2020年10月29日

相撲道~サムライを継ぐ者たち~

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監督:脚本:坂田栄治
撮影:門田博喜
劇中画:琴剣淳弥
語り:遠藤憲一
出演:境川部屋、髙田川部屋

1500年以上の歴史を持ち、国技として日本人の暮らしに深く根付いている相撲の世界を追ったドキュメンタリー。2018年12月から約半年間、境川部屋と高田川部屋の2つの稽古場にカメラが密着。力士たちの本場所での熱い闘いの姿を迫力のある映像と音声で捉え、歴史、文化、競技と、さまざまな角度から相撲の魅力をひも解いていく。監督は「マツコの知らない世界」など長年テレビの演出家として活躍し、本作が映画初監督作品となる坂田栄治。元大相撲力士で、日本相撲協会の公認漫画家として知られる琴剣淳弥がコーディネートプロデューサーとして参加。ナレーションを遠藤憲一が務める。

早朝からの稽古、激しいぶつかり合い、力士たちの熱や監督の感じている衝撃がこちらまで伝わってくる作品です。相撲の歴史や文化を全く知らない人に届くように、わかりやすく見せています。元力士の琴剣(ことつるぎ)さんの絵も秀逸。
日々の激しい稽古が身体と自信を作り、本場所で力を発揮します。厳しさに耐え、険しい道を歩いてきた人の言葉は、観ている人のもとにまっすぐに届きます。一方ちゃんこ鍋に舌鼓をうち、部屋の同輩たちと歓談する素顔も捉えます。眼鏡をかけているのが珍しくてなんだか可愛く見えました。土俵を降りたら普通の、大きめの男の子でした。
子どもの頃、古くは栃若時代から家族で取り組みを楽しみにしていたのに、最近全くうとくなっていた私にも新鮮で面白く、相撲熱が再燃しそうです。凛々しい千代の富士、小兵ながら奮闘する舞の海さんファンでしたが、今や力士はどんどん大きくなって(*)、150㎏以上の関取はたくさん。思い切り当たれば「毎日が交通事故」とか。どうか怪我のないようにと祈りたくなります。
「相撲の魅力を知らせたい」と、坂田監督が密着取材し、こだわった迫力の映像と、包み込むような音響を劇場でお楽しみください。大相撲を観に行きたくなりますよ。11月場所は11月8日初日・両国国技館、新番付も発表になりました。(白)


2020年/日本/カラー/104分
配給:ライブ・ビューイング・ジャパン
(C)2020「相撲道 サムライを継ぐ者たち」製作委員会
https://sumodo-movie.jp/
★2020年10月30日(金)よりTOHO シネマズ錦糸町、
10月31日(土)よりポレポレ東中野ほか全国順次公開 


日本相撲協会:http://www.sumo.or.jp/
☆坂田栄治監督インタビューはこちら

*新弟子検査:身長167cm以上、体重67kg以上(就職場所と言われる3月場所は中学卒業見込者に限り身長165cm以上、体重65kg以上となる)
posted by shiraishi at 13:29| Comment(0) | 日本 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

ウルフウォーカー(原題:Wolfwalkers)

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監督:トム・ムーア、 ロス・スチュアート
脚本:ウィル・コリンズ
音楽:キーラ、オーロラ
声の出演:オナー・ニーフシー(ロビン)、エバ・ウィッテカー(メーヴ)、ショーン・ビーン(ビル)
日本語吹き替え:新津ちせ(ロビン)、池下リリコ(メーヴ)、井浦新(ビル)

1650年、アイルランドの町キルケニー。ロビンは狼ハンターの父と一緒にイングランドからやってきた。父から「女の子は家事をしていなさい。森には危険なオオカミがいるので、家から出ないように」ときつく言われていたのに、こっそり出かけていく。
自由で不思議な力を持つメーヴという少女と出会い、友達になった。人間とオオカミが身体に共存する”ウルフウォーカー”のメーヴは、人間のために森がだんだん小さくなり、オオカミの住む場所がなくなっていること、オオカミの姿で出かけた母親が戻らなくて心配なことを打ち明ける。翌日、城の調理場で働くように送り出されたロビンは、メーヴの母親らしい大きな狼が檻に囚われているのを知った。なんとしても助け出して、オオカミ退治をやめさせなくては。

『ブレンダンとケルズの秘密』(2003)『ソング・オブ・ザ・シー 海のうた』(2014)に続くケルトの伝説三部作の最終作品。前作では美術監督だったロス・スチュアートが共同監督となっています。
東京アニメアワードで鑑賞して以来、その美しさ、質の高さに感嘆したカートゥーン・サルーン・スタジオの制作です。『ソング・オブ・ザ・シー 海のうた』のころに着想、『ブレッドウィナー』(2017)の後に本格的に制作が開始され、構想7年で完成となりました。監督が大好き!これからも続ける!という2D手描きアニメーションの世界観はそのまま、今回3Dソフトウェアも使って森や狼のモブシーンなどが作られました。手描きの線の力を大切にして消さずに残し、ソフトウェアを使った絵も紙に出力して手を加えているそうです。街と城、森、そこに住む人々、動物をそれに合った手法・色味で描き分けているのにも注目を。

イングランドがアイルランドの支配権を手に入れようと画策していた時代、森のオオカミを悪者として退治することも人心の掌握手段であったのでしょう。そんな歴史を背景に、街と森、そこに住む人間とオオカミ、男と女と相反するものが、共存すること理解しあうことも物語の中に語られていました。
この作品を観て細田守監督の『おおかみこどもの雨と雪』(2012)を思い出しました。設定は異なるものの、通ずるものがありますね。(白)


2020年/アイルランド、ルクセンブルク/カラー/シネスコ/110分
配給:チャイルド・フィルム
(C)WolfWalkers 2020
https://child-film.com/wolfwalkers/
★2020年10月30日(金)YEBISU GARDEN CINEMA他ロードショー
posted by shiraishi at 13:25| Comment(0) | アイルランド | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

愛しの母国(原題:我和我的祖国 My People, My Country)

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総合監督:チェン・カイコー
監督:グアン・フー、 チャン・イーバイ、 シュー・ジェン、 シュエ・シャオルー、 ニン・ハオ、ウェン・ムーイエ
主題歌:フェイ・ウォン
出演:ホアン・ボー、オウ・ハオ、レン・スーシー、チャン・イー、ハン・ハオリン、ファン・ユジェ、リウ・タオ、サイモン・ヤム、カラ・ワイ、グォ・ヨウ、ワン・ドン、ティエン・チュアン・チュアン、リウ・ハオラン、アーサー・チェン、ソン・ジア、トン・リーヤー

Episode1:『前夜』監督:グアン・フ―
1949年9月30日、新中国建国式典の前日。寝食を忘れて国旗掲揚装置を開発したリン・ジーユエン(フォン・ボー)。式典本番で滞りなく掲揚されるよう、最後の確認中だったが、次々と予期せぬ問題が起こる。

Episode2:『すれ違い』監督:チャン・イーバイ
1964年。国家の秘密プロジェクトに携わっている科学研究者ゴーエン(レン・スーシー)は、被爆したため任務から外れる。3年ぶりに町へ向かい、声をかけてきたのは、何も知らせないまま別れた恋人だった。本当のことが言えないまましらを切りとおすゴーエン。

Episode3:『初恋』監督:シュー・ジェン
1984年8月8日 上海の電気屋の息子ドンドン。女子バレー中国代表チームはロサンゼルスオリンピックで決勝戦に進んだ。中国全土が最後の一戦を見守っている。ドンドンは初恋の女の子が引っ越しするのでお別れを言いたいのに、テレビの調整が忙しくなって抜けられない。

Episode4:『回帰』監督:シュエ・シャオルー
1997年7月1日、香港がイギリスから返還される。きっかり0分0秒に国旗掲揚を行うため、旗揚げ係のジュートゥ、式典警備員、外交官、それぞれの時計完璧に調整したのは、ある時計職人(サイモン・ヤム)だった。

Episode5:『Hello 北京』監督:ニン・ハオ
2008年8月7日、北京オリンピック開会式の前日。タクシー運転手のチャン・ペキン(グォ・ヨウ)は開会式のチケットを会社の福引で引き当てる。嬉しくて乗客に見せびらかしていたら、ある少年が譲ってくれと頼み込む。断って目的地で降ろすが、チケットが消えて現金800元が残されていた。

Episode6:『流れ星』監督:チェン・カイコー
貧しい土地に生まれ育ったオーディラとハザブの兄弟。生きるために何でもしてその日暮らしを続けていた。リー老人(ティエン・チュアン・チュアン)は貧困地域を再生を願って尽力し、二人を疑うことなく受け入れ兄弟も心を開いていく。

Episode7:『青い空』監督:ウェン・ムーイエ
2015年9月3日。抗日戦争勝利記念日の軍事パレードを控え、女性パイロットのリュショーランは飛行チームの控えを命ぜられた。幼いころからの夢だったが、親友に託す決心がつく。

新中国建国70年記念作品。チェン・カイコー総合監督のもと、チェン監督含む7人の監督が、歴史的節目となる7つの出来事を選んでオムニバス映画としました。予算も潤沢で(たぶん)国を代表する監督がメガホンを取り、全土の国民がこぞって観に行ったはず。歴代8位の大ヒットです。
中国の戦後の節目となる出来事を中心にすえ、国を讃えた作品ですが、主人公は偉大な業績をあげた人物ではなく、それぞれの仕事を全うして生きる小市民たちです。つつましく送る日々の小さなエピソードを重ねて、中国という国の大きな歴史の流れを俯瞰することができました。この時に日本では何があったのか、自分が何をしていたのか振り返りました。(白)


中国礼賛の映画ながら、市井の人を主人公にしているところが憎いです。
Episode1:『前夜』では、北京の伝統的な四合院でスパイの捜査をする姿が上空から映し出されました。あの美しい四合院の並ぶ通りも、中国の目覚ましい近代化で今やわずかしか残されてないことに思いを馳せました。天安門広場での式典で、滞りなく国旗掲揚されるまでの、てんやわんやに、くすっと笑わせられましたが、その後の天安門広場での出来事を思うと複雑。
Episode2:『すれ違い』には泣かされました。国家のために恋人とも別れ秘密裏に核の開発に携わったあげく被爆・・・ 国家が偉業を成し遂げた号外に歓喜しますが、なんとも気の毒。
Episode3:『初恋』は、とっても可愛い物語。通りに椅子を並べてテレビを見る皆のためにアンテナを調整しなくてはならないけれど、引っ越してしまう女の子にどうしても会いたい男の子。通りではないけれど、テレビのある家に集まって皆で見たなんて時代が日本にもありましたね。
Episode4:『回帰』は、サイモン・ヤム(任達華)が出ているというだけでも嬉しい物語でしたが、1997年6月30日に香港にいた私にとって、格別の思いがありました。警備にあたっていた警官の方と言葉を交わした時に、中国回帰後の帽章をポケットから出して見せてくれて、0時きっかりにこれに替えるといわれたのです。まさに帽章を替える場面がありました。
Episode5:『Hello 北京』、グォ・ヨウ(葛優)が出てくるだけで笑ってしまいます。ほんとに名優!
Episode6:『流れ星』、内モンゴルの広大な地を舞台にした、盗みを繰り返す兄弟の物語。兄弟が改心することになる沙漠に落ちてくる流れ星の正体は・・・??
Episode7:『青い空』、抗日戦争勝利70周年の軍事パレード。優秀だからこそ裏にまわってもらったと言われても、晴れの舞台に出られないのはやっぱりつらいでしょう・・・ 
それぞれに味わい深い作品でした。(咲)



2019年/中国/カラー/シネスコ/155分/
(C)2019Huaxia Films
配給:wow cool entertainment
HP:www.wowcoolentertainment.com
★2020年10月30日(金)より東京・グランドシネマサンシャインにて1週間限定公開
10月31日(土)より大阪シネ・ヌーヴォ ほか全国順次公開。

posted by shiraishi at 13:11| Comment(0) | 中国 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする