2019年06月04日
クリムト エゴン・シーレとウィーン黄金時代 原題 Klimt & Schiele - Eros and Psyche
監督 ミシェル・マリー
製作総指揮 ベロニカ・ボッタネッリ
脚本 アリアンナ・マレリ
撮影 マテウス・シュトレツキ
日本語ナレーション 柄本佑
出演 ロレンツォ・リケルミー、リリー・コール
「ユディトI」「接吻」といった作品で知られ、ウィーン分離派で中心的役割を果たしたグスタフ・クリムト。そのクリムトと深い関わりを持ち、「自画像」「死と乙女」などの作品を残したエゴン・シーレ。二人は人間の不安や恐れ、エロスを描き、革新的な作品を生み出した。彼らの作品を所蔵する美術館などを巡りながら、ウィーンの黄金時代を紹介する。
「クリムト展 ウィーンと日本 1900」とのタイアップで公開されるため、アート好きならずとも観るには絶好のタイミングではないだろうか。俳優の 柄本佑が日本語ナレーションを務めており、分かりやすく聴きやすい
ドキュメンタリーとなっている。
若くして夭逝した異端の画家エゴン・シーレの狂おしいまでの性愛表現・自我の解放には、28年間の短い創作活動が凝縮されているようで胸が詰まった。
本作の興味深さは、絵画のみならず、当時のウィーンに於ける音楽、建築、文学などにも新しい概念が顕在化したムーブメントを伝え、活写している点だ。
コルセットと封建主義から解放したモードの立役者、エミーリエ・フレーゲがクリムトの代表作「接吻」のモデルだと知ったのは新鮮な驚きである。フレーゲの先進的なモード・サロンに集まる上流婦人たちをフレーゲは「改良服」を着せて撮影し、クリムトはキャンバスに塗り込めていった。
そして本作は、マーラー、シェーンベルク、ブラームス、シュトラウス、ベートーヴェンらの荘厳な楽曲に酔いしれる極上の90分でもある♪
サロン文化やカフェ、舞踏会まで網羅した贅沢な映像に瞬きも忘れて魅せられるに違いない。(幸)
東京都美術館で開催されている「クリムト展 ウィーンと日本 1900」は、昨年でクリムト没後100年、今年は日本とオーストリア友好150年にあたることから企画されたもので、過去最大級のクリムト展。クリムトは作品に金箔を施したものが多く、とても華麗。本展覧会では、クリムトの弟子であるエゴン・シーレの作品のほか、サブタイトルに「ウィーンと日本 1900」とあるように、日本文化がどのよう影響を与えたかもわかる展示になっています。
映画を観てから展示を観るか、展示を観てから映画を観るか、どちらの順序でも興味深く映画と展示を観れることと思います。
映画の日本語ナレーションは柄本佑さんが務めていますが、「クリムト展 ウィーンと日本 1900」の方は、音声ガイドを稲垣吾郎さんが務めていて、これまた心地よいのです。ぜひ聴きながら鑑賞を!(咲)
「クリムト展 ウィーンと日本 1900」
東京都美術館 4/23-7/10
その後、愛知県豊田市美術館で開催 7/23-10/14
https://klimt2019.jp/
2018年/イタリア/イタリア語・ドイツ語・英語/90分 / カラー
配給 彩プロ
後援 オーストリア大使館オーストリア文化フォーラム
© Belvedere, Wien
公式サイト http://klimt.ayapro.ne.jp
★2019年6 月 8 日(土)より、シネスイッチ銀座ほかにて全国順次公開