2019年05月15日
ガルヴェストン(原題:GALVESTON)
監督:メラニー・ロラン
原作:ニック・ピゾラット「逃亡のガルヴェストン」(早川書房刊)
撮影:アルノー・ポーティエ
音楽:マルク・シュアラン、ユージニー・ジェイコブソン
出演:エル・ファニング、ベン・フォスター、リリ・ラインハート、アデペロ・オデュイエ、ボー・ブリッジス
故郷を捨て裏社会で生きてきたロイ(ベン・フォスター)は自分の肺のレントゲン写真を見て、命の終わりが近いと悟った。雪が舞うように白くモヤがかかっていたのだ。その夜、いつものようにボスに命じられるまま仕事先に向かうと、ロイは突然何者かに襲われた。組織に切り捨てられたと知った彼は、とっさに相手を撃ち殺し、その場に囚われていた若い女(エル・ファニング)を連れて逃亡する。彼女の名前はロッキー。家を飛び出し、身体を売って生活していたという。全てを失い孤独な平穏を願いながらも女を見捨てることのできないロイ。2人の果てなき逃避行が幕を開ける。
健康に問題のある殺し屋を組織が切り捨てる。組織の論理としては正しい判断だろう。しかし、切り捨てられる方からすればとんでもない。殺し屋は組織から逃げるのだが、偶然、助けてしまった若い娼婦を連れて行くこととなる。その娼婦を演じるのがエル・ファニング。ということは、ただのか弱い娼婦ではなく、銃を持たせると意外にうまく使いこなし、2人でガンガン銃撃戦をしながら逃げて行くのか。と思いきや、2人の内面にフォーカスする。
若い娼婦には幼い妹がいた。叔父と可愛い姪2人と偽って過ごすひとときのバカンス。殺し屋は娼婦が人知れず抱えてきた過去に気がつき、自身も過去と向き合う。頭を過る、やり直せればという想いを若い娼婦の未来に託す。そのときの娼婦が輝くように見えた。エル・ファニングファンにとっては垂涎モノ。その後の展開は想定内であり、想定外。しかし、ラストで殺し屋の思いが確実に届いたとわかったとき静かな感動が胸に広がるだろう。(堀)
2018年/アメリカ/カラー/シネマスコープ/PG12/94分
配給:クロックワークス
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公式サイト:http://klockworx-v.com/galveston/
★2019年5月17日(金) 新宿シネマカリテ、ヒューマントラストシネマ渋谷ほか 全国ロードショー