2020年11月13日

音響ハウス Melody-Go-Round 

onkyohouse.jpg

監督:相原裕美
撮影:北島元朗 
主題歌 Melody-Go-Round / HANA with 銀音堂
作詞:大貫妙子 作曲:佐橋佳幸
編曲:佐橋佳幸、飯尾芳史 ブラス編曲:村田陽一
出演:佐橋佳幸、飯尾芳史、高橋幸宏、井上鑑、滝瀬茂、坂本龍一、関口直人、矢野顕子、吉江一男、渡辺秀文、沖祐市、川上つよし、佐野元春、David Lee Roth、綾戸智恵、下河辺晴三、松任谷正隆、松任谷由実、山崎聖次、葉加瀬太郎、村田陽一、本田雅人、西村浩二、山本拓夫、牧村憲一、田中信一、オノセイゲン、鈴木慶一、大貫妙子、HANA、笹路正徳、山室久男、山根恒二、中里正男、遠藤誠、河野恵実、須田淳也、尾崎紀身、石井亘 <登場順>

音響ハウスは1974年12月に東京・銀座に設立され、2019年に創立45周年を迎えたレコーディングスタジオ。YMO時代からこのスタジオで試行錯誤を繰り返してきた坂本龍一をはじめ、松任谷由実、松任谷正隆、佐野元春、綾戸智恵、矢野顕子、鈴木慶一、デイヴィッド・リー・ロス(ヴァン・ヘイレン)らが音響ハウスとの出会いや思い入れ、楽曲の誕生秘話を語る。
さらに当時のプロデューサーやエンジニアにもカメラが向けられ、1970年から1980年代にかけて勃興した音楽ジャンル「CITY-POP」がどのように形作られたのかにも迫る。

音楽に疎い私でも名前と顔を知っている人たちが次々と登場して、懐かしそうに思い出を振り返ります。ユーミンが「埠頭を渡る風」をレコーディングしていたときに息抜きで晴海に出掛けた話や矢野顕子が子連れでレコーディングに来たときにお子さんたちが何を楽しみにしていたのかなど、音楽に関係ないこぼれ話もなかなか面白い。
ギタリストの佐橋佳幸とレコーディングエンジニアの飯尾芳史がメインパーソナリティーとして進行し、葉加瀬太郎、井上鑑、高橋幸宏らゆかりのミュージシャンたちが何やら演奏をしているのですが、次第にそれがコラボ新曲「Melody-Go-Round」のレコーディングと判明します。最後に若干13歳の期待の女性シンガー・HANAが歌声を吹き込むとバラバラに収録した音楽が1つの素晴らしい楽曲に。これは必聴です!(堀)


2019年 / 日本 / カラー / ビスタ / Digital / 5.1ch / 99分
配給:太秦
©2019 株式会社 音響ハウス
公式サイト:https://onkiohaus-movie.jp/
★2020年11月14日(土)より渋谷ユーロスペースほか全国順次公開
posted by ほりきみき at 21:48| Comment(0) | 日本 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

プラスチックの海(原題:A PLASTIC OCEAN) 

plasticocean.jpg

監督:クレイグ・リーソン
脚本:クレイグ・リーソン、ミンディー・エリオット
撮影:マイケル・ピッツ
編集:ミンディー・エリオット
音楽:ミリアム・カトラー、ローレンス・シュワルツ
出演:クレイグ・リーソン、デイビッド・アッテンボロー、バラク・オバマ、シルビア・アール、タニヤ・ストリーター、リンジー・ポルター、ジョー・ラクストン、ダグ・アラン、ベン・フォーグル、マイケル・ゴンジオール他

シロナガスクジラに魅せられ、幼い頃から追い続けていたクレイグ・リーソン。しかし、世界中の海を訪れる中、プランクトンよりも多く見つけたのはプラスチックゴミだった。美しい海に、毎年800 万トンものプラスチックゴミが捨てられている事実を知り、海洋学者、環境活動家やジャーナリスト達と共に、自身が監督となり世界の海で何が起きているのかを調査し撮影することを決意する。
21 世紀に入り、生産量が激増しているプラスチック。便利さの一方で、大量のプラスチックが海に流出し続け、近年は 5mm 以下の「マイクロプラスチック」による海洋汚染にも大きな注目が集まっている。調査の中で明らかになるのは、ほんの少しのプラスチックしかリサイクルされていないこと。海鳥の体内から、234 個のプラスチックの破片が発見されるなど、海に捨てられたプラスチックで海洋生物が犠牲になっていること。そして、プラスチックの毒素は人間にも害を及ぼすかもしれないこと。撮影クルーは世界中を訪れ、人類がこの数十年でプラスチック製品の使い捨てを続けてきた結果、危機的なレベルで海洋汚染が続いていることを明らかにしていく。

海が汚染されていることは頭では理解していたつもりでしたが、ここまで深刻な状況に陥っているとは思いもしませんでした。砂浜にプラスチックごみが打ち上げられている様子は見たことがありましたが、ダイバーの方々が潜る深いところまでこんなに汚れていたとは! 何も知らずにゴミを食べてしまい、お腹の中で詰まってしまった生き物たちの姿を見ていると申し訳ない気持ちでいっぱいになります。
汚れてしまった海をきれいに戻すこと私たちには難しくても、これ以上汚さないことはできるはず。私一人くらいという気持ちは捨てて、真剣に取り組まないといけないところまで来ているのを感じました。

実は以前から気になっていることがありました。亡くなった人を悼んで、海に花束を捧げる場面を映画やドラマで見かけます。しかし、その花束のラッピング素材はゴミとなっているのですよね。イベントでたくさんの風船を空に放つ企画がありますが、その風船がゴミとなって海に落ちる場合もありますよね。気にしすぎかもしれませんが、本作を見ているとそのくらい海に対して心を配らないといけない気がしてきます。(堀)


2016年/イギリス・香港/100分
配給:ユナイテッドピープル
© UNITED PEOPLE
公式サイト:https://unitedpeople.jp/plasticocean/
★2020年11月13日(金)アップリンク渋谷・吉祥寺・京都ほか全国順次ロードショー
posted by ほりきみき at 01:56| Comment(0) | イギリス | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

ドクター・デスの遺産-BLACK FILE- 

doctordeathmovie.jpg

監督:深川栄洋
原作:中山七里「ドクター・デスの遺産」(角川文庫/KADOKAWA刊)
出演:綾野剛 北川景子 岡田健史 前野朋哉 青山美郷 石黒 賢

「苦しむことなく殺してさしあげます。」ある闇サイトで依頼を受け、人を安楽死させる連続殺人犯ドクター・デス。その人物の存在が明らかになったのは、「お父さんが殺された。」という少年からの通報がきっかけだった。警視庁捜査一課のNo.1コンビ犬養(綾野剛)と高千穂(北川景子)は、さっそく捜査を開始。すると似たような事件が次々と浮上する。捜査チームのリーダー麻生(石黒賢)、新米刑事の沢田(岡田健史)、室岡(前野朋哉)、青木(青山美郷)と共に事件の解明を急ぐが、被害者遺族たちの証言は、どれも犯人を擁護するものばかりだった。ドクター・デスは本当に猟奇殺人犯なのか?それとも救いの神なのか?そして、驚愕の事実と更なる悲劇が犬養と高千穂に降りかかる。

原作は中山七里原作による刑事犬養隼人シリーズの「ドクター・デスの遺産」です。“ドクター・デス”と呼ばれ、130人もの患者を安楽死させた実在のアメリカの医師ジャック・ケヴォーキアンをモデルに描かれるクライム・サスペンス。安楽死を手口にする連続殺人犯に挑む刑事役で綾野剛と北川景子がバディを組みます。2人は「パンク侍、斬られて候」に次いで2度目の共演。「神様のカルテ」「サグラダリセット」などを手がけてきた深川栄洋監督がメガホンをとりました。
作品を見ていると「安楽死も1つの選択なのかもしれない」という思いが頭をもたげてきます。「映画で安楽死を肯定してしまうのってヤバくない?」とハラハラしていると中盤から流れがぐぐっと変わり、辛くても生きることを肯定するようになります。
犯人は最初、誰が演じているのかわからないくらい、普段と違った風貌でびっくり。綾野剛との精神的な一騎打ちはさすがのひとことでした。(堀)


2020年/120分/G/日本
配給:ワーナー・ブラザース映画
© 2020「ドクター・デスの遺産-BLACK FILE-」製作委員会
公式サイト:https://wwws.warnerbros.co.jp/doctordeathmovie/
★2020年11月13日(金)より全国公開
posted by ほりきみき at 01:42| Comment(0) | 日本 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

詩人の恋(原題:시인의 사랑)

shijin.espace-sarou.jpg
 
監督・脚本:キム・ヤンヒ  
出演:ヤン・イクチュン、チョン・ヘジン、チョン・ガラム  

自然豊かな済州島で生まれ育った詩人のテッキ(ヤン・イクチュン)は、ここ数年スランプだ。稼げない彼を支える妻ガンスン(チョン・ヘジン)が妊活を始めたことから、テッキの人生に波が立ちはじめる。乏精子症と診断され、詩も浮かばず思い悩む彼を救ったのは、港に開店したドーナツ屋で働く美青年セユン(チョン・ガラム)だった。彼のつぶやきが詩の種となり、新しい詩の世界への扉を開いてくれたのだ。もっと彼を知りたい―。30代後半にして初めて芽生えた“守ってあげたい”という感情を隠しながら、テッキは孤独を抱えるセユンと心を通わせていく……。

恥じらいをなくしたガンスンに性的魅力を感じなくなってしまったテッキ。子どもが欲しくてナーバスになってしまうガンスン。未来に希望が持てないセユン。3人の人物造形が深い。そのため、誰か一人に感情移入するのではなく、場面ごとで、「わかる~」と共感する人が違ってきます。「お前はいったい誰の味方なのだ」と怒られてしまいそうですね。
芸術の世界でミューズ(女神)という言葉をよく聞きます。セユンは男性ですが、テッキにとってはミューズだったのでしょうか。ガンスンがテッキにドーナツを買って帰ったのがきっかけでテッキはドーナツの虜になり、お店に出掛けました。もし、ガンスンがドーナツを買って帰っていなければ…。運命とは分からないものです。(堀)


『息もできない』『あゝ、荒野』のヤン・イクチュンが、え? ほんとに彼?という位、ドーナツ屋の美青年に心ときめかせ、ドーナツを買いに走る姿が可愛いのです。あまり稼ぎのない夫を支えてきた妻ガンスンのやるせない思いに同情してしまいます。
本作が長編デビュー作のキム・ヤンヒ監督が紡ぎだした不思議な三角関係。妻のほうが現実的なのは、女性だからこそ描けたことかなと。
映画に出てきた詩人の住む町の風景が、去年の夏、済州島に行った時に訪れた西帰浦の町の高台にあるイ・ジュンソブ美術館の3階から眺めた小さな島が二つ浮かぶ風景にそっくりで、確認してみたら、やはり西帰浦でした。海沿いにまで行かなかったのが、今となっては残念! (咲)

ヤン・イクチョンが出ているということで観た。『あゝ、荒野』は観ていないけど、『息もできない』を東京フィルメックスで観た時、凶暴なヤクザの役を演じたその直後に監督でもあるヤン・イクチョン本人がQ&Aで出てきて、そのあまりに繊細で優しそうな人柄と、役柄との落差にびっくりした。そして、役者、ヤン・イクチョンに興味をもった。
その後ヤン・ヨンヒ監督の『かぞくのくに』では北朝鮮の諜報員役?を演じていたし、『あゝ、荒野』ではボクサーの役を演じていたというので、きっとそれぞれ独特の強調された役柄だったのだろうと思うけど、フィルメックスの時、目の前で本人が話している姿を見た印象では、この『詩人の恋』の詩人の役は本人の姿に近い印象だった。物静かで恥ずかしがりやという感じ。この映画を観ながら、東京フィルメックッス2009の『息もできない』Q&Aで、初めて本人を目の前で見た時のことを思い出していた(暁)。


2009息もできない ヤン・イクチュン監督2.jpg
『息もできない』Q&Aでのヤン・イクチュン監督(撮影 宮崎暁美)

2017年/韓国/韓国語/アメリカンビスタ/カラー/5.1ch/110分
配給:エスパース・サロウ
©2017 CJ CGV Co., Ltd., JIN PICTURES, MIIN PICTURES All Rights Reserved
公式サイト:https://shijin.espace-sarou.com/
★11月13日(金)より、新宿武蔵野館ほか全国順次公開
posted by ほりきみき at 01:22| Comment(0) | 韓国 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする