2019年11月04日

その瞬間、僕は泣きたくなった-CINEMA FIGHTERS project- 

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詩と音楽、映像を一つに融合したプロジェクトの第3弾となる今作。
5人の監督の共通した想いは、歌と映画だけが、未来が見えないこの国の苦しい日々から、ほんの少しだけ解き放ってくれる——。
三池崇史『Beautiful』は大地震をきっかけにそれぞれ自殺未遂をした男女の奇妙な出会いを、行定勲『海風』は愛に飢えた男女の一時の温もりを、松永大司『On The Way』はメキシコの移民を目の当たりにした目標の持てない日本人青年を、洞内広樹『GHOSTING』は悲しい過去と運命を変えようとする霊魂〈ゴースト〉となった青年を、井上博貴『魔女に焦がれて』は不思議な力を持つ同級生に惹かれる男子高校生をそれぞれ描き出す。

『Beautiful』 
出演: EXILE AKIRA 蓮佛美沙子  
監督:三池崇史  
主題歌:「Beautiful」 Crystal Kay

『海風』
出演:小林直己 秋山菜津子  
監督:行定勲  
主題歌:「海風」 Leola

『On The Way』
出演:今市隆二 パコ・ニコラス  
監督:松永大司   
主題歌:「Church by the sea」 RYUJI IMAICHI

『GHOSTING』 
出演:佐野玲於 畑芽育  
監督:洞内広樹  
主題歌:「ラストラブ」 LISA

『魔女に焦がれて』
出演:佐藤大樹 久保田紗友  
監督:井上博貴  
主題歌:「ライラック」琉衣

三池崇史、行定勲、松永大司、洞内広樹、井上博貴の監督5人のオムニバス。映像に音楽と詩を融合させる。それぞれが23分の短尺ながら監督は作家性をにじませる。意外だったのは三池作品。設定と冒頭こそ三池らしさ全開だが実は純愛モノ。エンドロールに心が和む。
みなが男女の関係を描く中、松永監督のみ社会問題に切り込む。これまでの作品は苦手だったが、答えの出ないもどかしさがかえってすとんと受け入れられた。その先に希望を感じさせる。洞内作品は若い主人公2人の関係性の設定にぎこちなさがあるものの、ラストの展開は温かい捻りがあっていい。
井上作品はいちばん共感しやすいだろう。チヤホヤしていた人たちがいきなり態度を変える。よくあるイジメの発端。細やかな心の機微を丁寧に描く。洞内広樹監督、井上博貴監督の他の作品も見たくなった。締めは行定作品。やりきれない思いを抒情的に描きつつ、救いに繋げた。(堀)


エグゼクティブプロデューサー:EXILE HIRO
企画・プロデュース:別所哲也
コンセプトプロデューサー:小竹正人
製作:LDH JAPAN   
制作:パシフィックボイス
配給:LDH PICTURES
©2019 CINEMA FIGHTERS project
公式サイト:http://sonoshunkan.toeiad.co.jp/
★2019年2019年11月8日(金)ロードショー
posted by ほりきみき at 18:20| Comment(0) | 日本 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

国家が破産する日(原題:Default)

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監督:チェ・グクヒ
出演:キム・ヘス、ユ・アイン、ホ・ジュノ、ヴァンサン・カッセル

経済が右肩上がりの成長を遂げ、国民の多くが好景気は続くと信じて疑わなかった1997年。中央銀行である韓国銀行の通貨政策チーム長ハン・シヒョン(キム・ヘス)は通貨危機を予測する。しかし政府の対応は遅れ、国民には公示せず、非公開の対策チームを招集したときには、タイムリミットの国家破産まで残された時間は7日間だった。
時を同じくして、危機の兆候を独自にキャッチした金融コンサルタントのユン・ジョンハク(ユ・アイン)は、一世一代の大勝負に出る。
一方、何も知らない町工場の経営者ガプス(ホ・ジュノ)は、大手百貨店からの大量発注を手形決済という条件で受けてしまう。自国通貨の価値が加速度的に下落する中、彼ら、そして国家は生き残ることが出来るのか。

1997年に韓国で実際に起こった通貨危機の裏側。日銀に該当する韓国銀行の担当者チームは国家経済の確立維持を考え、行政側は身内の保身に走る。日本でもありそうなことに思えてならない。
金融のプロは主婦のラジオ番組への投稿を聞いて状況に気づき、一獲千金を狙う。そういえがこの金融のプロ、ユン・ジョンハクを演じたユ・アインは『バーニング 劇場版』では羽振りのいい男に好きな女性を取られる田舎男を演じていた。作品が変われば雰囲気もがらりと変わるものだ。
一方で煽りを受けて追い詰められる零細企業。古今東西変わらぬ構図。IMF支援は誰のためなのか。その裏にアメリカの思惑が見え隠れする。日本がこのとき韓国を支えようとしたが、止められたという話も聞く。
堪えた者勝ちのラストに堪えられなかった者の末路を思う。エンタメ性を盛り込み、経済問題に疎くても最後まで意識を引きつける。(堀)


2018年/韓国映画/114分/カラー/5.1chデジタル/ビスタ/
配給:ツイン
©2018 ZIP CINEMA, CJ ENM CORPORATION, ALL RIGHTS RESERVED
公式サイト:http://kokka-hasan.com/
★2019年11月8日(金)シネマート新宿、シネマート心斎橋 ほか 全国順次ロードショー
posted by ほりきみき at 18:09| Comment(0) | 韓国 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

スペインは呼んでいる (原題:The Trip To Spain)

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監督:マイケル・ウィンターボトム
撮影:ジェームズ・クラーク
出演:スティーヴ・クーガン、ロブ・ブラインドン

イギリスの人気コメディアンで俳優のスティーヴ・クーガンは、ニューヨーク・タイムズからスペイン中を旅して書くグルメ記事の連載依頼を受ける。スティーヴは前回のイタリアへの旅にも同行してくれた旧友のロブ・ブライドンを誘う。スペインの北部から地中海に面するマラガまで約1,000マイルを南下する。

スティーヴ・クーガンとロブ・ブライドンが本人役でグルメ取材するシリーズ第3弾でスペインに。実生活でも親しいふたりが美味しい料理とワインを楽しみながら、映画ネタ満載の軽妙な会話をモノマネ付きで繰り広げる。その裏で思い悩むのはキャリアや家族のこと。まだまだなのか、もうなのか。50代の位置付けは難しい。他人事ではない。
ラストの先が気になったが、第4弾があるらしいと聞き、胸をなでおろした。(堀)


旅をしながらスペインの歴史や文化についてのウンチクが炸裂する二人の会話。
私が特に注目したのは下記の部分だ。
ムーア人が711年以降スペインを支配していた時代について話がおよんだ時に、ロジャー・ムーアの物真似をするロブ。そんな脇で、スティーヴが「ムーア人が来たころヨーロッパは暗黒時代だった」「数の体系も、天文学も医学も進んでいた」「ギリシアの学問もムスリムがアラビア語に翻訳して伝えてくれた」と語り続ける。「ムーア人はカトリックより寛容だった」という言葉も。イスラーム王朝のスペイン支配時代、高めの税金を払えば改宗しなくてよかったのに、キリスト教徒がスペインを奪還した後、ユダヤ教徒もイスラーム教徒と一緒に追い出されたという歴史がある。(そのユダヤ教徒を受け入れたのがイスラーム世界だったということも忘れないでほしいところ!)
「(ロジャー)ムーアはムスリムじゃない」というロブの落ちで笑わせてくれるが、それを現代のISIS(イスラム国)の台頭にもつなげているところが、さすが、『イン・ディス・ワールド』を作ったマイケル・ウィンターボトム監督だ。
スペインを旅していると、ここは元々ムーア人が城を作ったという町が実に多い。本作に登場する崖の上に作られた町クエンカもそんな一つ。私も訪れたことがあって、泊まったパラドール(国営宿舎)が出て来て懐かしかった。修道院を利用した趣のある宿。お城や屋敷など伝統的建造物を宿舎にしたパラドールは、食事も郷土食豊かで、スペインを旅するなら是非泊まりたい宿。映画を観て、パラドールを巡る旅をしたくなること請け合い! (咲)


2017 年/イギリス/108 分/カラー/ビスタ/
配給:ハーク
©SKY UK LIMITED 2017.
公式サイト:http://hark3.com/trip-to-spain/
★2019年11 月 8 日(金)より Bunkamura ル・シネマにて公開





posted by ほりきみき at 18:06| Comment(0) | イギリス | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする