2019年07月07日

カニバ パリ人肉事件38年目の真実   原題:Caniba

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監督・撮影・編集・製作:ルーシァン・キャステーヌ=テイラー、ヴェレナ・パラヴェル(『リヴァイアサン』)
出演:佐川一政、佐川純(弟)、里見瑶子

1981年6月、パリ第3大学の博士課程に在籍していた当時32歳の佐川一政が、同級生のオランダ女性を殺害し、屍姦し、さらにその肉を食べたというニュースが世界を駆け巡った。
本作は、その佐川一政に2015年6月から約1ヵ月間密着したドキュメンタリー。
ハーバード大学感覚民族誌研究所のディレクターでもある人類学者で映像作家のルーシァン・キャステーヌ=テイラーと同研究所所属の映像作家ヴェレナ・パラヴェルの二人が、「カニバリズム」の意味を問う意図で製作したものだ。
カニバリズムとは、人間が人間の肉を食べる行動、あるいは習慣。

このおぞましい事件のことは、今でも鮮明に覚えている。あれからもう38年も経ったのかと思うほどだ。テレビで生い立ちや家庭環境なども詳細に報道された。父親は大手企業の社長。それなりに育ちのいい青年。両親はどんな思いだろうとも心配した。
そして、時を経て、このドキュメンタリー。その後の彼を知り、事件を知った当時よりもさらに驚愕した。あれだけ世界を震撼させた男が、罪に問われることなく、自由人としてのうのうと暮らしてきたというのだ。それも、自身の犯罪をネタに漫画や随筆など数多くの執筆をし、アダルトビデオ出演作の中では犯罪の状況を再演をしているものもあるのだ。佐川が人の肉を食べたいという欲求は、病床にある今も健在のようで、さらに驚かされた。
密着取材した映像のほかに、神戸で暮らした幼い頃の8ミリのホームムービーも織り込まれている。弟と二人、まるで双子のように仲良くはしゃぐ姿が映されているのだが、私の眼は後ろの山にくぎ付けに。私の住んでいた神戸の家の裏山にそっくりだった。もしかして近所に住んでいたのだろうか・・・ (咲)


留学先のパリで恋する人を殺して食べてしまった佐川一政は2013年に脳梗塞で倒れ、以来、弟の介護を受けて生きている。カメラは本人と弟を超至近距離で捉え、暑苦しいくらいにスクリーンから迫ってきた。見えてくる事件の本質。弟は「相談してくれれば回避する方法もあったのに」という。しかし、弟が語る方法は本当に回避したことになるのか。事件について本人が描いたコミックやかつて出演したAVなども映し出す。とんでもないと驚いたが、後半にはそれを超えると感じる事実が判明。その辺りから主人公は佐川一政本人ではなく、弟になってくる。世の中、いろいろな人がいるのは分かっているが、自分との違いに恐ろしくなった。(堀)

ヴェネチア国際映画祭オリゾンティ部門審査員特別賞
シネマ・アイ・オナーズ賞で佐川一政がアンフォゲッタブルズ賞受賞

2017年/フランス・アメリカ/90分
配給:TOCANA
公式サイト:http://caniba-movie.com/
★2019年7月12日(金)ヒューマントラストシネマ渋谷ほか全国順次公開



posted by sakiko at 22:37| Comment(0) | 日本 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

ハッパGoGo 大統領極秘指令(原題:Get the Weed) 

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監督:デニー・ブレックナー、アルフォンソ・ゲレロ、マルコス・ヘッチ
原案:デニー・ブレックナー
脚本:デニー・ブレックナー、アルフォンソ・ゲレロ、マルコス・ヘッチ
撮影:アルフォンソ・ゲレロ、マルコス・ヘッチ
出演:デニー・ブレックナー、タルマ・フリードレル、グスタポ・オルモス、イグナシオ・ロケ、ペペ・ムヒカ(友情出演)

南米のウルグアイ政府が世界で初めてマリファナを合法化される。当時のホセ・ムヒカ大統領は「麻薬密輸業者(ナルコス)と戦うための大いなる実験だ」と法案に署名し、国が栽培と販売を統括し、薬局において1グラム1ドルで売ると発表した。
薬局を営むアルフレド(デニー・ブレックナー)は、苦しい経営状況を打開するために、早速、試験販売として、ブラウニーにマリファナを混ぜて売り始める。噂が噂を呼び、薬局には長蛇の列。テレビが取材に訪れるまでになったが、実は、密売業者からマリファナを入手していたことがバレて、逮捕され、独房に入れられる。
一方、法案成立から数ヶ月たっても、栽培が始まらず、人々は徐々に不満をつのらせ、議会に押し寄せるようになっていた。任期満了を控えた大統領は、国外の供給ルートを探ることにし、独房にいたアルフレドに釈放と引き替えに、歴史的なオバマ大統領との会談までに米国でマリファナ50トンを手に入れろ!と極秘指令を出す。
母タルマ(タルマ・フリードレル)と共に米国に渡るアルフレド。「ウルグアイ合法大麻会議所」をねつ造し、コロラド州デンバーで行われる「420ラリー」や「カンナビス・カップ」を通して、米国マリファナ業界に潜入する。垣間見える米マリファナ業界の事実。ウルグアイからの助っ人警察官タトと共に、果たして大統領のからの指令を遂行することができるのか?

大麻を合法化したのに売るべき大麻がない! ウルグアイの大統領から密命を受け、アメリカに販売ルートを開拓しに行った息子と母、警察官の珍道中をドキュメンタリータッチで描く。監督が主演し、実母が母役で出演。母は素人とは思えない大胆な振る舞いで作品を牽引する。麻薬密輸組織の温床と言われるラテンアメリカの国から大麻を輸入させてくれと言われたときのアメリカ人の反応は興味深い。アメリカで知り合う麻薬の関連団体の関係者たちは本物? 駐米ウルグアイ大使は? どこまでが事実? すべてが気になってしまう。(堀)

2017年/ウルグアイ=米国/カラー/75分
配給:Action Inc.+Smoke
© 2019 Action Inc.All rights reserved
公式サイト:https://www.8855movie.com/
★2019年7月13日(土)ロードショー
posted by ほりきみき at 17:03| Comment(0) | ウルグアイ | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

ミュウツーの逆襲 EVOLUTION

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原案:田尻 智
監督:湯山邦彦・榊原幹典
脚本:首藤剛志
声の出演
サトシ/松本梨香 ピカチュウ/大谷育江
ムサシ/林原めぐみ コジロウ/三木眞一郎 ニャース/犬山イヌコ 
ナレーション/石塚運昇
特別出演/市村正親 小林幸子 山寺宏一

「清らかな心と、会いたいと強く願う気持ち」その二つをもつ冒険者の前にだけ姿を現すという幻のポケモン・ミュウ。全てのポケモンの“はじまり”と言われ、世界中のポケモン研究者が行方を追うなか、ついに一人の科学者がミュウの化石を発見する。それを元に最強のポケモン・ミュウツーが作られた。存在する理由も分からないまま、最強の兵器としての実験を繰り返されるミュウツーは、その心の中に、自分を生み出した人間に対する憎悪の念を宿していく。

1998年に公開された記念すべきポケモン映画シリーズ1作目となる「劇場版ポケットモンスター ミュウツーの逆襲」。アニメーション映画として1998年の年間興行収入ランキング1位に輝き、全米においては日本映画興行収入歴代1位の記録を未だに保持している。ポケモン映画シリーズの原点にして頂点と言われている伝説の映画がフル3DCGとなった。子どもと一緒に赤・緑に夢中になった世代としては懐かしい。
人工的に作られたポケモンが自らの存在意義を問う。第1作目でこの深遠なテーマはかなりチャレンジだった。「ここはどこだ…。わたしは誰だ…」VCの市村正親の声が心に響く。なんと、本作でも市村正親が声をあてた。全然変わっていない気がする。ボイジャーさんの小林幸子はさすがに少し老けた感があるけれど。


♪いつもいつでもうまくいくなんて、保証はどこにもないけど(そりゃそうじゃ)、いつでもいつも本気で生きてる、こいつたちがいる~♪

この松本梨香の「めざせポケモンマスター」はいつ聴いても元気がもらえる! 何度、育児の辛さを助けられたか。本作でもしっかり流れてきて、思わず涙が出てきた。(堀)

2019年/日本/100分
配給:東宝
©Nintendo・Creatures・GAME FREAK・TV Tokyo・ShoPro・JR Kikaku ©Pokémon ©2019 ピカチュウプロジェクト
公式サイト:https://www.pokemon-movie.jp/
★2019年7月12日(金)全国東宝系にてロードショー


posted by ほりきみき at 16:24| Comment(0) | 日本 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

シンク・オア・スイム イチかバチか俺たちの夢(原題Le grand bain、英題SINK OR SWIM) 

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監督:ジル・ルルーシュ 
脚本・脚色:ジル・ルルーシュ、アメッド・アミディ、ジュリアン・ランブロスキーニ 
出演:マチュー・アマルリック、ギョーム・カネ、ブノワ・ポールヴールド、ジャン=ユーグ・アングラード

2年前からうつ病を患い、会社を退職して引きこもりがちな生活を送っているベルトラン(マチュー・アマルリック)。子供たちからは軽蔑され、義姉夫婦からも嫌味を言われる日々をどうにかしたいと思っていたある日、地元の公営プールで「男子シンクロナイズド・スイミング※」のメンバー募集を目にする。途端に惹きつけられたベルトランはチーム入りを決意するが、そのメンバーは、妻と母親に捨てられた怒りっぽいロラン(ギョーム・カネ)、事業に失敗し自己嫌悪に陥るマルキュス(ブノワ・ポールヴールド)、内気で女性経験のないティエリー(フィリップ・カトリーヌ)、ミュージシャンになる夢を捨てられないシモン(ジャン=ユーグ・アングラード)など皆、家庭・仕事・将来になにかしらの不安を抱え、ミッドライフ・クライシス真っただ中の悩めるおじさん集団だった。
元シンクロ選手のコーチ、デルフィーヌ(ヴィルジニー・エフィラ)のもと、あらゆるトラブルに見舞われながらもトレーニングに励むおじさんたち。そして無謀にも、世界選手権で金メダルを目指すことになる。

※ 2017年7月22日、国際水泳連盟が種目名を「シンクロナイズド・スイミング」から「アーティスティックスイミング」に変更すると発表。伴い、日本水泳連盟も2018年4月1日から種目名等を「アーティスティックスイミング」に一斉に変更した。

男子のシンクロナイズド・スイミングといえば、『ウォーターボーイズ』(2001年)を思い出すだろう。妻夫木聡や玉木宏といったイケメン俳優が出演して評判になり、2003年にはテレビドラマにもなった。こちらには山田孝之、森山未來、瑛太、田中圭らが出演。引き締まった若い体のイケメンの宝庫だった。
ところが、本作ではヨーロッパを代表する演技派俳優たちがぽてぽてのお腹を揺らしながら振付の練習をする。自分の姿を棚に上げ、つい笑ってしまう。本作は原題『Le grand bain』が「大浴場」を、英題『SINK OR SWIM』が「いちかばちか」を意味するように、人生の折り返し地点を過ぎ、家庭や仕事、将来に惑う8人の中年男性が大浴場(プール)を舞台に、いちかばちかの再起に挑む姿を描いたヒューマン・コメディである。
練習しても技が決まらず、こんな調子ではフランスを代表して参加した大会で失態を見せてしまうのではとこちらまでハラハラ。現地入りすれば、ライバルたちの引き締まったお尻に経験の差を感じる。本番はどうなるのか? 若者にはない、大人の経験と貫禄が抜群の照明効果と相まって、彼らの演技と思いを魅せる。思わず立ち上がって拍手がしたくなる作品だった。(堀)


2018/フランス/スコープサイズ/カラー/フランス語/DCP/5.1ch/PG-12/122分
配給:キノフィルムズ/木下グループ
©2018 -Tresor Films-Chi-Fou-Mi Productions-Cool industrie-Studiocanal-Tf1 Films Production-Artemis Productions
公式サイト:http://sinkorswim.jp/
★2019年7月12日(金)新宿ピカデリー、ヒューマントラストシネマ渋谷他ロードショー

posted by ほりきみき at 15:17| Comment(0) | フランス | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする