監督:石井裕也
脚本:成瀬活雄・石井裕也
原作:貫井徳郎「乱反射」(朝日新聞出版/ 朝日文庫)
出演:妻夫木聡、井上真央、萩原聖人、北村有起哉、光石研、三浦貴大、芹澤興人、相楽樹、筒井真理子、梅沢昌代、田山涼成、鶴見辰吾
幸せな家庭を築く新聞記者・加山聡(妻夫木聡)とその妻・光恵(井上真央)。 聡の父親が倒れて入院し、光恵は息子・翔太を連れて見舞いに行った。その帰り、強風によって倒れた街路樹がベビーカーに乗っていた翔太を直撃。幼い命は助からなかった。事故の真相を追う聡が突き止めたのは、「誰にでも心当たりのある」小さな罪の連鎖だった。
誰も謝罪をせず、誰もが人のせいにし、自分の責任を認めない。追い込まれた父親と母親は、幼い息子を失った悲しみと怒りの矛先を、自分自身に向けていくことを余儀無くされる。
2018年9月にメ~テレ開局55周年記念作品としてテレビ朝日系列にて放送されたが、2019年6月に開催された第22回上海国際映画祭より公式招待を受け、異例のインターナショナル・プレミア上映が行われた。香港での劇場公開が決定するなど海外でも劇場公開が決定している。日本でも9月21日(土)よりユーロスペースにて1週間限定の特別上映が緊急決定。
テレビ版ではなく劇場用ディレクターズカット版が上映される。
<石井裕也監督コメント>
『乱反射』が劇場で公開されることは悲願でした。製作時から、キャスト・スタッフの方々と共に劇場公開を目指していました。同時に、海外へもどんどん展開していこうという野望を持っていました。それらが現実となり、とても嬉しく思います。撮影したのは2017年の7月ですが、「責任の所在がハッキリしない日本社会の縮図」でもあるこの作品は、全く色褪せていません。テレビで一度ご覧になった方も、よりダイナミックになった映画版『乱反射』を楽しんでいただけると思います。
街路樹が倒れる瞬間にそのそばを通っていたという不運なタイミングの一致だけがこの事故の原因ではない。街路樹は定期的に点検が行われるが、その木だけ点検が行われていなかった。それはその木の根元に犬の糞がたくさんあったため、極度の潔癖症の造園業者は点検ができなかったのだ。なぜ、その木の根元だけ糞がたくさんあったのか。それは愛犬と散歩をする老人が腰を屈めるのが辛いという理由でいつもその木の根元に放置していたから。
聡は新聞記者という仕事柄、いろいろ調べ上げていく。すると、このほかにも様々な偶然が重なった結果、事故が起こったことが明らかになる。これらはどれも「このくらい大丈夫」というちょっとした公共心の欠如。だから誰も自分のせいだとは思わない。散歩する老人は事故のニュースを見たとき、自分の愛犬が下敷きにならなくてよかったと胸をなでおろす。演じた田山涼成のしれっとした顔は見ていて怒りを覚えるほど。しかし、老人に怒りを感じた自分も実は意識せずに公共心の欠ける行動をしているかもしれない。被害者の聡も別のところで公共心に欠ける行動を取っていたのだから。(堀)
【トークショー情報】
9月22日(日) ゲスト:石井裕也監督、妻夫木聡さん
9月23日(月) ゲスト:石井裕也監督、北村有起哉さん
9月24日(火) 英語字幕付き上映 ゲスト:未定
9月25日(水) ゲスト:芹澤興人さん、前野朋哉さん
2018年/日本/カラー/5.1ch/94分
配給:フリーストーン
©メ~テレ2018
公式サイト:https://www.nagoyatv.com/ranhansya/special/
★2019年9月21日(土)よりユーロスペースにて1週間限定の特別上映