2019年11月30日
ドクター・スリープ(原題:DOCTOR SLEEP)
原作:スティーヴン・キング「ドクター・スリープ」(文春文庫刊)
監督&脚本:マイク・フラナガン
撮影:マイケル・フィモナリ
美術:メイハー・アーマッド
衣装:テリー・アンダーソン
出演:ユアン・マクレガー、レベッカ・ファーガソン、カイリー・カラン
40年前、雪山のホテルでの惨劇を生き残ったダニー(ユアン・マクレガー)は、トラウマを抱え、人目を避けるように孤独な暮らしを続けていた。そんな彼のまわりで起こる児童連続失踪事件。ある日、ダニーのもとに謎の少女アブラ(カイリー・カラン)からメッセージが送られてくる。彼女は「特別な力(シャイニング)」を持っており、事件の現場を“目撃”していたのだ。事件の謎を追う二人。やがて二人は、ダニーにとって運命の場所、あの呪われたホテルにたどり着く……。
『シャイニング』の40年後。ホテルの中を三輪車できこきこ移動していた、愛くるしい少年は無精髭の冴えない中年男に。酒やドラッグにまみれた自堕落な生活は父親より酷い状況といえるでしょう。それもこれもあの惨劇が原因。相変わらず、見たくないものが見えてしまうけれど、まずは酒を断とうと決意した辺りから顔つきが変わってきます。信じられる友人と出会えたことが彼の心を支えました。ホラーというより人間ドラマを見ている感じです。苦しみながらも、そこから抜け出そうと葛藤する姿をユアン・マクレガーが母性本能をくすぐるように演じていました。
その一方で、『シャイニング』でははっきりわからなかったシャイニング(特別な力)についてもしっかり描き、ホラーの側面も忘れていません。特に後半はあのホテルを再訪するのですが、山道を走る車の空撮は『シャイニング』そっくりで心がざわつき、再撮影された青いワンピースの女の子2人や津波のように押し寄せてくる血の海などは再現率が完璧で、映し出されると恐怖が呼び覚まされます。
果たして、ダニーは過去のトラウマを乗り越えることができるのでしょうか。ハラハラしながらお楽しみください。(堀)
2019年/アメリカ/ビスタサイズ/ドルビーシネマ /5.1ch /153分
配給:ワーナー・ブラザース映画
©2019 Warner Bros. Ent. All Rights Reserved
公式サイト:http://wwws.warnerbros.co.jp/doctor-sleep/index.html
★2019年11月29日(金)全国ロードショー
漫画誕生
監督:大木萠
出演:イッセー尾形、篠原ともえ、稲荷卓央、橋爪遼、森田哲矢(さらば青春の光)、東ブクロ(さらば青春の光)、とみやまあゆみ、新井美羽、緒方賢一、モロ師岡 ほか
昭和18年、漫画家が団結して国策に協力する『日本漫画奉公会』が設立。 日本は本格的な国策へと乗り出していた。そんな中、一人の老人が内務省の検閲課に呼ばれた。薄暗い小部屋に案内され、検閲官と対峙する老人。 ポツリポツリと過去の記憶を語りだしたこの老人こそが、日本漫画奉公会の会長であり、 かつて"近代漫画の父"と呼ばれ、現在に至る漫画を"職業"として確立した男・北沢楽天その人であった。風刺画家として福沢諭吉にその才能を見出された若かりし頃の楽天は、「日本初の職業漫画家」となり、一気に売れっ子の道を駆け上っていく。 一躍時代の寵児となった楽天は、政治家すら一目置くほどの存在となっていった。 一方でたくさんの弟子を養成し、次々と新しい表現方法に挑戦し、 それまで「ポンチ絵」として蔑まれていた風刺絵を 「漫画」というひとつのジャンルにして、広く世に浸透させた。開拓の明治にはじまり、浪漫の大正を経て、そして激動の昭和へ……。 しかし、やがて黒く強大な時代の渦が、楽天や漫画はおろか、日本全体をも飲み込んでいくのであった
北沢楽天の名前はこの作品で初めて知った。風刺画を描いて成功し、一人で描くだけでなく、スタッフを抱えたスタジオ制を始め、日本最初のアニメーション映画を製作した下川凹天などを世に送り出し、後輩の育成にも尽力。そんな楽天が太平洋戦争真っただ中の昭和18(1943)年、国が設立した日本漫画奉公会の会長にお飾りとはいえ、就任するに至るまでの彼の心中はいかばかりか。しかし、作品の最後に楽天の妻へのあふれるような愛を感じ、すべては妻に安定した生活を送らせてあげたい一心だったのではないかと感じた。戦後は執筆活動を引退したとはいえ、妻とふたり、きっと幸せな人生だったに違いない。主人公夫婦を演じたイッセー尾形と篠原ともえを見ているとそんな温かな気持ちになる。(堀)
2018/118分/日本語/シネマスコープ/5.1ch
配給:アースゲート
©漫画誕生製作委員会
公式サイト:https://www.mangatanjo.com/
★2019年11月30日(土)より渋谷ユーロスペースほか全国順次公開

◆2019年11/30,劇場公開初日の舞台挨拶へ駆けつけました!! (千)
http://cineja-film-report.seesaa.net/article/471861241.html