2020年06月13日
グッド・ボーイズ(原題:GOOD BOYS)
監督:ジーン・スタプニツキー
脚本:リー・アイゼンバーグ、ジーン・スタプニツキー
出演:ジェイコブ・トレンブレイ(マックス)、キース・L・ウィリアムズ(ルーカス)、ブレイディ・ヌーン(ソー)、モリー・ゴードン(ハンナ)、ミドリ・フランシス(リリー)、リル・レル・ハウリー(ルーカスの父)、スティーヴン・マーチャント(クロード)
マックス、ルーカス、ソーは小学6年生の親友3人組。同級生の女の子たちが開く”初キスパーティ”に招待されたマックス。気になるあの子も参加する。キスの経験がない3人はどうしていいかわからない。あの手この手でリサーチを開始すると、これまで知らなかった禁断の大人の世界が目の前に拡がった。さらなるリサーチを、とマックスの父親が大事にしているドローンを使ったために、とんでもない事態になる。さて、初キスまでたどり着けるのか?
12歳の少年3人が主人公ですが、大人向けのコメディ作品。男性諸氏は自分たちのあの頃を思い出して、爆笑必至です。その時期に身体をかけめぐるホルモン?リビドーの萌芽?が好奇心満タンの彼らに、おバカなこともやらせてしまうのです。アメリカではR指定になり、当時の3人は映画が観られなかったとか。NGワードは撮影の間だけ、と子役たちの保護者も目を光らせていたようです。
そんな彼らが、ヤバ目のグッズを前に何をするのか、劇場でご覧ください。好奇心はあっても知識のないソーお兄ちゃんに説明するのは、クールな妹。女の子のほうが早く大人になってしまうのはどこも一緒なんですね。ワハハハ笑いながら、男の子たちの純粋さと友情にほろりとします。ジェイコブ・トレンブレイくんに引けを取らない、いい子役さんたちを観て!(白)
マックス、ルーカス、ソーの“ビーンバッグ・ボーイズ”3人組は、6年生になって、もう子どもじゃない、自分たちはオトナの仲間入りと自負するのですが、まだまだお子ちゃま。悪ガキというより、やることなすこと、なんとも可愛くて健気。
マックスを演じたジェイコブ・トレンブレイ君は、2016年に『ルーム』が公開された折に来日。可愛い彼に会いたくて記者会見に駆け付けました。
『ルーム』来日記者会見報告(2016/4/3)
その時の彼は、母親役のブリー・ラーソンさんを男として守らなければという気概を見せてくれて、ずいぶんこまっしゃくれた少年と思ったのですが、『グッド・ボーイ』では、初キスに揺れるキュートな男の子モードが全開。ほんとに可愛いです。(咲)
クールに決めたいマックス、正しい行動をしたいルーカス、ミュージカルに出て歌を歌いたいソー。いつも一緒にいた幼友達の3人ですが、少しずつ、自分の求めるものと他の2人が求めるものとの両立が難しくなっていきます。一緒にいたいのに、一緒にいるとつらい。
自分を振り返ってみると、小学校時代の友だちとは中学、高校と成長するにつれて会う頻度が少なくなっていったことに気がつきます。悲しい別れがあったわけではないけれど、アイデンティティが確立していくにつれ、自然と疎遠になっていきました。そんな過渡期を迎えたマックスたちの決断に胸が熱くなります。
でも幼友達とは、たまに会うと時間が昔に一気に飛んで、昔話に盛り上がります。マックスたちもきっとそんな関係に慣れるに違いありません。(堀)
2019年/アメリカ/カラー/90分/PG12
配給:パルコ
https://goodboys.jp/
★2020年6月12日(金)ロードショー
15年後のラブソング(原題:JULIET, NAKED)
監督:ジェシー・ペレッツ
原作:ニック・ホーンビィ
音楽:ネイサン・ラーソン
出演:ローズ・バーン(アニー・プラット)、イーサン・ホーク(タッカー・クロウ)、クリス・オダウド(ダンカン・トンプソン)、アジー・ロバートソン(ジャクソン)
イギリスの港町サンドクリフに住むアニーは30代半ば。博物館に勤めて恋人もいるが、最近モヤモヤが収まらない。長年付き合っている恋人のダンカンはタッカー・クロウというロックミュージシャンの大ファン。タッカーはとっくに表舞台から姿を消し、今や伝説と化している。ダンカンはタッカーに心酔、地下室に聖堂と称したコレクションルームを作り、同じような輩と盛り上がるファンサイトも運営している。日頃執着が過ぎるとイラついていたアニーはダンカンと口論した挙句、そのサイトにタッカーの曲を酷評したコメントをしてしまった。そして、タッカー本人からアニーへ1通のメールが届いた。
地方の街でアラフォーになりつつあるアニー。別れるでも結婚するでもない、腐れ縁の彼氏ダンカンと15年も付き合っています。彼が崇め奉っているミュージシャンの悪口を書いてしまう気持ちもわからないではありません。その本人からメールが届くという展開にびっくりです。やりとりをダンカンには言えないままのアニー。
原作のニック・ホーンビィは人気作家で、日本でも『アバウト・ア・ボーイ』などの翻訳本が出ています。映画化された作品も多く、どれもいい感じに仕上がっています。
いつのまにかこの年になっちゃった3人、それぞれが良い味です。アニーを『ピーター・ラビット』のローズ・バーン。華々しいというよりマニア受けしていたタッカーを、イーサン・ホーク。タッカーはわけあって舞台から降りてしまい、今や決まった仕事もなくアメリカの片田舎で元妻の家の”ガレージ”で居候というていたらく。ぐだぐだなイーサン・ホークもなんだか憎めず、面倒見てやりたくなってしまいます(映画の中ならね)。今回も歌が聞けます。
タッカーおたくなダンカンはクリス・オダウド。この人を見ると渋川清彦さんが浮かびます。おたくっぷりが痛いやらほほえましいやら。
そんな二人の間でアラフォー目前のアニーの人生は変わるのか?大人になれない男としっかり者の女、というのはよくある組み合わせですが、このアニーちょっと気づくの遅すぎ。自由で辛辣な妹の言葉に賛成してしまいます。ゆるめのラブコメ好きな方どうぞ~。(白)
原作はニック・ホーンヴィ。ほかにも映画化された作品があり、コリン・ファース主演の『ぼくのプレミアライフ フィーバーピッチ』(1997)やヒュー・グラント主演の『アバウト・ア・ボーイ』といったように、大人になり切れない男性を主人公にしたものが多いです。今回もイーサン・ホークが演じたタッカーは伝説のロッカーですが、大人になり切れていない。イーサン・ホークが演じるから、よけいにそう見えてしまうのかも。まさに適役。イーサン・ホークも「ニック・ホーンヴィの映画化作品をずっとやってみたかった」と言っているくらいなので、相性はいいのでしょう。本作でも、男としてはダメダメなのだが、母性本能をくすぐられて、なぜか許してしまいたくなってしまいます。いつものイーサン・ホークを堪能したい人にはうってつけの作品です。(堀)
2018年/アメリカ、イギリス/カラー/シネスコ/97分
配給:アルバトロス・フィルム
(C)2018 LAMF JN, Ltd. All rights reserved.
https://15-lovesong.com/
★2020年6月12日(金)新宿ピカデリー、ヒューマントラストシネマ有楽町ほか全国公開