2019年09月07日

ある船頭の話

aru.jpg

脚本·監督:オダギリ ジョー
撮影監督:クリストファー·ドイル
衣装デザイン:ワダエミ
音楽:ティグラン・ハマシアン.
出演:柄本明、川島鈴遥、村上虹郎/伊原剛志、浅野忠信、村上淳、蒼井優/笹野高史、草笛光子/細野晴臣、永瀬正敏、橋爪功

のどかな山奥の村。河原の小屋に暮らす渡し舟を営む船頭トイチ。
明治から大正へと時代が移ろい、川の少し上流には橋が出来つつある。これまで町に出るのに渡し舟が頼りだった村の人たちは、完成を楽しみにしている。
そんなある日、川を流されてきた少女が舟にぶつかる。トイチは少女を助け、小屋で一緒に暮らし始める。過去を何も語らない少女だが、孤独だったトイチは癒される。一方で、トイチの人生は大きく狂い始める・・・

町に出るのに渡し舟だけが頼りだった村の人たちにとって、橋が出来ることはほんとに有難いこと。なにより、一刻を争うような病に罹ったときには、命拾いできるかもしれない。橋の完成を待ち望む人たちと接しながら、複雑な思いでいる船頭を柄本明が体現している。
俳優オダギリジョーが、10年前に書きとめた物語をもとに脚本を書き、自ら監督を務めた初長編作品。これまでの俳優人生の中で培った交友をもとに集めたキャストとスタッフが実に豪華。
近代化の中で、ほんとうの幸せとは何かを問いかける作品。
クリストファー・ドイルが切り取った日本の風景が実に美しい。(咲)

客のよもやま話に耳を傾けつつ、櫂をくゆらせるように渡し舟を漕ぐ船頭。圧倒的な柄本明の存在感。その船頭に自らの存在意義を考えさせることで利便性による人間らしさの喪失に警鐘を鳴らす。
伊原剛志、浅野忠信、村上淳、蒼井優、笹野高史、草笛光子。向こう岸に渡るだけの出演に個性あふれる俳優たちを起用。監督の人脈がうかがわれる。
撮影はクリストファー・ドイル。オダギリジョーが出演した『宵闇真珠』で知り合った。青みが強く硬質な画に川と空の青、山の緑が映え、挟み込まれる実景の美しさに息を飲む。(堀)


DSCF0778 sendo  320.JPG


オダギリジョー長編初監督作品『ある船頭の話』完成披露舞台挨拶



2019年/137分/PG12/日本
配給:キノフィルムズ
公式サイト:http://aru-sendou.jp/
(C)2019「ある船頭の話」製作委員会
★2019年9月13日(金)より新宿武蔵野館ほか全国公開
posted by sakiko at 09:42| Comment(0) | 日本 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする