2019年06月08日
さよなら、退屈なレオニー(原題:The Fireflies Are Gone)
監督:セバスチャン・ピロット
出演:カレル・トレンブレイ、ピエール=リュック・ブリラント
カナダ・ケベックの海辺の街で暮らす17歳の少女、レオニー(カレル・トレンブレイ)。高校卒業を一ヶ月後に控えながら、どこかイライラした毎日を送っていた。退屈な街を飛び出したくて仕方ないけれど、自分が何をしたいかわからない。口うるさい母親も気に入らないが、それ以上に母親の再婚相手のことが大嫌い。レオニーが唯一、頼りにしているのは離れて暮らす実の父親だけだった。 そんなある日、レオニーは街のダイナーで年上のミュージシャン、スティーヴ(ピエール=リュック・ブリラント)と出会う。どこか街になじまない雰囲気を纏うスティーヴに興味を持ったレオニーは、なんとなく彼にギターを習うことに…。夏が過ぎていくなか、あいかわらず、口論が絶えない家庭、どこか浮いている学校生活、黙々とこなす野球場のアルバイト、それから、暇つぶしで始めたギター…毎日はつまらないことだらけだが、レオニーのなかで少しずつ何かが変わり始めていた。
主人公は高校卒業を目前に控えた、こじらせ系女子。仲間とつるむのも、親との関係もうざい。「将来は?」と尋ねられても答えられない。決断や責任から逃げてばかり。レオニーを演じるカレル・トレンブレイからイライラする気持ちが手に取るように伝わってきた。
さて、これからどうするのか。人を非難するのは簡単。自ら行動することが大事と気付いてほしい。(堀)
主演のカレル・トレンブレイは第31回東京国際映画祭2018でジェムストーン賞(新人賞)を受賞した。(『さよなら、退屈なレオニー』の映画祭でのタイトルは『蛍はいなくなった』)
参照 第31回東京国際映画祭2018 授賞式レポート
2019年/カナダ/カラー/96分
配給:ブロードメディア・スタジオ
©CORPORATION ACPAV INC. 2018
公式サイト:http://sayonara-leonie.com/
★2019年6月15日より新宿武蔵野館ほか全国にて公開
女の機嫌の直し方
監督:有田駿介
脚本:蛭田直美
脚本協力:横澤夏子
音楽:吉川慶出演:
大学でAIの研究をしているリケジョの真島愛(早見あかり)は、「男女脳の違いによる女の機嫌の直し方」をテーマに卒業論文を執筆中。データ収集のために、“男女トラブルの宝庫”結婚式場でアルバイトをすることにした。
その初日。上司となったウェディングプランナー・青柳誠司(平岡祐太)とともに、新婦・北澤茉莉(松井玲奈)と新郎・悠(佐伯大地)の結婚式を担当することに。ところが挙式直前に茉莉のウェディングドレスがワインで汚れてしまう。青柳と悠が式に間に合わせようと代わりのドレスを探しに動き出すが、茉莉はそのドレスにこだわる。困り果てた悠と青柳に、愛は男女脳の違いを説きながら、茉莉の不機嫌の理由を紐解く。愛のアドバイスを実行した悠は、茉莉の機嫌を見事に直すことに成功する。
その後も式のあらゆる場面で、男女トラブルが発生。そのたびに愛が「女の機嫌の直し方」を授けて、問題を次々と解決。結婚式はなんとか無事、お開きに向かうと思われたが、最後に、とんでもない大トラブルが発生する。
黒川伊保子の同名書籍が原案。結婚式を舞台に男女のトラブルを女性脳と男性脳の違いで修復する。あるあるのトラブル連発につい引き込まれ、笑って泣いた。彼女が「仕事と私のどっちが大事?」と選択を迫ったときは、「君が大事」と女性を選ぶのは間違いというアドバイスには思わず膝を打つ。
女性からすれば「そうなのよ〜」ばかりだが、男性にはどう見えるのか。そもそも問題点に気がつかないのかもしれない。(堀)
2019年/日本/カラー/ビスタサイズ/ステレオ/ 107分
配給:よしもとクリエイティブ・エージェンシー
(C) 2019「女の機嫌の直し方」製作委員会
公式サイト:http://kigen-movie.official-movie.com/
★2019年6月15日(土)より全国順次公開
柴公園
監督:綾部真弥
企画・脚本:永森裕二
撮影:伊藤麻樹
照明:藤森玄一郎
主題歌:「カンタンアイテラス」(AMG MUSIC)
出演:渋川清彦、大西信満、ドロンズ石本、桜井ユキ、水野勝、松本若菜、寺田農、山下真司、佐藤二朗
ある街の公園。柴犬を連れてやって来る3人のおっさん、あたるパパ(渋川清彦)、じっちゃんパパ(大西信満)、さちこパパ(ドロンズ石本)は、日々壮大な無駄話を繰り広げていた。ある日、3人の中で唯一独身のあたるパパに恋の予感が。相手は真っ白な柴犬・ポチを連れたポチママ(桜井ユキ)!? もどかしいふたりを応援するじっちゃんパパとさちこパパだったが、あたるパパが謎のイケメン(水野勝)と密会しているのを目撃。イケメンの正体を探るべく、聞き込み調査をするふたりだが、さっぱり要領を得ない。一方、豆柴の一郎をあたるパパに預けていた中年ニートの芝二郎(佐藤二朗)が、そろそろ一郎を返して欲しいとあたるパパに連絡をしてくる。
人間関係を築くことが苦手な主人公の恋の顛末。柴犬を飼う男3人が同じ公園に集う。リア充には縁がない感じで、互いにペットの名前で呼び合う関係。適度な距離感が心地よさそう。しかし、主人公に恋が芽生えてからその距離感も変わってくる。
俳優以上?!の抜群な演技を見せる犬たち。見ているだけでも心が癒される。(堀)
2019年/日本/カラー/99分
企画・配給:AMGエンタテインメント
(C) 2019「柴公園」製作委員会
公式サイト:https://shiba-park.com/
★2019年6月14日(金)より全国のイオンシネマ・シネマート新宿ほか公開
旅のおわり世界のはじまり
監督・脚本:黒沢 清
出演:前田敦子、加瀬 亮、染谷将太、柄本時生、アディズ・ラジャボフ
テレビ番組のリポーターを務める葉子(前田敦子)は巨大な湖に棲む“幻の怪魚”を探すため、番組クルーと共に、かつてシルクロードの中心地として栄えたこの地を訪れた。夢は、歌うこと。その情熱を胸に秘め、目の前の仕事をこなしている。
収録を重ねるが、約束どおりにはいかない異国でのロケで、いらだちを募らせるスタッフ。ある日の撮影が終わり、ひとり街に出た彼女は、聞こえてきた微かな歌声に誘われ美しい装飾の施された劇場に迷い込む。
そして扉の先で、夢と現実が交差する不思議な経験をする──。彼女が、旅の果てで出会ったものとは……?
テレビリポーターの仕事は過酷だ。いちばん驚いたのは、ウズベキスタンの遊園地でレポートした絶叫マシン。ディレクターがやれといえばやるしかない。葉子は文句も言わず、淡々とこなす。演じている前田敦子本人もAKB48時代もこんな風に仕事をしていたのかもしれない。そういえば、最近、出産したはず。撮影のときに妊娠していたりしなかっただろうか。思わず、心配になってしまった。
そんな葉子がオフになるといきなり自由になる。その差は歴然。風船のようにふわふわした感じ。これがまた心配になって、作品に引き込まれる。案の定、いろいろとあり、観客ははらはらする。しかし、そこでの出会いが葉子を成長させた。
本作はウズベキスタンで全編ロケ撮影されたという。美しい風景に心を癒されるのは葉子だけではない。(堀)
黒沢清監督が全編ウズベキスタンで映画を撮ったと、中央アジア好きの人たちの間でかなり前から話題になっていて、気になっていた作品。
私がウズベキスタンを訪れたのは、1986年。チェルノブイリ原発事故のあった年の秋。無理矢理ソ連という印象だった。人々はほかのイスラーム地域と同様、それなりに人懐っこいし、民族衣装も健在だった。でも、ホテルや空港の店はいかにものソ連式。無愛想で効率も悪かった。1991年に独立して、早や30年近く。あれ以来訪れていないので、どんなに変わったのかを映画を通じて観るのも楽しみだった。レギスタン広場やシャーヒー・ジンダなどのペルシア風の青いタイルの建築群のほか、活気溢れる市場や土の香りのする旧市街も映していて嬉しかった。
何より注目したのは、戦後、抑留された日本兵たちによって建設されたナボイ劇場の内部の小部屋が映し出されたこと。外観や舞台はよく紹介されるが、あのような素晴らしい装飾を施した小部屋がいくつもあることを知らなかった。この場面を観るためにだけでも、もう一度観たいくらいだ。
前田敦子演じる葉子がオフの時間に住宅街を散策していた時に、狭いところに囲われている山羊を見かけ、そこから救いたいと奔走する。自由にはばたけてない自分自身のように思えたのだろう。ずっと憂鬱そうな葉子に少しいらついたのだが、彼女の心情がわかる行為で、ほっとさせられた。
ディレクターが視聴者の求めているような画が撮れないと、ぼやく場面がある。奇をてらった映像を視聴者も求めているという制作者の思いあがりを皮肉ったのだろうか。撮影の都合で、まだちゃんと炊けてないプロフを美味しそうに食べなければいけないという場面もあった。こんなこともバラエティ番組の取材では、ままありそう!
ウズベキスタンでもウィグルでも人参がたっぷり入ったプロフをよく食べた。民族によって発音が違うが、ピラフの語源。
映画公開を記念して、祖師ヶ谷大蔵のカフェ ジョルジュで「ウズベキスタンフェア」が開催され、恐らく本場のプロフも食すことができるはず。映画撮影風景などの写真展示も!
「ウズベキスタンフェア」
6月8日から16日まで
場所:デトックス・カフェ&ギャラリー ジョルジュ
世田谷区祖師谷3ー36ー72
小田急線祖師ケ谷大蔵駅北口4分
(とんかつサボテンが1階のビル2F奥です)
電話:03-6411-4333
https://www.facebook.com/gallerycafegeorge/
ジョルジュでキルギスのイベントを何度か開いている元JICAキルギス隊員の酒庭伊織さんが、この期間中、キッチンに立ち、「伊織食堂」をオープンさせるとのこと。是非、葉子の気分でプロフをどうぞ!
「食の宝庫キルギス」出版記念ランチ会の様子は、こちらで! (咲)
『旅のおわり世界のはじまり』青木崇高さんのウズベキスタン弾丸ツアー!スペシャル映像上映付き加瀬亮さんとのトークイベント(6/21)
こちらで!
スタッフ日記 映画『旅のおわり世界のはじまり』青木崇高さんのウズベキスタン弾丸ツアー (咲)
こちらで!
2019年/日本・ウズベキスタン・カタール/5.1ch/シネスコ/カラー/デジタル/120分
配給:東京テアトル
©2019「旅のおわり世界のはじまり」製作委員会/UZBEKKINO
公式サイト:https://tabisekamovie.com/
★2019年6 月 14 日(金)全国ロードショー
劇場版 誰ガ為のアルケミスト
総監督・ストーリー構成:河森正治
原作:今泉潤・FgG
監督:高橋正典
脚本:根元歳三
キャラクターデザイン:嘉手苅睦
撮影監督:若林優(T2studio)
声の出演:水瀬いのり、逢坂良太、降幡愛、花江夏樹、石川界人、堀江由衣、生天目仁美、内田雄馬、今井麻美、早見沙織、江口拓也、Lynn、福山潤
自分に自信の持てない女子高生カスミ(水瀬いのり)は、ある日、不思議な声に導かれて異世界バベル大陸へと召喚される。そこは、伝説の存在・暗黒竜デストルークにより、錬金術も魔法も封じられ、“闇の魔人”が跋扈する世界だった。カスミは、彼女を召喚した魔法使いのリズ(降幡愛)、そしてガンナーのエドガー(逢坂良太)と出会う。リズは「闇を封じる幻影兵」を召喚したつもりだったが、カスミはそのような力を持っていなかった。あてがはずれたことに落胆するリズとエドガーだが、カスミを放っていくこともできず、一緒にレジスタンスの村へと向かった。そこでカスミは熱を出して倒れてしまう。カスミはバベル大陸でもまったく無力のままだった。
魔の手は瞬く間に拡がり村を襲撃する“闇の魔人”たち。そこには闇に堕ちた幻影兵と化したザイン(内田雄馬)、セツナ(今井麻美)、メラ(Lynn)とニクス(福山潤)姉弟の姿もあった。彼らはデストルークに召喚され、村を襲撃してきたのだった。絶望を目前にしたカスミの脳裏に、意外なビジョンがふと浮かび上がる。それは、カスミの中に眠る彼女の“本当の強さ”が目覚めようとしている兆しだった―
本作のベースになっているのはスマートフォン向けアプリ「誰ガ為のアルケミスト」。そこに劇場版オリジナルキャラクターとして、女子高生のカスミをヒロインとして登場させ、彼女がゲーム内にある異世界・バベル大陸へ召喚され、ゲームのキャラクターたちと接することで成長する姿を描いている。
何も知らないカスミが異世界に入っていくという構造を取ることで、ゲームを知らない人が見ても楽しめるように作ってある。ストーリー構成を務めたのは、総監督でもある河森正治。河森総監督は『マクロス』シリーズや『アクエリオン』シリーズなどで広く知られているが,本作は自身にとって初となるゲーム原作の映画化という。
カスミが現実の世界で何に悩み、苦しんでいたのか。そんなカスミが異世界を経験することでどう成長したのか。その結果、現実世界に戻ったときにどんな行動を取ったのか。同世代にとっては共感する点が多いはず。また、親世代にとっては、カスミ世代の子どもたちの言動の裏にはどんな気持ちが隠されているのかを知ることができるだろう。(堀)
「河森正治EXPO」
原作、監督、脚本、絵コンテ、メカデザインまでこなす河森正治のプロデビュー40周年を記念した企画。これまで携わった作品のデザイン画、絵コンテ、アイデアノートなどを数百点以上展示。河森ならではの独創的な新作映像なども見ることができる。
会場:東京ドームシティ Gallery AaMo(ギャラリーアーモ)
開催日程:2019年5月31日(金)~6月23日(日)
https://kawamoriexpo.jp/s/ex01/?ima=2248
2019年/日本/カラー/118分
配給:アスミック・エース
(C) 2019 FgG・gumi / Shoji Kawamori, Satelight
公式サイト:https://tagatame-movie.jp/
★2019年6 月 14 日(金)ロードショー
泣くな赤鬼
監督:兼重 淳
原作:重松 清 『せんせい。』所収 「泣くな赤鬼」(新潮文庫刊)
脚本:上平 満 兼重 淳
主題歌: 竹原ピストル「おーい!おーい!!」(ビクターエンタテインメント)
出演:堤 真一 、柳楽優弥、川栄李奈、竜星 涼、キムラ緑子、麻生祐未
城南工業高校野球部で顧問をしていた小渕 隆(堤 真一)は陽に焼けた赤い顔と、鬼の熱血指導から“赤鬼先生”と呼ばれていた。甲子園出場を目指していたが、決勝戦で破れて甲子園に行けなかった。
それから10年。県立西高校野球部で監督をする今は野球への情熱が衰えかけていた。ある日、ゴルゴと呼ばれていた、かつての教え子・斎藤(柳楽優弥)と再会する。野球の素質を持ちながらも、挫折して高校を中退したが、今は病に侵され、余命が宣告されていた。厳しさでしか教え子に向き合えなかったあの頃の後悔。小渕は、ゴルゴのために最後に何ができるのか―。
手が届きそうで届かなかった甲子園。これがいちばん辛い。いっそ遥か彼方の夢だった方が気は楽だっただろう。期待の重さに疲れたのか、次の赴任校の野球部では、おざなりな指導しかしていない。精悍な顔つきで熱心に指導する10年前と部員に請われても応えない、冷めた様子の今。主演の堤真一が著しい落差を自然に醸し出す。
一方、教え子を演じるのは柳楽優弥。いつもの狂気でぎらぎらした目は封印し、死期が迫りながらも野球がしたい、愛する家族ともっと生きたいという思いを切々と伝えてきた。
死を前に、私だったら何を思うのか。考えてしまった。(堀)
2019年/日本/カラー/111分
配給:KADOKAWA
©2019「泣くな赤鬼」製作委員会
公式サイト:https://akaoni-movie.jp/
★2019年6 月 14 日(金)全国公開
2019年06月07日
クローゼットに閉じこめられた僕の奇想天外な旅 原題;The Extraordinary Journey of the Fakir
監督・脚本:ケン・スコット
原作・脚本:ロマン・プエルトラス(小説「IKEAのタンスに閉じこめられたサドゥーの奇想天外な旅」)
プロデューサー・脚本:リュック・ボッシ
出演:ダヌシュ、ベレニス・ベジョ、エリン・モリアーティ、バーカッド・アブディ、ジェラール・ジュニョ、ベン・ミラー、アベル・ジャフリ、ステファノ・カセッティ
ムンバイのスラムで育ったアジャ。父の顔を見たことがなくて、小さい頃からいつも母に「この人がパパ?」と聞いて困らせていた。ある日、父親はフランス人で、母が彼の手紙を大事に持っているのを知る。いつか母を連れてパパに会いにパリに行こう! 路上で空中浮遊などのマジックショーをしながら一生懸命お金を貯めていたが、母は病に倒れ逝ってしまう。母の遺灰とパスポート、それに100ユーロの偽札を持ってパリに向かう。パリに着いた日、まず最初に憧れのインテリアショップへ。そこで家具を買いにきていたアメリカ人のマリ―に一目惚れ。翌日エッフェル塔でデートする約束を取り付ける。お金のないアジャは、その店のクローゼットをその日の宿に。ところが、よりによって、そのクローゼットがその夜、出荷されてしまう。目がさめると、ロンドンに向かうコンテナーの中。まわりにはリビアから違法に移民しようとする男たちがいた。彼らと共に、ロンドン、スペイン、イタリア、リビアへと旅することになる・・・
物語は、インドに帰ってきたアジャが、少年院行きの少年少女3人に、自分の奇想天外な旅を語る形で進みます。この子たちに、ぜひいい人生をおくってほしいという思いにあふれた語りに、ほろっとさせられます。不法移民や難民のことなども、さらっと織り込みながら語られるわくわくする冒険の旅をぜひお楽しみください!
アジャを演じたダヌシュは、タミル映画界の大スター。(*公式サイトには、ダヌーシュと表記されていますが、タミル語での発音はダヌシュとのこと) その後ボリウッドにも進出。監督・プロデューサー・歌手としても活躍しています。そして、奥様はラジニ・カーントの娘さん!
私はこの映画で初めてダヌシュを知ったのですが、見た目、とても地味な感じで、インド映画通の友人から、大スターだと聞いてびっくり。少年たちに語る姿がとても誠実で素敵です。(咲)
2018年/フランス、ベルギー、インド/96分/シネスコ/英語
配給:東北新社、STAR CHANNEL MOVIES
公式サイト:http://clotabi-movie.jp/
★2019年6月7日(金)より新宿ピカデリーほか全国公開
2019年06月06日
アラジン(原題:Aladdin)
監督:ガイ・リッチー
脚本:ジョン・オーガスト、ガイ・リッチー
撮影監督:アラン・スチュワート
編集:ジェームズ・ハーバート
衣裳:マイケル・ウィルキンソン
音楽:アラン・メンケン
作詞:ハワード・アシュマン、ティム・ライス
新曲作詞:ベンジ・パセック、ジャスティン・ポール
作曲:アラン・メンケン
音楽プロデューサー:マット・サリヴァン
出演:ウィル・スミス、メナ・マスード、ナオミ・スコット
ダイヤモンドの心を持ちながら、本当の自分の居場所を探す貧しい青年アラジンが巡り合ったのは、王宮の外の世界での自由を求める王女ジャスミンと、 “3つの願い”を叶えることができる“ランプの魔人”ジーニー。
果たして3人はこの運命の出会いによって、それぞれの“本当の願い”に気づき、それを叶えることはできるのだろうか──?
1992年に公開され、その年の世界興行収入№1となったアニメーション版『アラジン』が実写化された。ディズニーらしいゴージャスさとワクワクさがぎゅっと詰まった2時間8分である。
まず、アラジンとジャスミンが出会うシーンは泥棒と間違えられたジャスミンをアラジンが助けて、アグラバーの街中を逃げるのだが、息もつかせぬ場面転換にはらはらどきどき。ピタゴラスイッチで球が転がりながら、びっくりするような移動をするかのよう。観客の気持ちを一気に惹きつける。また、アラジンとアブーの息のあったコンビネーションも見事!
そして、魔法のランプから出てきたジーニーに助けられながら、アラジンはジャスミンへの想いを叶えるため奮闘する。主従を超えた2人の友情が気持ちいい。ウィル・スミス演じるジーニーが茶目っ気たっぷりにテンポよく話を転がす。アニメ版で声を当てたロビン・ウィリアムズへのリスペクトも随所に感じられた。アラジンがジーニーの魔法で王子になり、王宮へパレードのように入っていくシーンは豪華絢爛さのクライマックス。魔法ってすごい。
しかし、魔法はあくまでもきっかけ。諦めずにがんばれば状況も変わり、夢は叶うと作品は伝える。(堀)
2019年/アメリカ/カラー/シネスコ/128分
配給:ウォルト・ディズニー・ジャパン
(C) 2019 Disney Enterprises, Inc. All Rights Reserved.
公式サイト:https://www.disney.co.jp/movie/
★2019年6月7日(金)全国公開
2019年06月05日
町田くんの世界
監督:石井裕也
脚本:片岡翔、石井裕也
音楽:河野丈洋
原作:安藤ゆき「町田くんの世界」(集英社マーガレットコミックス刊)
出演:細田佳央太、関水渚、岩田剛典、高畑充希、前田敦子、太賀、池松壮亮、戸田恵梨香、佐藤浩市、北村有起哉、松嶋菜々子
好きってどういうこと? 誰かに優しくすることが他の誰かを傷つけることがある?
誰にでも親切な、心のイケメン町田くんが心を閉ざした少女と恋に落ちる。初めての感情に戸惑う町田くん。しかし、感情の不器用さが周りの高校生たちを変えた。優しい気持ちの連鎖は想定内だが、気持ちが温かくなる。
主演は演技経験ほぼゼロの超新人、細田佳央太、関水渚の2人。1000人を超える一大オーディションを実施し、監督がすべてのオーディションに立会い、この2人を大抜擢したという。町田くんのちょっと大袈裟なくらいの抜けっぷりが新人の初々しさと相まって、いい感じに作品をファンタジーへと昇華させる。
そして、新人2人を支えるわき役たちがなんと豪華なことか!「この女子高生、前田敦子に似ているな~」と思ったら、なんと前田敦子本人。何の違和感もなく高校生になり切っていた。大賀、岩田剛典、高畑充希も含め、主演で撮れる俳優たちが脇に回り、確かな演技力でファンタジックな世界感に現実味を加える。贅沢な配役も堪能したい。(堀)
2019年/日本/カラー/120分
配給:ワーナー・ブラザース映画
©安藤ゆき/集英社 ©2019 映画「町田くんの世界」製作委員会
公式サイト:wwws.warnerbros.co.jp/machidakun-movie/
★2019年6月7日(金)より全国ロードショー
2019年06月04日
クリムト エゴン・シーレとウィーン黄金時代 原題 Klimt & Schiele - Eros and Psyche
監督 ミシェル・マリー
製作総指揮 ベロニカ・ボッタネッリ
脚本 アリアンナ・マレリ
撮影 マテウス・シュトレツキ
日本語ナレーション 柄本佑
出演 ロレンツォ・リケルミー、リリー・コール
「ユディトI」「接吻」といった作品で知られ、ウィーン分離派で中心的役割を果たしたグスタフ・クリムト。そのクリムトと深い関わりを持ち、「自画像」「死と乙女」などの作品を残したエゴン・シーレ。二人は人間の不安や恐れ、エロスを描き、革新的な作品を生み出した。彼らの作品を所蔵する美術館などを巡りながら、ウィーンの黄金時代を紹介する。
「クリムト展 ウィーンと日本 1900」とのタイアップで公開されるため、アート好きならずとも観るには絶好のタイミングではないだろうか。俳優の 柄本佑が日本語ナレーションを務めており、分かりやすく聴きやすい
ドキュメンタリーとなっている。
若くして夭逝した異端の画家エゴン・シーレの狂おしいまでの性愛表現・自我の解放には、28年間の短い創作活動が凝縮されているようで胸が詰まった。
本作の興味深さは、絵画のみならず、当時のウィーンに於ける音楽、建築、文学などにも新しい概念が顕在化したムーブメントを伝え、活写している点だ。
コルセットと封建主義から解放したモードの立役者、エミーリエ・フレーゲがクリムトの代表作「接吻」のモデルだと知ったのは新鮮な驚きである。フレーゲの先進的なモード・サロンに集まる上流婦人たちをフレーゲは「改良服」を着せて撮影し、クリムトはキャンバスに塗り込めていった。
そして本作は、マーラー、シェーンベルク、ブラームス、シュトラウス、ベートーヴェンらの荘厳な楽曲に酔いしれる極上の90分でもある♪
サロン文化やカフェ、舞踏会まで網羅した贅沢な映像に瞬きも忘れて魅せられるに違いない。(幸)
東京都美術館で開催されている「クリムト展 ウィーンと日本 1900」は、昨年でクリムト没後100年、今年は日本とオーストリア友好150年にあたることから企画されたもので、過去最大級のクリムト展。クリムトは作品に金箔を施したものが多く、とても華麗。本展覧会では、クリムトの弟子であるエゴン・シーレの作品のほか、サブタイトルに「ウィーンと日本 1900」とあるように、日本文化がどのよう影響を与えたかもわかる展示になっています。
映画を観てから展示を観るか、展示を観てから映画を観るか、どちらの順序でも興味深く映画と展示を観れることと思います。
映画の日本語ナレーションは柄本佑さんが務めていますが、「クリムト展 ウィーンと日本 1900」の方は、音声ガイドを稲垣吾郎さんが務めていて、これまた心地よいのです。ぜひ聴きながら鑑賞を!(咲)
「クリムト展 ウィーンと日本 1900」
東京都美術館 4/23-7/10
その後、愛知県豊田市美術館で開催 7/23-10/14
https://klimt2019.jp/
2018年/イタリア/イタリア語・ドイツ語・英語/90分 / カラー
配給 彩プロ
後援 オーストリア大使館オーストリア文化フォーラム
© Belvedere, Wien
公式サイト http://klimt.ayapro.ne.jp
★2019年6 月 8 日(土)より、シネスイッチ銀座ほかにて全国順次公開
2019年06月01日
ハーツ・ビート・ラウド たびだちのうた(原題:HEARTS BEAT LOUD)
監督・脚本:ブレット・ヘイリー
オリジナルソング・音楽:キーガン・デウィット
出演:ニック・オファーマン、カーシー・クレモンズ、トニ・コレット、テッド・ダンソン、サッシャ・レイン、ブライス・ダナー
元ミュージシャンのフランク(ニック・オファーマン)はブルックリンで17年営んでいたレコードショップをこの夏に閉めることにした。シングルファーザーとして娘サム(カーシー・クレモンズ)を育て、成長したサムはLAの医大へ通う事が決まっていた。ある日ふたりでレコーディングしSpotifyにアップロードしたその曲は瞬く間に拡散され、たくさんの人の耳に届くことになる。フランクにとっては急に未来の扉が開かれた気分になるが、サムには恋人(サッシャ・レイン)や進学など、向き合わなければならない人生の課題は山積みだ。夏は終わりに近づき、フランクもサムも決断を迫られる。ッシャ・レイン、ブライス・ダナー
レコードショップを営むシングルファーザーの父は娘と一緒にバンド活動がしたくて仕方ない。勉強中の娘にセッションしようと懇願する。その姿は駄々こねする子どものようで、見ていて笑ってしまった。子離れって大変である。その一方で、自分が果たせなかった夢を押し付けているだけではないかと勘繰ってしまった。しかし一緒に曲を作る父娘は楽しそう。楽しい時間が長くは続かないものの、2人にとってベストな選択をしたラストにほっとした。(堀)
2018年/アメリカ/英語/ 97分
配給:カルチャヴィル
© 2018 Hearts Beat Loud LLC
公式サイト:http://hblmovie.jp/
★2019年6月7日(金) ヒューマントラストシネマ渋谷、新宿シネマカリテにて公開
エリカ 38
監督・脚本:日比遊一
企画:樹木希林 配給: 製
出演:浅田美代子、平岳大、 窪塚俊介、 山崎一 、山崎静代 、小籔千豊、 小松政夫 、古谷一行(特別出演)、木内みどり、樹木希林
水商売をしながらネットワークビジネスを手がける渡部聡子(浅田美代子)は、ある日喫茶店で声をかけてきた女性・伊藤(木内みどり)の紹介で、国境を超えてビジネスを展開している平澤(平岳大)という男と出会う。精力的な魅力を放つ平澤と関係をもった聡子は、平澤が手がける途上国支援のための資金集めを任され、水を得た魚のように持ち前のチャーミングさを最大限に利用し、言葉巧みに人びとから金を集めていく。お金さえあれば、みんなが私を必要とし、誰からも愛されて、母親(樹木希林)も誇りに思ってくれる! やがて平澤の裏切りを知った聡子は平澤と別れ、金持ちの男性を丸め込んで豪邸を手に入れる。他人から巻き上げた金でホストに狂い、「私はエリカ。38歳」と偽り、タイに若い男を囲う聡子。だが、いつまで経っても配当金が受け取れないため出資者たちの怒りは募り、聡子は再びタイへ・・・・・・。
かつて世間を騒がせたつなぎ融資詐欺事件をモチーフに樹木希林が浅田美代子主演で映画を企画化した。60歳女性が口先で次々とお金を集め、贅沢三昧。タイでは38歳と偽り、若い男に貢ぐ。これが実話とは!
浅田美代子の60歳に見えないプロポーションに驚嘆。自分も被害者の1人と思い込めるからこそ人を騙せたのかもしれない。「コイツ、またやるぞ」感を浅田美代子は不敵な笑いで醸し出す。
木内みどりが現ナマ100万円を取り出し数えるシーンは迫力満点。さすがホンモノは違う。ご自身で用意されたというから、ますます驚いた。(堀)
本作の発想のもとになった「つなぎ融資の女王」がタイで捕まった時のニュース映像は、今でも鮮明に覚えている。実年齢が私に近いのに、フリフリのミニスカート姿。(フリフリは私も着るが、さすがにミニスカートは無理!) 38歳と偽って、タイの若い男をたぶらかしていたというから、ぶったまげた。そんな悪女を浅田美代子さんにやらせたいと思った樹木希林さん、お見事! 製作だけにかかわるつもりが、エリカの母親役で出演することに。これがまた、悪女の母というドスのきいた雰囲気。ご自身、旅立ちの時を察知していらしたのか、予定より前倒しで撮影。
二人が共演したドラマ「時間ですよ」をリアルタイムで見ていた身には、数十年の時を経ての共演が、ひと癖もふた癖もある女性ということに興味津々。(咲)
2018年/日本/カラー/ PG12/103分
配給:KATSU-do
Ⓒ吉本興業
公式サイト:http://erica38.official-movie.com/
★2019 年 6 月 7 日(金)より TOHO シネマズ シャンテ他全国ロードショー
The Crossing -ザ・クロッシング- PartⅠ(原題:太平輪 乱世浮生 The Crossing)
監督・脚本:ジョン・ウー
原案:ワン・ホエリン
出演:チャン・ツィイー、金城武、ソン・ヘギョ、ホアン・シャオミン、トン・ダーウェイ、長澤まさみ
1945年、国民党の将校、レイ・イーファン(ホアン・シャオミン)は、上海の舞踏会でチョウ・ユンフェン(ソン・ヘギョ)と運命的な出会いをする。しかし国共内戦が激化し、レイはユンフェンを残し内戦の最前線へと向かう―ユンフェンは新居の家屋で、「ザークン(金城武)」と記された絵と、額裏から「雅子(長澤まさみ)」の日記を発見する―ユイ・チェン(チャン・ツィイー)は、出征したまま行方不明になった恋人を探すため、従軍看護師に志願。十分な食糧が無いなかで見知らぬ兵士、トン・ターチン(トン・ダーウェイ)と家族のふりをして、食糧配給を得る。
中国の国共内戦を背景に3組の男女の愛を綴る。砲撃爆発シーンは実写だという。リアリティが半端ない。さすが、ジョン・ウー監督が人生を懸けた作品である。
国民党将校を演じたレイ・シーファンの凛々しいこと! 男気に溢れ、見る者を惹き付ける。しかし、待つ妻は辛いだろう。また、金城武に恋する長澤まさみの目を見張るような初々しさにびっくり。『コンフィデンスマンJP』とは両極端の役どころをきっちりこなす。
後半が気になる!(堀)
2014年/中国/カラー/129分
配給:ツイン
©Beijing Galloping Horse ・ All Rights Reserved.
公式サイト:http://thecrossing.jp/
★2019年6月7日(金)シネマート新宿・心斎橋他にてロードショー!
パドマーワト 女神の誕生 (原題:Padmaavat)
監督:サンジャイ・リーラ・バンサーリー
出演:ディーピカー・パードゥコーン、ランヴィール・シン、シャーヒド・カプール アディティ・ラーオ・ハイダリー
13世紀末、シンガール王国の王女、パドマーワティ(ディーピカー・パードゥコーン)は、西インドの小国、メーワール王国の王、ラタン・シン(シャーヒド・カプール)と恋に落ち、妃となった。同じころ、北インドでは、叔父のジャラーウッディーン(ラザ・ムラッド)を暗殺した若き武将、アラーウッディーン(ランヴィール・シン)が、イスラム教国の皇帝(スルタン)の座を手に入れていた。
獰猛で野心に満ちた彼は、第二のアレキサンダー大王との異名を持つほどに、その権勢を広げていく中、絶世の美女、パドマーワティの噂をききつけ、メーワール国に兵を差し向けるが、堅牢な城壁と、誇り高いラージプート族の王であるラタン・シンの抵抗により、パドマーワティの姿を見ることも許されなかった。
一計を案じたアラーウッディーンは、ラタン・シンを拉致してパドマーワティを自らの城におびき寄せるが、彼女の勇気ある救出策によりラタン・シンは奪い返され、遂に総力をメーワール王国に向かわせる。 城を取り囲むアラーウッディーンの大軍勢と睨みあうメーワール王国の兵士たち。 やがて始まる、王と王の誇りと野望を懸けた最後の戦い。
そして、圧倒的に不利なその戦に、パドマーワティは、ある決意をもって臨んでいた…
13世紀のインドを舞台に、絶世の美女を巡って引き起こされた一国の尊奉劇。獰猛で野心に満ち、第二のアレキサンダー大王と呼ばれた王が他国の王妃に興味を持ったことがきっかけで争いは起こる。王妃の覚悟の決断は日本人には共感しやすいだろう。豪華絢爛な王妃の衣装は眩い。ディーピカー・パードゥコーンの美しさがより引き立つ。(堀)
映画の冒頭に、「サティーなどの慣習を支持する意図はない」と掲げられている。
サティー(またはサッティ)とは、ヒンドゥー社会において亡き夫の火葬の火に、残された夫人が飛び込んで殉死すること。古くから特に支配階級の間で行われてきた慣習。サティーの本来の意味は「貞淑な女性」とのこと。
映画の後半で、赤いサリー姿の女性たちが火にむかっていく場面があった。お腹の大きい女性もいた。かつてインドを旅した時、ジョドプールのお城で、女性たちが火に飛び込む前に残した手形を見たことがある。大きなものから小さなものまで、いくつもあって、何人もいた妻が皆、焼身自殺したのだと胸がしめつけられる思いだった。
『パドマーワト』のサティーの場面は、慣習としての史実として描いたということだろう。
本作は、ヒンドゥー教とイスラーム教の対立という側面もあるが、実は後に17世紀のムガル帝国では支配者層であったムスリムが、サティーを野蛮な風習として反対したそうだ。そも、イスラームにおいて火葬そのものが禁止事項なのだが。
本作では、部族による慣習の違いも垣間見れて興味深い。(咲)
2018年/インド/ヒンディー語/シネスコ/164分
配給:SPACEBOX
©Viacom 18 Motion Pictures ©Bhansali Productions
公式サイト:http://padmaavat.jp/
★2019年6月7日(金)より新宿ピカデリー他全国順次ロードショー
月極オトコトモダチ
監督:穐山茉由
劇中歌・主題歌:BOMI
出演:徳永えり、橋本淳、芦那すみれ、野崎智子、師岡広明、三森麻美、山田佳奈
大人になると異性の友達ってなかなかできない。男女の間に友情は本当に存在しないの? WEBマガジン編集者の望月那沙(徳永えり)は、あるきっかけで「男女関係にならないスイッチ」を持つと語る柳瀬草太(橋本淳)に出会う。実は、彼は依頼主に雇われた「レンタル友達」だった。那沙はPVの数字の取れるネタとして、編集長に「レンタル男友達」を提案し、柳瀬をレンタルする。一方、那沙のルームメイトである珠希(芦那すみれ)は音楽を通じて柳瀬と距離を縮めていく。
仕事と割り切ってレンタルしていたつもりが、一緒の時間を過ごすうちにオトコトモダチに惹かれていく主人公・那沙。演じる徳永えりの表情を見ていると気持ちの変化は一目瞭然。一方のレンタル友だち・柳瀬はいつもスマートに接してくる。表情からはまったく気持ちが見えてこない。監督が橋本淳をキャスティングした理由は「フラットな友だち役が似合いそう」ということだが、狙い通りだった。柳瀬の気持ちはどうなのか。ハラハラしながら感情移入してしまう。
この作品は那沙のルームメイト・珠希を演じた芦那すみれのハスキーな歌声と曲の切ない雰囲気が印象に残る。MOOSIC LAB(映画監督と音楽アーティストのコラボを支援する映画祭)にエントリーし、見事、長編部門グランプリに輝いたのも納得だ。
ところで、肝心の男女の友情だが、あなたはどう思うだろうか。(堀)
穐山茉由監督にインタビューしました。
記事はこちらからご覧いただけます。
2018年/日本/カラー/79分
配給:SPOTTED PRODUCTIONS
©2019「月極オトコトモダチ」製作委員会
公式サイト:https://tsukigimefriend.com/
★2019年6月8日より東京・新宿武蔵野館、UPLINK吉祥寺、イオンシネマ板橋ほかにて全国で順次公開