台湾巨匠傑作選2020
『バナナパラダイス』は劇場初公開
9月19日(土)~11月13日(金)新宿K's cinemaで開催
公式HP
4月開催が延期となっていた「台湾巨匠傑作選2020」が、新宿K's cinemaで9月19日(土)~11月13日(金)に開催されます。
今年5回目を迎え、台湾ニューシネマの原点から最近作まで台湾映画の魅力を伝える企画、今回は、本邦劇場初公開となる台湾映画界の王童(ワン・トン)監督の『バナナパラダイス』の他、 楊德昌(エドワード・ヤン)監督、蔡明亮(ツァイ・ミンリャン)監督、陳玉勲(チェン・ユーシュン)監督、林書宇(トム・リン)監督、魏徳聖(ウェイ・ダーション)監督の作品他、人気の台湾青春映画、アニメ、ドキュメンタリーからホラー、サスペンスなど33作品を連続上映。
また、台湾文化センターで「台湾映画の"いま"」という台湾映画上映&トークイベントで定期的に未公開作を紹介している江口洋子さん(台湾映画コーディネーター)セレクトによる「江口洋子スペシャルセレクト」も6作品が上映されます。このイベントは毎回、申し込み開始後、即満杯になってしまうほど人気のイベントです。今年はオンラインで開催されています。ここで見逃した方はぜひこの上映会で観てください。
○台湾巨匠傑作選2020開催記念特別公開
ワン・トン監督『バナナパラダイス』デジタルリマスター版
○江口洋子スペシャルセレクト
『停車』(チョン・モンホン監督)
『盜命師』(リー・チーユエン監督)
リー・チーユエン監督&ジエン・リーフェンプロデューサーインタビュー記事はこちら
『古代ロボットの秘密』(ホアン・チャンホア監督)
トークイベントレポートはこちら
『血観音』(ヤン・ヤーチェ監督)
『天龍一座がゆく』(ワン・ユーリン監督)
『河豚』(リー・チーユエン監督)
○エドワード・ヤン監督作品
『台北ストーリー』
『牯嶺街(クーリンチェ)少年殺人事件』
『ヤンヤン 夏の想い出』
○ツァイ・ミンリャン監督作品
『青春神話』
『愛情萬歳』
『河』
『郊遊 ピクニック』
○チェン・ユーシュン監督作品
『熱帯魚』
チェン・ユーシュン監督インタビュー記事はこちら
『ラブゴーゴー』
チェン・ユーシュン監督インタビュー記事はこちら
『祝宴!シェフ』
チェン・ユーシュン監督インタビュー記事はこちら
○トム・リン監督作品
『星空』
『百日告別』
○ウェイ・ダーション監督
『52Hzのラヴソング』
ウェイ・ダーション監督インタビュー記事はこちら
○台湾ニューシネマとは何か
『台湾新電影(ニューシネマ)時代」』(シエ・チンリン監督)
○アイデンティを求めて
『スーパーシチズン 超級大国民』(ワン・レン監督)
『幸福路のチー』(ソン・シンイン監督)
『父の初七日』(ワン・ユーリン監督、エッセイ・リウ監督)
『天空からの招待状』(チー・ポーリン監督)
『KANO 1931海の向こうの甲子園』(マー・ジーシアン監督)
ウェイ・ダーションプロデューサー&マー・ジーシアン監督記者会見記事はこちら
○現代台北模様
『藍色夏恋』(イー・ツーイェン監督)
『台北暮色』(ホアン・シー監督)
『あなたを、想う。』(シルビア・チャン監督)
『若葉のころ』(ジョウ・グータイ監督)
○ミステリー&ホラー
『共犯』(チャン・ロンジー監督)
『怪怪怪怪物!』(ギデンズ・コー監督)
『目撃者 闇の中の瞳』(チェン・ウェイハオ監督)
2020年09月27日
生きちゃった
監督・脚本・制作:石井裕也
撮影:加藤哲宏
音楽:河野丈洋
主題歌:「夏の花」(作詞・作曲:河野丈洋/歌唱:仲野太賀、若葉竜也)
出演:仲野太賀(山田厚久)、大島優子(山田奈津美)、パク・ジョンボム(山田透)、毎熊克哉(洋介)、若葉竜也(武田)、毎熊克哉(洋介)、太田結乃(山田鈴)
高校時代から仲のよい山田厚久と奈津美、そして武田。厚久と奈津美は結婚し、娘の鈴は5歳になった。以前と変わりなく過ごしていると思っていたある日、早く帰宅した厚久は奈津美と他の男の情事を観てしまう。厚久は呆然とするばかりで、奈津美に怒ることも悲しむこともできずにいた。奈津美はそんな厚久に、これからのことを提案する。
上海国際映画祭のプロジェクト「原点に帰り、至上の愛を描く」に沿って作られた1本。3日間で書き上げたというオリジナル脚本の本気と熱は、そのまま俳優たちに宿ったのかと思うほど。みな剥き出しでぶつかり合った作品として立ち上がっています。厚久と武田は同じ女性を愛した親友同士。黄金の3人の構図ですが、厚久に不満を募らせる奈津美は、他の男の元へ走ってしまいます。これまで見たこともない大島さんがいい! 涙も鼻水も垂れ流しの太賀くんと竜也くんがいい!
大事なことほど声にならないよね厚久くん。言いにくいものなのよ、武田くん。
厚久の兄を演じたのは韓国で俳優、監督を務めるパク・ジョンボム、『ムサン日記~白い犬』『生きる』が東京FILMEXで上映されてゲストで登壇したのを覚えています。本作ではほとんど台詞がないにも関わらず存在感があり、この兄のパートと弟の厚久のパートの2本立てを観たような気になりました。
本作は『All the Things We Never Said』という英語タイトルで、中国及び香港、台湾、マカオなど、世界各国の劇場で公開予定。(白)
2020年/日本/カラー/91分/R-15
配給:配給:フィルムランド
(C)B2B, A LOVE SUPREME & COPYRIGHT @HEAVEN PICTURES All Rights Reserved
http://ikichatta.com
★2020年10月3日(土)ユーロスペースにて公開
IMAGINE イマジン(原題:Imagine)
監督・編集・出演:ジョン・レノン オノ・ヨーコ
ジョン・レノンが1971年にリリースしたロック史を代表する名盤「イマジン」。本作はその収録曲を映画的にコラージュした映像集で、ジョンとヨーコが監督、制作した。アルバム収録曲それぞれに映像を作るという、初のビデオ・アルバムとしても有名な作品である。
今回の公開/再リリースにあたり、映像はオリジナル作品の16mmネガ・フィルムから手作業でフレームごとにクリーニングし復元。
そしてサウンドは3度のグラミー賞を受賞し、ビートルズのカタログ作品のリマスタリングで手腕をふるったポール・ヒックスが7.1/5.1サラウンドとドルビーアトモスにリミックスした。
ジョン・レノン(1940年10月9日 – 1980年12月8日)。自宅前で凶弾に倒れた彼はまだ40歳でした。世界中をかけめぐったこのニュースをビートルズファンは決して忘れません。そんな運命を知る由もなかった1972年のジョンとヨーコ夫妻のビデオ・アルバムが日本の劇場で初公開されます。
約半世紀前の仲睦まじい二人のようすに、思わず頬が緩みます。ジョンにはヨーコさんの感性が響いてかけがえのないミューズとなったのでしょう。充実して幸せだった日々を今こうして観られて良かったです…。
表題曲の「イマジン」はじめ十数曲のジョンの歌が流れ、ときに高く可愛い声のヨーコさんの歌も入ります。劇場上映版のみドルビーアトモスサウンド&15分の特典映像を加えた特別バージョン!劇場の設備によって違いますので、あらかじめお確かめください。前夜祭先行上映もあります。(白)
冒頭、霧の中を行くジョンとヨーコの後ろ姿。森の中に佇む白亜の大邸宅。部屋の片隅にあるグランドピアノで弾き語りするジョン。いくつもある窓を開け終えたヨーコが傍らに座ります。二人が暮らしたティッテンハースト・パークには湖もあって、ボートで渡り、畔の部屋でチェスをする二人。スカートを少し持ち上げ挑発的に脚を見せるヨーコ。ジョンはヨーコが差し出すチェスの真っ白な駒を口に。強烈な個性のヨーコと出会って、心が放たれたようなジョン。
10代の頃、ビートルズの新曲が出るのを楽しみにしながら育った私にとって、ビートルズの解散はとてもショックでした。ジョン・レノンと日本女性オノ・ヨーコとの結婚にも驚かされました。解散の一因にオノ・ヨーコの存在があったとの話も聞こえてきましたが、まだそんなことには関心もない私でした。
「イマジン」の曲が発表された時、ビートルズは解散したけれどビートルズらしい楽曲は健在とほっとした記憶があります。本作を観て、「イマジン」のアルバムを生み出したのが、ジョンとヨーコの深い愛だったのだと感じました。
ジョン・レノンあってのオノ・ヨーコだと思っていたけれど、オノ・ヨーコあってのジョン・レノンだということに思いが至りました。
ヨーコさんの様々なホットパンツ姿にクラクラさせられましたが、あの個性を丸ごと受け入れたジョン・レノン、凄いなと思いました。(咲)
2018年(オリジナル1972年)/イギリス/カラー/86分
配給:EASTWORLD ENTERTAINMENT、カルチャヴィル
(C)2018 YOKO ONO LENNON All Rights Reserved
https://www.universal-music.co.jp/johnlennon-imaginefilm/
★2020年10月9日(金)より生誕80周年記念上映
TOHOシネマズ日比谷ほか全国順次公開
★★全国拡大公開が決まりました!★★
https://eigakan.org/theaterpage/schedule.php?t=imagine
ライフ・イズ・カラフル! 未来をデザインする男 ピエール・カルダン( 英題:HOUSE OF CARDIN )
監督・プロデューサー:P・デヴィッド・エバソール、トッド・ヒューズ
プロデューサー:コリ・コッポラ
撮影監督:ローレント・キング
音楽:ジェームズ・ピーター・モファット
出演:ピエール・カルダン、ジャン=ポール・ゴルチエ、シャロン・ストーン、ナオミ・キャンベル、森英恵、高田賢三、桂由美
ピエール・カルダンはファシズムが台頭する祖国イタリアを出て、フランスに移り住む。パリでファッションの道に進んだ彼は、オートクチュール(高級仕立服)から抜け出て、業界で初めてプレタポルテ(既製服)に本格参入する。アバンギャルドなスタイルを得意とするカルダンは、宇宙時代の感覚を表現したコスモコール・ルックで一躍有名になる。
”カルダンはバカンスをとらない”という話を聞いたことがある。バカンスのために働く印象あるの仏国に於いて、本当にそんな人がいるのか?と俄かには信じ難かった。が、本作を観て都市伝説ではないことが明白に。とにかくバイタリティ溢れる現役の98歳なのだ。インタビューを受ける様は赫灼としており、記憶力もしっかり!
多国籍・グループ企業化しつつあるファッション業界で、揺るぎない単独のブランド帝国を築き上げている。仏国に根を下ろしたパリジャンと思っていたカルダンが、イタリアの貧しい農家に生まれた出自は意外だった。ファシズムが台頭する祖国から仏国へ逃れる際、列車上の遠ざかる風景を昨日のことのように鮮明に語る。移民はパリでゼロからスタートしなければならなかった。バカンスをとらない働き詰めの習慣はこの時に培われたのかもしれない。
第二次世界大戦終結戦の1945年、23歳のカルダンは当時の人気メゾンで『美女と野獣』の衣装を依頼にきたジャン・コクトー監督と出会う。
「あの頃のアート界は狭くてね。直ぐに色々な芸術家と知り合えた。コクトー、ピカソ、ジャン・マレー…。みんな僕と寝たがったものだよ(笑)」
若きカルダンの映像を見ると、モテモテの美男子だったことは想像に難くない。こうした逸話からも、カルダンはゲイだと思い込んでいたため、ジャンヌ・モローとの5年間の恋物語は、美男美女のツーショットが映るに連れ、ロマンチックな気分にさせてくれた。2人が出会った頃、カルダンには公私に渡る男性パートナーがいたが、モローの熱烈アプローチで破局したそう。情熱的な容姿は役の上だけではなかったのだ。
『天使の入江』、『黄色いロールス・ロイス』、『ビバ!マリア』など立て続けにモローの衣装を手掛けたカルダン。一連の作品の中で幼心にも強烈な思い出があるのは、フランソワ・トリュフォー監督作『黒衣の花嫁』だ。婚約者を殺された花嫁が5人の男たちを次々に殺していく復讐劇。登場する度にプリーツやリボンなどメリハリある凝ったディテールの衣装を着こなすモローに見惚れたものである。
ファッションだけでなく、芸術文化全般を大衆化したカルダン。情熱を注いだ劇場運営では、名優ジェラール・ドパルデューを見出していた。また、松本弘子ら、いち早く白人以外のモデルを起用。当時のスーパーモデルとして最先端モードを着こなしていた松本弘子の映像が眩しい。逸話を紹介し出すと止まらなくなる本作。カルダンの「カラフルな人生」を丸わかりできるドキュメンタリーだ。(幸)
2019年製作/101分/G/アメリカ・フランス合作/ビスタサイズ/5.1ch
配給:アルバトロス・フィルム
後援:在日フランス大使館、アンスティチュ・フランセ日本
提供:ニューセレクト
(C) House of Cardin - The Ebersole Hughes Company
公式サイト:https://colorful-cardin.com/
★2020年10月2日(金)より、Bunkamuraル・シネマ、ヒューマントラストシネマ有楽町、新宿武蔵野館ほか全国公開