2019年07月28日

藍色少年少女

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監督・ 脚本:倉田健次
撮影:菅野宏彰
音楽:加藤久貴
挿入歌:(作詞・作曲)遠藤芳晴、遠藤幸恵
制作:溝本行彦
出演:遠藤史人、三宅花乃、広澤草、結城貴史、野田幸子、前川正行

かつては子供だった
すべての少年少女に捧げるー
青い鳥を追い求める心の旅の物語

里山で元気に走り回っている少年テツオ。今年も福島から「保養」のために子どもたちがやってきた。向こうでは普段外で遊べないんだそうだ。ここなら遊ぶところはいっぱいある。そうそう、遊んでばかりはいられない。今年は「青い鳥」の劇をすることになったんだ。青い鳥ってどこにいるんだ? いろんな大人に聞いてみるけれど、答えが違う。

相模原市の自然豊かな藤野。芸術家も集まるこの地では、東日本大震災の2年後から夏休みに福島の子どもたちを受け入れています。「保養」のため招かれた子どもたちと、地元の子どもたちの交流がこんな形で行われているのを初めて知りました。ちょっとスナフキンを思わせる帽子の男性や、訳ありそうなガラス作家の女性も子どもたちに関わります。「青い鳥」の物語は、最後に探し求めていた青い鳥が自分の身近にいたと結ばれますが、さてこの作品は?
テツオくんとシチカちゃんが子役としてでなく、そこで生きていました。白黒作品であるせいか、現代でなく自分の子どもの頃もおもいだすような、なつかしさのある作品です。(白)


2016年/日本/モノクロ/130分
配給:アルミード
(C)藍色少年少女製作委員会
http://fujino-kidstheater.net/aiiro/
★2019年7月26日(金)より夏休みロードショー2018年/日本/カラー/シネスコ/110分
posted by shiraishi at 19:59| Comment(0) | 日本 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2019年07月27日

北の果ての小さな村で(原題:Une annee polaire)

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監督・脚本・撮影:サミュエル・コラルデ
脚本:カトリーヌ・パイエ
音楽:エルワン・シャンドン
出演:アンダース・ヴィーデゴー、アサー・ボアセン、ガーティとトマシーネ、ジュリアス

グリーンランド東部に人口80人の小さな村チニツキラークがある。村の小学校にデンマークから28歳の青年教師アンダースが赴任してきた。アンダースは7代も続いた農家の一人息子だった。親の希望は後を継ぐことと知ってはいたが、ほかの仕事を経験したくてわざわざ不便なこの村での生活を選んだのだ。
しかし、やんちゃな子どもたちは新米教師の言うことを聞いてくれない。自然は想像以上に厳しく、自分の予想が甘かったことを早々に思い知る。土地の言葉を学ばずにやってきたアンダースは、村でもなかなか受け入れてもらえない。ある日、連絡なしに学校を休んだアサーの家を訪問したアンダースは、苦言を呈するつもりだったが、逆に狩猟で暮らす少年の祖父母からさまざまなことを教わることとなる。

アンダースが教師の希望を出したとき、役所の担当者に「デンマーク語を教えるのだから土地の言葉は覚えなくてよい」と言われます。外国語の授業でその国の言葉を使わない、というのは聞きますが、暮らしていく上で土地の言葉を身につけるのは必須でしょう?かつてはデンマークの植民地だったこと(1979年より自治政府)が影響しているのか、なんだか見下しているように見えます。
家業を素直に継げないアンダース、両親は後継者がとぎれるのが不安、どちらの気持ちもわかります。これは世界中普遍の悩みですね。
この大きな身体の優しそうなアンダースと村の人々は俳優ではなく、全て本人。ドキュメンタリーは今そこにあるものを映していますが、これは本人たちに少し前の自分たちを再現してもらっているようです。サミュエル・コラルデ監督はいつもこの手法を使うそうで、どんな風に演出しているか覗いてみたくなります。
普段見る地図は上下が広がっているメルカトル図法ですが、地球は丸くて極地からアラスカはすぐ近く。住民の顔立ちはヨーロッパとは違って親近感があります。北極圏のグリーンランドは日本の5倍の面積ですが、ほとんどが凍土で中央部には人が住めません。島の周囲に5万7千人(!)ほどが住んでいるそうです。厳寒期でないとき一度行ってみたいものです。(白)


『北の果ての小さな村で』sub6.jpg


「郷に入っては郷に従え」ということわざがあります。これはまさにそのことを伝える作品でした。
最初、自分の価値観を押し付けようとしたアンダースでしたが、ここの自然と、人々の知恵、暮らしぶりに触れ、溶け込もうとする姿がとても良かった。彼らと生活していく中で、ここの文化、歴史、言葉、狩りの方法などを知っていく。厳しくも美しい自然の中で、イヌイットたちは分け合って生活するという知恵を身に着けて生きてきた。
アンダースは故国デンマークから逃げるようにこの地にやってきて、自分の価値観が打ち砕かれたけど、かわりにこのグリーンランドの地で、新しい価値観と出会い、その中で生きていく道を選んだ。きっとデンマークに帰ってからも、ここで培ったことが生きていく糧になっていくのでしょう(暁)。


2018年/フランス/カラー/シネスコ/94分
配給:ザジフィルムズ
(C)2018 Geko Films and France 3 Cinema
http://www.zaziefilms.com/kitanomura/
★2019年7月27日(土)ロードショー
posted by shiraishi at 09:14| Comment(0) | フランス | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

ブレス あの波の向こうへ(原題:Breath)

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監督:サイモン・ベイカー
脚本:ジェラルド・リー、サイモン・ベイカー、ティム・ウィントン
原作:ティム・ウィントン
出演:サイモン・ベイカー(サンドー)、エリザベス・デビッキ(イーヴァ)、サムソン・コールター(パイクレット)、ベン・スペンス(ルーニー)、リチャード・ロクスバーグ(パイク氏)、レイチェル・ブレイク(パイク夫人)

70年代のオーストラリアの海辺の町。内気な少年のパイクレットと好奇心でいっぱいのルーニーは正反対の性格ながら、毎日一緒に楽しく過ごしていた。ある日サーファーのサンド―と知り合い、二人はサーフィンを教わることになった。サンド―の家に通うようになって、彼が有名なサーファーだったことを知る。これまでと違って二人には「あの波に乗りたい」というはっきりした目標ができた。自分のボードを手に入れるために働き、技術を覚え、と、二人の毎日は充実していく。

俳優のサイモン・ベイカーが、オーストラリアで権威ある文学賞を得たティム・ウィントンの原作をもとに初監督・脚本・出演もした青春映画。主演の少年たちが初々しいですが、それもそのはず。サーフィンを一から覚えるより、演技をするほうが楽、とサーファーの少年たちからパイクレットとルーニー役を選んだのだそうです。
人生を変えてしまうような大人との出会い、つるんで遊んでいれば楽しかった友人に感じ始めるライバル心。サーフィンだけでなく、日々変化し成長していく自分。青春に不可欠な要素が詰まっていて『スタンド・バイ・ミー』を思い出します。
エリザベス・デビッキがサンド―の妻イーヴァ役。こういう美しくて謎めいた大人の女性に会えるのは少年の夢かもね、と思ってしまいました。(白)


2017年/オーストラリア/カラー/ビスタ/115分
配給:アンプラグド
(C)2017 Screen Australia, Screenwest and Breath Productions Pty Ltd
http://breath-movie.com/
★2019年7月27日(土)新宿シネマカリテほか全国順次公開
posted by shiraishi at 09:09| Comment(0) | オーストラリア | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2019年07月25日

あなたの名前を呼べたなら   原題:Sir

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監督:ロヘナ・ゲラ
出演:ティロートマ・ショーム、ヴィヴェーク・ゴーンバル、ギーターンジャリ・クルカルニー

インドの大都市ムンバイで住み込みの家政婦をしているラトナ。
高原の村に里帰りしていたラトナは、突然雇い主に呼び戻される。仕える建設会社の御曹司アシュヴィンの結婚式が婚約者の浮気で直前にキャンセルになったのだ。
傷心の旦那様アシュヴィンに気遣いながら世話をする日々。広いマンションだが、それほど家事に時間もかからないので、午後のひと時、仕立ての勉強をしに行きたいと旦那様にお願いする。それをきっかけに、アシュヴィンはラトナの夢がデザイナーになることだと知る。さらに、結婚して4か月後の19歳のときに夫に先立たれ、「未亡人になったら人生終わり」というラトナに、「誰でも夢を持っていい」と励ます。実はアシュヴィン自身、アメリカでライターとして働いていて、作家になるのが夢だったが、兄が急逝し、家業を継がなければならなくなったのだ。アシュヴィンはラトナの夢が叶うようにと、何かと配慮して優しくする・・・

まだまだカーストや階級が社会規範になっているインドで、身分の違いを越えて心を通わす二人、そしてデザイナーとして自立したいと願う女性の姿を、しっとり味わい深く描いた物語。
なにより、家政婦に人間らしく優しく接する旦那様アシュヴィンに心惹かれました。演じたヴィヴェーク・ゴーンバルは、アートハウス系の映画製作会社ズー・エンターテインメントの創設者で、同社が手掛けた『裁き』(チャイタニヤ・タームハネー監督)ではプロデューサーだけでなく熱血弁護士として出演もしています。
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(C)2017 Inkpot Films Private Limited,India
本作では、物静かで知的な旦那様なのですが、映画祭で賞を受けて喜びのスピーチをしている姿は、とても陽気な感じでちょっとイメージが違いました。演技者としての彼自身の力もありますが、ロヘナ・ゲラ監督の演出の賜物でしょう。

そして、ラトナを演じたティロートマ・ショームもデビュー作の『モンスーン・ウェディング』や、これから日本で公開される『ヒンディー・ミディアム』でのお受験コンサルタントとしてのテキパキした女性とは全く違う雰囲気。ラトナの出身地の言葉であるマラーティー語を学んで本作に臨んだそうです。
身分違いの恋は、まだまだインドでは受け入れられないこと。タブーに果敢に挑戦したロヘナ・ゲラ監督にエールをおくりたいです。(咲)


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『あなたの名前を呼べたなら』ロヘナ・ゲラ監督インタビュー
©mitsuhiro YOSHIDA/color field

2018年/インド,フランス/インド、フランス/ヒンディー語、英語、マラーティー語/99分
提供:ニューセレクト
配給:アルバトロス・フィルム
公式サイト:http://anatanonamae-movie.com
★2019年8月2日(金) Bunkamuraル・シネマ他全国順次公開






posted by sakiko at 21:39| Comment(0) | インド | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

グッド・ヴァイブレーションズ 原題:GOOD VIBRATIONS

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監督 リサ・バロス・ディーサ、グレン・レイバーン
脚本 コリン・カーベリー、グレン・パターソン
出演 リチャード・ドーマー、ジョディ・ウィッテカー、マイケル・コーガン、カール・ジョンソン、リーアム・カニンガム、エイドリアン・ダンバー、ディラン・モーラン

1970年代、北アイルランドに住むテリー・フーリーは、ルースという女性と出会い結婚を決意する。生計を立てるためレコード店「GOOD VIBRATIONS」を開店した後、パンクロックに夢中な若者たちが集うライブハウスを訪ね、理不尽な権力にパンクで立ち向かう若者たちの姿に衝撃を受ける。

まさか!北アイルランドのベルファスト・パンク映画が観られるとは思わなかった。製作から7年の時を経て日本公開…。少数派の(?)パンクファンにとっては想定外の喜びに踊り出したくなってしまう♪

U2の名曲「Sunday Bloody Sunday」をこよなく愛する身としては、'72年、北アイルランドのロンドンデリーで起きた虐殺事件については知っているつもりでいた。加えてベルファストが紛争地帯だということも…。当時のニュース映像が流されはするが、本作は政治的な映画ではない。
「爆弾横丁」(!)と呼ばれる通りに、1人の音楽好きの男がレコード店を開くところから発展する実話。ハンク・ウィリアムズのカントリー音楽(パンクと真逆でしょ(笑))など聴いていた男が、パンクロックに啓示を受けたように触発され、インディーズ・レーベルまで立ち上げてしまうのだ。

日本ではマイナーなバンドや楽曲群が次々とスクリーンから飛び出さんばかりに現出してくる。その熱量たるや、まるで当時のクラブシーンや紛争の最中(さなか)へ送り込まれたような臨場感がある。ベルファスト・パンクを知らない人でも十分に楽しめる映画だ。それは製作スタッフ、2人の監督・脚本家、出演者に至るまで、心の底から音楽を映画を愛している純粋な想いが伝わるからだろう。
北アイルランド、パンク、ブリティッシュロックのファンは必見!ジョー・ストラマーの言葉で締めくくられるラストには胸熱だ。(幸)


2012年 イギリス・アイルランド合作/103分/PG12/カラー/シネマスコープ/DCP
配給 SPACE SHOWER FILMS
(C) Canderblinks (Vibes) Limited / Treasure Entertainment Limited 2012
公式サイト:http://good-vibrations-film.com/
8月3日(土)より新宿シネマカリテほかにて公開
posted by yukie at 12:44| Comment(0) | イギリス | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする