2020年08月02日

もったいないキッチン

2020年8月8日 シネスイッチ銀座、アップリンク吉祥寺ほか全国順次公開
その他の劇場情報

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©UNITED PEOPLE

監督:ダービド・グロス
脚本:ダービド・グロス
プロデューサー:関根健次
日本語吹き替え版ナレーション:斎藤工
出演
ダービド・グロス
塚本ニキ
井出留美

2020年/95分/日本/日本語・英語・ドイツ語
製作・配給:ユナイテッドピープル

捨てられてしまう食材を救いに日本全国へ!
0円食材が美味しい料理に大変身。目からウロコのロードムービー


日本が大切にしてきた「もったいない」精神に魅せられオーストリアからやってきた映画監督のダーヴィド・グロスが、日本各地を旅して食品ロス解決の糸口を探すドキュメンタリー映画。
廃棄食材などを美味しい料理に変身させる『もったいないキッチン』には、今こそ必要なアイデアが詰まっています。また外出自粛、イベント中止、学校臨時休校などによって新たな食品ロスも発生しており、この映画がお役に立ちそうです。

私がいつも楽しみに見ている「ザ!鉄腕!DASH!!」(日本テレビ)というTV番組の中に「0円食堂」というのがある。TOKIOのメンバー(時にはゲストも)が農家や生産者を車で尋ねてまわり、捨ててしまう食材をいただいてそれを使って料理し、材料をいただいた人たちと一緒に食べるというもので、意外な食材などもあって面白い。2013年から続く企画でいつも楽しみにしている。このところはコロナの影響もあり旅に出られないので「0円食堂」ではなく、その食材を提供してくれた人たちに連絡を取り、食材を買い取って料理を作る企画「DASH人脈食堂」もスタートした。
これと同じような形で、捨てる食材救出の旅に出たダーヴィド・グロス監督たち。前作の『0円キッチン』(2015)は見ていないけど、こちらはヨーロッパを回ったものとのこと。そして今回の日本での食材救出の旅と検証。無駄にしている食材がなんと多いことか、改めて突きつけられる。それとは逆に日常生活で食費にお金をかけられない人もたくさんいる。こんな試みがあちこちで行われ、必要な人たちへの橋渡しがうまく機能できれば、もう少し無駄になる食材が減っていくことだろう(暁)。


日本の食品ロスは信じられないほど多いらしい。大型スーパーのきれいに並べられた棚には空きがありません。生鮮食品が隙間なくあると、売れ残ったものはどうなるの?とつい思います。馴染みの鮮魚店は閉店までに店主の声かけで、品物が次々とお客さんの手に渡り、敷かれた氷ばかりが見えました。これが理想的です。
コンビニのお弁当が経過時間に応じて値下げされるようになったのは去年秋くらいから。それまでは処分されていたんでしょう。もったいない!我が家も例外でなく、冷蔵庫でゆっくりダメにしてしまう食品があります。入れたことで安心してしまい、きちんと使い切っていませんでした。もったない!一時コンポストに凝ってベランダで土づくりをしたことがありました。虫を育てたようなもので、中止。多々反省しつつ「もったいない!」を続けていきます。(白)

スーパーやコンビニなどのお店から廃棄された大量の食品。いつでも新鮮な食べ物を陳列するための必要悪だという。監督はもったいないとばかりに、廃棄物の山から取り出したものをまだ食べられると口にする。確かにまだ食べられそうなものばかり。でも、万が一、それを食べたことで体調を崩したら業者の責任問題だ。どこかで線を引かなければいけない。
しかし、そもそもの設定が間違っているのではないだろうか。新鮮で美味しいものが常に陳列されていないといけないのだろうか。毎日、売り切れるだけの数を並べて、売り切れたらおしまい。買えなかったら諦める。これが昔は当たり前だったのに。冒頭からそんなことを思い出させてくれる。
しかし、廃棄物は食べられる監督だが福島の長ネギは手を出さない。まだ放射能が不安だという。検査機関に持ち込み、線量を測り、基準を下回っていると分かっても不安そうだ。どこを通ってきたものかがわからない廃棄物には手を出せない私だが、福島の人が必死な思いで作った長ネギは食べられる。もちろん、どちらが正しいというのではない。本作はさまざまな食の試みを提示することで、みんなが食に対して考えるきっかけを与えてくれるのだ。(堀)


公式HP
配給協力・宣伝:クレストインターナショナル/
提供:クックパッド株式会社

予告編
斎藤工吹き替え版予告編

参考記事
映画『もったいないキッチン』緊急オンライン先行公開!
http://cinejour2019ikoufilm.seesaa.net/article/475223960.html
posted by akemi at 21:16| Comment(0) | 日本 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

赤い闇 スターリンの冷たい大地で  原題:Mr.Jones

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監督:アグニェシュカ・ホランド
出演:ジェームズ・ノートン、ヴァネッサ・カービー、ピーター・サースガード

1933年、英国。ガレス・ジョーンズ(ジェームズ・ノートン)は、20代の若さながら首相の外交顧問を務めていたが、国家予算削減で解雇される。兼ねてよりジョーンズは、世界中に恐慌の嵐が吹く中、ソ連だけが経済的に繁栄していることに疑問を抱いていた。スターリンの資金源を明かしたいと、フリーランスの記者としてモスクワに赴く。ヒトラーに直接取材した経験のあるジョーンズは、スターリンにも直接取材したいと目論んでいた。モスクワ入りし、ニューヨーク・タイムズのモスクワ支局長ウォルター・デュランティ(ピーター・サースガード)にコンタクトを取る。彼の口から、かつてヒトラー取材の橋渡しをしてくれた友人の記者ポールが強盗に射殺されたと聞かされる。ニューヨーク・タイムズの女性記者エイダ(ヴァネッサ・カービー)は、ポールがスターリンの金脈であるウクライナに行こうとして撃たれたと言って、ポールの遺した訪問先メモをジョーンズに手渡す。真実を追究する!と決意し、ジョーンズは列車でウクライナのスターリノに向かう。そこは母がかつて英語の家庭教師として暮らしていた町でもあった・・・

シャンデリアが輝く華やかなモスクワのホテルから一転、モノクロで描かれる凍てつくウクライナの大地。静寂の中から子どもたちの悲しげな歌が聴こえてきます。
♪ 飢えと寒さが家の中を満たしている。隣人は正気を失い、ついに自分の子供を食べた・・・♪
肥沃なはずのウクライナ。穀物はすべて中央に送られ、1932年から1933年にかけて300万人以上が餓死したと推定され、今ではこれは「ホロドモール」(ウクライナ語で「飢饉による殺害」)と呼ばれています。
ジョーンズはこの実態を明かす記事を発表しますが、声明を撤回するよう命じられます。さらに、ニューヨーク・タイムズが、ジョーンズの発言は真実でないと報道します。
デュランティは、ソ連に関する一連の報道でピューリッツァー賞を1932年に受賞した人物で、ウクライナの穀物が金脈だと知りながら黙殺。結果、1933年11月の米ソ国交樹立の立役者となっています。
独裁国家ソ連が、嘘っぱちな誇大報道をする一方で、自由だと思われているイギリスやアメリカでも、政治的圧力で不都合な真実を抹殺していることを監督は見事に描いています。現在にも通じる、メディアの在り方に一石を投じた作品といえます。

監督は、これまでの作品でもリアリティを大事にされてきましたが、言語も、本作では英語、ロシア語、ウクライナ語、ウェールズ語とそれぞれの場面で使い分けています。
本作では、特にウェールズ語にこだわったことに興味を持ちました。ジョーンズはウェールズ出身という縁で、ロイド・ジョージ首相の外交顧問でした。また、19世紀にウクライナのスターリノに製鉄所を作ったのがウェールズ人で、ジョーンズの母親はそこで英語の家庭教師をしていたという縁もありました。
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監督にオンラインでインタビューした折に、監督の思うウェールズ人気質などについてもお話を伺いました。インタビューの詳細は、こちらで!(咲)


『ソハの地下水道』2012年公開の折のホランド監督インタビューは、こちらで!

この作品と前後して『はりぼて』を観ていました。昨年話題をさらった『新聞記者』、『i ー新聞記者ドキュメントー』と合わせて、記者やメディアのあり方を思いました。ジョーンズが言います。「記者は崇高な仕事だ。誰の肩を持つこともせず、真実のみを追いかける」いつの時代もそうあってと願っています。(白)


2019年/ポーランド・ウクライナ・イギリス/英語・ウクライナ語・ロシア語・ウェールズ語/118分/カラー/シネマスコープ/5.1ch
字幕翻訳:安本煕生/字幕監修:沼野充義
©FILM PRODUKCJA – PARKHURST – KINOROB – JONES BOY FILM – KRAKOW FESTIVAL OFFICE – STUDIO PRODUKCYJNE ORKA – KINO ŚWIAT – SILESIA FILM INSTITUTE IN KATOWICE
配給:ハピネット
公式サイト:http://www.akaiyami.com/
★2020年8月14日(金)より新宿武蔵野館、YEBISU GARDEN CINEMAほか全国公開


posted by sakiko at 03:03| Comment(0) | ポーランド | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする