2019年11月28日

私のちいさなお葬式(原題:Karp otmorozhennyy)

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監督:ウラジーミル・コット
脚本:ドミトリー・ランチヒン
出演:マリーナ・ネヨーロワ(エレーナ)、アリーサ・フレインドリフ(リューダ)、エヴゲーニー・ミローノフ(オレク)、ナタリア・スルコワ(役所の女性)、セルゲイ・プスケパリス(検死医)

ロシアの小さな村に住む73才のエレーナ。夫に先立たれて息子を育て、教職を定年まで務めあげた。今は年金でつつましくも充実した毎日を送っている。自慢の息子は都会で暮らし、5年に1度しか帰ってこない。エレーナは病院の検査で、もと教え子の医師に心電図を見せられ「いつ心臓が止まってもおかしくない」と言われてしまう。余命はわずか。
あまりに突然で現実味がないエレーナだったが、ある日自宅で倒れてしまった。見舞いに来た息子は忙しそうで、ほんとのことなど言えない。今から自分の葬式の準備をしておこうと心に決める。忙しい息子の手を煩わさないように、死ぬまでにしなければならないことを書き出していく。気に入りのドレスを着て自分で選んだ棺桶に入る。仲の良い友達がお葬式に来たら、大好きな曲をかけ、思い出話をしながら美味しい料理を食べてもらう。それがエレーナの望み。

ロシア発、ベテラン俳優たちがおりなす人情コメディ。主演のマリーナ・ネヨーロワは本作で初めて観ました。日本公開作が全然ないのですが、ロシアでは知らない人がいない名女優だそうです。シミひとつない美しい元先生役。エレーナは完璧かとおもいきや、一人息子を愛するあまり恋路の邪魔をした過去があります。この黒歴史で、エレーナの印象が膨らみました。
隣人のリューダを演じるアリーサ・フレインドリフは『ボリショイ・バレエ 2人のスワン』(2017)での厳しい講師役でした。エレーナの親友で一人住まいの彼女を支えます。リューダの孫パーシャはいまどきの若者ですが、自分の祖母には悪態をついてもエレーナの買い物を手伝う優しい一面もあります。まさに「遠い親戚より近くの他人です。
エレーナのお気に入り曲は、日本の双子デュオ、ザ・ピーナッツが歌った「恋のバカンス」(1963)でした。ロシアでもヒットしたそうです。誰にもやってくる老いと死を、前向きに受け入れるエレーナと周りの人々を描いて第39回モスクワ国際映画祭観客賞に輝きました。凍らせたのに生き返って泳ぐ鯉が、息子の行動に影響を及ぼします。台詞などなくともグッジョブ!(白)


2017年/ロシア/カラー/シネスコ/100分
配給:エスパース・サロウ
(C)000≪KinoKlaster≫,2017r.
http://osoushiki.espace-sarou.com/
★2019年12月6日(金)シネスイッチ銀座ほか全国順次公開
posted by shiraishi at 23:23| Comment(0) | ロシア | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

幸福路のチー  原題:幸福路上 On Happiness Road

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監督・脚本:ソン・シンイン

声の出演:グイ・ルンメイ、ウェイ・ダーション
主題歌:「幸福路上/On Happiness Road」歌:ジョリン・ツァイ

アメリカで暮らすリン・スー・チー。祖母が亡くなったとの知らせを受け、台北郊外の幸福路の実家に帰ってくる。久しぶりの幸福路は、大きく変貌を遂げていた。
チーは、幸福路で過ごした日々を振り返る。
小学生の時に友達になった金髪で青い目のチャン・ベティや、腕白坊主のシュー・シェン・エン。3人は一緒に木登りしたり、屋根の上で歌ったり、毎日が冒険だった。しばらくして、ベティは引っ越してしまう。
やがて、大学受験。医者になってほしいという両親の期待を裏切って文系に進み、卒業後は新聞記者として働く。シェン・エンと再会するが、99年の大地震で彼は亡くなってしまう。チーはいとこを頼ってアメリカに渡り、そこで出会ったトニーと結婚。幸せな日々を送っていたけれど、故郷に帰ってきた今、離婚を考え始めている・・・

ソン・シンイン監督は、2008年、アメリカで通っていた映画学校コロンビア・カレッジ・シカゴで、先生から「自分の体験を書いてみなさい」と言われる。当時、流行っていたイランのマルジャン・サトラピ監督の『ペルセポリス』に触発され、政治と社会情勢の変化の影響を受けた物語なら私にもあると綴ったのが本作。物語の半分に自身が投影されているという。
1974年生まれの監督は、蒋介石の教育政策で育ち、台湾語の使用を禁止され、「(台湾にいる)中国人」であるという意識を植え付けられた。
監督の祖母はアミ族。学校で原住民族は野蛮人と教えられ、祖母のことが嫌いだったそうだ。劇中の「チーには、アミ族の血が4分の1流れている」という言葉は、亡き祖母に伝えたいお詫びの気持ち。
少女の頃は、独裁政権下で多くの台湾人が政治犯として投獄された白色テロが続いていた時代。1987年に、38年にも及ぶ戒厳令がようやく解除され、その後は高度成長時代を迎える。

実写よりアニメーションで描こうと決めた監督は、台湾にアニメーション産業が育ってないことから、自身でスタジオを立ちあげている。
台湾の現代史を背景に一人の女性の成長を描いた、どこか懐かしい香りのするアニメーション。
高校の同級生に、当時台北市長に当選したばかりの陳水扁(後の台湾総統)の娘がいて、医学部志望でいかにもがり勉タイプなのに、「アンディ・ラウのドラマが好き」という場面があって、思わず笑ってしまった。監督のほんとの同級生のほんとの話? (咲)


東京アニメアワードフェスティバル2018 長編グランプリ
第55回電影金馬奨 最優秀アニメーション映画賞

2017年/台湾/111分/中国語/1.85:1
協力:台北駐日経済文化代表処 台湾文化センター
配給:クレストインターナショナル
公式サイト:http://onhappinessroad.net/
★2019年11月29日(金)より新宿シネマカリテ、ヒューマントラストシネマ有楽町ほか全国順次公開





posted by sakiko at 22:09| Comment(0) | 台湾 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

ジョン・デロリアン 原題:Driven

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監督:ニック・ハム
脚本:コリン・ベイトマン
撮影:カール・ウォルター・リンデンローブ
出演:リー・ペイス、ジェイソン・サダイキス、ジュディ・グリア、コリー・ストール

1977年のアメリカ・南カリフォルニア。麻薬密売に手を出してFBIに拘束されたパイロットのジム・ホフマン(ジェイソン・サダイキス)は、無罪にしてもらう代わりに情報提供者になる。彼は引っ越し先の隣人がゼネラルモーターズでポンティアック・GTOの開発に関わった自動車エンジニアのジョン・デロリアン(リー・ペイス)だと知る。ジムは、大きな家で家族と暮らし、自ら会社を設立してデロリアンを開発するジョンに憧れていた。

『バック・トゥ・ザ・フューチャー』を観た人であれば忘れ難きタイムマシン車「デロリアン」!あの威容を誇るデザイン、目に焼き付いて離れない強烈な存在感を放つDMCー12という車は、誰が、いつ、どのように創造したのか…。
開発者であるジョン・デロリアンの半生を描くと思いきや、映画は1977年・米国南カリフォルニアの滑走路から始まる。この麻薬密売パイロットとFBIが、ジョン・デロリアンの人生に深く関わりを持つことになる。

陽光燦々たるカリフォルニアの高級住宅街、プール付きの豪壮な邸宅、連夜繰り広げられる派手なパーティに集うセレブな人々、家々にはガソリンを喰い、撒き散らす大型高級車が居並ぶ。ジョン・デロリアンが開発し、大ヒットしたポンティアックなどの高級車は’70年代米国を象徴する存在だったのだ。

40歳の若さでGMのゼネラルマネージャーとなり、天才的な発想と先見性に基く技術的知見、企画プレゼン力に優れ、成功者として時代の寵児となったジョン・デロリアン。独立した彼には経営者としての才覚に欠けたため、危うい資金調達に依存するようになる…。

撮影には本物のデロリアンが30台以上使われたという。排ガス規制の厳しい現代では二度と得られない創造物。ビンテージカーの美しさ。アメ車好きには堪らない垂涎場面の連続だろう。(幸)


2018年製作/113分/PG12/アメリカ
配給:ツイン
(C) Driven Film Productions 2018
公式サイト:http://delorean-movie.jp/
★2019年12月7日(土)より全国公開★
posted by yukie at 13:32| Comment(0) | アメリカ | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする