劇場公開日 2019年9月6日
© 2018 National Geographic Partners, LLC. All rights reserved.
監督:エリザベス・チャイ・バサルヘリィ ジミー・チン
製作:エリザベス・チャイ・バサルヘリィ ジミー・チン エバン・ヘイズ シャノン・ディル
製作総指揮:ウォルター・パークス ローリー・マクドナルド ティム・ポス トレ マット・レナー
撮影:ジミー・チン クレア・ポプキン マイキー・シェイファー
編集:ボブ・アイゼンハルト
音楽:マルコ・ベルトラミ
音楽監修:トレイシー・マクナイト
主題歌:ティム・マッグロウ
出演
アレックス・オノルド
トミー・コールドウェル
ジミー・チン
サンニ・マッカンドレス
人類史上最大の挑戦と呼ばれる前人未踏のクライミング、
その驚異の全貌に世界中が息をのんだ傑作ドキュメンタリー!
身体を支えるロープや安全装置を一切使わずに山や絶壁を登るという、最もシンプルで、最も危険な究極のクライミング・スタイル“フリーソロ”。そのスタイルで岸壁を登ることで知られるスーパーロッククライマー、アレックス・オノルド。彼には壮大な夢があった。それはカリフォルニア州中央部のヨセミテ国立公園にそびえ立つ断崖絶壁エル・キャピタンにフリーソロで登ること。この世界屈指の危険な断崖絶壁は世界のロッククライマーたちの憧れの岸壁だが、まだフリーソロで登りきった者がいないフリーライダーと呼ばれる約975メートルのルートを登りたいと思っていた。
この作品は、彼がその前人未到の壁に挑戦する、緊迫感迫るクライミングに密着したドキュメンタリーである。ほぼ垂直に近いような岩壁をロープなしで登るということは、一歩間違えれば墜落死を免れない。何度も何度も試登を繰り返し、失敗も経験。いろいろなところに出かけては登攀訓練を重ねる。
このルートを攻略するには「正確な地図」が必要と考え、憧れの存在であるベテランのプロクライマー、トミー・コールドウェルとともに、現地でのトレーニングを開始した。危険ヶ所のイメージをつかむため、ロープを使って登攀を試みたが、途中で足を痛めてしまった。それでも諦めず訓練を続ける。入念に準備を重ねたアレックスは、2017年6月3日、ついにエル・キャピタンへの挑戦を開始。そして、アレックス・オノルドはついに登頂に成功した。
アレックスの登攀を臨場感あふれる映像に収めたのは、自身も高い登攀技術を持ち、ヒマラヤ山脈メルー中央峰にそびえる岩壁“シャークスフィン”攻略にも参加したジミー・チンと仲間たち。撮影者も高い登攀技術がなければ、こんな映像は撮れなかった。共同監督はジミーのパートナーであるエリザベス・チャイ・バサルヘリィ。『フリーソロ』は、第91回アカデミー賞長編ドキュメンタリー賞を受賞したが、エリザベス・チャイ・バサルヘリィ&ジミー・チンの前作『MERU/メルー』(2015)も高い評価を得ている。
『MERU メルー』HP
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アレックスの葛藤だけでなく、映像チームの葛藤も描かれる。撮影チームがいるために、彼の集中力がそがれるのではないかという会話も出てくる。彼の登攀の邪魔にならないようなアングルを考えたりという工夫も描かれる。こんなすごい登攀を描こうと思ったら、上下から狙うだけでなく、いろいろなアングルからの撮影が必要だが、「登攀の邪魔にならないように」というのが鉄則。
このナショナル ジオグラフィック ドキュメンタリー フィルムズ製作による映画『フリーソロ』は世界各国で大反響を巻き起こし、アメリカ、イギリス、オーストラリアなどでドキュメンタリーとしては異例の爆発的ヒットを記録したそう。
生と死が隣り合わせの登攀現場、人間離れしたアクロバチックな登攀光景の連続で、観るものは、手に汗握る。アクシデントが起こるのではないかとヒヤヒヤしながら観ていた。
そして、ヨセミテの素晴らしい絶景。これを観たらぜひ行ってみたいと思わずにはいられない。写真をやっているものなら、アンセル・アダムスのヨセミテのハーフドームの写真に魅了された人が多いと思うけど、ロッククライマーはそのそばにある、このエル・キャピタンに憧れをいだいていると知った。
トミー・コールドウェル、アレックス・オノルドのペアは、その後、2018年6月6日、に、エル・キャピタンのThe Noseを1時間58分7秒で登り、2時間切りを達成したそう。この記録はまだ敗れられていないらしい。
ちなみにジミー・チンはエベレストからスキー滑降した唯一のアメリカ人らしい。こういう人が、写真や映像の技術を身に着けたから、これまでより、すごい山岳映画がどんどん出てきているのかも(暁)。 フリーソロとは命綱など一切使わず、丸腰で岸壁を登るスタイル。ほんの少しの窪みに指先やつま先で体を預け、それをカメラが捉える。世界屈指の危険な断崖絶壁に挑む男性だけでなく、カメラに収めるスタッフも危険と隣り合わせ。ピリピリとした空気の中、緊張感が走る。本人の緻密な準備とクライマーの精神的負担にならないようにというスタッフの配慮。成功に向かってすべてを1つに。臨場感たっぷりで息遣いまで伝わってくる。自然の美しさも違って見えた。(堀)2018年製作/100分/G/アメリカ
配給:アルバトロス・フィルム
『フリーソロ』公式HP●シネマジャーナルでは、本誌83号と91号で山に関する映画特集をしています。
興味がある方がいましたら、ぜひ購買ください。また、HPでも山の映画に関する記事がいくつかありますので、良かったらアクセスしてみてください。
【シネマジャーナル本誌】
☆
シネマジャーナル83号 2011 秋冬
*女たちの映画評
山好きから観た山岳映画
『劔岳 点の記』『岳 ―ガク―』『アイガー北壁』『127時間』『ヒマラヤ 運命の山』
☆
シネマジャーナル No. 91 2014 夏
*今年、続々公開される山岳映画 古典~最新作まで
・『K2 初登頂の真実』 『春を背負って』 『クライマー パタゴニアの彼方へ』 『アンナプルナ南壁 7400mの男たち』 『ビヨンド・ザ・エッジ 歴史を変えたエベレスト初登頂』
1920年代に製作されたレニ・リーフェンシュタールの出演作『死の銀嶺』『モンブランの嵐』
・女性世界初エベレスト登頂者田部井淳子さんとヒラリー卿の子息ピーター・ヒラリーさんのトークショー
【シネマジャーナルHP】特別記事
☆『ビヨンド・ザ・エッジ 歴史を変えたエベレスト初登頂』公開記念
女性世界初エベレスト登頂者 田部井淳子 &エドモンド・ヒラリーの子息ピーター・ヒラリー トークショー
2014年5月16日
http://www.cinemajournal.net/special/2014/bte/☆『クライマー パタゴニアの彼方へ』デビッド・ラマ インタビュー
2014年8月28日
http://www.cinemajournal.net/special/2014/climber/index.html☆『エヴェレスト 神々の山嶺』完成報告会見
2015年12月14日
http://www.cinemajournal.net/special/2016/everest/index.html☆『ヒマラヤ~地上8,000メートルの絆~』
対談≪韓国の伝説的登山家オム・ホンギル × 野口健
2016年6月14日
http://www.cinemajournal.net/special/2016/himalaya/index.html☆『クレイジー・フォー・マウンテン』ジェニファー・ピードン監督インタビュー
2018年07月20日
http://cineja-film-report.seesaa.net/article/460612615.html
posted by akemi at 21:14|
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