2020年02月16日

グッドバイ 嘘からはじまる人生喜劇

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監督:成島出
原作:ケラリーノ・サンドロヴィッチ(太宰治「グッド・バイ」より)
脚本:奥寺佐渡子
撮影:相馬大輔
音楽:安川午朗
出演:大泉洋(田島周二)、小池栄子(永井キヌ子)、水川あさみ(大櫛加代)、橋本愛(水原ケイ子)、緒川たまき(青木保子)、木村多江(田島静江)、濱田岳(清川信彦)、松重豊(漆山連行)

日本が敗戦から立ち上がりつつあったころ。文芸誌編集長の田島周二は、妻子がありながらその優柔不断さと憎めない性格から女にはめっぽうモテる。気づけ金も時間も削られる愛人があちらこちらに。妻に詰問されないうちに、愛人たちと別れねばとようやく心を決めた。小説家の漆山の勧めにのり、彼女たちと手を切る計画を立てる。田島と違って押しが強く、金にがめつい担ぎ屋のキヌ子に「嘘(にせ)の妻」になってもらうことにした。大食いで口の悪いキヌ子は、実は磨けば光るイイ女だったのだ!これで誰も文句なく引き下がるに違いない。田島とキヌ子の愛人訪問が始まった。

原作の原作「グッド・バイ」を読んでいません。ダメ男なのになぜかモテるという太宰治がまず苦手。この作品の田島も太宰の分身のようですが、コメディタッチなので面白く観ました。キヌ子の小池栄子さんがまず魅力たっぷり、出てくる愛人役の女優陣も色とりどりで、なぜこの人たちが田島に惹かれるのだ?と疑問頻出です(大泉さんごめんなさい)。
愛人たちと対峙するキヌ子がかっこいいのに引きかえ、田島ときたら未練たらたら。ハリセンがあったら叩きたいくらいです。脇をささえる濱田岳さん松重豊さんも女優さんたちにしてやられているし、男性は居心地よくないでしょうが、女性は結構溜飲が下がります。女が強いほうが世界は平和。(白)


2019年/日本/カラー/シネスコ/106分
配給:キノフィルムズ
(C)2019「グッドバイ」フィルムパートナーズ
http://good-bye-movie.jp/
★2020年2月14日(金)ロードショー
posted by shiraishi at 20:37| Comment(0) | 日本 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

プレーム兄貴、王になる  原題:Prem Ratan Dhan Payo

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監督:スーラジ・バルジャーティヤ
出演:サルマン・カーン(『バジュランギおじさんと、小さな迷子』)、ソーナム・カプール(『パッドマン 5億人の女性を救った男』)、二―ル・二ティン・ムケ―シュ、ディーパク・ドブリヤル(『ヒンディー・ミディアム』)、アヌパム・ケール(『ホテル・ムンバイ』)

プリータムプルの町の貧乏役者プレーム(サルマン・カーン)は正義感が強くて、面倒見がよく、皆からアニキと慕われている。被災者に手を差しのべるマイティリー王女(ソーナム・カプール)の姿に一目惚れ。王女が、婚約者のプリータムプル王国のヴィジャイ王子(サルマン・カーン:二役)の王位継承式にやってくると聞きつけ、集めた募金を直接渡したいと、プレームは、相棒のカンハイヤ(ディーパク・ドブリヤル)と王宮のある街をめざす。プレームは街中で王子の家来に声をかけられる。実は、プレームは王子ヴィジャイと瓜二つ。王子が継承者争いで命を狙われ意識不明で、4日後に迫る王位継承式に替え玉として出てほしいというのだ。王子に成りすましたプレームは憧れの王女に会うが、王女は王子の傲慢さに心を閉ざしていた。異母兄弟たちとの関係も悪く、二人の妹たちは口も聞いてくれない。しかも、弟のアジャイ(二―ル・二ティン・ムケ―シュ)は、配下のチラグ(アーマーン・コーリ)に指示して王子の命を狙う張本人だった。疑心渦巻く王室の内情を知ったプレームは、人々の心を溶かそうと人肌脱ぐ・・・

勧善懲悪に、歌って踊っての場面満載の、久しぶりにボリウッドの王道を行く作品。このところ、スタイリッシュだったり、社会派だったりと、いわゆるマサラ・ムービーとは違ったテイストのインド映画の公開が続いて、あえてそういう映画を選んで公開しているのかと思っていました。実は、ボリウッド自体、オーソドックスな作りの映画が減っているらしいです。私自身、歌って踊っての場面はあまり好きじゃなかったのですが、やっぱりこれぞボリウッド!と楽しみました。

原題『Prem Ratan Dhan Payo』は、「愛という宝石の富を手に入れた」という意味。スーラジ・バルジャーティヤ監督の1989年の初監督作品『Maine Pyar Kiya』で、プレームという役名で主役デビューしたサルマン・カーン。その後、スーラジ監督の『Hum Aapke Hain Koun...』(1994年)、『Hum Saath-Saath Hain: We Stand United』(1999年)でも、サルマンが演じた主役の名前はプレーム。16年ぶりに二人がタッグを組んだ本作、インド公開の折は、「プレームが帰ってきた」がキャッチコピーだったそうです。プレームは愛という意味。本作では、家族のいないプレームが、家族なのに愛のない王家の人々が愛を取り戻すことに一役買います。

本作で目を奪われるのが、豪華な鏡の宮殿。英領インド時代に独立を認められていた数多くの藩王国の宮殿を撮影に使ったのではなく、この映画のために設計に2年かけ、300人のスタッフが24時間体制で90日間で作ったもの。しかも、同じ宮殿を3つ! 1000万枚以上の鏡を使ったそうです。
このほか、ラジャスターンの世界遺産クンバルガル砦や、マハラジャの子孫から借りた超高級クラシックカーを利用した場面などもみどころです。英領インド時代の藩王国の王様であるマハラジャ(ヒンドゥー)やナワーブ(イスラーム)の称号は、1971年に廃止されましたが、本作で描かれるような王位継承を今も行う「王国」もあるそうです。血の争いにならないことを願うばかりです。(咲)

2015年/インド/ヒンディー語/シネスコ/5.1ch/164分
配給:SPACEBOX
公式サイト:https://prem-aniki.jp/
★2020年2月21日(金)全国順次ロードショー




posted by sakiko at 17:14| Comment(0) | インド | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

ソン・ランの響き(原題:Song Lang)

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監督・脚本:レオン・レ
プロデューサー:ゴ・タイン・バン
出演:リエン・ビン・ファット(ユン)、アイザック(リン・フン)、スアン・ヒエップ

80年代のサイゴン(現・ホーチミン市)。高利貸しのもとで働く取り立て屋のユンは、返済が遅れた者には容赦がなく「雷のユン兄貴」と一目置かれていた。カイルオン(大衆歌舞劇)の劇場に行き、払えないならと衣裳にガソリンをかけていたところ、花形役者リン・フンが止めに入る。借金のかたにと腕時計を差し出すが、ユンは受け取らなかった。
翌日劇場に行ったユンはリン・フンの舞台にすっかり魅せられていた。たまたま食堂で酔客にからまれていたリン・フンを助け、昏倒した彼を自宅に連れ帰る。舞台に穴をあけた上、カギを落として帰れないリン・フンはしかたなくユンの部屋に泊まることになってしまった。ゲームに興じ、屋台で食事をするうち、2人は自分の生い立ちを打ち明けあう。ユンの母はカイルオンの女優、父は伴奏者だった。父の残した楽器、ソン・ランと月琴を大切に持っている。ユンの父の書き残した詩を即興でリン・フンが歌い、ユンが伴奏する。その腕前にカイルオンの劇団に入るようにとリン・フンは薦める。

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違うタイプのハンサムな二人が主演して、歌舞劇カイルオンを背景に「ボーイ・ミーツ・ボーイ」ストーリーが描かれます。ユン役のリエン・ビン・ファットはバラエティ番組のMCとして活躍、これが映画初出演。本作はTIFF2018の「アジアの未来」部門で上映され、リエンは新人俳優に贈られるジェムストーン賞を受賞しました。
リン・フン役のアイザックはダンス・ボーカルグループ(365daband)のリーダーだった人気アイドル。カイルオンの歌唱も踊りも特訓。ベトナム映画祭2018で上映された『フェアリー・オブ・キングダム』では王子役で主演しています。王子様顔ですね。
カイルオンは「改良」のことで、古臭い歌舞劇を改良してもっと観てもらおうと作られて100年ほどになるのだそうです。昔から知られた演目や国内外のものを取り込んだ大衆歌舞劇で南部で盛んになったもの。日本の大衆演劇と共通点があるのではないかしら。
映画の中で演じられる「ミー・チャウとチャン・トゥイー」は、敵対する国の姫と王子の悲恋物語で、まるでロミオとジュリエットです。政略結婚させられた二人ですが、互いに愛し合い親の説得を試みますが、父親たちの欲から引き裂かれてしまいます。この役で情が足りないと言われていたリン・フンがユンに会った後、変わったと褒められます。腐女子のみなさま、萌えますよね。舞台裏のようすなども面白いです。
タイトルの「ソン・ラン」は、月琴を弾く足元で拍子やリズムをとるために使われる楽器。足で踏むカスタネットのような打楽器。ポスターの「響き」のきの字の下にあるのがそうです。作中でも冒頭でユンが手に持っているところが映りますのでよく見てね。(白)


2018年の東京国際映画祭で初めて観た時、ベトナムにもこういう歌舞劇カイルオンというのがあるのだと知った。中華圏にも同じような形態(服装とか使う道具など)の歌舞劇があるから影響はあるのかも。カイルオンの家に育ったユンは、父に反発して家を出て取り立て屋をしていたけど、月琴とソン・ランは持って出ていたので、やはり家業に未練はあったのかも。ユンとリンの二人は最低の出会いをしてしまったけど、通じるものがあって、理解し合えたということなのでしょう。二人が即興で演じるシーンがそれを物語っていた。この映画を観た時、月琴のほうに目が行ってしまって、それがソン・ランだとばかり思っていたら、足元のリズム楽器がソン・ランだそう。歌舞劇の開始を告げる大事な役目をするという。
どこの国でも、伝統的な芸術は、新しい文化に押されてすたれていくものも多い。ベトナムでもそういう傾向があったらしいが、この映画のヒットでカイルオンに興味を持つ若い人も多くなったという。この映画のプロデューサーは『サイゴン・クチュール』と同じゴ・タイン・バンさん。『サイゴン・クチュール』もヒットし、ベトナムの伝統的な服装アオザイも新たな流れがでてきたと聞いたので、映画の影響は大きいと思った。
ユンを演じたリエン・ビン・ファットさんは、この演技でジェムストーン賞を受賞しましたが、今回、日本公開のため来日したレオン・レ監督とリエン・ビン・ファットさんに聞いたら、この作品はベトナムで公開された後、海外での初めての上映が東京国際映画祭だったそうで、海外の映画祭で初めて評価されたのがすごく嬉しかったとリエンさんが言っていた。その時、東京で次回作に通じる出会いがあったよう。次回作も楽しみ(暁


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2018東京国際映画祭オープニングで 左レオン・レ監督、右リエン・ビン・ファットさん

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リエン・ビン・ファットさんがジェムストーン賞を受賞


歌舞劇カイルオンを背景にした物語に、『さらば、わが愛/覇王別姫』(1993年)を思い浮かべ、思いがけない結末に『藍宇 〜情熱の嵐〜』(2001年)を思い出しました。あからさまに二人の関係を描いたものではないのですが、根底に流れるムードが二つの作品に通じるものがありました。切なさが今も蘇ります。(咲)

2018年/ベトナム/カラー/シネスコ/102分
提供:パンドラ
配給協力:ミカタ・エンタテインメント
配給宣伝:ムービー・アクト・プロジェクト
(C)2018 STUDIO68
http://www.pan-dora.co.jp/songlang/
★2020年2月22日(土)より新宿K's cinemaほか全国順次ロードショー




posted by shiraishi at 13:36| Comment(0) | ベトナム | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

デジモンアドベンチャー LAST EVOLUTION 絆

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監督:田口智久
原案:本郷あきよし
脚本:大和屋暁
キャラクターデザイン:中鶴勝祥
デジモンキャラクターデザイン:渡辺けんじ
出演:花江夏樹(八神太一)、細谷佳正(石田ヤマト)、三森すずこ(武之内空)、田村睦心(泉光子郎)、小野大輔(井村京太郎)、松岡茉優(メノア・ベルッチ)

2010年の東京。
太一とアグモンたちが出会い、デジモンワールドで大冒険をした1999年の夏休みから10年余りが過ぎた。デジモンと子どもたちを見かけるのも珍しい光景ではなくなり、人間とデジモンの共生も順調に進んでいる。デジモンたちは変わらないが、”選ばれし子ども”だった太一たちは成長し、大学生や社会人となっている。それぞれが違った道を歩んでいたある日、温和なデジモンが巨大化し、街中に出現してパニック状態を引き起こす。同時に世界中の”選ばれし子ども”たちに異変が起き始めた。
デジモンを専門に研究する学者だというメノア・ベルッチと井村京太郎がアメリカからやってきた。彼らは”エオスモン”と呼ばれるデジモンがこの異変の原因だと言い、太一たちに助力を求める。急ぎ招集した仲間たちと、”エオスモン”対策を検討するが、強大な力にどうやって対抗すればいいのだろうか?

人気のテレビシリーズが20周年を迎え、このたび劇場版が完成しました。幾たびも繰り返され、みんなで乗り越えてきたデジタルワールドと人間世界の危機。今回は大人になりつつある”選ばれし子ども”たちと、かけがえのないパートナーだったデジモンとの別れがテーマです。
テレビをほとんど観ない私でもストーリーにちゃんとついていけて、思わず落涙。年のせいで涙もろいわけではありません(クララが歩いたとき、のび太くんがおばあちゃんに会えたとき、ドラえもんがのび太くんと別れて戻ってきたときも泣きましたけど)。周りの男性陣も目をぬぐっていました。”選ばれし子ども”たちとデジモンとの友情が泣かせるのです。リアルタイムで見ていた元子どもたちには、もっとぐっとくるでしょう。
大好きだった毛布やオモチャを手放したのはいつですか?少し惜しいと思いながら、しまったり処分したこと、みーんな一つ二つありますよね。デジモンのアニメーションにワクワクした皆様、この作品を観ていっとき子どものころに戻りましょう。見なかった人の心にもちゃんと届くはずですよ。(白)


2020年/日本/カラー/シネスコ/94分
配給:東映
(C)本郷あきよし・東映アニメーション
http://digimon-adventure.net/
★2020年2月21日(金)ロードショー
posted by shiraishi at 13:33| Comment(0) | 日本 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

現在地はいづくなりや 映画監督東陽一

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監督・編集:小玉憲一
撮影:住田望
照明:小峯睦男
録音:湯脇房雄
編集:黒岩清乃
出演:東陽一、常盤貴子、烏丸せつこ、緑魔子、安藤紘平

独立プロ、ATG、そして現在に至るまで映画を撮り続ける映画監督・東陽一が、初めて映画の制作過程や自身について語るドキュメンタリー。東陽一の幼少期から青年期、そして現在に至るまでの足跡を追うとともに、東陽一作品を本人へのインタビューや対談、フィルモグラフィーを通して紐解いていく。

東陽一監督の作品は恥ずかしながら最近のものしか見たことがなかったのですが、過去作品を未見でもまったく問題ありませんでした。
本作で長編デビュー作となったドキュメンタリー映画『沖縄列島』から、初の劇映画で日本映画監督協会新人賞を受賞した『やさしいにっぽん人』、『日本妖怪伝サトリ』、芸術選奨文部大臣賞を受賞した『サード』、『もう頰づえはつかない』、『四季・奈津子』、『マノン』、『ザ・レイプ』、観客動員数200万人を超える大ヒットを記録した『橋のない川』、ベルリン国際映画祭銀熊賞を受賞し、その名を世界に知らしめた『絵の中のぼくの村』、『ボクの、おじさん』、『わたしのグランパ』、『風音』、『酔いがさめたら、うちに帰ろう。』、そして最近作『だれかの木琴』までをしっかり解説してくれるのです。
『やさしいにっぽん人』では若い石橋蓮司さんの別人のような姿に驚き、『マノン』の佐藤浩市さんに「寛一郎ってやっぱり彼の息子ね」と思い、『ザ・レイプ』の田中裕子さんの変わらぬ美しさに改めて気づき、むしろ、過去作品を見てみたくなりました。
(『日本妖怪サトリ』、『やさしいにっぽん人』、『ザ・レイプ』、「マノン」はポレポレ東中野で特集上映が行われています。詳細は最期に)

全編を通じて流れるバッハの「シャコンヌ」は撮影当時15歳の中学生だった、新進気鋭のクラシックギタリスト、大谷恵理架によるもの。合間合間に彼女の演奏風景が挟み込まれ、次々と紐解かれる東作品をいったん頭の中で整理する時間を与えてもらった気がします。(堀)


2020 年/日本/94 分/カラー/DCP
配給:株式会社モンタージュ
©2020 MONTAGE inc.
公式サイト:https://izukunariya.com/
★ポレポレ東中野にて2020年 2 月22日(土)よりロードショー

「現在地はいづくなりや」公開記念 東陽一特集上映
ポレポレ東中野にて全日10:00~
2/17(月) 日本妖怪サトリ
2/18(火) やさしいにっぽん人
2/19(水) ザ・レイプ
2/20(木) マノン
2/21(金) やさしいにっぽん人

https://www.mmjp.or.jp/pole2/2020/higashiyoichi/higashiyoichisp-flywe.png

『現在地はいづくなりや 映画監督 東 陽一』小玉憲一監督舞台挨拶
ポレポレ東中野にて
2/22(土) 12:30の回上映後 初日舞台挨拶
ゲスト:東 陽一、小玉憲一(本作監督) 

2/23(日)~28(金) 各日12:30の回上映後 舞台挨拶
2/29(土)、3/1(日) 各日15:00の回上映後 舞台挨拶
ゲスト:小玉憲一(本作監督) 

追加日程や追加の登壇ゲストがある場合は公式サイトやSNSなどで告知されます。

https://www.mmjp.or.jp/pole2/

posted by ほりきみき at 10:19| Comment(0) | 日本 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

新卒ポモドーロ 

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監督・脚本・編集:井上博貴
撮影:中村夏葉
照明:渡辺⼤介
出演:渋江譲⼆、⼤野いと、⽔⽯亜⾶夢、櫻井圭佑、松⽥るか、隈部洋平、⻫藤秀翼、⽥中康寛

福岡で急成長しているベンチャー企業、アイセンス。だが、ある日、社長の北村創次(渋江譲⼆)の強引なやり方についていけなくなった社員たちが一同に退職。競合となるGIファクトリーを設立する。1年後、価格優位性を持たせたGIファクトリーの商品により案件をいくつも奪われ、未だ退職者たちの穴も埋まらぬアイセンスは危機的状況に陥る。北村は社運を賭け、社内横断のプロジェクトチームを結成し、中途採用から一転、会社初となる新卒採用に乗り出す。そのプロジェクト・リーダーに大抜擢されたのは、大学時代に学んだ社会心理学を活かし、高い営業成績をあげている若手社員の川島美沙(⼤野いと)だった。新卒採用の知見も豊富な予算もない中、優秀な学生をどう採用すればよいのか?会社の立て直しを目指し、新米採用リーダー・川島と社長・北村の挑戦が始まる。

本作は「#観る就活プロジェクト」第2弾。売り手市場の新卒採用に、学生側ではなく採用側の企業視点で真摯に向き合う二人の姿をリアルに映し出しています。
ちなみに第1弾の映画『40万分の1』では「就活」を通して青春の最後を駆け抜ける若者の葛藤と瑞々しさを描いたそうですが、残念ながらそちらは未見。しかし、続きものではないので大丈夫。
今回、新卒採用を検討するのは福岡のベンチャー企業。全国から応募者を募るために、ライブ配信での会社説明会、WEB面接、動画での自己PRなど様々な方法を取り入れ、他社との違いを明確に打ち出します。私が就活した頃とは全く違う。イマドキの就活って学生も会社も大変なんですね。優秀な学生は他社に取られることもあり、採用側の苦労が伝わってきます。
全編博多弁が新鮮でした。(堀)


2020年//カラー/シネスコ/110分
配給:エムエフピクチャーズ
©映画「新卒ポモドーロ」製作委員会
公式サイト:https://miru-shukatsu.jp/
★2020年2月21日(金)より池袋HUMAXシネマほか全国順次ロードショー
posted by ほりきみき at 10:05| Comment(0) | 日本 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

うたのはじまり 

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監督・撮影・編集:河合宏樹
出演:齋藤陽道、盛山麻奈美、盛山樹、七尾旅人、飴屋法水、CANTUS、ころすけ、くるみ、齋藤美津子、北原倫子、藤本孟夫ほか

“ろう”の写真家、齋藤陽道は20歳で補聴器を捨ててカメラを持ち、「聞く」ことよりも「見る」ことを選んだ。彼にとっての写真は、自分の疑問と向き合う為の表現手段でもある。そんな彼の妻・盛山麻奈美も“ろう”の写真家である。そして彼女との間に息子を授かった。“聴者”だった。
幼少期より対話の難しさや音楽教育への疑問にぶち当たり、「うた」を嫌いになってしまった彼が、自分の口からふとこぼれた子守歌をきっかけに、ある変化が訪れる。生後間もない息子の育児を通して、嫌いだった「うた」と出会うまでを切り取ったドキュメンタリー。

幼い頃の苦い経験から音楽が嫌いになった齋藤陽道(はるみち)さん。子どもが生まれ、抱いているときに思わず子守唄を口ずさみます。歌は心の発露。想いがあれば自然と口からあふれてくるのだと作品を見ていて思いました。
このことに陽道さん本人が驚いて、知人の音楽家たちに会いに行くのですが、歌の楽しさを知った陽道さんから音楽の奥深さが伝わってきました。
作品の本筋ではないのですが、陽道さんの妻が出産するシーンがあります。まさに生が始まる瞬間に感動しました。私は子どもを2人産んでいますが、実際に子どもが生まれてくる瞬間は初めて見ました。貴重な映像です。(堀)


齋藤陽道(はるみち)さんは聴者の家庭で、補聴器と発話して育ち、奥様の麻奈美さんはろうの両親のもと日本手話で育っています。子育てへの不安もあったでしょうに、カメラマンとして出産を見つめながら父になっていく齋藤さん。汗をかいたシャツを脱ぎ捨てて、裸の胸に生まれたての息子を抱き「どんな声で言ってるの?」と問う齋藤さん。聴者として生まれた「樹(いつき)さん」、なりたての父親と母親、それぞれ違う3人が暮らして「話す」過程が見えていきます。身近にろうの方がいないので、知らなかった世界に心揺さぶられました。
河合宏樹監督の質問を齋藤さんは口の動きでも読み取り、けっこうな速さで書いた文字で返事します。自分でも読めないことのある私のメモと違って、これは「会話」なので速書きでも読みやすい文字です。字幕がどうあってほしいかというやりとりがありました。どんな絵字幕になったのか、ぜひ劇場へどうぞ。(白)


2020年/日本/86分/PG-12
配給:SPACE SHOWER FILMS
©2020 hiroki kawai/SPACE SHOWER FILMS
公式サイト:https://utanohajimari.com/
★2020年2月22日(土)よりロードショー

絵字幕版(バリアフリー日本語字幕付き上映)
本作品はバリアフリー版として、シアター・イメージフォーラムでは日本語字幕付きバージョンの「絵字幕版」も上映します。
日本語字幕に加えて、映画の大事な要素のひとつである“音楽”を絵で表現する手法を用いています。
上映スケジュールは以下の通りです。

2/22(土)|①10:50<絵字幕版>②21:00<通常版>
 ★公開初日には両回とも舞台挨拶を予定しております。詳細は近日発表します。
2/23(日)|①10:50 <通常版>②21:00<絵字幕版>
2/24(月)|①10:50<絵字幕版>②21:00<通常版>
2/25(火)|①10:50 <通常版>②21:00<絵字幕版>
2/26(水)|①10:50<絵字幕版>②21:00<通常版>
2/27(木)|①10:50 <通常版>②21:00<絵字幕版>
2/28(金)|①10:50<絵字幕版>②21:00<通常版>
2/29(土)|①10:50 <通常版>②21:00<絵字幕版>
3/01(日)|①10:50<絵字幕版>②21:00<通常版>
3/02(月)|①10:50 <通常版>②21:00<絵字幕版>
3/03(火)|①10:50<絵字幕版>②21:00<通常版>
3/04(水)|①10:50 <通常版>②21:00<絵字幕版>
3/05(木)|①10:50<絵字幕版>②21:00<通常版>
3/06(金)|①10:50 <通常版>②21:00<絵字幕版>
※3/7以降スケジュール未定
詳しくは劇場HPをご覧ください。
http://www.imageforum.co.jp/theatre/movies/3091/
posted by ほりきみき at 10:02| Comment(0) | 日本 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする