2020年02月09日

屋根裏の殺人鬼フリッツ・ホンカ 原題:Der Goldene Handschuh 英題: The Golden Glove

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監督・脚本:ファティ・アキン
出演:ヨナス・ダスラー、マルガレーテ・ティーゼル、ハーク・ボーム

1974年、ハンブルク。
留年が決定した美少女ペトラは、冴えない転校生ウリィーに誘われカフェに立ち寄る。
ぺトラが手にしたタバコに、突然、火を差し出す醜い男フリッツ・ホンカ。
ホンカは、立ち去るペトラをじっと見つめていた。

労働者や年増の娼婦が集うバー「ゴールデン・グローブ」。
ホンカは、女に酒を奢ろうと声を掛けても、なかなか相手にされない。そんな中、注文もせずに座る中年女ゲルダにホンカは一杯奢り、ゲルダを家に連れ帰る。ゲルダはホンカの部屋に入るなり、異臭に戸惑う。階下のギリシャ人の料理のせいだというホンカ。ゲルダは30歳になる独身の娘がいると語る。カフェで見かけた美少女を思い浮かべるホンカ。居候するようになったゲルダに「娘を連れて来い」と命じるが、いつまで経っても連れて来ないあげく、ゲルダはいなくなる。
ある日、ホンカは車に突き飛ばされる。それを機に禁酒し、夜間警備員の仕事につく。夫がクビになり掃除婦をしているヘルガに思いを寄せるようになる・・・

ドイツ・ハンブルクで1970年から5年間にわたって4人の娼婦を殺害した実在の連続殺人犯フリッツ・ホンカの物語。
トルコ移民の両親のもと、1973年にハンブルクで生まれたファティ・アキン監督は、子供の頃、「気をつけないと、ホンカに捕まるぞ!」とよく言われたそうです。
殺人鬼フリッツ・ホンカの事件を描いたハインツ・ストランクのベストセラー小説に触発されて、ファティ・アキンは映画を製作。著者ハインツ・ストランクは、本作に退役軍人役でカメオ出演しています。
小説は第二次世界大戦の敗戦から立ち上がりつつある70年代のドイツの社会情勢とともに描かれていて、映画でも、その片鱗が見られます。
ホンカが酒場で声をかけた娼婦の一人には、腕に番号を彫られた跡があって、1937年から終戦まで強制収容所で売春をさせられたと明かします。ホンカも父が共産主義者を理由に収容されていたと語ります。これ以外、ホンカの出自について本作では多くは語られませんが、ナチスがユダヤ人を強制収容する以前から邪魔者を収容していた実態を教えてくれる場面でした。また、ドイツで暮らす人々が、それぞれに戦争の時代をひきずっていることも感じさせられました。
ラストで実際にホンカが住んでいた安アパートの屋根裏部屋の図面や、本人の姿が映し出されます。屋根裏部屋を忠実に再現したのも凄いですが、なんといっても、それなりに美男子のヨナス・ダスラー(『僕たちは希望という名の列車に乗った』)が、実年齢より20歳以上も上の醜いホンカになりきっているのに驚かされます。
映画で語られる最後の日、ホンカが酒場で美少女ぺトラを見かけ、追いかけていきます。彼女も毒牙にかかるのか・・・ 結末はどうぞ劇場で! (咲)


2019年/ドイツ・フランス/110分/R15+
配給:ビターズ・エンド
公式サイト:http://www.bitters.co.jp/yaneura/
★2020年2 月 14 日(金)より、ヒューマントラストシネマ有楽町、新宿武蔵野館ほか全国順次ロードショー!






posted by sakiko at 12:31| Comment(0) | ドイツ | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする