日々が始まった。 かつてのコーチ・木村に師事しつつも簡単には取り戻せない肉体のキレ。 しかしパートナーとの衝突、肉体との対話は確実に二人の人生を変えていく。

女性ペアでの社交ダンスに挑んだ真子(まこ)と一華(いちか)。男女ペアが常識の競技ダンスに新風を吹き込めるのか?!高校卒業以来別々の道を歩んできた二人が、再会して共通の目標に向かっていく元気の出るガールズ・ダンス・ムービーです。
藤沢監督の最新作に、オーディションを経て参加した主演の大塚千弘さん、内田慈さんは息もぴったり、厳しいダンスの特訓も夜を徹しての撮影も乗り越えました。観終わると、こちらも丸めていた背中がぴっと伸びて、ダンスでなくとも楽しいことを探してみよう、新しいことに挑戦してみようと思える作品です。
ダンス・ムービーと言えば、周防正行監督の『Shall we ダンス?』(1996)、映画が大ヒットして社交ダンスが一大ブームになり、2004年にはアメリカでリメイクされたのを思い出します。主演の役所広司さんがストーリーが進むにつれて素敵になっていきました。その映画が大好きという主演の大塚千弘さん、内田慈さんお二人に取材ができました。只今まとめ中です。後少しお待ちくださいませ。
★インタビュー記事アップしました。こちらです。(白)


社交ダンスって男女で踊るものだと思っていましたが、ジュニアは女子同士で組むこともあるとこの作品で知りました。中学生までは一緒に踊っていた2人が久しぶりにペアを組む。バイトをして生計を立てる売れない女優とパートで生計を支える主婦。あの頃はお互いのことを何でも知っていたのに、今は相手のことがさっぱり見えない。そんな2人がダンスのレッスンを通じて、相手のことを理解していく姿は私たちにも置き換えることができるかもしれません。(堀)

社交ダンスの女性ペア。考えてもみなかった発想を映画にした作品に喝采。二人の踊るシーンをみたら、思わずまるまった背中をピシッと伸ばさなくてはと思いました。私自身はダンスは踊らないけど、社交ダンスをすることで、人生に張り合いをみつけようとする二人の姿を見て、思わず応援したくなりました。そして先入観にとらわれず、人から何を言われようと、自分がやりたいこと、信じる道をゆくという行動に対して勇気をもらいました。二人は挫折しそうにもなりながらも、女性同士のダンスの道を歩むことで周りを変えていきます(暁)。

2020年/日本/カラー/90分
配給:トラヴィス
(C)2020 イングス
http://lady-to-lady.net/
★2020年12月11日(金)ヒューマントラストシネマ渋谷ほか全国順次公開

メイキング映像が紹介されています。お二人のダンス特訓シーン!
https://twitter.com/ladytoladymovie
posted by shiraishi at 17:19| Comment(0) | 日本 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

天外者(てんがらもん)

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監督:田中光敏
脚本:小松江里子
撮影:山本浩太郎
出演:三浦春馬(五代友厚)、三浦翔平(坂本龍馬)、西川貴教(岩崎弥太郎)、森永悠希(伊藤博文)、森川葵(はる)、蓮佛美沙子(五代豊子)、生瀬勝久(五代徳夫)、筒井真理子(五代やす)ほか

時代を越え、志は未来に生き続ける
五代才助(友厚)は薩摩藩士の家に生まれ、子どものころに父から世界地図を見せられて、我が藩我が国にこだわらない広い視野を持って成長した。激動の幕末に、高杉晋作、坂本龍馬に出逢い、後の明治政府の立役者となる人々との知己を得る。遊女はると知り合った五代は、誰もが夢を見ることのできる国を作ることを念頭におく。藩命により念願であった欧州渡航を果たし、語学と商才を磨く。明治政府役人を経て実業家となり、今日に続く商都大阪の基礎を作り上げ「東の渋沢栄一、西の五代友厚」とも評される功績を挙げた。

“天外者(てんがらもん)”とはすさまじい才能の持ち主のことをいうそうです。2015年のNHKの朝ドラ「あさが来た」でヒロインのあさが尊敬する人物として五代友厚が登場しました。ディーン・フジオカが演じて大人気となり、脚本を書き換えて出演時期を延ばしたと聞いています。「五代ロス」の言葉も生まれましたね。
この才能にあふれ、商才がありながら大義と正義を重んじた人物を三浦春馬さんが演じました。精魂込めて未来への希望を熱く語った彼が、実人生を閉じてしまうとは誰も予想だにしませんでした。完成を観ずに逝ってしまった彼の胸中は想像もつかず、若いのに何故?と惜しくてなりません。
五代友厚の命日の9月25日、五代友厚が初代会頭を務めた大阪商工会議所にて関係者試写会が行われました。田中光敏監督が登壇し感謝の言葉を述べました。春馬さんについての言葉をここに引用します。
「彼はスクリーンの中で、精一杯最高の芝居をしてくれています。春馬くんが僕に、“僕をこの作品に呼んでくれてありがとう”と、言ってくれました。ただ彼が完成した作品を観れないのが、残念です」。最後に「たくさんの方々に観てもらいたいと思っています。大阪から日本、そして世界中の人々が観てもらえるような作品になっていると信じて今日送り出します。ぜひ皆さんのお力をさらに借りて、まわりの方々に広めていただけたらと思います。三浦春馬を始め、それを支えたたくさんの素晴らしい役者たちの最高の演技をぜひご覧ください」(白)


作品としては江戸の終わりから明治半ばまでを描いていますが、歴史の表舞台ではない部分にスポットが当てられ、「そうだったんだ」と興味深い。例えばグラバー邸で有名なトーマス・グラバー。残っている建物は有名ですが、彼本人は何をしていたのか、知っている人は少ないのではないでしょうか。五代を経済的に大きく支え、それは結果として日本の近代化に大きな手助けとなったことが映画を見るとわかります。
晩年、五代は大阪商法会議所を設立し、初代会頭に就任します。ただ、彼には黒い噂もあって、大阪の財界人たちから非難を浴びました。すると「地位か名誉か金か、いや大切なのは目的だ」と声をあげたのです。偉大な人の先を見据えた行動は理解されにくいのかもしれません。そういえば薩英戦争で捕虜になったときの行動もみなから非難を浴びました。
五代友厚はNHK「あさが来た」でディーン・フジオカが演じたことで知り、思慮深いイメージ持っていました。本作ではそれとは違う、がむしゃらに真っすぐな熱い五代友厚を三浦春馬が見せてくれます。(堀)


私はNHKの朝ドラ「あさが来た」を観てなかったので、五代友厚のことはこの『天外者』を観て、その足跡を知りました。鎖国していた江戸時代から、開国して世の中が大きく変わった明治時代。当時を生きた人たちは、さぞかし面食らったことと思います。激変した世の中に、なかなか対応できなかった人もいるのではないでしょうか。そんな中で、未来を見据えて行動を起こした人たちがいて、今の日本があるのだと、あらためて思いました。
個人的には、本作、薩摩藩の藩主・島津斉彬を演じた榎木孝明さんが一番の楽しみでした。藩で特に役についていない五代に洋行の費用を出すことを反対する側近もいる中、「若者であることは貴重。大きく育てよう」という素敵なお殿様。行動に移そうとする若者を支援する人もまた、夢を見れる国の実現に必要な人なのだと思いました。(咲)


2020年/日本/カラー/109分
配給:ギグリーボックス
(C)2020「五代友厚」製作委員会
https://tengaramon-movie.com/
★2020年12月11日(金)TOHOシネマズ日比谷ほか全国ロードショー

■Youtubeリンク
  1、約束編:https://youtu.be/zFO62cP_dmM
  2、決意編:https://youtu.be/Who5KZlKKn0
  3、友情編:https://youtu.be/Qonn32ENUeg
posted by shiraishi at 16:58| Comment(0) | 日本 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする