2020年02月02日

ハスラーズ(原題:Hustlers)

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監督・脚本:ローリーン・スカファリア
出演:コンスタンス・ウー(デスティニー)、ジェニファー・ロペス(ラモーナ)、ジュリア・スタイルズ(エリザベス)、キキ・パーマー(メルセデス)、リリ・ラインハート(アナベル)、リゾ(リズ)、カーディ・B(ダイヤモンド)

子どものころ母に捨てられ、祖母に育てられたデスティニー。今度は自分が祖母を養うために奮闘している。少しでも多く収入を得ようとストリップクラブで働き始めるが、簡単に収入は増えるものではなかった。クラブのナンバーワンのラモーナが、デスティニーにストリッパーとしてのノウハウを教えてくれて、先輩たちとも仲良くなれた。
生活もようやく楽になってきた矢先、2008年にリーマンショックが起こる。企業は倒産、株価が暴落し、庶民は家を失い、借金だけが残った。これまでない不況が街を覆う。上得意だった客たちの足も遠のき、ストリッパーたちの実入りもすっかり減ってしまった。それなのに経済危機を起こしたウォール街のエリートたちは裕福なまま。業を煮やしたラモーナは、クラブの仲間を誘ってエリートたちから大金を巻き上げる計画を立てる。

日本にも少なからぬ影響を与えたリーマンショック。そのころ実際にあったことを元に作られた作品です。華やかな女性たちの中でも目を引くラモーナ役のジェニファー・ロペス。50代に入ったのですが、若々しい!女優で歌手で実業家で、双子のママでもあり…とエネルギーにあふれた女性なんですね。この映画の製作にもあたっています。主演のコンスタンス・ウーはメイクのせいか、エキゾチックな感じはするけれど『クレイジー・リッチ』よりも地味目です。他が派手だからか。
たくましい女性たちに手玉に取られるエリート男性、彼らにもいろいろあって溜飲が下がる人もいれば、そこまでやっては気の毒な人も。ストリップクラブの裏側が見られて「へー!」×10でした。男性はこれを見ていろいろ気をつけてください(?)。(白)


2019年/アメリカ/カラー/シネスコ/110分
配給:REGENTS
(C)2019 STX FINANCING, LLC. ALL RIGHTS RESERVED.
http://hustlers-movie.jp/
★2020年2月7日(金)ロードショー
posted by shiraishi at 15:49| Comment(0) | アメリカ | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

静かな雨

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監督:中川龍太郎
原作:宮下奈都
脚本:梅原英司、中川龍太郎
撮影:塩谷大樹
出演:仲野太賀(行助)、衛藤美彩(こよみ)、三浦透子(斉藤真理)、坂東龍汰(木村)、古舘寛治(医者)、川瀬陽太(パチンコ屋店長)、河瀬直美(こよみの母)、萩原聖人(牧原)、村上淳、でんでん(教授)

大学の研究室に勤める行助(ゆきすけ)は、足が不自由で引きずりながらゆっくり歩く。家に帰る途中、若い女性が1人で切り盛りしている小さな鯛焼き屋を見かけた。美味しそうなにおいにつられて買ってみると、今まで食べたことがないほど美味しかった。以来、ときどき立ち寄っては店主のこよみと言葉を交わすようになる。二人の穏やかな日々に満たされていた行助だったが、こよみは交通事故に遭ってしまう。目覚めたこよみは、古い記憶は残っているものの、新しい記憶は一日しか持たなくなっていた。朝起きると記憶がリセットされているこよみに、行助は毎回同じ説明をして一日を始めることにした。

原作は『羊と鋼の森』の原作者でもある宮下奈都さんのデビュー作です。100ページほどの薄い綺麗な装丁の本でした。原作ものの映画化は初めての中川龍太郎監督がメガホンをとっています。仲野太賀さんは中川監督の『走れ、絶望に追いつかれない速さで』(2015)でも主演をつとめていました。どんな役でも安心して観ていられる俳優さんです。衛藤美彩さんは初の映画出演ですが、なかなか男前!なこよみをすっきりと演じています。印象的な助演が何人か配されていますが、ほぼ主演二人が出ずっぱりです。少しずつ工夫しながらこの人たちは幸せに暮らしていくんだろうな、と想像できる優しい作品でした。

記憶は時間の長短に関わらず、保持しているのが当たり前とつい思ってしまいますが、精神的なストレスや外傷などでなくなってしまうこと、あるのですね。それだけでドラマチックなので、そんな設定の映画や小説はいくつも。一定の時間でリセットされてしまうのは『50回目のファースト・キス』(2004/アダム・サンドラー&ドリュー・バリモア)。この作品も記憶が一日しか持ちません。同名のリメイク作品が長澤まさみ&山田孝之の二人で作られました(太賀さん出演)。もっと短いのが2005年の『博士の愛した数式』で数学者役の寺尾聡さんが80分しか記憶が持たず、家政婦役の深津絵里さんがたくさんメモを貼っていました。最近では川口春奈&山﨑賢人の『一週間フレンズ。』(2017)、こちらはタイトル通り1週間ごとにリセットされてしまいます。見比べてみるのも一興。(白)

2019年/日本/カラー/99分
配給:キグー
(C)2019「静かな雨」製作委員会/宮下奈都・文藝春秋
https://kiguu-shizukana-ame.com/
★2020年2月7日(金)ロードショー
posted by shiraishi at 15:46| Comment(0) | 日本 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

37セカンズ

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監督・脚本:HIKARI
出演:佳山明(貴田ユマ)、神野三鈴(貴田恭子)、大東駿介(俊哉)、渡辺真起子(舞)、熊篠慶彦(クマ)、萩原みのり(サヤカ)、芋生悠(ユカ)、渋川清彦、宇野祥平、奥野瑛太、板谷由夏(編集長)、尾美としのり

ユマは生まれた時、息をしていなかった。息をするまで37秒かかり、それが原因で脳性麻痺となった。下半身が動かないユマはずっと母に面倒を見てもらいながら車椅子の生活をしている。父の思い出はかすかにしかない。
漫画家の友人のゴーストライターをしていくらか収入を得ているが、いつかは影に隠れず自分の名前で漫画を発表したい。すでに23才の大人なのに、いまだに過干渉な母親からの自立も考えている。その実現の第1歩にと、アダルトコミックの募集広告を見て出版社に持ち込みをしてみた。ユマの原稿を見てくれた編集長は、ユマの漫画にはリアルな描写が欠けていると指摘する。性体験のないユマは、思い切って歓楽街へ出かけてみる。

サンダンス映画祭とNHKが主宰する脚本ワークショップで日本代表に選ばれたHIKARI監督、初の長編作品です。主人公を演じている佳山明(かやまめい)さんはユマと同じ脳性麻痺で演技は未経験ですが、オーディションでユマ役に抜擢されました。小さな声で、押しも強くなさそうなのに、大胆な決断をする勇気と行動力のあるユマにぴったりの配役でした。彼女あっての物語だと感じていたら、元からあった脚本を佳山さんに出会ってから、彼女の体験に沿って3分の1も書き直したのだそうです。アメリカで映画製作を学んだHIKARI監督の粘り強い姿勢と、それに応えた俳優陣の熱演でみごたえのある作品が完成しました。
ユマが親友だと思っていたサヤカの身勝手さは噴飯ものでしたが、ユマが外に飛び出してから出会う人たちの魅力的なこと!俊哉のようなヘルパーがたくさんいたならどんなにいいだろう、クマさんご贔屓の舞さんの姉御っぷりが頼もしい、と保護者目線で見てしまいました。
どんなに大人になろうが、息子・娘はいつまでも母親には子どもです。それでも親ができることをし終えたら、独り立ちの時期には涙を飲んで送り出さなくては。息子・娘、ひいてはその子どもたちが幸せであることを願うばかりです。(白)


2019年/日本/カラー/シネスコ/115分
配給:エレファントハウス
(C)37Seconds filmpartners
http://37seconds.jp/
★2020年2月7日(金)より全国順次ロードショー
posted by shiraishi at 14:15| Comment(0) | 日本 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする