2020年01月05日

フィッシャーマンズ・ソング コーンウォールから愛をこめて  原題:Fisherman's Friends

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監督:クリス・フォギン
出演:ダニエル・メイズ、デヴィッド・ヘイマンジェームズ・ピュアフォイ、デイヴ・ジョーンズ、タペンス・ミドルトン

イギリス南西部コーンウォール地方の小さな港町ポート・アイザックで、1995年に慈善事業の資金集めのために結成された漁師たちによる舟歌バンド“フィッシャーマンズ・フレンズ”。彼らが、2010年に契約金100万ポンドでメジャーレビューし全英トップ10入りを果たした実話をもとにしたヒューマンドラマ。

ロンドンで音楽業界の敏腕マネージャーとして活躍するダニーは、結婚間近の悪友ヘンリーを連れ、独身最後のお楽しみに大西洋に面した小さな港町ポート・アイザックへ男ばかりで繰り出す。港で舟歌を歌う漁師たちを見かけて、上司のトロイはダニーに「彼らと契約するまで帰るな」とダニーを置き去りにして帰っていく。
舟歌を歌っていたのは、漁師たち10人からなるコーラスバンド“フィッシャーマンズ・フレンズ”。週1回、港で慈善コンサートを行っているが、あくまで趣味だという。リーダーのジムはかなりのひねくれ者だ。ダニーはジムの娘、オーウェンが経営するB&Bに泊まり、彼らを説得する作戦を練る。
漁船に一緒に乗ったり、彼らがよく息抜きに集う最年少ローワンの経営するパブに行ったりし、ようやく契約にこぎつける。だが、上司トロイは「契約を取れというのは冗談」とせせら笑う。ダニーはライバル会社に掛け合い、テレビ番組への出演を決める。それも、女王陛下の誕生日を祝う特別番組だ。ところが、生番組で彼らは国歌『God Save the Queen (女王陛下万歳)』ではなく、コーンウォール賛歌を歌い始めた・・・


ポート・アイザックのあるコーンウォール地方は、ロンドンから車で6時間ほどのところですが、アングロ・サクソンの侵攻後も、ケルト人が生き延びた地。コーニッシュ(コーンウォール人)の意識が強く、今も独自の文化を育みながら暮らしているとのこと。
国歌でなくコーンウォール賛歌を歌ったことで、ダニーは真っ青になるのですが、彼らの茶目っ気と、素晴らしい歌声は大受け。そも、“フィッシャーマンズ・フレンズ”というバンド名が、イギリス人なら誰でも知っているミント系トローチの名前と同じだということも、親しまれた理由だそうです。
“フィッシャーマンズ・フレンズ”が活躍する一方で、ローワンの経営するパブが経営難で売りに出されるという話が進行します。イギリス人にとって、パブはただお酒を飲むだけでなく、くつろぎの場所。イギリス全土で個人経営のパブが存続の危機にあるという実情も映画に込めたそうです。
映画の中では、メンバーのキャラクターを織り交ぜた人物像を作っていますが、本物の“フィッシャーマンズ・フレンズ”の歌う姿も出てきます。
メジャーレビューして9年が経ち、2014年には最高齢のピーター・ロウが80歳で亡くなっています。また、2013年にメンバーのトレヴァー・グリルとツアー・マネージャーのポール・マクミューレンがライブ会場のドアの下敷きになって事故死したことから、映画の最後に「トレヴァーとポールに捧ぐ」とあります。
漁師の男たちの素晴らしいハーモニーをいつかポート・アイザックの海辺で聴いてみたくなる一作です。(咲)


2019年/イギリス/英語/112分
配給:アルバトロス・フィルム
公式サイト:https://fishermans-song.com/
★2020年1月10日(金)より新宿ピカデリー、ヒューマントラストシネマ有楽町ほか全国出航!
posted by sakiko at 21:33| Comment(0) | イギリス | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする