2020年08月11日

ブックスマート 卒業前夜のパーティーデビュー ( 原題:BOOKSMART )

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監督:オリヴィア・ワイルド
製作総指揮:ウィル・フェレル、アダム・マッケイ
出演:ビーニー・フェルドスタイン、ケイトリン・デヴァー、ジェシカ・ウィリアムズ、リサ・クドロー、ウィル・フォーテ、ジェイソン・サダイキス、ビリー・ロード、スカイラー・ギソンド

親友同士で成績優秀な女子高生エイミー(ケイトリン・デヴァー)とモリー(ビーニー・フェルドスタイン)は、卒業式前日、遊び放題だったクラスメートがレベルの高い進路を決めていることを知って衝撃を受ける。二人は勉強一筋で青春を犠牲にしてきたことを後悔し、残り少ない学園生活を謳歌(おうか)すべく卒業パーティーに繰り出すことを決意。そんな二人の波乱の一夜が幕を開ける。

本作の試写や資料を何度目にしても、あの英国美人女優オリビア・ワイルドの容姿、端正で知的な演技とが全く結び付かない。下ネタ満載、女性器の名称を連呼してしまうような女子高生物語をなぜを長編監督デビュー作に選んだのか…。しかも、製作総指揮はあの『俺たち』シリーズのウィル・フェレルとアダム・マッケイなのだ。

が、本作は安手のおバカコメディではない。むしろ傑作といえる。お下品なお笑いネタを詰め込みながら、青春の傷みや矛盾、屈折、煌めき、惜別、哀切さなどを余すところなく丁寧に描いてみせる。
技法的にも、適切な場面でハイスピードカメラを使用し、緩急自在の演出力を披露。車、パーティ、お酒、ドラッグなどハイスクールものに有りがちな細部のディテールにも手を抜かない。恋愛模様はLGBT関連が中心の今日性を有す。ミュージカル風演出への転調も不自然さはない。初監督作としては及第点以上なのだ。世代や国境を越えた青春バディものとして普遍性を持っている。

俳優ジョナ・ヒルの妹(そっくり!)だというビーニー・フェルドスタインとケイトリン・デバーの”ライジング組”が、ファンキーなVOLVOに乗り込む場面から快調そのもの。日本では無名の若手俳優が大挙出演すると通常は見分けがつかないが、一瞬で分かるスクールカーストの描写力により、スムーズに物語へ入っていける。校内からオープンテラスへ出て行く際のワンカット長回しにご注目!主役を軸に映しながら、自然な生徒(エキストラ)の動きに目を見張らされる。
…とまぁ、分析的に紹介してみたけれど、本作は何も考えずに笑えて好感の持てる”女子版ジャド・アパトー”として観るのが一番楽しいはずだ。(幸)


タイトルの「Booksmart(=ブックスマート)」とは本を読んで知識を得た、頭でっかちな人のこと。真面目に勉強し、優秀な成績を納め、有名大学への進学を決めた主人公2人はまさにブックスマート。これまでのやってこなかった分を一気に取り戻すべく、校内一の人気者が主催する卒業パーティーに繰り出そうとすると聞くと、「なんだ、アメリカの青春映画特有の乱痴気騒ぎの映画ね」と思うかもしれません。実は私もそう思って見始めましたが、この作品はちょっと、いえ大きく違うんです。卒業パーティーにたどり着くまでに一波乱も二波乱も、いや三波乱(こんな表現ないですけれどね)もあって、そのドタバタが見ていて楽しい。本作は失敗をしつつも経験値を上げていく2人の成長譚なのです。
そして、同級生の遊んでいる面しか見てこなかった主人公2人だけでなく、エンジョイ組にもみんなの思い込みに振り回されている人たちがいます。人は懐を割って話してみないと分からないもの。思い込みを捨てて、人と接してみれば、出会いはたくさん待っているのかもしれません。(堀)


2019年/アメリカ/英語/102分/スコープ/カラー/5.1ch/
提供 ・配給:ロングライド
(C)2019 ANNAPURNA PICTURES, LLC. All Rights Reserved.
公式HP:https://longride.jp/booksmart/
★8月21日(金)より、ヒューマントラストシネマ有楽町、新宿武蔵野館ほかにて全国順次公開★
posted by yukie at 02:36| Comment(0) | アメリカ | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする